議会報告
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○ねりき恵子委員 日本共産党県議団のねりき恵子である。
私は、県税と歳入決算と経済動向についてお伺いする。
2022年度決算の県税等は、8,737億円と過去最高となった。企業業績の回復や輸入増により、過去最高となっているとされている。
しかし、県民の生活の実感や実態からは、経済の回復とはかけ離れていると考えている。主要税目である個人県民税、法人関係税、地方消費税のうち、税収増の最も大きな要因は地方消費税の伸びで、額にして2,600億円、117.2%の伸びになっている。さらに、地方消費税の増収の中でも大きな要因は、輸入増に伴う貨物割の増だと指摘されている。この輸入額増額の主な要因は何だと考えられるか、お答えいただきたい。
○税務課長(佐藤嘉晃) 令和3年度県税収入において伸びが最も大きい税目は地方諸費税、対前年117.2%となり、委員ご指摘のとおり、貨物割のほうが多く増えている。これは、輸入額の大幅な増加ということで、円安であるとか、輸入の増によるものと考えている。
○ねりき恵子委員 輸入の増ということで、円安や輸入増ということでしたが、一方で、財務省発表の2021年度貿易統計速報によると、貿易収支は5兆3,748億円で、2年ぶりの赤字となっている。輸出が新型コロナの影響から回復する一方で、ウクライナ危機を背景にしたエネルギー価格の高騰で、輸入額がさらに膨らみ、貿易赤字になったとされる。今も進行している円安が、資源価格の上昇と相まって輸入額を押し上げ、貿易赤字を推し進めていると考える。決算による歳入からも円安や物価高騰がうかがえるが、この円安や物価高騰などによる県民の暮らしなどへの影響は、大変深刻である。
総務省が、9月20日発表した、8月の全国消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合指数が、前年同月比2.8%上昇、前年同月比を上回るのは12ヵ月連続で、上昇率は消費税増税が影響した14年度を除いて、1991年9月以来、30年11ヵ月ぶりである。
帝国データバンクの調査によると、10月の値上げ品目は、6,532品目、再値上げも含め今年1年間での値上げ品目は2万を超えるなど、庶民を直撃している。
現在の物価高騰の原因は、新型コロナとウクライナ侵略だけではない。アメリカや欧州各国が金融緩和を見直す中で、日本だけがアベノミクスで始めた異次元の金融緩和政策を続けている。そのことが大企業や富裕層の利益は増えたものの、賃金は上がらず、消費税増税によって実質賃金が低下しているからである。兵庫県の事業所規模5人以上の賃金は、1997年のピーク時から年間85万円も減額されている。この異次元の金融緩和策が始まった2012年から2021年の1人平均年間給与総額を比べても、わずか1,872円しか変わらない。給料が上がっていないのが実態である。この円高、物価上昇から国民の暮らしを支援し、経済を立て直すためにも、県民の賃金の引上げなどの政策が必要であると考えている。
日本共産党は、異次元のこの金融緩和策で、コロナ禍でも大企業がため込んだ内部留保を活用し、中小企業を支援し、賃金を引き上げることを提案している。国に対し、賃金引上げのための施策を行うことを求めると同時に、県としても中小企業へ賃金底上げ促進のための支援を行い、個人県民税などの税収増につながる施策を検討することを求めるが、お答えいただきたい。
○地域経済課長(川西正孝) 賃金を含む労働条件等については、労働契約法や最低賃金法など、労働関係法令の順守を前提として、労使が自主的に決定することは原則と認識していますが、現下の物価高、あるいはエネルギー高、この状況にあっては、経済の好循環を生み出すことにより、物価上昇を上回る賃金引上げがなされなけばならないという認識でいる。
そこで、県では、経済の好循環につながる取組として、中小企業の新事業展開応援事業等により、ポストコロナにも対応した事業の再構築を支援しているほか、物価高騰の影響を受け、売上げが減少している中小企業に対し、今現在、一時支援金を支給させていただいているところである。
また、金融機関と連携した経営改善・成長力強化支援事業により、SDGsあるいはDX、デジタル化等への対応を進めて、企業の収益力の強化、これを図るなど、現下の経済状況に応じた幅広い支援策を展開している。
原油価格等の高騰が中小企業の経営に深刻な影響を与えている中、引き続き県内の中小企業の事業継続、これをしっかりと支えていきたいというふうに考えている。
○ねりき恵子委員 賃金引上げにつながる中小企業支援を求める。
また、物価高騰に対する直接的で一番の効果があるのは、消費税減税である。コロナ禍において消費税を減税している国は96の国・地域に及んでいるが、日本でも早期に決断が必要である。消費税を社会保障の重要な財源だとして減税を拒んでいる状況ですが、10月1日からは高齢者医療費が2倍になるなど、増税後、医療も年金も介護も負担増の連続であり、社会保障のためという理由はもはや適応しないと考えている。
さらに、来年10月から導入が予定されているインボイス制度は、これまで消費税納税義務がなかった小規模事業者に納税義務を負わせ、経済的、実務的負担増を強いるもので、商店や飲食店だけでなく、個人タクシー、一人親方、フリーランスで働く様々な人々が深刻な影響を受ける。この深刻な物価高、円安から県民の暮らし、営業を守り、消費を喚起、経済循環を促すためにも、消費税の減税、インボイス制度の中止を国に求めるべきだと考えるが、お答えいただきたい。
○税務課長(佐藤嘉晃) 消費税は、社会保障の充実や幼児教育・保育の無償化を支える財源で、安定的な税収を確保することは、今後の日本の財政構造の安定化につながる必要なものと考えている。また、地方財政全体としては、依然として社会保障施策の経費増嵩に対応しなければならず、大幅な財源不足が常態化しており、単に歳出を切り詰めるだけでは抜本的な解決が困難な状況である。
そのため、財政の健全化と社会保障の安定財源の確保を同時に達成することを目指す観点から、消費税率の引下げは困難なものと考えている。
また、インボイス制度は、正確は税額計算や不正、ミスの防止など、複数税率間における消費税の適正課税を確保するための仕入税額控除制度であり、適正課税を確保する観点から必要なものと考えている。
なお、本県としては、インボイス制度の導入に当たっては、混乱を招かないよう事業者に対する制度周知はもとより、制度対応のレジや受発注システムの導入支援、転嫁拒否などの制度導入後の優越的地位乱用への対応など、中小企業をはじめとする事業者への配慮を引き続き行うことを国に求めているところである。
○ねりき恵子委員 るるご説明いただいたが、やはり消費税が大きな負担になっているのは、事業者も県民も同じだというふうに思う。この財源の問題は、税金をどうやって使うかということの大本の話があるが、やはり経済の好循環をしていくためにも、消費税減税、そして、このインボイス制度の中止を改めたて強く求めるものである。直接支援を行っていくことで、県民の県税収入のためにつながると考えている。 最後に、意見を申し述べて終わりますが、新型コロナウイルス感染症対策の決算についてである。 この決算額は、1兆1,320億円で、そのうち翌年の繰越額が感染症拡大防止協力金を中心に625億円を繰り越し、354億円を不用額として、新年度に精算するとしている。この354億円の不用額、午前中も少し説明があったが、やはり100万人当たりのコロナの感染の死亡者数が全国2位だということを考えると、やはりもっと対策が必要だったのではないかという県民の意見もあるので、この点に関して、更なる拡充を求めて私の質問を終わる。よろしくお願いする。