議会報告

  • 2022年03月04日
    予算・決算特別委員会

    2022年度予算特別委員会 <財政状況について> 庄本えつこ

    ○庄本えつこ委員 改めて、ロシアのウクライナ攻撃に強く抗議をしたいと思っている。とりわけ核兵器使用をおどしに使っているということはもう絶対に許すことはできない。国連でも、国連加盟国193ヵ国あるが、141ヵ国の賛成をもって決議がなされた。市民社会と国際社会が連帯して、世論をもっともっと強めて、一日も早いロシア軍の撤退を求めていきたいと考えているところである。

    それでは、質問に入る。

    2022年度予算案については、県政改革方針に基づき、持続可能な行政基盤を確立し、新型コロナウイルス感染症への対応、人口減少、超高齢化、多発する災害、温暖化、経済構造の変容など、挑戦すべき課題に立ち向かい、躍動する兵庫の実現に向けた施策を推進するとある。これらの点を踏まえて、また、誰一人取り残さないをコンセプトに幾つかの質問をしていく。

    まず、経済構造の変容についてである。

    一般質問でも指摘したが、この20年間で実質賃金が14.3ポイント低下、一方、消費者物価指数は30年間で8.4ポイント上昇、その結果、個人消費が低迷し、県内GDPは20年以上にわたって20兆円前後で成長が止まったままとなっている。2019年10月から消費税が10%に増税され、新年度予算案の県税収入は地方消費税収が2,547億円、県税全体の32.7%と法人関係税や個人県民税などよりも大きく、最高税額となっており、消費税収に頼る構造になっている。兵庫県経済の低迷の要因について、まず質問する。

    労働者の賃金が引き上がらず、消費税増税、社会保障の抑制などで消費が低迷し、国も兵庫県も成長が止まってしまっていると考えているが、なぜ成長が止まったままとなっているのか、当局の見解をお伺いしたいと思う。

    ○産業政策課長(白川智子) 過去約20年の推移を見ると、2000年代初めは震災から5年が経過し、産業復興が進む途上にあった。全国的なデフレによる投資低迷や海外への事業移転の進展といった経済構造の変化の中で、本県経済も厳しい状況にあった。その後もリーマンショックという金融に発した危機により、経済は大きく落ち込み、その回復に時間を要することとなった。

    それでも、2013年2月を景気の谷とし、70ヵ月以上の長期にわたり景気の拡張が続いたところであり、先頃公表された最新の県民経済計算によると、2019年度の実質GDPは22兆1,169億円と、比較可能な2011年度を100として107.7という数字になっている。

    また、GDPを見る上では人口の増減も大きく影響するところである。実質GDPを人口1人当たりで見ると、2011年度を100として2019年度は109.6となり、先ほどのGDP自体の伸び、107.7と申し上げたが、それを上回っているところである。これは本県の人口が減少に転じたことによるものである。

    経済成長に向けては、就業者数の増加、投資額の増加、生産性の向上が必要であることから、引き続きこれらの観点から経済雇用対策に取り組んでいく。

    ○庄本えつこ委員 実際兵庫県も日本全体も成長が止まったままというのは実際のことであるので、数字的にもいろいろ申し上げたが、そのことについて、私たちも分析、勉強もしているところであるが、改めて申し上げる、申し上げたいというか、質問を続けたいと思う。

    法人関係税は1991年には2,937億円、構成比44.7%あったものが、新年度予算案では1,691億円、構成比21.7%と半減しているところである。国全体を見ると、一方で、大企業はこのコロナ禍でも巨額の利益を上げている。資本金10億円以上の大企業の内部留保は、アベノミクスによる大企業減税などにより、2012年から2020年で130兆円も増え、466兆円にもなっている。これが日本経済に還流はしていないのである。この同じ時期に働く人の実質賃金は年収22万円も減っている。安倍政権時に法人税率を28%から23.2%に減税、租税特別措置1兆円から2兆円に倍増、連結納税制度も含め、専ら大企業が利用する優遇税制により、法人税の実質負担率は中小企業が19.2%、中堅企業が20.7%に対し大企業は10.2%と半分にしかすぎない。そういう中で内部留保が466兆円にも膨れ上がっているのである。

    経済構造の変容というなら、この構造にメスを入れる必要があるのではないかと考える。日本共産党は、資本金10億円以上の大企業に2012年以降に増えた内部留保額に賃上げ額と、国内施設投資額を課税対象から控除するなどの措置を取りながら、毎年2%、5年間で10%の時限的課税を行うことを提案している。そうすると、全体で年間2兆円、総額で10兆円程度の新たな財源が生まれるということになる。

