議会報告
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県民の暮らし・中小企業支援予算への転換について
コロナ禍、円安、原油価格・物価高騰で国民、中小企業の暮らしと営業は大変です。国として暮らしを支援することが求められていますが、岸田政権は、昨年12月に閣議決定した安全保障3文書に基づく大軍拡、大増税、社会保障と教育費などの削減を行うとしています。また、県の新年度予算案全体を見ると、大阪・関西万博を理由に高規格道路をさらに広げ、「産業立地条例」の投資促進地域にベイエリアを加え、成長産業の補助率を3%から最大10%へ引き上げるなど、大企業支援に偏った予算案になっています。県民の暮らし応援の県政を求め、質問をします。
12月の消費者物価指数は、41年ぶりに前年同月比で4.0%の上昇です。物価高騰は電気代やガス代だけにとどまらず、広範な品目に及び、1世帯当たり14万円もの負担増です。深刻な物価高から、家計を守ることが必要です。その最も有効な対策は、消費税の緊急減税です。日本共産党は5%への減税、中小企業へのインボイス制度の中止を求めていますが、県として消費税の緊急減税等を国に求めるべきです。
実質賃金は、8か月連続でマイナスとなりました。安倍政権の10年間に20万円も労働者の実質賃金が下がっており、「大企業がよくなれば地域経済、中小企業もよくなる」という「トリクルダウン」は、すでに破綻しています。今こそ、中小企業で働く人の賃金をあげることが求められています。日本共産党は、アベノミクスで500兆円にも膨れあがった大企業の内部留保を活用し、大企業の賃上げを促すとともに、中小企業の賃上げ支援に充て、最低賃金を全国一律で1500円以上に引き上げる提案をしています。
県経済の中心を担う中小企業の経営も深刻です。2022年の兵庫県内企業の休廃業解散件数は、1483件で、前年比204件増の過去最多となっています。2022年の倒産件数は、318件で前年よりも21件減少していますが、減少は一時的なもので、増加傾向にあると指摘されています。コロナ禍における中小企業への支援がほぼなくなるなかで、原材料高騰、コロナ禍による経営難、過剰債務などが追い打ちをかけ中小企業の経営継続が困難に陥っています。中小企業の経営継続のために、県として固定費補助や「ゼロゼロ」融資の借り換えに伴う利子・信用保証料の肩代わりなど、直接的支援の抜本的拡充が求められるのではないでしょうか。
Q) 苦境にあえぐ県民や中小企業支援のために、大企業の内部留保を活用した賃上げ施策の促進、そして消費税減税、インボイス制度の中止を国に求めること、また県として大企業や大型投資促進予算から、暮らし支援、中小企業への直接支援を抜本的に増やし、経済活性、賃上げなどにつなげる予算への転換を求めますがいかがですか。お答えください。
(答弁者:知事) コロナからの回復期における中小企業にとりましては、資金繰りが大きな課題となっております。このため令和5年度は、コロナ禍前の1.5倍の5千億円の融資枠を確保しつつ、ゼロゼロ融資の借換需要にも対応するため、伴走型の経営支援特別貸付の融資要件を拡充いたしました。コロナ対応融資の金利は、引き続き全国でも低い水準の金利としております。
また、中小企業経営改善・成長力強化支援事業を継続いたしまして、金融機関と連携し、特に経営基盤の弱い事業者に対しまして、資金繰りだけではなく、販路拡大、事業再構築、そして事業承継など、中小企業が抱える課題に対して総合的な支援を行っております。
さらに、新事業展開応援事業によりまして、中小企業の稼ぐ力の強化を図ってまいります。これらの取組を商工会、商工会議所と伴走で支援しまして、中小企業の経営基盤の強化、生産性向上を実現することで、賃上げも可能な環境が実現するものと考えております。あわせて、エネルギーや資源価格の高騰によるコストアップを適切に価格転嫁できるよう、取引先との共存共栄を宣言する制度の普及・拡大にも努めてまいります。
なお、消費税につきましては社会保障の充実等を支える財源でございまして、税率の引下げは困難なものかなというふうに考えております。また、インボイス制度については今年の10月から開始でございますけれども、複数税率下における消費税の適正課税を確保する観点から実施されるものと考えておりますが、制度の導入にあたりましては、各種支援措置を含めまして円滑な制度導入に向けて、広報にも努めてまいりたいと考えております。
