議会報告
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○いそみ恵子委員 日本共産党県会議員団の西宮選出のいそみ恵子である。よろしくお願いする。
早速質問に入る。
武庫川流域の治水対策についてである。先ほどの小泉議員と重なる部分があるかと思うが、どうぞよろしくお願いする。
近年、地球上では気候危機とも言える状況が続いている。昨年はパキスタンの水害やスペインの干ばつ、オーストラリアの東部の洪水など、国全体に影響するような大規模な異常気象が起きている。日本でも同様の状況が続いている。
こうした中で取り組まれているのが、その一つが、私の地元西宮の武庫川の総合的な治水対策である。県では河川対策アクションプログラムを地域総合治水計画に位置付け、事前防災対策を重点的に進めているが、頻発する豪雨災害の中で、武庫川水系河川整備計画で位置付けられている河川整備や堤防補強、貯留施設、遊水池の整備、水田や森林の保護・涵養など、総合的な治水対策の前倒し実施が求められている。
特に武庫川下流部築堤区間は河川沿いの地域が高度に市街化しており、一たび堤防が決壊し、氾濫すると、被害は全国10位の甚大な被害が想定され、その対策が急がれており、私も機会あるごとに取り上げてきた。
溢水対策としての堤防補強や、河川対策として河床掘削と、それから、阪神武庫川駅の橋脚の補強、そして、最も流れを阻害している潮止堰撤去について、それぞれの進捗状況についてお答えいただきたい。
○河川整備課長(勝野 真) 高度に市街化した武庫川の下流部築堤区間は、盛土構造の堤防が一たび決壊すると甚大な被害が想定されることから、治水安全度の向上が急務となっている。このため、平成23年に策定した河川整備計画に基づき、堤防強化、河床掘削などに取り組んでいる。
まず、堤防強化については、既に浸透・侵食対策を完了させており、超過洪水対策として実施していた約0.7キロメートルについても、令和4年5月までに完了させた。
それから、河床掘削については、河口からJR東海道線の間で必要となる約100万立方メートルの河床掘削のうち、約33万立方メートルの掘削を今年度末までに完了させる予定である。令和5年度は、引き続いて南武橋下流で約6万立方メートルの掘削を行っていく。
なお、阪神電鉄橋梁については、詳細検討の結果、橋脚の補強は必要なく、橋脚部の河床低下を防ぐ根固工で対応できるとなったことから、潮止堰撤去後の河床掘削に合わせてこの対策を行っていく。
また、潮止堰の撤去については、令和6年度から着手できるよう取組を進めていく。撤去に当たっては、地下水の塩水化を防止する遮水矢板の設置を先行する必要がある。令和5年度は、全遮水矢板3.8キロメートルのうち、潮止堰部分の約0.2キロメートルを除き、完了させる予定である。残る0.2キロメートルの遮水矢板については、潮止堰の撤去時に合わせて設置することとしている。
○いそみ恵子委員 順調に進んでいるということでご答弁をお聞きしてきた。
それで、やはり武庫川水系河川整備計画のこの目標流量、これまず一日も早くやはり確保していく、こういうことが大切だと思っている。武庫川は洪水のときは下流の水位が高くなり、危険水位となりやすいというのがこの川の特徴である。いかに速やかに、安全に下流に流すのかが最大の課題である。そのためにも、流れを妨害しているこの潮止堰撤去、前倒しでぜひ進めていただきたいということを要望しておく。
冒頭に気候危機の問題に触れたが、この危機に立ち向かうことは、従来のやり方で通用しないと言わざるを得ない。最小限の被害に抑え、県民の命と安全を守ることが必要である。流域全体の総合力で洪水対策を行うことが求められている。減災対策とともに、河道を掘り下げ、断面を広げる河床掘削等の河川工事、遊水池の整備等による河川対策であるながす対策と同時に、ためる流域対策が必要である。
その流域対策のために行われたのが、千苅ダムの治水活用の工事である。洪水期のうち7月から9月の3ヵ月間、洪水期制限水位から更に1.0メートル低下させ、大雨時に水をためる容量を約100万立方メートル確保するものだと聞いている。試行運用もされているが、千苅ダムのこの治水活用で武庫川への治水効果はどれほどあるのか、具体的にお答えいただきたい。
○総合治水課長(志茂大輔) 千苅ダムの治水活用だが、委員ご指摘のとおり、ダムを管理する神戸市の協力を得て、今年度から試験運用を開始しているところである。
その整備効果については、河川整備計画の対象降雨、これ戦後最大洪水であるが、その場合、尼崎市、西宮市の市境にある下流の甲武橋地点で約5センチの水位低下を見込んでいるところである。よろしくお願いする。
○いそみ恵子委員 甲武橋、その地点の水位、具体的に言うと5センチほど、やはりこれ低下すると。そういう治水効果があるということで、これまでもお聞きをしてきたが、改めて確認をさせていただいた。
それで、これまでためる対策として住民の皆さんが市町の協力も得て取り組まれてきたのが、学校の校庭や公園、ため池などに雨水を一時的にためて、流域からの流出量を減らす流域対策が引き続き重要だと思う。
思い起こすと、2014年6月、私、建設常任委員の際に、地元の小学校で、校庭貯留施設整備で、4年生のお子さんが感想文を寄せていただいた。そこで雨水貯留施設を造るのだが、それによって、この児童が、自分の学校がみんなの命を救うことになればいいと、こういうことで感想を寄せている。これこそが、私、総合治水の、その取組の意義だと思う。
これまで武庫川のこうした下流対策を中心に、治水対策を中心にお聞きをしてきたが、最後に、総合治水条例に基づく全県の総合的な治水対策について質問する。
気候変動の影響による豪雨災害が激甚化、頻発化する中、国は2021年5月成立した流域治水関連法による流域治水を進めているが、本県が全県で進めてきた総合的な治水対策の今後について、減災対策とともに、特に河川・下水道対策、ながすである、それから、流域対策、ためるについて、どのように県は推進していこうとしているのか、この点についてお聞きをする。
○総合治水課長(志茂大輔) お答えする。
県では、総合治水条例に基づき、ながす対策の河川・下水道対策、ためる対策の流域対策、そなえる対策の減災対策により進めてきた総合治水対策が着実に効果を発現する中、今後も県が担う重要な責務として、総合治水に継続して取り組んでいく。
このうち、ご指摘の河川・下水道対策及び流域対策について、河川・下水道対策では、先ほどご答弁している武庫川等で、河川整備計画に基づいて、計画的に治水安全度を高めていく。今後新たに策定する治水計画は、国の動向も踏まえ、先ほどおっしゃられた気候変動による降雨量の変化、同規模の河川の整備水準などを考慮しながら検討していく。
ためる対策の流域対策では、既存ダムの事前放流やため池の治水活用等で確保した約7,300万立方メートル、7,300万トンであるが、その貯留容量の更なる拡大を目指していく。例えば既存ダムでは、事前放流の拡大に向け、高度化された予報技術を活用し、放流量と水位回復の精度を高めて、利水者の協力を得ていく。
今後とも県が旗振り役となり、災害危険情報の発信等で被害軽減を図る減災対策も含め、県民の命と生活を守る総合治水を着実に推進していく。よろしくお願いする。
○いそみ恵子委員 質問時間が経過をしたので、これで終わらせていただく。
県民の命と安全を守るということで、ぜひ皆さん、先頭に立ってそれを切り開いていただきたいということを申し上げ、私からの質問を終わる。ありがとうございました。