    こうした措置により、法人事業税の引上げ、更には国税の増収により、コロナ対策など、必要な地方交付税や国庫支出の財源にするなど、国に求めるべきだと考えるが、いかがであろうか。また、地方消費税は個人消費の回復のためにも5%に減税することを併せて主張すべきと考えるものであるが、いかがであろうか。

    ○税務課長(宇野慎一郎) まず、消費税は、社会保障の充実や幼児教育・保育の無償化等を支える財源であり、安定的に税収を確保することは、今後の財政構造の安定化に必要であると考えている。財政の健全化と社会保障の安定財源の確保を同時に達成することを目指す観点から、消費税率を引き下げるというのは困難なものと考えている。

    また、大企業や富裕層に対する法人課税や個人所得課税などの税負担そのものの在り方については、国において様々な角度から適切に検討されるべきものと認識している。

    今後とも国、地方の安定財源の確保のため、所得、消費、資産のバランスのとれた税制の構築を国に求めていく。

    ○庄本えつこ委員 日本共産党のこの提案については、岸田首相も分かる部分もあるという答弁もあるので、ぜひ国に求めていただきたいというふうに思っているところである。消費税については改めて5%に減税することを求めて、私たちもその主張をずっと続けていきたいと思っているところである。

    2つ目である。

    県政改革方針に基づく予算編成についてである。

    新年度当初予算は、新たな行財政運営方針となる県政改革方針に基づくとされている。もともと行財政運営方針の3年目を検討する当初は330億円の財源不足が生じるというものであったが、今回の県政改革方針の中で、ベースラインケースへの見直し、県債管理基金への内部、外部基金の集約の解消などを反映する中で、財源不足額が440億円に増額、その上で、投資的事業、事務事業等を見直す中で2028年度までの財源不足が140億円まで抑えられるというものである。

    しかし、その中には、障害者小規模通所援護事業、100歳高齢者祝福事業、老人クラブ活動強化推進事業、音楽療法定着促進事業、県立障害高等技術専門学院の運営体制の見直し、商店街の活性化施策、バス対策費補助、人生いきいき住宅助成事業一般型など、高齢者福祉施策業者支援の廃止、見直しなどが含まれている。

    ある市町からは、これらの見直しについて、コロナ禍でやることなのかという意見も寄せられており、齋藤知事が公言する。誰も取り残さない県政の推進とも矛盾するものではないであろうか。

    それで、財政規律優先の在り方についてであるが、2021年度予算編成の際に、前知事は2027年度までの累積財源不足額が330億円になることに関して、これは毎年の予算編成を通じた財政対策で埋めていくことになる。2028年度は何とかゼロになるのではと試算されていたが、このコロナ禍の折、あえて財政規律を強め、高齢者や福祉事業サービスを切り捨てることを優先する必要はないと考えるが、いかがであろうか。

    ○財政課長(中野秀樹) 今回見直した財政フレームでは、令和10年度までの総額で約140億円の収支不足が生じ、実質公債費比率は地方債協議制度の同意基準18%を超過して、その後も上昇する見込みとなるなど、厳しい財政状況が当面続くことが見込まれている。早期健全化基準に達し、県民生活や未来への投資に影響が出ないためにも、財政規律の堅持は重要なことであると考えている。

    事務事業の見直しに当たっては、時代の変化への的確な対応、事業水準の適正化など社会情勢の変化に伴って、その必要性が低下した事業について、廃止・縮小を行うものである。しかしながら、単なる歳出削減型の見直しとするのではなく、ビルドを重視した見直しになるようにも意を用いてきたところである。

    いろいろとご例示があったが、例えば老人クラブ活動への支援であるが、健康づくり活動の普及等を踏まえて、今後見直しを検討はするが、コロナ禍を踏まえ令和4年度は現行どおりの支援とするとともに、更に今後、本来的な課題である、老人クラブの活性化とその支援の在り方についても検討する。

    また、商店街の活性化施策は、実績が低調でニーズが低下しているような事業を見直す一方で、ポストコロナ社会における新たなニーズや魅力ある店舗づくりの支援メニューなどを創設した。

    また、投資事業については、新たに本県負担が増加しない範囲で事業費の振替えを可能とする仕組みを創設し、県民ニーズを踏まえた安全・安心に直結する道路等の日常的な維持管理を充実させたところである。

    今後も県政改革方針に基づき、施策改善も同時に目指すイノベーション型の行財政運営に取り組み、持続可能な行財政基盤の確立を図りつつ、躍動する兵庫に向けた取組を推移していく。

    ○庄本えつこ委員 声をあげにくいところを細かく切り捨てていくという印象はどうしても拭えない。本当に誰一人取り残さないという立場であるのか、弱者を切り捨てる、県民を置き去りにしていく、本当に冷たいなというふうに感じてしまう。

