議会報告

  • 2024年03月07日
    予算・決算特別委員会

    2024年度予算特別委員会 産業労働部 庄本えつこ

    ○庄本えつこ委員  共産党県会議員団、庄本えつこである。

     中小企業等への支援のあり方について質問をする。

     財政状況で、東京商工リサーチ神戸支店の調査によると、2023年の企業の倒産件数は526件で、この10年間で最高、休廃業・解散を含む退出企業は2,005件に上り、同じく10年間で最高となっていることを指摘した。さらに、倒産企業の負債総額は6,900億5,300万円と前年比1,251.88%となり、この20年間で最高になっている。

     その一番の要因は、県がかつて産業集積補助金を70.5億円も支出したパナソニック液晶ディスプレイ株式会社の倒産による負債5,836億円があることも述べた。この5,836億円の負債について、親企業のパナソニックホールディングスが昨年7月末に、このパナソニック液晶ディスプレイの特別清算開始の方針と子会社による5,800億円の債権放棄を発表している。

     つまり、こうした大企業は、子会社の大きな債権をも解消できるほどの体力があるということである。

     私たちは、県が行う事業者への支援についてはこうした体力のある大企業の支援を行うのではなく、コロナ禍、物価高、借金返済などで苦境にあえぐ中小・小規模事業者などの支援を抜本的に強化することが必要だと考えている。

     そこで、産業立地補助金の支出についてである。

     財政状況の答弁で、2002年の産業集積条例施行から2022年度までの間、累計211社に対し、272億円の補助金を交付したとあった。この総数のうち、大企業の補助金の支出と企業数をお答えいただきたいと思う。

    ○地域産業立地課長(三宅堂之)  補助実績211社、それから225億円、272億円の内訳についてであるが、大企業が68社、中小企業等が143社で、補助金は大企業が229億円となっている。

    ○庄本えつこ委員  やはり、大企業に対しての補助金が多いということである。私たちも再三指摘しているが、このうちパナソニックには総額の約半分に上る130億円もの支出をしている。

     そして、指摘したように、液晶ディスプレイ姫路工場が倒産したにもかかわらず、その後を継ぐ形になっているパナソニックとトヨタの合弁会社であるプライムプラネットエナジー&ソリューションズにも、2020年から2023年まで4年連続で総額約4億円を支出している。

     一旦支出した企業が倒産してしまい、その債権を親会社が解消できるグループの関連会社に新たに補助金を支出するというのは、支出の在り方として県民からは納得は得られないと考えるが、いかがか。再質問である。

    ○地域産業立地課長(三宅堂之)  パナソニック液晶ディスプレイ株式会社が液晶ディスプレーの製造拠点として新設をした姫路工場は、平成22年4月に操業を開始し、令和3年12月までの間、約12年間事業を行ってきた。同社の立地により、少なくとも創業時に約700人の雇用創出があり、また2,000億円を超える投資が行われた。

     こうした直接的な効果に加えて、姫路市全体では操業開始前である平成21年と比べて、令和元年の製造品の出荷額が約7,200億円増加するなど、操業期間を通じ、生産投資活動による大きな経済波及効果がもたらされたと認識している。

     この条例の趣旨を踏まえると、大企業、中小企業にかかわらず、社会情勢の変化等により、撤退に至った企業の再チャレンジを拒むものではないと考えている。

     プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社は、新エネルギー分野の車載用蓄電池の生産を行っており、今後も次世代成長産業の発展と地域経済の活性化に資することを期待している。

    ○庄本えつこ委員  尼崎の工場も、パナソニックは7年で撤退した。その従業員はほとんどは正規社員ではなかったし、尼崎の人でもなかったという状況がある。それを申し上げたいと思う。

     次にお伺いしたいのは、産業立地条例に基づく補助金が中小企業支援を強めているかという件である。

     財政状況では、産業立地条例に基づく立地支援において、2022年度は補助実績40件のうち28件、7割が中小企業の支援であり、また2023年度の事業確認件数においてもその7割が中小企業で、そのうち4件が、改正前の制度では設備補助の対象にならなかった中小企業であるとのことである。

     それでは、お伺いする。

     この産業立地条例による立地補助金が対象となる1億円の新たな投資を実際に行い得る中小企業は、県内中小企業のうち何割くらいになるのか。

    ○地域産業立地課長(三宅堂之)  産業立地条例では事業拡大に積極的な中小企業を応援しており、令和5年4月の条例改正において、設備補助に係る投資額要件を中小企業については全県で1億円に引き下げ、中小企業が投資しやすい環境づくりを行った。

     また、事業拡大に当たっては、多額の設備投資を行わなくても、オフィス等に入居する場合には賃料補助が可能であり、さらには、県内居住の新規雇用の従業員に対する雇用補助も利用することができることから、設備投資1億円を拠出することが困難な中小企業にも活用していただける制度となっている。

     これらのことから、事業拡大を計画する全ての中小企業が支援対象であり、本年度は、本県に立地を計画している中小企業25件の事業確認を行っている。これは、大企業を含めた事業確認件数35件のうち、71%を占めている。

     なお、これまでに本制度を利用した中小企業からは、雇用補助により地元の方を積極的に採用することができたであるとか、事業拡大や次の投資に対するサポートにつながるので、大変助かっているなどの声をいただいている。

