議会報告

  • 2022年06月07日
    本会議

    第358回本会議 一般質問 ねりき恵子

    ●高齢者補聴器購入補助の拡充についてです。

    4月21日、補聴器活用調査事業の募集が始まりました。

    日本共産党県議団がかねてから求めてきた高齢者補聴器購入補助ですが、都道府県レベルで全国で初めてです。地域で知らせると、「兵庫県はこんないいことをしているのか」「高齢者は、みんな聞こえにくくて困っている」「老人クラブで申請用紙を配布する」などとても喜ばれています。

    しかし昨日6月6日時点で、400件の応募枠に対し応募件数は225件にとどまっています。

    補聴器購入補助を申し込もうと期待していたものの、募集人数が県内で400人と少ないこと、「抽選だったら当たらないかもしれない」と、申し込み自体を諦める声もありました。

    県は、募集期日を7月29日まで延長し400人に到達した時点で締め切ると聞いていますが、募集枠を増やしてでも7月29日まで受け付けるべきです。

    また、10万円~30万円する補聴器の購入額に対し、2万円の補助額では経済的負担は大きいことや補助額の支給が来年春になることも制約になっています。

    補助制度を持つ市町村は全国で50を超え、額も3万円、5万円の例が多く、東京都港区は補聴器価格の1/2を補助、北海道根室市は片耳上限5万円、両耳10万円で年に一度の補修費1万円の助成もセットしています。県内でも養父市と稲美町は3万円の補助額です。

    各国の補聴器の使用率が、イギリス:42.4%、ドイツ:34.9%、フランス:34.1%、アメリカ:30.2%に対して日本は13.5%と低いのは、日本には購入への公的補助がなく、補聴器の調整がうまくいかず、装着をやめてしまうことなどが理由に挙げられています。恒久的支援制度にすることが求められています。

    高齢者の聞こえを保障するため、補聴器購入補助額の引き上げと募集人数の増員、補助を前倒して支給するとともに、耳鼻咽喉科医会のアンケートを県も共有し調査に反映させること。さらに、高齢者の切実な願いにこたえ補聴器購入補助事業として恒久的な制度とすることを求めます。

    答弁 本事業につきましては、コロナ禍で高齢者の社会参加活動が低下している中、加齢性難聴者の補聴器使用と社会参加活動との関連性を調査するためデータを収集するものでございまして、協力いただいた方に補聴器購入費を支援するものでございます。

    募集期間は4月21日から6月10日までで、定員400名に対し、今現在276名の応募となっております。定員に満たない場合は募集期間の延長も予定し、より一層の広報に努めてまいります。なお、補助額や募集人数は、県内市町の金額や調査に必要な人数を考慮して設定したものでございまして、適切なものと考えているところでございます。

    また、補助金の支給時期につきましては、調査に協力いただいたことを確認する必要があるため、今年度の調査終了後の支給を予定しているところでございます。

    今回の調査にあたっては、兵庫県耳鼻咽喉科医会などとも意見交換を行っておりまして、同会の医学的見地からの調査もあわせて実施する予定でございます。

    恒久的な制度化は、加齢性難聴が全国共通の課題であるため、県独自の個別対応ではなく、広く全国に適用される制度として国において対応されるべきものと認識しているところでございます。このたびの調査で、補聴器の使用が社会参加促進に繋がるという結果が得られた場合には、国への制度提案の根拠として活用していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

    ●コロナ禍における地域医療構想の見直しと地域医療の充実についてです。

    総務省は3月29日、各自治体に対し、「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」を通知しました。

    国会で、わが党の小池晃議員の質問に対し、金子恭之総務大臣が「今回のガイドラインに基づく機能分化、連携強化に対して必要な財政措置を講じることで、各自治体において地域に必要な病院を存続させることができるよう支援する」と答弁。国は、コロナ禍で公立病院の役割をあらためて認識し、統合・再編ありきではなく、病院を残して支援する方向に軸足を移しています。

    県は地域医療構想により、2025年までに10490床の急性期病床削減計画を継続し、すでに5883床(2020年度病床機能報告より)を削減。さらにコロナ禍が続く2021年度も、市立伊丹病院と近畿中央病院の統合等により、新たに694床の削減が承認されました。