    次の質問にいく。

    一方、投資的事業を見直しているとしているが、播磨臨海地域道路事業など、全国2位と言われる不要不急の高速道路網を更に進める、基幹道路八連携軸構想は温存している。もし財政規律を強めるというのなら、これらの部分を見直すべきではないか。

    そこで、質問するが、この播磨臨海地域道路事業をはじめとする基幹道路八連携軸構想を凍結した場合の2028年度までの総事業費、県の支出現額、効果額は幾らになるか。

    ○道路企画課長(神山 泰) 基幹道路八連携軸の整備は、県政改革方針令和4年度実施計画(案)で示された投資事業費総額のうち、補助事業の通常事業及び緊急措置事業の範囲内で、河川改修などの事前防災対策や老朽化対策など、重点的に取り組むべき事業とのバランスを図りながら着実に進めることが可能であるというふうに考えている。

    また、現時点では見直し等を行う大型投資事業に該当していないことから、凍結や見直しの予定はなく、見直しの効果額は算出していないところである。

    一方で、今ご質問の参考となる数字としては、令和4年度当初予算案にある、基幹道路の整備99億円のうち、県負担額は約46億円であるということである。

    ○庄本えつこ委員 見直すことはしないということで、効果額も出ないということは聞いていた。それで、改めて私は事業の過去3年間の支出額についての資料もお願いしたのであるが、これも出さないということであった。歳出見直しの総点検という割に、この事業を凍結した際の効果額の検討すらされていないというのは、県政改革の本気度が問われるのではないか、不十分極まりない事態ではないかと考えている。

    それで、先ほど令和4年度、来年度の事業費が99億3,581万3,000円であるが、そのうち県費が約46億円、県費分を効果額のベースとすると、2028年度までの7年間で322億円になる。少なく見積もってもこれくらいの効果はあるということではないか、いかがであろうか。

    ○道路企画課長(神山 泰) 先ほど申し上げたとおり、基幹道路八連携軸については、防災であるとか、交流の活発化、いろんな効果が見込まれているので、現時点で凍結や見直しする予定はない。

    その上で、仮定の話ではあるが、先ほどの46億円の計上している額が仮に続けばということであれば、委員ご指摘のとおりではないかと思う。

    ○庄本えつこ委員 しっかりこの部分も見直すという観点はなかなか答弁いただけないが、全てを見直すという立場であると思うので、考えていただきたいと思っている。

    さて、震災関連債権残高を問題にされているが、2022年度末の残高見込みである2,158億円のうち、災害復旧分が幾らで、一般公共、一般単独、国直轄など、いわゆる公共事業部分が幾らになるかをお答えいただきたい。簡潔に数字だけで結構である。

    ○財政課長(中野秀樹) 本県は、未曽有の大災害であった阪神・淡路大震災からの創造的復興のため、1兆3,000億円の地方債の発行を余儀なくされたところであるが、令和3年度末における震災関連県債残高は2,498億円となる見込みである。

    ご指摘の内訳に関しては、申し訳ない、今、お手元にその詳細がないので、また後ほど報告をさせていただきたいと存じる。

    ○庄本えつこ委員 じゃあ、私のほうから申し上げる。

    災害復旧分については、2016年度からもう残高はゼロになっている。私が今求めた数字は、一般公共事業など、合わせて1,229億円となっている。災害復旧分はゼロである。つまり、結局この大型公共投資事業の部分が今も財政を圧迫しているということである。財政規律が必要というならば、先ほどから言っているように、不要不急の基幹道路八連携軸などの大型投資を見直すべきだと思っている。これらの事業と引き換えに、これまで県が努力して進めてきた高齢者福祉事業を削減するなど、あってはならないことだと考えている。福祉を切り捨てようとしている高齢者福祉事業、県民交流バスやバス補助事業、県民サービスを進める事業の廃止、見直しの撤回を改めて求めていきたいと考えている。

    続いて、ちょっと時間がないので、保健所、医療体制に関わる財政措置についてお伺いする。

    保健所職員に関する財政措置についてである。

    言うまでもなく、オミクロン株の急拡大などで、保健所業務が逼迫し、県として県庁から応援職員、派遣などの体制、入力事務の支援などを行っているが、やはり保健所の専門職員、常時の体制強化を行うことが必要だと考える。

    保健所職員の地財措置についてであるが、国は2021年度、2022年度と地方財政改革において、保健所職員の増員措置を行っている。

    そこで、まずお伺いするが、2021年度、2022年度の保健所職員増員数に関し、1、地財計画の標準団体での増員数、2、本県に換算した場合の増員数、3、実際の増員数を感染症対応保健師、感染症対応以外の保健師、保健師以外の職員の区分でお答えいただきたい。数字をよろしくお願いする。

