議会報告

  • 2022年03月30日
    本会議

    第357回本会議 請願討論 きだ結

    私は、日本共産党県会議員団を代表し、今議会に上程されている請願第62号ないし第65号について不採択ではなく採択を求めて以下、討論いたします。

    ◆まず請願第62号 「消費税インボイス制度の実施中止を求める 意見書提出の件」についてです。

    2019年10月から消費税率が10%に引き上げられ、2023年10月からのインボイス制度(適格請求書等保存方式)実施に向け、昨年10月よりインボイス発行事業者の登録申請が始まっています。

    これは、現在消費税申告で行われている帳簿による納付税額の計算から、インボイス(適格請求書)が導入され、納付税額の計算に移行しようとするものです。

    しかし、インボイスが導入されれば、小規模事業者などに新たな税負担がのしかかるなど大きな影響が生じます。このインボイスは課税事業者であり、かつ登録した事業者にしか発行できません。

    国勢調査や法人企業統計調査データーなどから、インボイスを発行できない免税業者は約480万人、フリーランスは、約400万人前後、また、年間売り上げ平均40万円程度といわれるシルバー人材センターの会員は約70万人と推計され、これらの方、約一千万人が消費税法では、「事業者」となり、インボイス導入の影響を受ける可能性があります。

    そのため、多くの免税事業者(年間売上1千万円以下)は、課税事業者 になるか、転・廃業するかの選択を迫られ、取引から排除されるおそれがあります。

    現在、免税事業者も仕入れや経費に含まれる消費税を負担しており、取引先との価格交渉の中で、何とか採算を得ているのが現状です。コロナ禍で時短・自粛営業を余儀なくされ、地域経済が疲弊する中で、中小企業・自営業者の経営危機が深まっており、インボイス制度に対応できる状況ではありません。

    日本商工会議所や全国中小企業団体中央会など、多くの中小企業団体や税理士団体も、インボイス導入に「凍結」「延期」「見直し」「中止」を表明し、現状での実施に踏み切ることに懸念の声を上げています。

    兵庫県議会では、2021年10月に「シルバー人材センターの安定的な事業運営のために適格請求書等保存方式導入にかかる適切な措置を求める」意見書、インボイス導入にかかる意見書を全会一致で採択している。

    新型コロナ危機を克服した新たな社会においても、地域に根差して活動する中小業者の存在は、中小企業振興条例を制定している兵庫県としても不可欠です。

    よって、「税制で商売つぶすな」との声を受けて、「消費税インボイス制度の実施中止を求める意見書を政府に提出を求める」願意に賛同し、本請願の採択を強く求めます。

    次に請願第63号「新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小・小規模事業者への直接支援を求める件」、請願第64号「新型コロナウイルス感染症に感染もしくは濃厚接触者となった個人事業者への支援制度の創設を求める件」についてです。

    コロナ禍で、中小事業者の経営とくらしは深刻です。

    国も一定支援策を出し、県も一時支援金などの制度をつくっていますが、コロナ禍を乗り切るには不十分であり、また給付要件が壁になり、どの支援策からも対象外になっている事業者が取り残されている状況です。

    また、国は、国民健康保険の傷病手当の制度を拡充し、被用者を対象にしましたが、個人事業者はいまだに対象になっていません。個人事業者がコロナウイルス感染または、濃厚接触者になれば安心して休業することもできないのが現状です。

    国の支援制度の隙間を埋めるために、自治体独自で、例えば、鳥取県や石川県では、協力金や事業復活支援金の対象にならない事業者に対し職種や売上減少要件を緩和して県独自の支援金や、35自治体で個人事業者に対し傷病手当や見舞金を創設しています。

    請願の要旨にもあるように、兵庫県は2019年12月に中小企業の振興に関する条例に、災害時の事業継続支援に関する条項を追加しています。新型コロナウイルスによる深刻な影響は、災害に匹敵するものであり、コロナの影響を受け、経営が深刻なすべての中小・小規模事業者に県独自の支援をすべきです。

    よって、売り上げが減少した全ての事業者に対して県独自の直接支援策を求め、また、新型コロナウイルスに感染もしくは濃厚接触者となった個人事業に対して、事業継続のための県独自の支援制度の創設を求める請願第63号、請願第64号の願意に賛同し、採択を求めるものです。

    ◆請願第65号「高校入学時に1人1台のタブレット端末を公費で配備することを求める件」についてです。

    政府・文部科学省はギガスクール構想の一環で、2022年度からプログラミングなどを学ぶ新たな必修科目「情報Ⅰ」を高等学校で導入することから、すべての高校生へのタブレット端末の整備を自治体に促しています。

    兵庫県は「BYODを推進する」として、2022年度の県立高校入学生からタブレット端末を自費購入させる」方針です。

    全国的な整備状況を見ると、兵庫県と同様に全額自費負担を求めるのは23都道府県、一方、原則、全額公費で負担し無償貸与するのは24府県です。

    県教委は「経済的事情のある生徒には従来の貸与型奨学金制度の対象を充実した」など返済の必要な奨学金で対応させる方針でしたが、昨年、タブレット端末を自己負担で準備するという県教育委員会の方針に大きな批判が集まり、県費負担での実施を求める署名が広がり、県教育委員会は、低所得世帯の生徒に対して、12,000台のタブレット端末と500台のルーターの無償貸与することになりました。

    しかし、タブレット端末は、ほかの学用品と比べても高額であること、通信環境を整備する必要もあり家庭の経済的負担は大きく、コロナ禍、家庭の経済状況はさらに悪化しており、家庭の経済的格差が教育格差につながるのは必至です。加えて、BYODと言って、大学入学後も使えるから自費購入と言いますが、入学時、多くの大学で、タブレットでなくパソコンが推奨されるのは、教科によって必要なソフトのダウンロードや、大学にある複合機など周辺機器への適応がタブレットでは難しいということがあるからです。高校授業への対応が主な用途であるタブレットは公費で購入し無償貸与が当然です。

    請願の趣旨にあるように、教育の機会均等の観点からも、同じ性能のタブレット端末を全ての高校生に、自己負担なく、県によって用意すべきであり採択を求めます。

    以上、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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