    今回の「ガイドライン」の検討では、昨年12月「地域医療確保に関する国と地方の協議の場」で、全国知事会の代表は、「新たな感染症に備えた病床確保が課題となり」、「2025年の必要病床数ありきで急性期の病床を削減するのではなく、感染拡大のときには、感染症病床へ転用できるよう、一定程度の余力を持つという考え方も必要」だと指摘しています。

    兵庫県としても、従来の地域医療構想に基づく統合再編、急性期病床を中心とする病床削減は撤回し、国にも公立・公的436病院の再検証対象リストの撤回を求め、病院を存続させ病床を拡充する方向に舵を切るべきではありませんか。

    ところが、総務省の資料によると、兵庫県は、2015年から25病院を16病院に再編統合、病床は7301床から6493床に808床も削減され、全国で1位の統廃合、病床削減数となっています。さらに、6月2日三田市民病院と済生会兵庫県病院の統合が発表されました。将来的な医師確保が課題だからとしていますが、新たな「公立病院経営強化ガイドライン」は、そのために統廃合でなく連携強化等を求めており、その趣旨に逆行するものです。

    一方、コロナ感染者に対する亡くなった方の割合は約0.53%、北海道に次ぐワースト2位、約0.52%の大阪をもしのぐ高さとなっています(5/30現在)が、病院の統廃合、病床削減を推し進めてきたことが、コロナ感染者の医療へのアクセスを脆弱にしてしまった結果です。

    県は、新たなガイドラインに基づき、統廃合ではなく、各病院を存続させ、さらなる医療機能を確保させるために指導性を発揮すべきです。

    コロナ禍、改めて認識された公立・公的病院の役割をふまえ、各自治体や医療機関に働きかけ、現在計画されている病院の統廃合計画は中止、見直しをはかり、必要な医療体制の確保につとめること。国の再検証対象436病院リストの撤回をもとめ、県の急性期病床削減は中止、病床確保をすすめることを求めます。

    知事答弁 地域医療構想は、2025年に向けまして、住民の皆様が住みなれた地域で生活しながら、状態に応じて適切で必要な医療が受けられるよう、病床の機能分化・連携、在宅医療の充実、医療従事者の確保など、地域完結型の医療体制を整備するものでございます。

    3月の国通知においては、病床の機能分化・連携を引き続き進めることとされるとともに、公立病院経営強化ガイドラインにおいても、感染症への対応とあわせ、公立病院の役割分担・連携が求められており、県としても、地域医療構想実現に向けた取組を引き続き推進していきます。

    現在、計画・検討が進められている病院の再編につきましては、関係者間や各地域において、必要な医療を持続的に提供するために再編が必要と合意されたものでございます。

    地域医療構想調整会議の合意を得た再編統合や病床再編などにつきましては、議論の活性化や病床の機能分化・連携の取組みを支援するなど、新型コロナウイルス感染症など新しい感染症の感染拡大時にも対応可能な地域医療体制を構築し、住民が症状に応じた必要な医療を住みなれた地域で受けられるよう地域医療構想を推進してまいりたいと考えております。

    ●こども医療費助成の所得制限の撤廃についてです。

    3月に行われた西宮市長選では、候補者全員が「18歳までの医療費助成の所得制限をなくし、完全無料化」を公約に掲げました。昨年の豊岡市長選でも、「子ども医療費無料化」を掲げた候補が当選し、今年7月から3歳まで(4歳の誕生月の月末まで)の医療費を所得制限なしで無料にしました。

    伊丹市でも中3までの医療費無料化が今年7月から始まり、中学3年まで通院・入院とも無料となっているのは、41市町中37市町、約9割にのぼります。

    その中で所得制限をなくしているのは19市町で、さらに、対象年齢を高校生までとする市町は18市町、通院・入院とも無料なのは明石市、加西市、多可町など9市町に広がっています。

    しかし、県の制度は一部負担金も所得制限もある上、所得判定は世帯合算所得で、全国的に最も厳しい条件です。

    宝塚市では、世帯合算はしていないものの、2022年3月末時点で0歳から15歳のこどもの数は31,791人。その内、所得制限で助成を受けられない子どもは8,165人もいます。