これらを通じまして中小企業の持続的発展、成長を支えてまいります。
(庄本議員 再質問) 今回の予算案では、大企業への産業立地条例では、上限なしで今まで3%だった、それでも、それだけでも私たちはちょっとやりすぎだというふうに思っておりましたし、尼崎ではパナソニックがさっさと撤退していってという事実もありますし、ですから、今回また最大10%まで上限なしでやっていくということに対しては、やりすぎだと思っています。これだけ大企業に対してやるのは考え直して、やはり、中小企業そのものに支援をしていくべきだと思っています。本当に日本経済、それから兵庫の経済を支えているのは中小企業だと思いますし、先ほどゼロゼロ融資についての利子の補給のことを言いましたけれども、借り換えでは低額とはいえ利子がつく。で、信用保証料も出さなければいけない。何のためのゼロゼロ融資だったのかと今中小企業の多くの方々が言われております。ですから県として、ゼロゼロ融資の借り換えについての利子補給、そして信用保証料を県として肩代わりしていくということの決断をお願いしたいと思いますがいかがですか。
(答弁) 中小企業が兵庫県の中でも9割以上を占めていますので、中小企業をしっかり支援していくという方針は私も一緒でございます。今回の産業立地条例については、やはりその中でも成長する産業というものをしっかり兵庫県に誘引していくということがものづくりの兵庫県としても将来を見据えて大事な一歩だと思いましたので、成長するところに特化した補助率の引き上げもさせていただいたというところです。
それから中小企業についても補助の対象となる投資要件をもともと10億だったものを1億に引き下げさせていただくなど、中小企業の投資促進もですね、促させていただいた。そういったところで中小企業もしっかり成長を発展していくようにケア、フォローさせていただいているということをご理解いただければと思っています。それからゼロゼロ融資につきましては、確かに当初はゼロゼロということで利子も含めて支援しながらやってきましたけれど、コロナから脱却する中で、やはり次なるステージとしては経営の改善、そしてさらなる経営の発展というものに向けた一歩を踏み出すということが大事ですので、そういった意味で銀行、金融機関との伴走型で、新たな経営ビジョンをつくりながら、経営をしっかり前に進めていくという政策に切り替えるべきだというふうに思っていますので、今の時点ではそういった利子補給などは考えていないという状況です。
(庄本議員 コメント) 大企業に対しては補助、中小企業に対しては融資。本当に、反対だと思っています。中小企業に対して、しっかりとこの兵庫県は支えているというところで、融資に偏るのではなく、直接支援ということをしっかり県としてやっていただきたいと思っています。
つぎに、新型コロナウイルス感染症対策についてです。
昨年12月からの感染拡大「第8波」も深刻です。兵庫県では、救急搬送困難事案が、2023年1月の第2週208件とコロナ禍で最高となり、高齢者施設のクラスターは、454ヵ所で第7波の445カ所を超え、亡くなられた方は、これまでの流行で最多だった第6波の845人を超え、860人(2月15日現在)にのぼっています。
ある高齢者施設では、第8波で利用者7人と職員が感染しクラスターとなりましたが、施設での療養を強いられ、急変されたお1人が病院に搬送されましたが、亡くなられました。高齢者施設の感染者は、基本的には施設に留め置かれ、酸素濃度が80%を切るなど余程の重症者でなければ入院できない実態にあります。またコロナから回復し、病院から戻られても、体調が悪化し、再び入院されるケースも増えているとのことです。
新型コロナの感染拡大の波のたびに多くの犠牲者が出る悪しき連鎖を断ち切るには、あまりに脆弱(ぜいじゃく)な医療体制を抜本的に充実させることが必要です。
しかし兵庫県は、今なお「地域医療構想」の名で、急性期病床の削減計画にしがみつき、コロナ禍の2020年、2021年に県内では、484床を削減、2023年度予算でも病床削減予算を計上しています。これらの病床削減をキッパリ中止し、危機に対してゆとりのある強靱な医療体制をつくることが求められます。
