議会報告

  • 2021年03月05日
    予算・決算特別委員会

    2021年度予算特別委員会 財政状況 入江次郎

    ○入江次郎委員 日本共産党の入江である。早速、質問に入る。

    まず、地方消費税収についてお伺いする。

    新型コロナウイルス感染拡大は、本県の経済・雇用情勢にも大きく影響し、本県の予算案にも反映されている。2月15日に内閣府が発表した昨年1年間のGDPの伸び率は、前年比マイナス4.8%となり、リーマンショック翌年の2009年以来11年ぶりのマイナスとなった。そのもとで県予算案における県税等収入は、企業業績の悪化や民間消費の低下を反映させたとして、前年比919億円減の厳しい状況となっている。

    主な税目については、個人県民税1,814億円、前年比マイナス6%、構成比で25.7%、法人関係税は1,345億円、前年比18.8%、構成比で19.1%となっている。地方消費税は2,312億円、前年比マイナス5.2%、構成比で32%となっている。それぞれの税収も軒並みに減収しており、その中でも地方消費税の依存度が、より高くなっている。しかし、実際にはコロナ前から消費税が10%に増税されたことにより経済が縮小し、個人消費が冷え込み、地方消費税収にも大きな影響を及ぼしたのではないであろうか。

    そこでお伺いするが、消費税が10%増税となった2019年10月から12月期、1月から3月期のGDPの伸び率を、全国と兵庫県の数値、そして2019年10月から12月の家計消費調査の前年比月額の全国と神戸市の数値を求める。

    ○統計課長(梶本 出) GDPと家計消費について、まずGDPであるが、2019年10月から12月までの対前年同期比は、全国で1.1%の減、本県では0.0%の横ばい、2020年1月から3月では、全国で2.0%の減、本県で1.5%の減となっている。

    家計消費支出については、2人以上の勤労者世帯について、2019年10月から12月までの対前年同期比は、全国で1.6%の減である。県全域の調査はないため、神戸市について6.0%の減である。同じく、参考までに、2020年1月から3月では、全国で4.0%の減、神戸市で8.5%の減である。

    なお、神戸市分については、標本数が少ないため、あくまでも参考数値である。以上である。

    ○入江次郎委員 2019年度の神戸の家計消費年間の平均は、2018年度に比べて月額で8,590円もマイナスになっている。2019年10月の消費税増税以降、経済も家計消費も落ち込んでいることがよく分かるのではないであろうか。

    次に、地方消費税収の2019年度の当初予算と決算額、2020年度の当初予算と決算見込額をお答えいただきたい。

    ○税務課長(成田徹一) 地方消費税清算後の令和元年度、2019年度の当初予算額が2,051億7,800万円、決算額は1,950億3,700万円、令和2年度、2020年度の当初予算額は2,439億2,100万円、決算見込額、2月補正後の予算額であるが、2,218億3,200万円である。

    ○入江次郎委員 GDPも個人消費も、コロナ前、消費税増税後から落ち込み、地方消費税収の落ち込みにも影響していることが分かるのでないであろうか。

    東京商工リサーチ神戸支店によると、兵庫県の休廃業・解散件数は、2020年で前年比6.81%増の1,428件、倒産件数との合計は1,851件と、県内企業数の約1%となっており、深刻な影響を与えている。コロナで仕事が減り多くの事業者が赤字に陥る中、休廃業・解散が余儀なくされている。

    そうした中、中小・小規模事業者には地方消費税負担が、ますます重くのしかかっている。コロナ禍において、世界50ヵ国以上で消費税の減税を行っているのは、そのことを端的に物語っているのではないであろうか。

    国は、2021年度税制改革においても消費税の減税を盛り込んでいない。県として改めて消費税の5%への減税を国に求めることを要請するが、いかがであろうか。また、営業が困難な中小・小規模事業者への地方消費税の減免制度、それに伴う補填などを国に求めるべきだと思うが、答弁を求める。

    ○税務課長(成田徹一) 消費税は、社会保障の充実や幼児教育・保育の無償化等を支える財源であり、安定的に税収を確保することは、今後の日本の財政構造の安定化に必要であると考えている。財政の健全化と社会保障の安定財源の確保を同時に達成することを目指す観点から、消費税率の5%への引き下げは困難なものと考えている。