    都道府県では、群馬県をはじめ18府県が所得制限をなくすことに踏み出しています。

    全国知事会も「全国一律の子どもの医療費助成制度創設」を国に提起していますが、まずは兵庫県の制度を拡充すべきです。

    また、県は5月9日に持続可能な開発目標の実現に取り組む「県SDGs推進本部」を設置し、知事は「いつまでも住み続けたいと思える環境づくりが大事だ」発信されているのですから、ジェンダー平等社会の実現、SDGsの観点からも、子育て支援の柱として、こども医療費無料化を求める県民の願いにこたえ県の責任を果たすべきです。

    そこで、県は、受益と負担のバランス、制度の安定的な存続のためなどと切り捨てるのではなく、兵庫県のどこに住んでいても、すべてのこども達が安心して医療にかかることができるよう、ただちに所得制限をなくして、こども医療費の完全無料化へ踏み切ることを求めます。

    答弁 子育て世代の経済的負担軽減は、重要な課題でございますから、本県では、厳しい財政状況の中、段階的に乳幼児・こども医療費助成制度を拡充してきました。

    その結果、対象年齢につきましては、中学3年までの入院・通院を助成対象とし、全国でも上位の水準でありまして、すべての市町に共通する基盤となる制度となっております。

    議員ご指摘の完全無料化に関しましては、まず、所得制限については、福祉医療制度は、経済的な支援を必要とする方に対して、医療保険制度の自己負担を軽減することを目的としていることから、必要であると考えているところでございます。また、通常、生計は世帯単位で営まれることを踏まえると、所得判定は世帯合算で行われる方が、より世帯の負担能力を測ることができ、公平性の観点から望ましいと考えます。さらに、一定の自己負担額についても、受益と負担のバランスを確保し、制度を持続的で安定的なものとするため、同様に、必要であると考えているところでございます。

    乳幼児・こども医療費助成制度は、子育てについてのセーフティネットの仕組みであり、本来、全国一律の水準で実施されることが望ましいことから、全国知事会等あらゆる機会を捉えて、国に対して制度化を要望しているところでございます。

    本制度は、若い世代が安心して子育てできる環境の整備に大きな役割を果たしておりますことから、今後も社会情勢の変化に対応しながら、将来にわたり、持続的で安定的な制度として維持するよう努めてまいりますのでよろしくお願いします。

    ●高校教育「改革」と少人数学級についてです。

    次は、高校教育「改革」と少人数学級についてです。

    県教育委員会は、3月17日、県内に125校ある全日制の県立高校を15校も削減し110校にする「県立高等学校教育改革第三次実施計画」を発表しました。私の地元、宝塚を含む第2学区では、阪神地域で24校ある高校を22校に、丹有地域では10校を8校に、合計4校削減する「計画」となっています。「統廃合」の時期は、2025年度と28年度の2回、25年度の対象校は、今年の夏休みまでに公表するとして明らかにしていません。

    県教委は、県立高校の望ましい規模と配置を「少子化にあっても、多様で活力ある教育活動を維持するために、普通科・総合学科で1学年6~8学級の規模となるよう、原則「統合」により、配置を検討する」とし、生徒数の減少に伴い、学級数が減少することや、1学年の平均が約5.3学級になり、125校中52校は、望ましい規模を満たしていないとして「統廃合計画」をすすめようとしています。

    公立高校の学級定員は、兵庫県が全国に先駆けて40人学級に踏み切り、1992年から全国ですすめられ30年が経過しました。現場からは、一人一人を大切にする教育を行うには、過密過多であり、もっと少人数にすべきとの強い要望があります。日本共産党県議団も少子化の進行は少人数学級を実現できる絶好のチャンスと指摘してきました。

    この間、40年ぶりに小学校の学級編成標準が見直され、21年度から5年間かけて35人学級が進められ、中学校でも選択制の35人学級に踏み出しています。少人数学級を高校でも実現すべきです。

    また、高校は地域の担い手を育てる役割があり、地域になくてはならない拠点です。

    そこで、公立高校をなくす統廃合ありきの「計画」は撤回し、知事自らの公約に従って、高校においても教職員を増やし、30人学級に踏み出すことを強く求めます。

    また、県が進めてきた通学区の拡大等で、高校の序列化や、合否を左右する内申書による受験競争で深く傷ついている生徒たちに、希望者全員入学を求めますがご答弁ください。

    答弁 令和2年度に「ひょうご未来の高校教育あり方検討委員会」を設置し今後の高校教育のあり方の提言をいただきました。提言に向けた議論の中心は、言うまでもなく「高校生」自身です。高校生の成長や自己実現を果たせる高校教育の充実を図ることです。この提言を踏まえて、この3月に第三次実施計画を策定・公表したところです。

