議会報告
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○入江次郎委員 日本共産党の入江である。早速に質問に入る。
頻発する大規模災害、発生頻度が高まっている新型コロナウイルス対策などに対応するための人員整理を求めて質問を行う。
平成21年に世界的流行となった新型インフルエンザでは、兵庫県はフェーズ4を設定し、対策本部を設置して対応に当たった。
県がまとめた兵庫県新型インフルエンザ対策検証報告書では、感染者の内訳として約2ヵ月間で377人が感染、1日当たりの最高感染者数は35人、この期間の死者は確認されていない。また、同期間に政令・中核、当時の明石市保健所を除いた県所管健康保険事務所12ヵ所の電話相談件数は3万690件というものであった。
県は同様に、新型コロナウイルス感染症についても第1波、第2波について、令和2年10月に検証報告書としてまとめている。検証報告書によると、県内の第1波、第2波合わせた感染者数は2,275人、1日当たり最大感染者数は62名、健康保険事務所12市の電話相談件数は4万8,068件、死者27名というものであった。
第3波の検証については、今後されると思われるが、本部会議の資料では11月1日から3月3日までの感染者数は1万4,823名、1日当たりの最高感染者数は322名、これは新型インフルエンザの約10倍である。第3波では、こういった状況が長期間にわたって続いた。新型インフルエンザや新型コロナ第1波・第2波とは全くフェーズの異なるパンデミックとなった。今後の検証と対策が求められている。
平成21年に大流行した新型インフルエンザは、新型コロナウイルス感染症第1波・2波と比較して、比較的規模の小さい流行で収束した。しかし、それでも新型インフルエンザ対策検証報告書では、こういう指摘がされている。幾つかご紹介する。県民からの電話が殺到し、相談に従事する保健師等が不足した。電話相談に多くの職員が従事したため、患者に対する疫学調査や病院との調整、濃厚接触者調査に支障を来した。専門的な相談が多く、保健師等の専門職と事務職との他職種で回答内容に差が生じた。こういう課題がインフルエンザ検証報告書の中でされている。
インフルエンザ検証報告書では、保健師不足が指摘されているにもかかわらず、県は保健師全体としては増員するどころか、行革の名の下、この10年間に約3割削減してきた。
そこでお伺いするが、新型インフルエンザ検証委員会では、課題を抽出し、検証して将来に備える、検証結果については、今後の対策の充実強化に生かすことが求められるとしている。検証結果を生かすことなく、なぜ保健師を削減し続けてきたのかお答え願う。
○人事課長(唐津 肇) 保健師の人員削減の件であるが、行革によって職員数というのは3割削減するという方針の下、職員数を削減してきた。保健師についても同様であり、保健師についても3割削減するという状況の下、行革の方針に基づいて削減してきたところである。よろしくお願いする。
○入江次郎委員 検証結果で、保健師が足りないと、保健師の増員が求められているのに、なぜ行革の名の下に3割削減したのかと聞いてる。検証結果で指摘されている。
○人事課長(唐津 肇) 新型インフルエンザ検証報告書によると、私どものほうもそれは把握している。先ほど委員がおっしゃったもののほかに、例えば、新型インフルエンザの関係で申し上げると、感染症対策の充実をさせる必要性があるというようなことも書かれている。だから、何もしてこなかったわけではなくて、そういった体制の充実で申し上げると、疾病対策室のほうに疾病対策課に改めて新型インフルエンザの対策係とか、計画係、業務係といった、そういった拡充もしている。必要に応じて組織を拡充するなりしながら対応してきたところである。
○入江次郎委員 ただ、その対応が不十分であったということだと思う。その効果として、この第1波・第2波の検証報告書、これ第1波と第2波の検証報告書もまとめられている。その中では、こう指摘されている。
クラスターが発生した事務所を中心に、人員不足が発生した。感染者の積極的疫学調査や感染予防、保健指導を行う人材である保健師の不足が課題である。ふだんの感染症発生時においての積極的疫学調査としては、1人の患者発生に対し、2人以上の専門職で対応するが、クラスター発生時には3倍以上のマンパワーが必要となり、専門職員が不足した。その上、患者搬送用や防護服の着脱に要する時間的な負荷も加わった。こういう声が第1波・第2波の後の検証報告書でもされている。
インフルエンザの検証報告書でもされているし、この第1波・第2波の検証報告書の中でも保健師が足りないと、こう指摘されている。これ少なくとも、国が交付税措置した分ぐらいは、検証報告書に耳を傾けて増員すべきだと思うが、改めて答弁を求める。
○人事課長(唐津 肇) このたびの交付税措置で増員をされているということを委員のほうはご質問されているのかと思うが、今回の増員の関係で交付税措置が増員されている。