    また、地方消費税の賦課徴収は、国が消費税の賦課徴収の例により消費税の賦課徴収と併せて行うこととされており、県が地方消費税の減免を行うことはできない。

    地方消費税の増収分の使途については、そもそも法律で定められた社会保障施策に要する経費に限定されている。今後とも増嵩する社会保障施策の財源を確保していくため、税収を負担軽減や補填等に充当することは困難であると考えている。

    ○入江次郎委員 また、県は2021年度の予算編成の中で、減収補填債の対象とならない地方消費税等の減収分について、特別減収補填債を146億円計上している。しかし、それ以上に地方消費税の減収が生じた場合に困難な財政運営を強いられると県は危惧をしているが、これは私たちも同じである。

    先ほども指摘したように、2019年も2020年も消費税収は当初見込みと比較して、1割程度決算額で減収となっている。仮に2021年度で見込みが狂ってしまって地方消費税収が減額となった場合は、減収補填債の対象とならない、そういう仕組みに今なっている。少なくとも地方消費税収については見込み以上に減額となった場合について、交付税措置がされる減収補填債の発行対象となるように国へ求めるべきだと思うが、答弁を求める。

    ○財政課長(有田一成) 特別減収対策債であるが、こちらは地方消費税など減収補填債の対象とならない地方税等の減収額等に対し、建設事業費における通常の地方債充当後の一般財源の範囲内で発行できる地方債ということとなっている。

    このため、今後の新型コロナウイルスの感染動向により地方消費税等が大きく減少して、その減少額が地方債充当の一般財源の範囲を超えるということになった場合には減収額を補填できないという可能性があり、厳しい財政運営を余儀なくされるという可能性があるということで、そういう認識をしている。

    このため、適切な財政運営と併せ、令和3年度の税収動向を見定めながら、必要に応じ国に対して令和2年度と同様、減収補填債の対象税目をの拡充をして地方消費税等を対象税目に加えるといった必要な財政措置を追加的に求めていくことを検討させていただきたいと考えている。

    ○入江次郎委員 消費税の税収見込みというのは、2019年も20年も見込みと大きく開いてしまって、今度21年度も今の経済の不安定な中で見込みが違ってしまえば、減収補填債の対象にならないということを国は、今、言っているので、ぜひ補填債の対象になるように改めて強く求めていただきたいと思う。

    続いて、法人税関係についてお伺いする。

    国は、2021年度の税制改革案の中で、DX投資促進税制の創設や研究開発税制の拡充など、大企業を中心とした減税策を打ち出している。こうした国の税制改革案における県の法人税収への影響額について、お答えいただきたい。

    ○税務課長(成田徹一) 令和3年度税制改正による令和3年度への影響額は、2,300万円の減収を見込んでいる。

    なお、令和3年度税制改正のうち、賃上げ・投資促進税制に係る控除制度の見直しについては、令和3年度影響は発現しないものの、平年度ベースで見ると大きな増税影響となるため、今回の税制改正による影響を令和4年度以降で見ると増収が見込まれるという状況である。

    ○入江次郎委員 少なくとも新年度の税収見込みでは、このDX投資促進税制、研究開発減税、これは大企業に恩恵のある制度になっているが、その分が2,300万円の減収になるということである。

    この減税は大企業の多くが恩恵を受けているが、一方で財務省が発表した法人企業統計によると、2019年度の大企業の内部留保額は、金融業・保険業を除く全産業ベースで、このコロナ禍でも前年度比で2.6%増の475兆161億円となったと発表がされている。コロナ禍でも利益剰余金を増やしていることが分かる。

    さらに、大企業には減税を行い、中小・零細企業には赤字でも消費税の支払いを促す、コロナ禍から暮らし・営業を救うとは逆行する対応になっているのでないであろうか。

    1990年代の前半は、県税収入の4割が法人関係税で占められていたが、法人関係税の占める割合は年々低下し、新年度予算案では何と19%まで法人関係税の割合が低下している。コロナ禍において、応能負担の原則の立場で法人事業税などの税率を見直すなど、体力のある大企業から応分の負担を求めることを求める。少なくとも研究開発減税など、大企業向けの減税をやめるよう国に求めるべきだと考えるが、答弁を求める。

    ○税務課長(成田徹一) 法人税も含めた法人に対する税負担そのものの在り方については、国において様々な角度から適切に検討されるべきものと認識している。

    なお、中小法人については年800万円以下の所得につき法人税率を15%とする軽減措置が講じられており、令和3年度税制改正により、その適用期限を2年間延長するものとされている。