    「望ましい規模」については、高校の特徴として、一つに、授業の専門科目が多いこと、二つには、大会等出場に向けた部活動が活発であること、三つには、教員の学校内での校務が多岐にわたることなどが挙げられ、これら魅力と活力ある教育活動を維持するためには、標準法に基づく教員配置も踏まえ、普通科等では1学年6~8学級が望ましいとしているところです。発展的統合は、少子化による生徒数の減少が、教育環境に大きな影響を与えており、望ましい規模を確保することで、多様な活力ある教育活動を安定的に維持するため行うものです。また統合により使用しなくなった校舎等については、地域コミュニティの活性化に向けて、県関係部局、また市町とも十分協議調整を図っていきます。

    30人学級の実施については、多くの教員や多額の人件費の財源が必要となります。従って、県単独での実施は難しいと考えます。今後ともの少人数学級編成の充実に向けて、国の制度としての定数改善と財源措置を要望していきます。一方、令和3年1月に実施した高校新入生へのアンケートでは、高校への期待として、「学力や技術が身につく授業」「選択科目を増やしてほしい」ということなど、学校の特色づくりに向けた意見が多く占めています。今後、発展的統合の取組に加え、学科改編等の魅力・特色づくりや入学者選抜制度の工夫・改善など「魅力と活力ある高校づくり」を総合的に進めていきます。

    なお、高校教育は、学校教育法50条において、心身の発達及び進路に応じた教育の提供を目的とし、同法施行規則90条でも、入学者選抜が規定されています。義務教育と異なって、希望者全員入学ではなく、高校ごとに入学者選抜を実施することが適切であると考えています。

    ねりき再質問 選抜をなくせということではなく、学校を減らさず、希望者が全員入学できるような仕組みが必要ということである。特色ある学校教育に向けて、教師の数を増やして、少人数学級にすることが必要と考えているがどうか。

    再答弁 少人数学級編成は、小学校も国の定数改善を活用して実施している。高校についても、国の財源確保が前提であることをご理解いただきたい。

    ねりきコメント 知事の公約が少人数学級の実現である。高校でもどう実現するか知事としてイニシアチブを発揮していただきたい。

    ●JR武田尾駅のバリアフリー化とトイレの改修についてです。

    JR西日本の赤字ローカル線の発表に、地元住民は廃線への不安を募らせています。

    兵庫県は、「JRローカル線維持・利用促進検討協議会」を設置。国への支援の要望などローカル線の活性化、維持に必要な対策を行っていくとしています。

    県民の移動手段である鉄道路線を守ることは、地域活性化の大きな課題です。

    鉄道利用促進のためにも、安心・安全のまちづくりの観点からも、鉄道駅舎・ホームのバリアフリー化やホームドアの設置は必要不可欠です。

    兵庫県内のバリアフリー化は、1日当たりの乗降客数3千人以上の駅で整備率98.6%になり、全国に先駆けて3千人未満の駅でも高齢者等の利用が多い駅など必要に応じて整備する方針です。

    私もバリアフリー化の要望を繰り返し行い、地元宝塚市では阪急の全駅とJR宝塚駅をはじめJR各駅への整備が進んできたところですが、JR武田尾駅がただ一つ取り残されています。

    JR武田尾駅は、宝塚市北部西谷地域への玄関口で唯一の鉄道駅舎であり、車を運転できない高齢者・学生の通学、大阪神戸への通勤に利用されています。

    武庫川をまたぐ鉄橋に続くホームへ行くには47段の階段を上らなければなりません。特に高齢者・障害者には、この階段が上がれません。子育て中のお母さんも片手に赤ちゃんを抱っこし、片手にベビーカー、荷物も持ってこの階段を上がるのは大変危険な状態です。電車しか移動手段がない人にとってこの階段が大きなハードルで、わざわざエレベーターやエスカレーターのある猪名川町の日生中央駅やJR三田駅や新三田駅まで行ったり、宝塚の市街地にある病院までタクシーで通院するなど、時間的にも経済的にも日常生活に支障をきたしており、バリアフリー化は切実です。