ちょっと、現在の状況を少しお話をすると、令和2年度、地方交付税増の措置については、112名に対して正規職員116名、再任用職員の12名の合計128名が措置されているという状況になっている。
令和3年度の地方交付税措置の保健師の措置の人数見込みによると、感染症対策など18名が増加があり、130名となると聞いている。
更に、県においては、新型コロナウイルス感染症の拡大に対応するため、保健師を現在7名増員しており、正規職員については123名、今のところ、再任用職員については12名の合計135名を配置するところとしている。
引き続き、応援体制の構築であるとか、その他非常勤職員等の配置も進めて感染拡大防止に努めていく。
○入江次郎委員 それは、本会議の答弁そのものである。本会議の答弁では、今、兵庫県で地方財政上の措置がされている保健師は112名、令和2年度で。それが令和3年度には130名になると、こう答弁している。だから、18人交付税措置されている。2年度から3年度にかけて。ただ、さっきの答弁では、実際に増やしたのは7名という答弁であるが、これ11人、あと余分に国は交付税措置している。これ、少なくともこの11名分ぐらいは令和3年度に保健師増やすべきじゃないかと聞いている。検証報告書でも繰り返し、繰り返し言われている。どうであるか。
○人事課長(唐津 肇) 職員の配置については、もちろん交付税措置というのも1つの要素ではあるが、それだけではなく、現場を回していくために、正規職員だけではなく、いろいろな方式、非正規職員を傭うというのもあるし、今回で申し上げると、看護協会とか看護系の大学を通じての潜在看護師の応援とか、いろんな手法を用いてやっていくべきだと考えている。
なお、先ほども申し上げたように、交付税措置だけで申し上げると、現時点でも国の交付税措置の相当する部分については採用して対応してるところである。
○入江次郎委員 少なくとも、国では新年度で18名財政措置されている。少なくとも、残り11名は新年度の予算で保健師を配置することを求めたいと思う。
続いてであるが、子ども・子育て会議の審議会、ここでは地域で保健師の果たす役割が期待されている。しかし、行政機関に従事する保健師が削減されつつある等々、県の最重要課題である人口自然増対策の場面でも、子育てに不安を抱える若いお父さんやお母さんらを妊娠から子育てまでサポートする保健師の確保を求める、こういう声が感染症の場面だけではなく、子育ての場面でも求められている。
コロナウイルス第1波・第2波の検証でも、災害時にあっても通常の保健相談業務は必要であることから、人員配置に苦慮した等々、保健師不足や保健師増員を求める声が子育ての場面からも、感染症対策の場面からも指摘されている。県民の期待に応えるためにも、感染症の保健師、また感染症対策以外の保健師についても増員すべきことを改めて求めたいと思う。
続いて、土木部門でも人員不足が過去の大規模災害検証報告書の中で指摘されている。平成16年に円山川で発生した河川の決壊、ここでも検証がされている。この中でも、職員不足について、市町村合併の影響が言われている。合併による広域化が進んだ場合、行政改革に伴う人員削減などにより、地域に密着したきめ細かな対応といった観点からマイナス面が生じるおそれがある、こういう指摘がされて、県の対応として、県は市町の対応能力を上回る規模の災害が発生した場合、県民局の対応にも限界がある。事務局の要員配置に余裕を持った体制を組む必要がある、こういう円山川の検証報告書でも土木職員の人員不足が指摘されている。
更に、平成21年に佐用町を襲った台風9号の検証報告書でも、平常時には防災業務と総務業務を兼務しており、災害対応経験が豊富な職員が配置されていない等々、土木職員の人員不足も過去の大規模災害検証報告書で指摘がされている。
それにもかかわらず、県は総合土木職員を平成19年の1,073名から814名へと大幅に削減してきた。地球温暖化による気候変動によって、大規模災害の頻度も高まっている。検証報告の指摘に基づき、土木職員の増員を求めますが、答弁を求める。
○人事課長(唐津 肇) 総合土木職についてご質問があった。総合土木食については、行革期間中においても、退職者数にかかわらず、一定数の職員を採用しており、長期的な視点で人材確保に努めている。
行革期間中であるが、行革の後半については、退職者に見合うだけの人数の採用なりを行ってきたところである。
これまでから、自然災害とか、危機事案が発生した際については、一つには新たな組織の設置、あるいは2つには職員の重点配置、そして三つ目には庁内連携による応援、四つ目には非常勤職員の配置、そして五つ目には自治体間における職員の応援派遣等により対応している。
近年は、大きな災害が起こった場合においては、全国知事会を通じた応援であるとか、例えば、市町に対しては総務省の復旧・復興支援の技術支援の職員を派遣する、そういったシステムがある。こういったものを活用しながら土木職員の確保に努めているところである。
