議会報告

  • 2020年06月15日
    本会議

    第349回本会議 一般質問 きだ結

    日本共産党のきだ結です。冒頭、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった方々への心からの哀悼とともに、闘病中の方々にお見舞い申し上げます。医療従事者をはじめ、社会インフラを支えておられる方々に感謝を申し上げます。

    1.初めに、検査の拡充についてです。

    5月21日、県民の皆さんの外出自粛、接触削減の努力の結果、1カ月半続いた緊急事態宣言が解除されました。再び緊急事態宣言という事態を避けるため、行政は、県民に「新しい生活様式」を呼びかけるだけでなく、最大限の努力を払う必要があり、とりわけ、検査の抜本的拡充が求められています。

    4月24日の臨時議会の質疑で、千葉大学の研究結果を引き、感染を早期に発見し、重症化・死亡の割合を減らすには、陽性率7%未満を維持する規模のPCR検査件数が必要であると指摘しました。

    県内の状況を振り返ると、6月14日時点で、感染が確認された方は699人、うち43人の方が懸命の医療ケアをもってしても残念ながら亡くなられました。PCR検査の陽性率が7%を超えた日数は、3月で13日、4月で23日もありました。

    陽性率・死亡割合の高さは、医師が必要と判断しても「高熱が続いていない」と断られるなど、検査が適切に行われず市中感染が拡がった結果であり、早期にケアできなかったということにほかなりません。

    わが党議員団は、感染者を早期に発見し保護し、陽性率を引き下げるため、少なくとも1日1000件の検査体制が必要だと申し入れを行ってきました。

    この直後に県は、検査能力1000件へ拡充すると発表し、今補正予算案では、1500件に引きあげ、抗原検査や抗体検査の実施にも触れていますが、これらは私たちが一貫して求めてきたことであり、大きな前進と言えると思います。

    今後県は、国の目安の変更を受けて、濃厚接触者は無症状でも医師が必要と認めれば検査対象に拡大するということですが、これにとどまらず検査処理能力を実際に生かす方針転換が求められているのではないでしょうか。

    5月11日、広島、岩手、愛知など18道県の知事が感染拡大を防止しながら経済・社会活動を正常化するため、これまでの「受動的な検査」から「感染者の早期発見・調査・入院等による積極的感染拡大防止戦略への転換」を緊急提言しました。発症二日前から感染力があることや無症状者からも感染するということが分かってきた今、第二波に備える合理的な提言だと考えます。

    質問 そこで、ごく軽症も含めすべての有症者やすべての接触者への速やかな検査を行う方針に転換し早期発見・早期保護を徹底すること。また、症状の有無にかかわらず医療・介護・福祉施設の従事者・入院患者・入所者などに対して優先的に検査を行うこと。

    さらに、抗体検査を幅広く行い、感染の広がりを把握し、コロナ収束に向けた政策判断に生かすべきだと考えますが、いかがですか。

    井戸県知事 答弁 新型コロナウイルス感染症については、県内では5月17日以降、新規陽性患者の発生は見られていませんが、「次なる波」に備え検査体制を拡充することが重要だと考えています。

    PCR検査については、国の「相談・受診の目安」である熱や咳の症状等を踏まえ、「重症化を防ぐ」という観点を最優先に実施してきましたが、接触者外来においても、医師の総合的な判断に基づき柔軟に取り扱って参りました。もし、ご指摘のような検査の遅れがあり対応が不十分だったとすれば、感染者数が現状のような状態にとどまっているとは考えられないのではないでしょうか。

    このたび、国の「相談・受診の目安」の見直し等が行われました。感染拡大防止を強化するため、濃厚接触者のうち無症状者など医師が必要と認めた場合には、検査を行うなど対象を拡大することとされました。また、妊婦の不安解消を図るため、希望者に対しても検査を実施していくことになりました。検査処理能力の拡充の図るため、健康科学研究所への自動化システムの導入や医療機関でのPCR検査実施などにより、国の検査目標2万件の5%の1,000件を超える1日約1,500件の検査体制を確保していくことにしております。加えて、圏域単位で県医師会等と連携して「地域外来・検査センター」を新設し、受診機会の拡充も図ります。