    また、駅のトイレも和式トイレしかなく、その上、男女が分かれていません。女性が使用しにくく、特に女子学生やOLの方から治安上も不安で改善を求める声が寄せられています。

    宝塚市北部西谷地域は、市立長谷牡丹園、宝塚ダリア園、市立宝塚自然の家や県立宝塚西谷の森公園もあり、県民局も北摂の自然を生かした地域振興に力を入れており、西谷地域の発展のためにもSDGsの観点からもJR武田尾駅のバリアフリー化とトイレの改修は必須です。

    県としても宝塚市とともに、JR西日本や国へも働きかけるなど、JR武田尾駅のバリアフリー化とトイレ改修の早期実現を求めます。

    答弁 県では、安全・安心で快適なまちづくりを推進するため、鉄道駅舎のバリアフリー化に取り組んでおり、令和元年度からは、1日の平均乗降客数3千人未満の駅にも補助対象を拡充し、事業を進めております。

    ご指摘のJR武田尾駅は乗降客数が1千人程度でありますが、高齢者の利用が3千人以上駅と同程度と見込まれることから、バリアフリー改修とトイレ改修への県の補助は可能であります。このため、県は鉄道事業者に対し地元からの要望を伝え、整備を働きかけてきました。

    しかしながら、鉄道事業者は、国の基本方針を踏まえまして、2千人以上駅を優先的に整備する考えでありまして、また、コロナ禍で収益も悪化していることから、整備の目処が立っておりせん。

    県としましては、当駅が宝塚市北部地域のバス路線の起終点であることから、早期のバリアフリー化が必要であると認識をしております。引き続き、市と連携し、鉄道事業者にバリアフリー化とトイレ改修を働きかけるとともに、国に対して必要な予算の確保を要望してまいります。

    今後も、全ての人が円滑に移動できるよう、鉄道駅舎のバリアフリー化を一層推進してまいります。

    ●次に、武庫川河川整備計画の推進と大堀川の浸水対策について

    去る5月28日、千苅ダム治水活用工事の竣工式が行われました。

    日本共産党県議団は、ダムに頼らない武庫川の総合治水対策の一つとして千苅ダムの治水活用を提案し、武庫川水系河川整備計画に反映するよう求めてきたところです。

    千苅ダムは、神戸市の上水道であり、必要な水量が確保できるのか、水質が悪化するのではないかなど治水活用には多くの課題がありましたが、神戸市の協力のもと、県土木職員をはじめ関係者の方々の調査・研究により治水活用が決定。この治水活用で7月から9月の3カ月間において最大で約100万㎥の容量を確保でき、ダム下流の安全確保に寄与することになります。

    多発する集中豪雨などの災害に対する住民の不安にこたえるためにも河川整備計画を前倒し、一日も早く工事完了をすることが求められていますが、県は、2020年から2028年の計画で河川対策アクションプログラムを策定し、事前防災対策を加速化し、重点的に取り組むとしています。

    武庫川についても、千苅ダムの治水活用に加え、武庫川水系河川整備計画を3年前倒し、超過洪水に備えた堤防の強化、潮止堰の撤去、河床掘削、堆積土砂の撤去等を進めていく計画です。

    それでも、宝塚市の市街地を流れる下流域の整備については、工事着手時期が明確になっておらず、この間の集中豪雨でも武庫川の水位が上がり住民の不安は募っています。

    特に、見返り岩付近、逆瀬川との合流近くの中州付近など対策が急がれる個所もあり、宝塚市域の武庫川下流域においても河川整備計画に位置付けられた護岸整備、河床の掘削やパラペット設置などの対策が急がれます。

    また、武庫川水系支川の大堀川についても、繰り返される浸水被害に対し、改修事業の早期完了を求めてきたところです。大堀川の河川改修も2年前倒しで進められ西田川橋から第一小浜橋までの整備、尼宝雨水幹線はけ口の改修と河床掘削に加え、堆積土砂の撤去や護岸のかさ上げ、河川ライブカメラの設置など暫定対策も進められてきました。