岸田政権は、新型コロナを「5類」に引き下げることを決め、移行は大型連休明けとし、兵庫県も「5類」移行を前提とし、無症状者への無料検査終了など、予算案でコロナ対策が減額されています。医療体制の強化、対策の充実が求められている時に、この方針を押し付けたら、医療現場の大混乱はさけられません。医療費を全額公費から段階的に自己負担にすることは、医療アクセスへのハードルをさらに引き上げ、犠牲を拡大することになります。
新型コロナの位置づけを議論している厚生労働省の厚生科学審議会感染症部会では、「1年に3回も流行を起こし、そのたびに医療体制がひっ迫する疾患を季節性インフルエンザと同じ5類に当てはめていいのか」などの懸念の声が示されています。専門家や現場の声を聞かずに、医療の公的責任を放棄する方針を推進することは認められません。
新型コロナウイルスは、第8波も高止まりで、いまだ全容があきらかではなく、さらなる変異株による感染拡大の危険性も危惧されます。
Q) 新型コロナウイルスの更なる感染拡大への対応について、「地域医療構想」による病床削減を中止すること、高齢者の有症状患者は、専用臨時施設をつくるなど入院を積極的に進め、感染予防とクラスター発生への対応を強化すること、高齢者施設のコロナによる損失補てんをおこなうことを求めるとともに、4月以降の無料検査の継続、発熱患者の受け入れに伴う助成や診療報酬の引上げ、医療体制の強化なしに5類への見直しを拙速におこなわないことを国に要請するべきです。答弁を求めます。
(答弁者:知事) 地域医療構想は、地域完結型の医療体制を構築するものでございまして、病床削減目的でないというところです。各医療圏域では、新興感染症対策も含めまして、医療機関の自主的な取組みのもと、今後の地域医療体制について協議されており、県でもその取組を支援しております。
高齢者等施設の感染予防とクラスター対策の強化として、集中的検査の頻回実施や感染症専門家派遣、医療機関との連携強化などを行うほか、医師が入院を必要と判断した場合には、迅速に入院調整できる体制も確保いたしております。コロナによる損失については、介護報酬での特例、サービス継続時のかかりまし経費の補助や福祉医療機構の融資制度などにより支援しております。
感染拡大傾向が見られる場合に、感染不安に対する受検を要請する無料検査事業については、感染者数の減少傾向が継続していることや、抗原検査キットのOTC化によりまして、自己検査ができる環境も整備されてきましたので、3月末で終了させていただく予定でございます。なお、発熱外来への体制確保補助金や診療報酬加算は5類に変更するまでは継続すると聞いております。
コロナの5類移行にあたっては、入院措置などの法的根拠がなくなりまして、平時からの病床確保、医療ひっ迫時における入院調整や発熱患者の受診などの様々な課題があると認識しております。
保健・医療の現場に混乱が生じないよう、医療現場等の意見も聞きながら、県医師会や保健所設置市等と丁寧な調整を行い、国へも適切な経過措置や財源措置などを要望しながら、引き続き適切な医療提供体制の確保に努めてまいります。
次に、子ども医療費無料化についての質問です。
日本共産党県議団が「子どもの医療費無償化」を求め続けてきた中で、県は、2013年に対象年齢を中学3年生までにするなど、制度を拡大してきました。県下の市町は、県の制度に上乗せし、今では中学3年まで通院・入院とも無料となっているのは、41市町中37市町、約9割にのぼっています。
一方で、兵庫県は「受益と負担のバランスを確保し、制度を持続的で安定的なものとするため」とし一部負担金も所得制限もある上、県行革で所得判定が世帯主所得から世帯合算所得へと、全国的に最も厳しい条件に強化され、対象人数が乳幼児ではピーク時から45,000人も削減されてしまいました。特に共働き世帯など子育て支援が最も必要な世帯が受けられない事態が多くみられ「病院へ連れていくのをためらってしまう、所得制限をなくしてほしい」との訴えが寄せられています。
県下では、25市町が所得制限をなくしています。尼崎では昨年7月から入院については、18歳まで所得制限なしで無料になり、2023年7月からは未就学児の医療費が所得制限なしで無償の方針が示されました。
