議会報告
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私は、日本共産党県会議員団を代表して、上程中の議案のうち、第1号議案、第2号議案、第4号議案、第5号議案、第7号議案、第10号議案、第14号議案ないし第17号議案、第19号議案、第21号議案、第22号議案、第25号議案、第28号議案、第29号議案、第32号議案、第36号議案、第39号議案、第40号議案、第43号議案の計21件について反対する立場で討論をおこないます。
まず第1号議案「令和5年度兵庫県一般会計予算」、関連して第14号議案「令和5年度兵庫県国民健康保険事業特別会計予算」、第15号議案「令和5年度兵庫県病院事業会計予算」、第32号議案「産業立地の促進による経済及び雇用の活性化に関する条例の一部を改正する条例」、第36号議案「兵庫県学校教職員定数条例の一部を改正する条例」、第43号議案「兵庫県県政改革方針の変更」についてです。
反対の第1の理由は、賃金が下がり、長期の経済低迷による物価高騰などで、県民の暮らしや中小事業者などの経営が大変であるにもかかわらず、大企業優遇の産業立地促進をすすめ、大阪万博等を見据えた大交流等を理由にした高速道路ネットワークの整備促進など、不要不急の投資事業をすすめる予算となっているからです。
産業立地の促進については、来年度、条例も改定し、全県域で成長産業の補助率を最大10%に引き上げ、投資促進地域にベイエリア地域を設定し、重点的に支援するとしています。例えば、体力のある大企業が1000億円の投資をすれば、100億円が補助されるというもので、大企業の投資事業をさらに優遇するものになっています。一方、これまで20年間の産業立地促進補助総額260億円のうち中小企業に使われたのは、わずか15%39億円で、企業数もわずか131件、中小企業全体の0.1%に過ぎません。物価高騰、コロナ等の影響で、体力を奪われている中小・小規模事業者が、新たな投資をおこなうのは困難であり、従来通りの大企業を中心とした制度に変わりありません。
また人の流れを生み出すとして高規格道路ネットワークの早期整備を推進するとして100億円の予算を計上していますが、播磨臨海地域道路や東播丹波連絡道路など、その多くは、2025年の万博以降の開通の予定であり、将来の道路需要が高まる見込みはありません。さらに高規格道路は、これまでも地元中小企業の受注はなく、大企業中心の投資事業にならざるを得ません。
予算案には、大阪湾ベイエリアの活性化・瀬戸内大交流圏形成などとうちだし、70億円かけつくった1日2隻程度のプレジャーボートしか利用のない交流の翼港の機能強化などをすすめようとしていますが、大阪万博などからの過剰な誘客を見込んだ事業は見直すべきです。
県予算において、こうした大企業中心の投資事業を中心に据えるのではなく、暮らしや営業にあえぐ、県民や中小事業者への支援を強める施策を中心に据えるべきです。
また、農業分野では、「ブランド化」「法人化」「大規模化」などに偏っています。兵庫県農業の基盤となる小規模農家を支えるため、直接支援などの施策の充実を求めます。
第2の理由は、コロナ対策をはじめ、医療や社会保障などをきり縮める予算となっているからです。新型コロナ対策においては、国も県も5類への移行を前提にしており、4月から感染拡大時の無料検査の廃止、入院医療体制の強化費や抗原検査キット配布費等が削減されます。また地域医療構想により、コロナ禍の2020年~2022年で541床の急性期病床を削減してきましたが、新年度も消費税増税分を使った急性期病床削減の予算が組まれています。
さらには、病院事業会計で整備を進めるとしている県立西宮総合医療センター(仮称)でも、全体657床から552床へ105床削減、がんセンター許可病床数400床を377床に削減することになっています。地域医療構想による病床削減ではなく、病床の増床など医療体制の強化こそ必要です。
国民健康保険事業については、2018年の都道府県化に移行して以降、1人当たりの保険料調定額が、2018年の9万453円から、2022年度10万1317円にまで引きあがり、高すぎる国保料がさらに12%も高くなっています。一方、各自治体が保険料軽減のため行う一般会計からの繰り入れ解消する方針にともない、繰り入れを行っている市町は7市町から、3市町へ大幅に減っています。医療費水準を納付金に反映させないことで県内自治体に痛み分けすることを継続し、毎年の国保料引き上げにつながっていることから反対です。
また、県政改革方針により、障害者小規模通所援護事業、100歳高齢者祝福事業、音楽療法定着促進事業などの医療・福祉、高齢者事業などは削減されたままとなっています。県政改革方針で削減された医療・福祉、高齢者事業、そしてこの間の行革で削減されてきた福祉医療の復活もあわせて求めます。
第3の理由は、不十分な教育予算だからです。
新年度予算の教育費は3592億円で、額にして前年比約98%となっています。齋藤知事は、教育投資の強化として、県立学校や特別支援学校の整備などを打ち出し、評価する部分もあります。