    今後とも、国・地方の安定財源の確保のため、所得・消費・資産のバランスのとれた税制の構築を国に求めていく。

    ○入江次郎委員 これまでも本会議などでも指摘してきたが、大企業に様々な優遇税制があるために、実質の法人税率が中小企業よりも大きく下回っているという状態になっている。改めて、応能負担の原則の立場での税制の改革を求めて次に移る。

    県税の収入減を補う形で国の交付税や臨時財政対策債が措置され、前年度並みの地財措置がされている。その地方財政措置の中で、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、保健所において感染症対応業務に従事する保健師を2年間で現行の1.7倍、約900名増員すると地財計画ではされている。

    さらに、2月19日の国会で我が党の質問に対して、政府は感染症対応業務に従事する保健師を標準団体ベースで6名増、感染症対応業務以外の業務に従事する保健師も標準団体ベースで8名の増、保健師以外の薬剤師、獣医師等専門職の保健所職員も2名増員すると、こういう地財措置法上の措置がされると答弁をしている。

    こうした地財措置について我が県で試算すると、感染症対応保健師、感染症対応業務以外の保健師、それ以外の保健所職員の2021年度の増員数はそれぞれ何名になるのか、お答えいただきたい。

    ○財政課長(有田一成) 感染症対応業務に従事する保健師の標準団体ベースでの増員数であるが、こちらは国のほうから通知が来ており、それによると6名増となっている。一方で、感染症対応業務以外に従事する保健師、また保健師以外の保健所職員の標準団体ベースでの増員数であるが、こちらについては現時点では国からの通知がまだ届いていないので、措置の詳細については把握をしていないが、先ほど委員のほうからもご紹介あった令和3年2月19日の衆議院の総務委員会における総務省の答弁によると、それぞれ8名増と2名増となっている。

    ただ、標準団体ベースでの措置人数が明らかになったとしても、本県における令和3年度地方交付税算定上の措置人数が明らかになるのは、令和3年度の普通交付税算定後、これは例年であれば夏頃ということになる。そのため、令和3年度における保健師の増加措置人数を正確に算出するということはできないが、仮に令和2年度の普通交付税算定上の基礎数値等を用いて試算をした場合、感染症対応業務に従事する保健師が8名の増、感染症対応業務以外に従事する保健師が10名の増となる。

    なお、保健師以外の保健所職員については、普通交付税の算定上、補正係数が異なる複数の費目で措置をされるということになっており、現時点では、どの費目に何人の増員がなされるかなど具体的な措置内容が明らかになっていないので正確な試算はできないが、想定されるいろいろなパターンを試算をしてみると、概ね2から3名程度の増になるのではないかと思われる。

    ○入江次郎委員 いろいろ言われるが、国の地方財政措置上の対応として、感染症以外の保健師が8名と、それ以外が10名、その他が2名から3名だということであったが、実際に21年度の予算案で県が保健師の増員として実際に計画している増員数をお答えいただきたい。

    ○社会福祉課長(岡田英樹) 2021年度における健康福祉事務所の保健師の増員数については、昨年度10月の前倒し採用2名を含め、正規職員7名増となる見込みである。

    ○入江次郎委員 地財計画上では、答弁があったように、約20名の保健師の増員の措置がされているにもかかわらず、実際には県では7名しか新年度予算では増員するということにはなっていないということだと思う。

    人口10万人に対する就業保健師数は、兵庫県は32.1人で、全国ワースト5位となっている。感染症対策において保健師が果たしている役割というのは大変重いものがあるが、その状況は迫をしている。保健師は長時間労働が強いられていて、感染症以外の保健師も十分に確保がされていない。この国の措置、地財措置を踏まえ、少なくともこの20人引く7人、あと残り13名分の保健師の増員を求めたいと思うが、答弁を求める。

    ○社会福祉課長(岡田英樹) 委員ご指摘のとおり、増員については正規職員7名ということであるが、2021年度の地方交付税上の保健師の措置人数も実際の配置人数の状況であるが、保健師の措置人数、これはあくまでも先ほど答弁があったように、試算であるが、感染症対応の8名増など18名の増加ということが見込まれており、合計130名となる見込みであり、これに対し実際の配置人数は7名の増員により、正規職員123名、再任用職員12名の合計135名となる見込みである。

    ○入江次郎委員 さっき言われた18名というのは、退職者も合わせて18名で、実際の増というのはこれ7名だと思う。それで、その間の行革で、この十数年の間に3割保健師が削減されて、今回のパンデミックで改めて保健師の役割、担う役割の重要さが分かったと思う。改めて、保健師の増員を求めたいと思う。