    抗原検査については、救急搬送患者等に実施し、早期診断と適切な治療に繋げる役割を果たせるなど、PCR検査との役割分担を推進します。

    一方、抗体検査については、過去の感染の有無は確認できますが、現時点では精度に課題があります。新型コロナウイルス感染症における知見も明らかとなっていません。国は今月、東京・大阪・宮城の3都府県において、抗体の保有状況を調査するとしています。県としては、神戸大学と協力して患者を中心に抗体保有期間やその効果を継続調査するとともに、県民等の抗体保有状況等を調査するなど、研究を推進して参ります。

    今後とも、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、検査体制の強化・充実を図って参りますので、どうぞよろしくお願いします。

    再質問 私だけではなく、代表質問においてもPCR検査の遅れがあったのではないかという質問がありました。医者が判断してもなかなか検査を受けられなかったという事が実際にありました。いかに早く患者を保護していくかという事が、今後第2波に備えて市中感染で拡げないという点からしても、非常に大事なことだと思います。今、おっしゃったように、今後、濃厚接触者のうち無症状者で医者が必要と認めた場合は検査対象とするということで、これは、対象が拡大されるということで、私どもももちろん評価をしておりますが、医者の判断が必要ということであれば、例えば、1人の感染者が見つかって疫学調査で濃厚接触者を追った時に、1人ずつ全ての方に医師の判断をしていくというのは、これまたボトルネックになるのではないでしょうか。ですから、濃厚接触者は、囲い込みで皆さん検査を受けて頂く。医師は、例えば、検査の結果は陰性であったけど感染が否定できない場合の確定診断や、擬似症の場合に医師の判断を仰ぐというような形で役割を担って頂ければ良いのではないかと思います。

    そして、医療、介護、社会福祉施設での院内感染が兵庫県でも複数起きました。これをどうやって止めるかということについて、その施設内でPCR検査を行えるかということが大きな点だと思います。最近、発表された論文で院内感染防止に成功した取り組みとしていち早く院内感染を止めたのは、やはり接触した可能性のある職員・入院患者全てにPCR検査を実施したということをあげております。

    専門家会議でも地域や流行状況に応じて迅速に検査を実施すると言っておりますので、是非、検査体制方針を転換していただきたいと思いますが、もう一度、ご答弁をお願いします。

    井戸県知事 再答弁 どのような場合に可能性が高いかということを判断するのが現場の医師の判断によらざるを得ないかと思います。その判断を無くして、何でもいいから検査をすれば良いものでもないと思います。ご指摘いただいたような、濃厚接触者に対して検査をするかしないかですが、これはやはり可能性の問題で、した方が良いということになれば、全体の検査を当然することになります。和歌山の事例も和歌山の知事から聞きましたけれども、現場においてはやはり可能性が高いので一律に検査をしようというのが病院側の判断でもあって、それで約300人ほどの検査を約3日間かけて大阪の支援を受けてやったということであります。一律の基準はなかなか作りにくいのですが、少なくとも、国も濃厚接触者については、対象とするということにしようと言ってきておりますので、我々もそのことを前提としながら対応していきたいと考えております。

    再々質問 確認ですが、今仰ったことで済生会有田病院のことも仰ってましたが、少なくとも地域で感染拡大の兆しがあるのであれば、済生会有田病院のように一律にその地域の例えば医療機関については検査をするという方針を持つということでいいのでしょうか。

    井戸県知事 再々答弁 地域が決めるのではなくて、その危険の可能性を現場における判断した医師が判断をして範囲を決めてそして診断対象をしていくということであると考えています。

    2.次に保健所の体制強化についてです。

    公衆衛生の最前線である健康福祉事務所は新型コロナウイルス感染症への対応で業務がひっ迫しました。「帰国者・接触者相談センター」の電話対応、帰国者・接触者外来への受診調整、地方衛生研究所への検体搬送、クラスター対策含む積極的疫学調査などの業務です。

    共同通信が4月、兵庫など感染者の多い16都道府県の35保健所に行ったアンケートでは9割にあたる32保健所が「ぎりぎりで対応している」「事実上限界を超えている」と回答しています。

    保健所の人員不足は、1994年の地域保健法制定により、管轄地域をより広い二次医療圏域とされ、全国的に保健所の削減が進められてきたことが大きな要因です。県は行革でさらに統廃合をすすめるなかで、1989年に県内41カ所あった保健所を、17カ所に、県所管の26カ所を12カ所へと半数以下に減らしました。