しかし教育環境の整備といったときに、もっとも必要な、知事も掲げている少人数学級は、小学校4年生と中学1学年での選択制どまりとなり、教員数も少子化によるクラス減員分は削減しています。私たちが予算特別委員会で提案した組替え提案では、小学校5,6年生を35人学級にするための教員増員分は224人で、16億円でできると示しています。教育現場は、いま教員不足で大変です。教育への投資というならば、少人数学級の促進こそおこなうべきです。
県予算案には、県民の多くが反対し、署名なども提出されている高校統廃合を促進するための予算も含まれますが、県民の理解が得られないまますすめるべきではありません。高校統廃合計画は中止すべきです。
第4の理由は、県の脱炭素化事業を水素中心から再生可能エネルギー促進事業にシフトすべきだからです。
県の予算案では、脱炭素化事業として水素関連事業に、約1億2800万円前年比12%増となっているのに対し、再生可能エネルギー促進事業は融資を除いて2682万円となっています。しかし、予算特別委員会では、水素事業のCO2削減効果については、水素の製造・運搬過程でのCO2排出などの算定方法が確立していないためわからないとの答弁でした。県の施策として、削減効果が確立していない水素事業の促進ではなく、多くの識者が指摘する科学的知見にたって、再生可能エネルギー事業の抜本的な促進を図るべきです。
さらにこの点では、神戸製鋼が新たに2基の石炭火力発電所を建設・稼働させ、大量のCO2を排出させています。世界の流れに逆行する石炭火力発電所の稼働中止を求めるべきです。
以上の理由から、第1号議案、および関連議案に反対します。
次に第2号議案「令和5年度兵庫県県有環境林等特別会計予算」、関連して第4号議案「令和5年度兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計予算」についてです。
環境林特別会計予算では、一般会計の繰り入れなどから宝塚新都市用地、小野市山田用地、但馬空港周辺用地、小野市市場用地、三木中里用地などの借金返済のために約73億5千万円が公債費特別会計へ繰り出されています。
また、公共事業用地先行取得特別会計予算では、用地先行取得事業費として30億円が計上されています。
過去の先行取得用地の失敗や、未利用地の時価評価について県民に明らかにしないままの新たな予算付けは、認められません。
第5号議案「令和5年度兵庫県営住宅事業特別会計予算」についてです。
県は、2021年7月、「ひょうご県営住宅整備・管理計画」を改定し、2020年4月1日時点で49,950戸あった県営住宅管理戸数を2025年度に48,000戸へ、2030年に45,000 戸へと削減する計画を決定しました。
新年度予算案では、小野神明、洲本宇原、明石大久保南、新多聞のそれぞれの団地の建て替え計画案が提案されていますが、全体でみると1307戸から978戸へ329戸削減する計画になっています。貧困と格差が広がる中、低廉な家賃で住宅を供給するという県営住宅の役割がますます高まるもとでの管理戸数削減は認められません。
次に第7号議案「令和5年度兵庫県庁用自動車管理特別会計予算」についてです。
運転業務の職員が2人減となり、補充がされないことは問題です。過重・過密負担にならないようにしていると言いますが、その日の業務により、運転手が足りなくなることもあります。その場合には、運転手付きの車を民間から借り上げ、業務を遂行するとのことですが、車で移動中も公務です。移動中に仕事を行うことや、電話で公務上の連絡をとりあうこともあります。守秘義務を負う必要のない民間業者へ委託することに問題があります。運転業務は県の職員が行うべきであり賛成できません。
次に第10号議案「令和5年度兵庫県母子寡婦福祉資金特別会計予算」については、福祉的な貸付の償還金回収を、民間回収業者に委託しているものです。回収困難な事例が増えており、回収率が10.8%と下がっています。機械的な徴収強化ではなく債権者の生活実態に見合った丁寧な対応が必要なことから反対です。
次に、第16号議案「令和5年度兵庫県水道用水供給事業会計予算」についてです。
2021年度の都道府県別水道用水供給単価をみると兵庫県は約118円です。過去の過剰な水需要予測による施設整備や二部料金制により、都道府県平均供給単価約87円と比較しても高い水道料金を市町に押し付けていることから反対です。
第17号議案「令和5年度兵庫県工業用水道事業会計予算」についてです。
工業用水道事業は、日本製鉄株式会社など、大企業に供給している揖保川第1工業用水の水道料金が、1トン当たり4円30銭で、50年前の1971年から2円しか値上げされていません。工業用水道事業法でうたわれている「社会的経済的事情の変動により著しく不適当」な料金状態と言わざるを得ず、不当に安い価格に据え置いていることから認められません。
