議会報告

  • 2023年03月20日
    本会議

    第361回本会議 繰り越し議案反対討論 入江次郎

    日本共産党の入江です。

    第176号議案 令和4年度兵庫県一般会計補正予算(第5号)について、反対の立場から討論します。

    反対の第一の理由は、東播磨道、浜坂道路、広畑港の水深14m岸壁整備、播磨臨海地域道路計画調査事業など不要不急の大型開発事業が含まれているからです。私たちはこれまでも東播磨道路や浜坂道路などについて、「大型開発を進めても東京一極集中は全く是正されなかったこと」「大型開発は、地元建設業者の受注率が低いこと」などを挙げて反対してきました。加えて、県財政が厳しい中で、今後の物価高騰の見通しさえ全く見えない中で不要不急の大型開発にこれ以上の税を投入すべきではありません。速やかに中止すべきです。

    さらに、本議案には姫路港広畑地区の整備事業の繰り越しも含まれています。 国と県は、平成14年に3万トン超の巨大貨物船が入港するとして、これまでの水深13mから、水深14mへと掘り下げる岸壁整備を実施しました。しかし令和3年度までの直近10年間で巨大貨物船入港実績はわずか6隻です。2年に1度、入港するかしないかの状況です。

    それにもかかわらず、国と県は「令和3年度から新たに5万トン、7万トンの巨大貨物船が入港する」とした背後地企業の需要予測を言われるままにそのまま鵜呑みにし、新たに第二期水深14m岸壁整備を含む姫路港広畑地区国際物流ターミナル整備事業を始めました。しかし、令和3年度も、そして令和4年度もまもなく終わりますが、巨大貨物船は水深14m岸壁へ1隻も入港していません。

    私は建設常任委員会で「なぜ巨大貨物船が入ってこないのか、自ら需要予測を示した背後地企業に問い合わせすべきだ」と、要望したところ昨日の建設委員会で、回答がありました。

    県が背後地企業にヒアリングを行ったところ
    ・A社は、ロシアのウクライナ侵攻による影響から石炭輸入元をロシアから変更することなどに対応するため、プラントの設計変更が必要となった。稼働開始は今年夏の予定。
    ・G社は、令和3年は特に貨物量は増えなかった。今後のことはわからない。
    との回答が背後地企業からあったとのことです。

    巨大貨物船が入港するとの需要予測を示していた企業自らが「石炭輸入元をロシアから変更することになった」「貨物量は増えなかった」「今後のことわからない」と、言っているのです。これまでの入港実績の経緯も踏まえ、需要が見定まるまで一旦工事は止めるべきです。

    不要不急・需要予測甘い、ムダな大型開発は繰り越しするのではなく直ちに中止すべきです。

    反対の第二理由は
    神戸三ノ宮雲井通5丁目地区の市街地再開発事業補助の繰越が含まれているからです。

    この事業は、神戸市が策定した「三宮周辺地区の『再整備基本構想』」において、中・長距離バス乗降場を同エリアに集約することを位置づけた総事業費約1000億円のバスターミナル事業です。県補助の見込み額約164億円のうち、これまでの平成元年度~令和3年度までに22億1千6百万円が支出されました。

    今回の繰り越し理由は、サンパルビル解体工事の過程で当初想定されていなかったアスベスト含有材が出てきたことへの対応にかかる繰り越しということです。

    日本共産党は、三宮周辺地区の再整備基本構想について、現在のミント神戸のバスターミナルでも対応できるにもかかわらず、新型コロナパンデミック前に構想されたインバウンド成長戦略のもとに、市民合意のないまま、中央区役所や三宮図書館・勤労会館などの公共施設を押しのけるように移転させることについて「市民の理解を到底得ることはできない」と批判してきました。

    さらに、サンパルの地権者やテナントの方々からは、「三宮再開発で、この辺の土地が高騰し、まだ次のお店が決まっていない」「新しいビルに変わるにしても5年も待てない」など、権利返還に対して消極的な声も寄せられています。

    インバウンド観光客は回復基調にありますが、コロナパンデミックはインバウンド頼みの成長戦略に警鐘を鳴らしたはずです。加えて、協力を得るべき地権者の営業や権利が守られない三宮再開発事業、バスターミナル事業は認められません。

    反対の第三の理由は、たつの市立総合隣保館の施設改修の繰越があるからです。2012年に同和対策特別措置法が廃止され, 隣保館は、社会福祉法に基づく隣保事業を実施する施設とされました。隣保館事業の目的は「地域社会全体の中で住民交流の拠点となる開かれたコミュニティーセンターとして、各種事業を総合的に行うもの」とされました。

    しかし、たつの市隣保館を含め、少なくない隣保館で、未だ隣保館運営委員が、地域内に住む人たちが多くを占める状況にあります。これでは、隣保館事業の「地域社会全体の中での住民交流」という目的を十分に発揮できません。

    同和対策は一般施策の中で行い、隣保館事業については設置目的を踏まえた運営を行うべきです。以上の理由により賛同できません。

    以上で私の討論を終わります。議員の皆様方のご賛同をよろしくお願い申し上げます。

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