○入江次郎委員 インフルエンザ、コロナの第1波・第2波、そしてこの災害と、いろんなところで検証報告されているが、人が足りない、人員不足、これがずっと言われている。
ちょっと時間ないので進めていきたいが、例えば、兵庫県子ども・子育て会議、これ令和2年の6月5日にされているが、そこの会長のまとめでこういうことが言われている。緊急事態の中で何ができるかは、ふだんの受皿のゆとりが非常に大事である。人員削減や予算削減の方向で進んできたが、ぎりぎりのキャパシティでは、危機状況になるとすぐパンクしてしまう。これが今回よく見えてきたと、こういう指摘がされている。
更に、ぎりぎりの人数で最大限の利益を出すのが正しいやり方ではなく、時間的ゆとりを持ち、家で過ごす時間も十分ある状態で働いて、それで社会が回っていく世の中を創っていかないと、子供も育てられないことが改めて浮き彫りになった。今後は社会の在り方や私たちの姿勢を変えていかないといけないと、こういう指摘がされている。
更に、このパンデミックの第1波、第2波の後に、県民モニター臨時アンケート調査結果というのをしているが、ここでも、県民の中からたくさん声が出されている。医療の重要性と、ふだんから十分に余裕を持った体制を整えておくことが必要性を説く意見が多かった。ふだんは無駄だと思われても、常に余裕を持った状態にしていくことが危機への備えだと、こういう声がたくさん県民から上がっている。
最後に紹介しておきたいのが、金澤副知事が2050年の兵庫を展望する新しい将来ビジョン、将来構想試案、この中でこのように述べている。今日のテーマはポストコロナ社会、研修会をスタートしてきたときは、思いもよらなかった。全く想像していなかった事態を迎えている。南海トラフはひょっとしたら、2050年に、終わった後になっているかというような気持ちもあったが、ただ、よく考えてみれば、このビジョンの視野に入れている世界は、ひょっとしたらパンデミックを2回、3回経験した、そういう社会になっていく可能性もある。つまり、2050年のビジョンが描かれるまでに、こういうパンデミックが2回、3回繰り返されていると。南海トラフも、もう既に終わった後に、この2050年の社会があるんじゃないかということを、これ金澤副知事がこういうビジョンの中で述べている。
最後に、1980年代から世界を席巻した公立と生産性を最優先する新自由主義的な社会構造の在り方の見直しを求める声が広がっている。平時からぎりぎりの体制ではなく、平時から余裕のある体制というのがコロナパンデミックの最大の警鐘だったのではないか。いつ起こってもおかしくない南海トラフなどの大規模災害、発生頻度が高まっている新型コロナウイルス感染症パンデミックに備えた人員配置を強く求めて、次の質問に移る。
次は、県内の私立大学への連絡体制のことで伺いたい。
コロナ禍の下で、アルバイトで働く学生も対象となる休業支援金制度や、学生向けの学生支援緊急給付金制度など、学生も活用できる制度が幾つか作られました。しかし、休業支援金制度は、制度周知がされておらず、アルバイトなどで働く学生らなど、労働者の約8割が制度を知らないという調査結果があります。
また、学生向けの学生支援緊急給付金についても、県内にある私立大学では、大学のホームページにこそ掲載されていたものの、多くの学生に周知されていなかった。こういう声が寄せられている。
一方で、県立大学では、ユニバーサルパスポートというポータルサイトで大学側と学生が連携し、重要事項については、全ての学生のスマホへ大学側から瞬時に連絡が可能な状況にあると伺った。
その結果、学生向けの学生支援緊急給付金についても、全ての県立大学の学生に周知できたと伺っている。
そこで、お願いしたいのであるが、県立大学の制度なども紹介し、緊急事態時に制度の紹介などを大学側が全ての学生個人へ発信できるポータルサイトを立ち上げることなど、県内にある大学へ提案することを求めるが、答弁を願う。
○大学課長(野北浩三) 委員ご指摘の県立大学が保有する情報システム、ユニバーサルパスポートは、学生と教員の情報共有を目的とするシステムであり、今回のコロナ禍における各種支援に関する情報の周知に有用であったと認識している。
県立大学においては、例えば、日本学生支援機構の各種奨学金の情報や、新型コロナウイルス感染拡大の影響で創設された学びの継続のための学生支援緊急給付金支給に向けた情報の発信を行うなど、当システムを速やかな制度周知に活用しているところである。
多くの県内他大学においても同様のシステムを運用していると承知しているが、県立大学としては、今後ともユニバーサルパスポートの積極的な活用を図るとともに、学生への効果的な情報周知方法について、県内他大学とも情報交換しながら引き続き研究していきたいと考えているので、よろしくお願いする。
○入江次郎委員 最後に、県立大学すごくいい制度を持っているので、それを県内の大学に広めていただくような、そういう役割も果たしていただきたいと思う。ありがとうございます。