国会では児童手当の所得制限をなくすことについて議論がされています。親の所得による子育て家庭への支援から、所得制限をなくし子どもの人権として、子ども一人ひとりの健康と成長を行政として保障していくという流れが広がりつつあります。
群馬県では、早ければ2023年度から、これまでの中学3年生から、高校3年生まで医療費を無償化します。県下でも高校3年生まで通院・入院ともに医療費助成を行う市町は18市町にのぼり、そのうち通院・入院とも無料なのは明石市、加西市、多可町など17市町に広がっており、高校までの医療費助成が当たり前の流れになっています。
兵庫県は「ひょうご子ども・子育て未来プラン」において、若者に「家庭を持ち子育てするなら兵庫」でと、少子化対策・子育て支援策の拡充に取り組むと宣言しています。その具体化として、兵庫県のどこに住んでいても、高校3年生までお金の心配なく子どもが必要な医療を受けられるようにすべきです。
Q) 兵庫県が国の制度として行うよう国に要請しているのは当然のことですが、国の実施待ちではなく、県として所得制限なしで18歳までの医療費無料化に踏み出すべきです。ご答弁下さい。
(答弁者:福祉部長) 子育て世代の経済的負担軽減は、重要な課題でありますことから、本県では、厳しい財政状況の中、段階的に乳幼児等・こども医療費助成制度を拡充してまいりました。
その結果として、対象年齢は、中学3年までの入院・通院を助成対象とし、都道府県レベルでは、全国でも上位の水準となっておりまして、全市町に共通する基盤となる制度として、引き続きこの水準を維持してまいります。
所得制限なしの無料化に関しましては、まず、所得制限についてでございますが、福祉医療制度は、経済的な支援を必要とする方に対して、医療保険制度の自己負担を軽減することを目的としておりますことから、必要であると考えております。また、通常、生計は世帯単位で営まれることを踏まえまして、世帯の負担能力を公平に測る観点から世帯合算により所得判定を行っております。さらに、一定の自己負担額についても、受益と負担のバランスを確保し、制度を持続的で安定的なものとするため、必要と考えております。
本制度は、若い世代が安心して子育てできる環境の整備に大きな役割を果たしておりますことから、今後も社会情勢の変化に対応しながら、将来にわたり、持続的で安定的な制度として維持するよう努めてまいります。
(庄本議員再質問) 今、所得制限の考え方は、子育て支援とか、家庭への支援という考え方から子ども一人ひとりをどうみていくのか、子どもの人権としてどうみていくのかという流れに変わってきています。ですから、所得制限をなくしていくことを求めているわけですけれども、所得制限の考え方を教えてください。
(再答弁) 所得制限につきましては、国の方で、児童手当などでいろいろ検討されているところでございます。しかし、このこども医療費無料化につきましては福祉医療制度でして、経済的な支援を必要とする方に対して自己負担を軽減する目的がございますので、この目的からすれば、こども医療費につきましては、引き続き所得制限は必要であると考えているところでございます。
(庄本議員コメント) 福祉医療という、その福祉という言葉、考え方も大切ですけれども、子どもたちをどうみていくのかというところに頭を切り替えていただきたいと思います。
次に、高齢者補聴器購入補助の恒久制度についてです。
難聴は、年齢を重ねることで、誰でも起こり得る症状です。
家族との会話に加われない、テレビやラジオの音が聞こえにくいなど、生活の質に関わる問題です。また、人の話が聞こえにくくなれば、友人・知人・サークルなどコミュニティの場に参加することも、外出することも億劫になり、心身の健康に大きく影響します。
2018年12月議会で、日本共産党県議団が提案した「国に補聴器購入補助を求める意見書」が全会一致で採択され、その後も私たちは本会議などあらゆる場面で制度化を求めてきました。県は、今年度、調査事業としてですが、都道府県レベルでは初めての補聴器購入補助制度を実施し、所得制限を設けることなく、また市町の補聴器購入補助制度とも併用して制度を利用できるとしました。