    宝塚市においても、大堀川・荒神川の流入調査など内水対策について検討されているところです。

    一方、一昨年7月8日未明の大堀川流域の記録的な集中豪雨で、市内向月町・鶴の荘地域で床上浸水1件、床下浸水50件の浸水被害が発生。この間先行して実施された大堀川下流の改修工事の効果により水の引きが早かったものの、その後も繰り返し浸水し、被害の解消には至っていないのが実態です。

    現在、護岸を補強するため黒鉾橋と大堀橋の間の矢板工事、尼宝線の宝塚インター入り口付近の護岸改修と河床掘削などの改修工事が進められ、流下能力の最大のボトルネックとなっている国道176号線をくぐるボックスカルバートの設計業務がやっと始まりましたが、一刻も早い工事着手が求められています。

    そこで、豪雨災害などから県民の命と財産を守るため、武庫川水系河川整備計画のさらなるスピードアップを図り、宝塚市内での護岸整備等、危険箇所の早期改修を進めること、大堀川のボックスカルバート改修工事の早期着手など大堀川改修工事の一日も早い完了を求めますがお答えください。

    答弁 武庫川は、想定氾濫区域内の人口・資産が全国第10位と重要河川で、治水安全性の向上が急務となっております。現在、武庫川下流部や大堀川などで河川改修工事を進めているところです。

    まず、武庫川下流部につきましては、3区間に分けて整備を進めております。1区間目は、最下流部であり堤防でまちを守っています「築堤区間」、2区間目が、その上流で生瀬大橋までの「宝塚市周辺区間」、3区間目が、更に上流で名塩川合流点までの「生瀬周辺区間」です。このうち、1区間目の「築堤区間」と3区間目の「生瀬周辺区間」は、洪水を流す川の断面積が小さいことから、優先して整備を進めているところです。議員ご指摘の2区間目「宝塚市周辺区間」は、他の区間と比べますと、川の断面積が比較的大きい状況です。上下流のバランスを考慮いたしまして、下流側の「築堤区間」の整備の目処がたった段階で事業着手することとしております。

    次に大堀川については、事業区間1.2㎞のうち、最下流部の0.3㎞区間を完成させまして、現在、その上流でご指摘のボックスカルバートを含む0.5㎞区間の整備を行っております。このボックスカルバートは、1日4万7千台と交通量の極めて大きい国道176号の直下、路面すぐ下側での施工となり、特殊工法が必要となる関係で、安全に工事ができるよう、施工方法等を慎重に検討しているところです。今後、早期に用地買収・工事着手できるよう努力してまいります。

    また、これらの河川工事の推進には、予算確保が必要です。「国土強靱化5か年加速化対策」の予算を活用するとともに、「5か年」終了後も、同様に活用できるよう、枠組みの継続を国に要望してまいります。

    今後とも、武庫川流域全体の早期の安全・安心の確保に向け、総合治水対策をしっかりと進めてまいります。

    ●憲法9条生かす平和行政と核兵器禁止条約についてです。

    最後に、憲法9条生かす平和行政と核兵器禁止条約についてです。

    ロシアによるウクライナ侵略から3か月が経過しました。一刻も早くロシアの侵略をやめさせなければなりません。

    県は、「ひょうごウクライナ支援プロジェクト」を立ち上げ、ウクライナから避難してきた人々の支援を行っているところです。

    米国のバイデン大統領は「民主主義対専制主義」と対立構図を描いていますが、いま大事なことは、あれこれの「価値観」で世界を二分することでなく、「国連憲章を守る」立場で全世界が団結することです。兵庫県議会は、ロシアのウクライナ侵略に対し「国連憲章」「国際法」に違反するとして、無条件即時撤退を求める決議を全会一致で採択しました。改めて「ロシアはウクライナから撤退せよ」「国連憲章を守れ」この一点で世界が団結しロシアを包囲し、戦争を終わらせることをこの議場からも呼び掛けます。

    ウクライナ危機に乗じて「憲法9条を変えろ」、相手国の指揮命令系統まで攻撃対象とする「敵基地攻撃能力・反撃能力の保有」など、戦争する国づくりへの危険な議論が起きています。

    先日の日米首脳会談の共同声明で岸田首相は「防衛費の相当な増額の確保」を表明しました。自民党は5年以内にGDP比2%以上、11兆円の防衛予算を提案。そうなれば世界第3位の軍事大国になります。その財源は消費税大増税か、社会保障の大削減か、それとも国債発行です。危機に乗じて9条を改定し、日本を『軍事対軍事』の危険な道に引き込み、暮らしをおしつぶす――こんな道は、絶対にゆるされません。