    次に、社会保障関係費についてお伺いする。

    地方消費税の5%から10%への増収分は、全て社会保障関係費に使われるとされる一方で、国は社会保障の自然増分4,800億円から3,500億円に1,300億円も圧縮している。到底、社会保障が充実したとは言えない。国の自然増圧縮分1,300億円の圧縮メニューとそれぞれの影響額、そして兵庫県への影響額をお答えいただきたい。

    ○社会福祉課長(岡田英樹) 国の令和3年度の社会保障関係予算は、約4,800億円の自然増が見込まれている中、社会保障制度改革の実施、あるいは市場実勢価格を適切に反映するため、令和3年度から毎年実施されることとなった薬価改定、また介護報酬や障害福祉サービス報酬の改定を行う結果、約3,500億円の増となっている。

    自然増との差の委員ご指摘の約1,300億円の内訳については、削減分として薬価改定によるものが約1,000億円、介護保険制度の改正や後期高齢者医療制度の保険料に係る軽減特例の見直しといった、これまでの制度改革の効果によるものが約700億円となっている。一方、増加分としては、介護報酬、障害福祉サービスの報酬改定分で約300億円の増となっている。

    そういった中で、県の令和3年度当初予算については、社会保障関係経費は、今、申し上げたような国の見直しを反映したものであるが、前年度を41億円上回る3,471億円を計上している。

    その内訳としては、社会保障・税一体改革関係経費が約17億円増の731億円、その他の社会保障関係経費が、介護給付費県費負担金等で15億円の増、障害者自立支援給付費県費負担金等で15億円の増などとなっており、全体で前年より24億円増の2,740億円をそれぞれ計上している。

    なお、県単独事業として抑制を行っているような社会保障関係事業はないので、よろしくお願いする。

    ○入江次郎委員 さらにお伺いするが、消費税増税分で措置される医療介護推進金のメニューの中に、昨年は入っていなかったが、地域医療構想に基づくダウンサイジング、これは病床の削減分が3億円、病床の機能転換・統合再編の推進費15億円が計上されているが、なぜ消費税の増税分で病床のベッドの削減や病院の統廃合がされるのか、これについてお答えいただきたい。

    ○医務課長(元佐 龍) 住民が住み慣れた地域で生活しながら、状態に応じた適切で必要な医療が受けられるよう、地域完結型医療体制を整備するため、県では地域医療構想を推進してきた。

    そのため、医療介護推進基金を活用し、一つには病床の機能分化・連携の推進、二つには在宅医療の充実、三つには医療従事者の確保に向けた取組を中心に、医療機関の自主的な判断のもと、各圏域の地域医療構想調整会議において合意を得た取組に対して財政的支援を行うこととしている。

    その中で、病床機能転換・統合再編等の推進として、各圏域における機能別病床数の将来必要量を確保するための施設・設備等への支援を行っている。また、病床ダウンサイジングへの支援としては、地域医療構想の推進に資するため、過剰とされる病床の削減に伴うコストを支援するものである。

    いずれの事業についても、限られた医療資源を有効に活用し、病床の機能分化・連携を進め、効率的かつ質の高い医療提供体制の構築に資するものと考えている。

    今後とも、医療介護推進基金を活用した医療機関の施設・設備整備の支援等により地域医療構想の達成に取り組み、住民が住み慣れた地域で生活しながら、安心して適切で必要な医療が受けられる地域医療提供体制の構築に努めていく。

    ○入江次郎委員 消費税の増税分は社会保障に充てるとして、これ消費税の増税をしたが、今回のコロナで病院の在り方というのがこれから議論されるという中で、来年度の予算でベッドを削減する、病院を統廃合する、こんなことは、私、県民の理解を得られないと思う。

    ちょっと時間がなくなってしまったので、最後に言っておきたいと思う。今回の新年度予算では、財政フレーム、シーリングやら事業の抑制で、これ事業規模がぐっと縮減された。一方で、基幹道路八連携軸、播磨臨海地域道路の計画調査費に1億2,000万、東播丹波連絡道路関連調査費に500万円の予算がつけられている。我々はこれまでも言ってきたが、税金というのは力のあるところから、その力に応じて支払ってもらうと。この支払っていただいた税金は、県民の暮らしや福祉に充てると、そういう予算編成に、議会の動議の提案もまたしようと思っているが、そういう予算の編成替えを求めて質問を終わる。

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