県内で、補聴器購入費助成制度を実施している市町は、明石市・相生市が上限2万円、養父市、稲美町は上限3万円です。
実施している市町にお話をお伺いしたところ、「県制度と併用して購入することで、経済的負担が軽減され購入することができた」との喜びの声がある一方で、「15万円~20万円台の価格の補聴器を購入する方が多く、年金暮らしの高齢者には重い負担になっている。県の制度が12月に締め切られたので県・市町の制度を併用して補聴器購入を考えていた方が辞退した例もあった」とのことです。
明石市が2022年11月26日に公衆衛生の研究会にて講演を行った「補聴器購入費助成事業の報告」によると、助成制度が「補聴器の装用に消極的な高齢者の後押し」になったことなどが報告されています。補聴器装用後の変化については「会話が増加」が、37.2%と断トツトップで、続いて「イライラが減少」「人間関係が良好」「外出が増加」と続き、その効果が鮮明に現れています。また、『余暇活動、社会的参加等による認知症の防御因子、QOLの維持に寄与』していると報告しています。
Q) 県は、補聴器購入費助成について「恒久的な制度化は、国において対応されるべきもの」との認識を示されていますが、すでに市町では恒久制度化し、その効果が検証されています。市民の声は県民の声でもあります。これまでも、市町や県が先行実施し、それが後押しとなって国が恒久制度化してきた福祉制度は数多くあります。
補聴器装用により高齢者の心身の健康増進の効果が現れ、また「聞こえは人権」という立場からも県の補聴器購入費補助制度を補助額増額して継続し、制度の恒久化を求めます。次に、ジェンダー平等社会を築く立場から、女性が多く働く介護・福祉・保育などケア労働の処遇改善についてです。
賃金の平等はジェンダー平等社会を築くうえでの土台中の土台です。しかし「国税庁、民間給与実態統計調査2020年分」によると、日本では、非正規を含む平均給与で、男性532万円、女性293万円と男女間で依然、大きな格差があり、生涯賃金では1億円近い格差になること、年金にも連動し、定年まで働いても年金で生活できない女性も少なくなく、昨年9月議会でわが会派がその解消のための県のインセンティブ制度を求めたところです。
とりわけ保育や介護など女性が多く働くケア労働は、高度な専門性をもつ仕事でありながら、低賃金であるのが当たり前にされ、平均給与は全産業平均より月約10万円も低いという実態が長らく放置されてきました。
昨年政府が打ち出した処遇改善策は、平均で看護師4,000円、介護、保育など9,000円と不十分なもので、一部の職員だけが対象など、すべてのケア労働者の抜本的な賃上げには程遠いものであり、抜本的な処遇改善の要求は切実です。また、低賃金であることから、福祉職場はどこも深刻な人不足に悩まされています。
ジェンダー平等社会を進めるためにも、高度な専門職であるケア労働・福祉職場の人手不足を解消するためにも、政治がその役割を果たさなければならないと考えます。
Q) そこで、介護、保育の大幅な賃上げや労働条件の改善、配置基準の見直しを国に強く求めると同時に、自治体独自でも、効果的な賃上げ誘導策、基準以上の配置への奨励金、など、介護・福祉・保育など…のケア労働の処遇改善を喫緊の課題として取り組むことを求めます。いかがですか。
本事業は、コロナ禍で高齢者の社会参加活動が低下している中、加齢性難聴者の補聴器使用と社会参加活動との関連性を調査するためデータを収集するものであり、協力いただいた方に補聴器購入費を支援する事業として実施しております。
今年1月からは、社会参加活動等の状況に関するアンケート調査を実施しておりますが、より長い期間での効果確認が必要であると考えております。
このため、令和5年度には、調査事業の協力者を対象といたしましたフォローアップ調査を実施いたしまして、補聴器使用と社会参加活動との関連性を引き続き調査する予定でございます。
なお、補助額は、県内市町の補助金額を考慮し、設定したものでありまして、適切なものであったと考えております。
現在、県内4市町で、独自の判断により補助事業が実施されておりますが、恒久的な制度は、加齢性難聴が全国共通の課題であるため、広く全国に適用される制度として、国において対応されるべきものと認識しております。県では、この調査結果を活用いたしまして、国への提案を行ってまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、学校給食無償化についてです。