また、河川水利用の適正管理に当たっては、四つの項目について確認する必要があります。一つ目は、許可水量に対する超過取水の防止。二つ目は、無許可取水の防止。三つ目は、許可目的外使用の防止。そして、四つ目は、余剰水量の確認です。企業庁は、企業が工場内へ取水している水量については把握しているものの、実際の使用量については把握していません。実際に使われている水量を調査・把握し、実際に使われていない用水があるのであれば契約水量を見直し、新たに必要としている企業へ工業用水を供給すべきです。SDGSの観点からも限られた河川の流水は有効に使わなければなりません。企業庁は余剰水量の確認をすべきです。
第19号議案「令和5年度兵庫県地域整備事業会計予算」についてです。
県は、一般財源は使わず県民に負担をかけるものではないといって、この間、開発事業を進めてきましたが、コロナ禍によって淡路国際会議場やホテルの経営状況が急速に悪化したもとで公金を投入してきました。
私たち日本共産党は地域整備事業について、公金を投入する事業ではないと、採算性も含め、当初から反対してきました。また、個々の事業の収支も明らかにされていないため認められません。
第21号議案「令和5年度兵庫県地域創生事業会計予算」についてです。
小野産業団地整備事業は今年度で終了し、事業終了による清算費として新年度予算案には2千万円が含まれています。これまでも申し上げてきましたが、小野産業団地用地には、小野長寿の郷構想の一部が含まれています。構想見直しの報告も検証も十分にないまま産業団地事業を進めてきたのは問題です。
また、三宮東の再整備事業については、地域の中小企業や住民から反対の声が上がっており、神戸市とともに推進することは認められません。
第22号議案「令和5年度兵庫県流域下水道事業会計予算」、第40号議案「流域下水道事業についての市町負担額の決定」についてです。
流域下水道事業は2018年度から公営企業会計となり、施設の改善などの費用が使用料負担という名目で資本費として市町の追加負担となっています。
令和3年度までは利息償還のみだったので市町負担は年間6百万円程度でしたが、令和5年度からは元利償還となり年間2千万円、償還期間30年間でおよそ6億5千万円もの新たな市町負担になります。30年間隔で施設改善は繰り返され、市町負担も同様に繰り返されます。企業会計化による新たな市町負担になることから反対です。
次に、第25号議案「兵庫県職員定数条例及び兵庫県病院事業職員定数条例の一部を改正する条例」、第39号議案「教育委員会の職務権限の特例に関する条例」についてです。
これらの議案は、スポーツに関する業務を担う14人を教育委員会事務部局から知事の事務部局へ移管するとともに、スポーツ推進審議会を現行の教育委員会の付属機関から知事の付属機関に移管する事項が含まれています。
スポーツは元来、中立・公平なものであるべきことから、独立性を持つ教育委員会が所管してきたものと考えます。よって、スポーツに関する業務を教育委員会から知事の事務部局に移管する点について賛成できません。
次に、第28号議案「使用料及び手数料徴収条例等の一部を改正する条例」についてです。
県立丹波の森公苑内のアトリエ棟の長期滞在型から、多様な働き方やライフスタイルなどに対応する自由な活動スペースに改修することに伴う使用料を新たに設定するものです。時代の流れの中、新しい使い方をしていくのは必要だと思いますが、使用料金の設定が高すぎます。今までは、複数人が一棟借りるのに例えば、午前中3時間で600円と安価な料金でしたが、今後は1人1時間につき300円ということで、従来よりもかなりの負担になります。公の施設であることを考えるとこの使用料設定には賛成できません。
最後に、第29号議案「兵庫県税条例の一部を改正する条例」についてです。
環境に配慮した税の見直しや個人税の軽減などがありますが、軽油引取税に関して賛同できません。
これは日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定に基づき、オーストラリア軍の日本国内での公的活動において、軽油の輸入や消費する軽油を非課税とする、また、オーストラリア軍が自ら輸入した燃料炭化水素油について知事の承認を不要とするものです。
この日豪円滑化協定により、自衛隊とオーストラリア軍が相互の国を訪問して共同訓練や災害救援などをしやすくするために結ばれたものです。災害救援も入っていますが、互いの部隊が相手国に入国する際の審査や携行品の関税が免除になり、装備品つまり武器や弾薬の持ち込み手続きを簡素化することが柱の協定です。オーストラリアのモリソン首相は協定について「大規模な共同訓練を下支えするもの」「インド太平洋地域の安全と安定に貢献するもの」と述べているように、軍事訓練を目的とするものです。兵庫には伊丹に自衛隊基地があり、神戸港、姫路港もあり、日豪の共同訓練は兵庫県にも及ぶことも想定され、軽油非課税等は認められません。
以上、議員各位の賛同をお願いし、私の討論を終わります。ありがとうございました。