議会報告

  • 2023年12月13日
    本会議

    第365議会 議案反対討論 久保田けんじ

     私は日本共産党県議会議員団を代表して、上程中の議案の内、第105号議案、第107号議案、第108号議案、第119号議案、第121号議案、ないし第123号議案、第125号議、第133号議案、計9件について反対し、以下、主な理由を述べます。

    はじめに第125号議案「令和5年度兵庫県一般会計補正予算(第4号)」についてです。

    本議案の緊急経済対策については賛成するものです。また、物価高騰のおり、人事委員会勧告による一般県職員等の給与・期末手当の引き上げは当然のことです。しかし、本議案には知事、副知事、教育長など特別職の期末手当の引き上げが含まれていることから賛成できません。国においては、首相や閣僚ら国家公務員特別職の給与を引き上げる改正給与法が成立しましたが、国民や野党からの強い批判、与党内からも凍結論が出されました。芦屋市は、「国が低所得世帯に7万円を支援するような厳しい社会情勢の中、特別職の給与は引き上げられない」という市長の意向で、国の特別職などの給与引き上げに伴う市の特別職の増額を見送りました。また尼崎市も物価高騰が続き、デフレ脱却に向けた所得減税などの手続きが完了しない中での手当て引き上げは「市民に寄り添えていない」と判断し、市長や副市長、教育長など特別職の期末手当の増額分を支給しないこととしました。県の特別職の給与は高すぎるというのが多くの県民の声であり、知事等特別職の期末手当引き上げは認められません。同様の理由で第133号議案「職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例」についても反対します。

     

    又、本補正予算案の防災・減災、国土強靭化の推進のための予算のうち、不要不急の東播磨道北工区、浜坂道路二期の地域高規格道路事業に約55億円がつぎ込まれているからです。これら地域高規格道路事業については、これまでもわずかな時間短縮のために、多大な税金が投入されていること、交通量の低下により需要や採算性が見合わないこと、高規格部分がそれぞれの事業の7割以上をしめ、地元や地域企業の受注が限定的であることなどを指摘し、過大な事業であるとして反対してきています。

    また本年の香美町での水害をはじめ、近年の気候変動の影響による気象災害の激甚化、頻発化に対応する対策として、もっとも求められるのは、進捗率が3割程度にとどまっている砂防関係施設の整備や6割程度の河川整備計画の推進であるにもかかわらず、砂防関係施設予算はわずか13%、河川整備には、わずか8%しか措置されていません。

    減災、防災・国土強靭化推進予算は、高規格道路事業の推進を中心にするのではなく、必要な河川や砂防対策など、防災・減災事業の促進をもとめるもので、本補正予算案には反対します。

     

    第107号議案「主要地方道加古川小野線東播磨道北工区樫山高架橋上部工事請負契約の変更」、第108号議案「主要地方道加古川小野線東播磨道北工区国道175号AB-3ランプ橋上部工事請負契約の変更」についても、物価高騰などに伴う材料費や労務単価の引き上げにより請負契約額がそれぞれ約1億1千万円、約3千7百万円増額されるものであるが、前述のとおり過大な事業として東播磨道事業に反対しており、賛同できません。

     

    次に第105号議案「関西広域連合規約の変更」についてです。本議案は、奈良県が防災、広域観光・文化・スポーツの2分野への参加から全事務の参加に伴い規約を改正するものです。関西広域連合は、国の出先機関を廃止し、広域連合が「受け皿」になることを推進しています。しかし、これは住民や地方への国の責任を後退させるものであり、また、さらなる大型開発の推進、小規模自治体の防災などにも大きな影響をあたえる恐れがあります。日本共産党議員団は、関西広域連合の設立そのものに反対であり、事務の拡大、負担の追加にも反対です。

     

    次に第119号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県中央労働センター及び兵庫県立姫路労働会館)」、第121号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立三木総合防災公園)」、第122号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県営住宅西区・明舞地区)」、第123号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県営住宅阪神北地区)」についてです。

    これら「公の施設の指定管理者の指定」については、県政改革方針にもとづき、今回初めて公募による選定が行われましたが、それぞれの施設の専門性や役割を無視した公募制は見直すべきだと、まず申し上げておきます。

    兵庫県中央労働センター及び兵庫県立姫路労働会館の指定管理に選定された公益財団法人兵庫県勤労者福祉協会の嘱託職員設置要綱には、労働契約法に契約社員など雇用期間の定めのある非正規労働者が、5年以上連続して反復更新した場合、非正規労働者の申し出によって期間の定めのない無期雇用契約へ転換させることが使用者に義務付けられているにも関わらず、「契約期間は1年、繰り返し更新する場合であっても5年を限度とする」としております。嘱託職員の多くが企画・会計・経理などの本格的・恒常的業務に8時間フルタイムで配置されているのに5年を限度に雇い止めされてしまいます。勤労者の福祉の増進を目的とする公益財団法人兵庫県勤労者福祉協会は、本格的・恒常的業務に正規職員を配置するか、労働契約法改正の趣旨に沿って5年以上反復更新した場合は無期雇用への転換を認める要綱へ改正すべきです。
    以上のことから、公益財団法人兵庫県勤労者福祉協会・大林ファシリティーズ株式会社グループが指定管理者に指定されることは認められません。

     

    兵庫県立三木総合防災公園は、これまでは、県の外郭団体の公益財団法人兵庫県園芸・公園協会の指定管理であったが、公募により、美津濃株式会社、一般社団法人兵庫県サッカー協会、一般社団法人兵庫県テニス協会が加わったみきぼう協働パートナーズが選定されました。兵庫県立三木総合防災公園は、2007年新潟県中越地震や、2009年佐用町での台風9号災害、2011年東日本大震災、2013年フィリピン台風、2014年丹波水害など国内外での大規模災害時に備蓄物資を機敏に提供するなどの災害対応をおこなってきています。

    しかし、今回の指定管理の選定において、従来は県が直接行っていた災害対応の一部を指定管理に委ねるものになっています。点検や訓練の頻度をあげて対応できるようにとされているが、災害という緊急時に、県と一体になって業務を遂行しうるのか懸念が生じざるを得ません。具体的にも、災害時の業務実施体制において、物資、資器材の集配リーダーの現場参集所要時間が約60分となっており、緊急的な対応において困難を生じる危険性があります。大規模災害など県民や国民が命の危険にさらされるときの対応については、公が責任を負うべきで、指定管理に委ねるべきではありません。さらに、公募という形では、より県の責任があいまいにならざるを得ません。

    また、兵庫県営住宅西区・明舞地区は、これまでと同様のTC神鋼不動産サービス株式会社が、兵庫県営住宅阪神北地区も、これまでと同様の株式会社東急コミュニティーが、それぞれ公募により指定管理者として選定されています。

    県営住宅の管理については、公営住宅法第1条「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、…国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」などにもとづき、運営する必要があります。

    県営住宅は、県民や入居者からは、入居や家賃、施設環境などさまざまな相談が寄せられており、福祉分野も含めて、きめ細かい対応が求められており、県や公社などが直接責任を負うべきであります。

    2010年12月総務省自治行政局長通知では、指定管理者制度の適切な運用について、「公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときに活用できる」としていることからも、上記の施設の運営や管理を指定管理者に委ねることは、適切ではありません。よって、第119号議案、第121号議案、ないし第123号議案の公の指定管理者の管理の指定については、反対するものであります。

     

    以上、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。

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