中学校でも安全でおいしい学校給食を実施してほしいと求め続け、尼崎市でも昨年1月から始まったのをはじめ、この間、姫路市や川西市など未実施だった市町で次々と中学校給食が実施されるようになり大変喜ばれています。
そして、学校給食の無償化を求める声は益々たかまっています。
2018年度学校給食実施状況調査によると、全国平均で小学校が年間47,773円、中学校が54,351円と大変重く、物価高騰が追い打ちをかけ、負担軽減を行う自治体が増え続けています。
2017年度「学校給食費の無償化等実施状況」等では、1740自治体のうち小中学校とも無償が76自治体であったものが、日本共産党の「学校給食無償化調査チーム」が2022年12月に行った調査では、小中学校とも無償は254自治体にも広がっていることが明らかとなりました。さらに、東京都葛飾区や千葉県市川市など来年度から無償にする自治体も相次いでいます。
県内では、相生市、加西市が小中とも無償に、明石市、たつの市が中学のみ無償、一部補助をあわせると18市町が負担軽減を行っています。
さらに、物価高騰対策として臨時交付金を活用し無償化しているのは、2022年12月時点でのわが党議員団調査によると、西宮市や川西市など8市町で大変喜ばれているところですが、臨時交付金の活用では期間限定であり、今後も継続して無償化を実施してほしいという声は切実です。
昨年9月の本会議質問で党議員団が学校給食の無償化を求めたことに対し、県教育長は、学校給食は学校設置者である市町の任務であるとし「義務教育の無償化の一環として捉えるのであれば、本来、国が行うべきもの」であり、「国に求めていくことも検討」するなどと責任回避の答弁をされました。
しかし学校給食は、憲法や学校教育法などで無償と定められている義務教育の一貫であり、国の第4次食育推進基本計画でも「学校給食を『生きた教材』として活用することで食育を効果的に推進する」と謳われています。
72年前の1951年、国会で日本共産党議員の質問に政府は「給食費を含む義務教育の無償を早く広い範囲に実現したい」と答弁し、2018年12月には、「1951年当時の政府の認識を継承していること、合わせて自治体が食材費の全額補助することを否定されない」と答弁しています。
都道府県では、千葉県が第3子の給食費無償化を実施するのをはじめ、京都府は来年度予算案で、3億円の「子どもの教育のための総合交付金」を創設し、府内の自治体が実施する給食費の無償化などへ府が支援することに踏み切ります。
Q) そこで、義務教育の一環である学校給食の無償化を強く国に求めることはもちろん、県内のこどもたちの豊かな教育環境を保障するためにも、市町の給食費無償化を県として支援を決断すべきです。ご答弁ください。
(答弁者:教育長) 学校給食の経費については、学校給食法第11条において、施設及び設備の費用、並びに運営費のうち人件費と修繕費については学校設置者の負担、食材費等の経費については保護者の負担とされている。一方、文部事務次官通達では「保護者の経済的負担の現状から設置者が給食費の一部を補助する場合を禁止するものではない」旨、示されている。
このため、法の趣旨を踏まえ、現在のコロナ禍等における物価高騰への対応についても、県立学校については県が、市町立学校については市町が支援を行っており、義務教育における学校給食の無償化等の支援についても、設置者である市町が判断すべきものと考える。なお、学校教育法第19条に基づき、経済的理由で就学が困難と認められる児童生徒の保護者に対しては、市町村において国の就学援助を活用した助成がなされている。
従って、学校給食を義務教育の無償化の一環として捉えるのであれば、義務教育の授業料が無償化されていることと同様に、本来国が行うべきものであり、昨年6月に兵庫県議会において「学校給食の無償化を求める意見書」が全会一致で採択されたことも踏まえ、県教育委員会においても、学校給食を「生きた教材」として活用し、学校における食育を効果的に促進するとともに保護者の負担を軽減するため、国に対して学校給食費の無償化に向けた補助制度を創設するよう、要望している。