    私たち日本共産党は、憲法9条を生かした外交で、東アジアに平和をつくるための「外交ビジョン」を提案しています。

    これは、仮想敵をつくる軍事同盟の路線ではく、地域のすべての国によって平和的な集団安全保障体制をつくっていくというもので、国連憲章の本来の精神に立った外交構想です。

    私たちが注目しているのは、あらゆる紛争問題を徹底的な平和的な話し合いで解決しているASEAN―東南アジア諸国連合の取り組みです。いまASEANは、ASEAN10カ国プラス日本・アメリカ・中国・韓国など8カ国で東アジアサミットという平和の枠組みをつくり、これを発展させ、東アジア規模での友好協力条約を展望する構想を示しています。元外務次官の藪中三十二氏はその著書で「ASEAN諸国は日本を一番信頼してくれている。ならば日本はASEAN諸国と協力して、これまで築き上げてきた信頼力の上に立って世界平和に貢献するという強いメッセージを打ち出すべきだ」と述べています。いまこそ憲法9条いかした平和外交で東アジアを戦争の心配のない地域にしていくためにこそ日本は役割を果たすべきです。

    また、非核三原則の「持ち込ませず」を削除し、非核二原則として米国との「核共有」が必要などと、「核には核で対抗」という危険な議論が横行しています。

    プーチン大統領は、核兵器の先制使用を国家の基本方針にすえ、自国民にどんな犠牲が出ても核兵器の先制使用を躊躇しない、こんなリーダーが現れてきたもとで「核抑止」の論理が成り立たなくなっています。「核抑止」というのは、「いざとなったら核兵器を使う」が大前提です。核兵器の使用は絶対に許してはなりません。兵庫県議会は、2017年12月14日に「世界の恒久平和と核兵器廃絶を希求する兵庫県宣言」を全会一致で決議しました。また、兵庫県内では3割を超える市町長が日本政府に対し核兵器禁止条約に参加を求める署名をおこない、県内9割以上の自治体が非核平和都市を宣言しています。

    そこでお伺いします。

    政治の最大の役割は戦争を未然に防ぐ外交努力です。国連憲章の立場で「いまこそ憲法9条を守り活かすこと」を国へ強く求めること。

    県民の命と財産を守る立場にある兵庫県として、「日本政府は核兵器禁止条約に参加せよ」と求めるべきです。知事の誠意ある答弁を求めます。

    答弁 ロシアによるウクライナへの侵攻が続いています。どのような理由があろうとも戦争や侵略行為は許されるものではないという風に感じています。

    議員のご指摘のとおり、平成29年12月に県民の代表である県議会におきまして、「世界の恒久平和と核兵器廃絶を希求する兵庫県宣言」が全会派一致で採択されています。このことは、県民の総意として恒久平和と核兵器廃絶を望むものであり、知事としても、宣言の趣旨を重く受け止め、次世代に平和で安心な兵庫県を受け継いでいくため、弛まぬ努力を重ねていかなければならないと決意しているところであります。

    ご指摘の憲法9条について、日本国憲法前文及び9条に示されている恒久平和主義は、憲法の基本原理の一つでございまして、戦後日本が誇るべき崇高な理念であると考えています。この理念の下、我が国が世界平和の確立に積極的に貢献すべきであることは、全ての国民の願いであります。外交・防衛に関する事項は専ら政府が責任を持つ分野でございますが、憲法9条の改正の是非についても、国会をはじめ、国民の間において十分な議論がなされるということを期待しております。 また、核兵器禁止条約につきましては、核兵器のない世界の実現に向けまして、核兵器の非人道性と安全保障の二つの観点を考慮しながら、現実的かつ実践的な核軍縮のための措置を確実に積み上げていくことが重要であるという政府の基本的な考え方があります。これに基づきまして、外交・条約締結の責任を有する国が適切な判断をすべきと問題と考えます。

    県としては、経済、文化、防災など多様な分野におきまして、草の根の地域間交流による相互理解を深めることなどによりまして、引き続き地域から国際平和に貢献していく努力を重ねてまいりたいと思います。

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