     今後とも、意欲ある中小企業を支援していく。

    ○庄本えつこ委員  私が聞いたのは、県内中小企業のうち、何割ぐらいになるのかということである。少なくとも、赤字法人などからの1億円の投資などは困難だと考える。

     私たちは、毎年税務課から課税なしの赤字法人企業数の資料をいただいているが、この資料によると、2022年度、資本金1億円以上の466企業の赤字法人はゼロ、1億円未満の9万5,745企業中、赤字法人は6万企業、62.7%となっている。資本金1,000万円から1億円企業は、1万2,431企業中6,196企業が赤字企業で、すなわちこのクラスの企業で対象になるのは、赤字法人ではない6,235企業、資本金1億円以下の9万5,745企業中のわずか6.5%程度しかこの産業立地補助金の対象にはなり得ないと考えるが、いかがか。

    ○地域産業立地課長(三宅堂之)  この補助金では、事業拡大を計画する全ての中小企業が支援対象になると考えている。

     実際には、実施要領において、中小企業支援法に規定する中小企業と定義されており、業種ごとに資本金や従業員数により定められているが、直近の企業数については、正確な数字は承知していない。

     ただ、あくまで参考であるが、2023年の中小企業白書によると、本県の2016年の中小企業数は、14万4,700社余りということになっている。

    ○庄本えつこ委員  その数は、財政状況のときにも私も言った。

     こういう答弁であったが、この産業立地補助金の対象は、中小企業の一部しか対象になり得ない。大企業や1億円以上の投資が可能な体力のある企業への偏った支援だなと思っている。本当に見直すことが求められていると思う。

     続いて、中小・小規模事業者への直接支援の強化についてお伺いしたいと思う。

     商工リサーチの今後の見通しでは、ゼロゼロ融資の利用で抱えた過剰債務の一方、業績回復をみることができない企業は数多く存在しており、返済開始時期の到来に伴い倒産が目立ち始め、そこへ物価高、人手不足、人件費の上昇などの影響も重なり、経済対策が目に見える形では浸透していないようで、企業を取り巻く環境は日々厳しさを増し、業績不振を要因とする企業倒産に拍車がかかり、年度末に向けて増税基調は止む気配はないとしている。苦境にあえぐ事業者からは、単なる伴走型だけではない支援が必要と言われている。

     例えば、ゼロゼロ融資の返済が始まっているが、物価高騰で大変な人が多い。ゼロゼロ融資返済のための信用保証料と利子の補給、二つとも100%県のという県の融資制度をつくってくれれば、返済開始期日を延期すると同じ効果になる。または、社会保険料や賃上げ補助、困難事業者支援金など直接的な支援があれば、頑張れるという声が寄せられている。

     県の企業支援の在り方として、体力のある大企業を中心とした産業立地補助金ではなく、困難にあえぐ中小企業へ賃上げ、社会保険料支援、ゼロゼロ融資返済のための信用保証料と利子の補給100%の県の融資制度創設など、直接的支援の抜本的な強化への転換を行うべきであると考えるが、いかがか。

    ○地域経済課長(福田靖久)  中小企業、小規模事業者は、引き続き厳しい経営環境に直面していると認識している。

     委員ご指摘のゼロゼロ融資返済に係る利子補給、信用保証への支援については、ご承知のとおり、国の制度に基づき3年間の措置として取り組んできたところであり、今以上の利子補給や条件変更時の信用保証料の予定はない。

     ただし、そのような中、県では事業者の方から既往債務に係る返済負担緩和のため申し込みがあった場合は、借り換えや条件変更などの弾力的な対応を要請している。

     賃上げ促進については、継続的に賃上げできる環境整備が重要であることから、引き続き中小企業の収益強化、あるいは生産向上を図る施策を展開していく。

     さらに、経営継続の支援については、事業承継において自己資金だけでは賄うことのできない必要経費を補助し、世代交代による活性化も支援、また、販路開拓を後押しするため、中小企業の展示会出展費用の補助も実施し、それぞれ事業者が抱えている課題にきめ細やかに対応して、支援を講じていきたいと考えている。

     中小・小規模事業者は、地域の経済循環を支えるまさに屋台骨であると認識している。多くの事業者が今の厳しい経済状況を乗り越えていけるよう、今後も現状をつぶさに注視し、時宜にかなった支援に取り組んでいく。

    ○庄本えつこ委員  ちょっと時間が延びているが、言いたいことだけ言わせてもらう。

     今日、生活保護の申請が25万件余り増えたと。全部で165万3,778世帯っていうふうに新聞報道がされている。その中には、中小零細企業で解散した人たちが含まれているんだなと、私はもう本当に胸が痛い思いである。

     直接の声を申します。

     地場産業も応援してほしいと言われた。例えば、長田のケミカルシューズを公立学校の上履きとか公立病院のナースシューズに採用するとか、病院のシーツに播州織を採用するなど、本当に県の官公需の枠を広げる形で考えてくれたら、本当に元気になるとのことである。こういうのが本当に寄り添うということだと思う。

     中小零細企業の直接の声、要望をお伝えして、質問を終わる。ありがとうございました。

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