    ○財政課長(中野秀樹) 私からは、ご質問のうち、地方財政計画における標準団体ベース、2つに、本県換算ベース、この2つについてお答え申し上げる。

    まず、令和4年度における感染症対応業務に従事する保健師の標準団体ベースでの増員数は、国通知によると前年度と同様の6名増となっている。このことについて、本県での令和4年度地方交付税上の措置人数が明らかとなるのは、実際の令和4年度の普通交付税算定後となるので、実際の数字というのは今時点では明らかとなっていない。

    ただ、仮に令和4年度における保健師の増員措置人数について、令和3年度の普通交付税算定上の基礎数値等を用いて試算した場合は、感染症対応業務に従事する保健師は7名増となる。

    一方で、感染症対応業務以外に従事する保健師及び保健師以外の保健所職員の標準団体ベースでの増員数は、国に確認したところ、令和4年度の地方交付税上での増員措置というのはないということであった。

    ○社会福祉課長(村上恵一) 私からは、実際の増員数についてお答えする。

    まず、令和2年度から令和3年度にかけての実際の増員数については、感染症を担当する課の保健師数は7名増、それ以外の課の保健師数は1名増、保健師以外の職員は4名増である。

    次に、令和3年度から令和4年度にかけての増員数については、現在の令和4年度の人員配置を現在検討しているところであって、現時点ではそれぞれの区分ごとではお答えすることはできないが、健康福祉事務所の保健師全体で10名増員する見込みである。よろしくお願いする。

    ○庄本えつこ委員 この2年間のトータルで、表もいただいているが、地財計画上では保健師で24人、保健師以外の職員で2人の増員が行われていることになっていた。でも、実際に兵庫県では保健師27人、保健師以外の職員はゼロとなっている。地財措置どおりの増員が行われていなかったということになると思う。であるから、それだけでも不十分なのに、コロナ対策の本気度が問われていると思うので、ぜひ保健師の増員、そして、保健師以外の事務の職員もきちんと増やしていただきたいと思うし、保健師の場合は臨時的なものではなく、恒久的に保健師さんとして働いていただくという方向をとっていただきたいと思う。

    それでは、芦屋保健所についてである。

    保健所について、行財政方針の中で見直し的なところで、阪神北県民局と阪神南県民センターの統合については凍結すると、それに合わせて芦屋の保健所の分室化も凍結するということであるが、それはこのコロナ禍で当然だと思うが、あくまでも凍結であるので、改めて保健所という役割を考えると、私たちは芦屋の保健所はなくすべきではないというふうに思っている。

    国の保健所設置指針では、人口70万人以上、そして、面積200平方キロメートル以上で、複数持てるということになっているい。阪神間を見ると、人口は81万人であるので、当然2つ持ってもいいことだと思うし、ただ、県は2次医療圏域ごとに1ヵ所ということで、尼崎なども含めると5ヵ所あるというふうに言うが、しかし、改めて厚労省に確認すると、保健所というのは自治体の考え方でやっていただいていいのだというふうに答えはもらっている。それに、芦屋は宝塚、西宮を挟んで飛び地みたいになるので、改めてこの芦屋の保健所をなくさないということを求めたいと思うが、そして、改めて保健所そのものの数を増やしていくということを求めたいと思うが、いかがであろうか。

    ○社会福祉課長(村上恵一) 芦屋健康福祉事務所を宝塚健康福祉事務所芦屋分室に改組することについては、阪神南県民センターと阪神北県民局の統合を一旦凍結することになったので、これに合わせて凍結することとした。

    今後、県民局、県民センターの各事務所の組織の見直しにおいては、地域の特色を生かした施策の推進、効果的・効率的な県民サービスの提供、業務の専門性・機動性の向上等が図られる体制とする方針であるので、芦屋健康福祉事務所の在り方についても、この方針に沿って検討していくこととしている。

    県内の保健所は、国の保健所設置に係る指針に基づいて、2次医療圏域ごとに1ヵ所の配置を基本とし、人口、または面積が圏域平均の概ね2倍を超える地域には複数配置している。

    また、自然災害や、今回のような感染症の発生などで一時的に保健所に業務が集中する場合においては、県の保健師などを機動的に配置するなどして、業務執行体制を確保している。

    県としては、今後もこの国指針に基づく保健所設置を基本としつつ、感染症の拡大時等においても保健所が適切にその使命を果たせることができるよう、関係機関等との連携の強化、それから、機動的な応援体制の構築などによって体制強化に取り組んでいくのでよろしくお願いする。

    ○庄本えつこ委員 時間がきたので要望する。

    全国的には二万数千人でも地理的な条件で保健所を設置しているところがある。ということも鑑みて、また芦屋保健所の大切さも、それから、芦屋市民の皆さんの声もしっかり聴いて、残すということを決断していただきたいと思う。

    終わる。ありがとうございました。

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