最後に、高校統廃合計画についてです。
県教育委員会は、県立高等学校教育改革第3次実施計画に基づき、少子化を理由に全日制県立高校125校を110校にする統廃合を進めています。2025年度に14校から6校にする統廃合計画対象校もすでに発表されています。
統廃合について、子どもたち、保護者、地域からは「高校の選択肢が狭まる」「通学時間が長くなってクラブ活動ができなくなる」「通学費も大変」「少人数学級を実現して、教員の過重負担を軽減し、一人ひとりに丁寧な教育を」などの声、要望が多数出され、計画の見直しを求める1万人以上の署名も提出されています。
地元尼崎市を含む第二学区では、西宮北高校、西宮甲山高校の統合が発表されていますが、その統合が尼崎市内の高校生にも影響を及ぼすことが懸念されています。
2015年、県は、高校学区を5学区にすることで、学区が拡大され、尼崎市などで行われていた総合選抜制から、市をまたがった区域の高校を選ぶ複数志願選抜へと変えられました。その結果、尼崎市の生徒の市内公立高校への進学率が学区改編前の62.0%から改編後55.4%まで下がるなど、尼崎市の生徒が市内の希望する公立高校に行けないという事態がひろがりました。
学区がひろがったことで、ある双子を持つ尼崎の保護者からは、「一人は家の近くの県立高校に行ったが、もう一人は川西の県立高校なので、電車の乗り換えも含め通学時間は約1時間。そして交通費負担も大きく大変」と声が寄せられるなど、生徒も保護者も新たな苦労が強いられています。西宮の甲山高校と西宮北高校の統廃合が行われれば、「ますます尼崎の生徒が市内の高校に行けず、遠方に通わされるのではないか」との心配の声が多く寄せられています。
こうした声や懸念が寄せられているもとで、高校統廃合を行うべきではありません。
Q) 反対や懸念の声があがっている統廃合計画は、いったん中止し、保護者や関係者、県民などから広く意見を聞くことを求めます。
さらに、文科省が「教育的効果の検証はされていない」という1学年6~8クラスという適正規模にこだわるのではなく、少子化のなかで教育効果が認められている少人数学級を実現させることを求めますが、いかがですか。(答弁者:教育長) 発展的統合に向けては、計画策定までに、市町教委や中学校長、小・中PTAの意見聴取、市町長等への個別訪問による意見聴取とともに、計画策定後も学校毎にPTAや同窓会代表、生徒集会での説明、保護者への周知、基本計画検討委員会における公開での実施、さらには市町の議会や地域の自治会からの要請に応じた説明会等行っている等、丁寧に進めている。
ご指摘の西宮北高校と西宮甲山高校におきまして、この30年間で西宮北が4学級減少し現在5学級、西宮甲山が4学級減少し現在4学級と、半減しており、更に今後も、西宮市内の生徒数の減少が見込まれることを踏まえたものである。各校の伝統を継承・発展させ、新学科設置のもと、一層魅力ある学校としていく。
高校の適正規模については、公立高等学校の標準法において、「県は、高校教育の普及・機会均等を図るため、公立高校の配置・規模の適正化に努めなければならない」とされており、本県においても、有識者会議において望ましい規模を定めたところである。
なお、平成29年度に行いました高校通学区域検証委員会での複数志願選抜実施に対するアンケート調査では、高校の選択肢が増えて良かった・少し良かったと感じた生徒は71.9%であり、平成27年度と比べ22ポイント増加している。
また尼崎市の県内公立高校進学者の割合は、通学区域再編前後で大きな変化はなく、特に、尼崎市内の公立高校進学者の割合も、第2学区の他市町と比較して高い状況にある。
高校の少人数学級については、よりきめ細かな指導に効果はあるものの、高校全体の生徒数が増えない状況では、発展的統合の目的であります学校全体の活力維持に対する効果は見込めないと考えており、人件費の財源措置も含めて、引き続き、国の制度としての定数改善を要望していく。
(答弁後のコメント) 少子化だからこそ少人数学級を進めるチャンスであり、県が決断すれば実現する。新型コロナウイルスの影響による一斉休業明けに少人数での授業が行われたが、評価が高かったので、県として是非踏み出していただきたい。