    健康福祉事務所(保健所)は、もともと介護、障害福祉、感染症、精神保健、食品衛生など、多岐に渡り専門的な業務を行っています。そこに、地域医療構想や、地域包括ケアなども加わり、通常の業務ですらぎりぎりの人員だったところに、今回の新型コロナウイルス対応がのしかかりました。

    神戸市や阪神間の健康福祉事務所にお聞きすると、感染症の担当でない保健師もあげて対策にあたり、さらに他部署からも応援に入るケースも多くあったといいます。

    今後、予想される第2波や新興感染症などへの備えのため、保健所の体制強化や負担軽減が急務です。

    また、保健所機能の充実が求められているときに、県民局・センターの統合で予定されている芦屋健康福祉事務所の分室化は住民の不安になっています。

    芦屋市でご家族が感染した方は、健康福祉事務所は、入院先の圏域外の病院に行くための救急車の手配と同行、診療費や傷病手当の手続き、また、退院後、職場から「CT画像と医者の診断書を持ってこないと復帰してもらえない」と言われた時も、的確なアドバイスと職場へもかけあってくれたことなど、本当に心強かったとおっしゃいました。芦屋市や市の保健福祉センターとの連携もあったからだと思うと分室化され広域対応になれば、ここまで寄り添ってもらえるのかと不安を漏らされました。

    質問 そこで、保健師をはじめとした専門職の定数を増やし保健所の体制強化を図るとともに、適切な数の保健所を整備すること、合わせて芦屋健康福祉事務所は分室化せず存続させることを求めますがいかがですか。

    当局答弁 県内の健康福祉事務所は、国の保健所設置指針に基づき2次医療圏域毎に一事務所の配置を基本とし、全国平均の人口約35万人又は面積約1000㎢の概ね2倍を超える地域に複数配置している。これに政令・中核市の5ヶ所をあわせて17ヶ所を設置し運営している。

    業務執行に当たっては、自然災害や感染症の発生などにより一時的に業務が集中する際には、これまでから保健師等の専門職を迅速かつ機動的に派遣するなど柔軟に対応してきた。今回の新型コロナウイルス感染症においても、多数の県民からの相談や感染経路の調査に対応するため、各健康福祉事務所へ、本庁及び地方機関から保健師、看護師や歯科衛生士等を派遣するとともに、関係団体を通じて元県職員の保健師や潜在看護師など専門職の協力を得て感染拡大防止に対応した。

    さらに、今後、職員配置など体制強化に加え、感染者の病状や行動歴等を一元的に整理し、関係者間で共有する「感染者等情報把握・管理システム(HER-SYS)」を導入し業務の効率化を図る。

    阪神医療圏域については、中核市2ヶ所、県所管3ヶ所の合計5ヶ所の健康福祉事務所が配置されており、保健所設置指針を上回っている。芦屋健康福祉事務所については、阪神南県民センター・阪神北県民局の統合方針において、「宝塚健康福祉事務所芦屋分室」に改組し、分室業務は窓口機能に特化することとなっているが、芦屋市に係る感染症対策、難病、精神保健などの業務を宝塚健康福祉事務所に集約するか芦屋分室で実施するかは、今後、検討する予定である。

    いずれにしても、住民サービスが大きく低下しないよう配慮するとともに、芦屋市が担う保健福祉行政との連携を強化し、利便性の向上を図ってまいりたい。

    3.次に新型コロナウイルス感染症を経て感染症病床の増床、地域医療構想の見直しについてです。

    県内の感染症病床は、2000年には1種が2床、2種が46床、結核病床が831床でしたが、今年2020年には1種が4床、2種が50床、結核病床が150床と、この20年間で感染症病床全体では約80%削減されています。

    本来、新型コロナウイルス感染者は、感染症病床での療養となりますが、病床の不足から厚労省は、一般病床での患者受け入れを認め、県も一般病床での受け入れを行ってきました。

    それでも4月19日には、準備していた296床中288人が入院、重症者病床については4月22日に、37床中32人が入院され、ひっ迫しました。

    これにより地域の中核的医療機関で通常の外来診療、手術などに支障が生じ、県立加古川医療センターでは救急患者の受け入れを制限する事態もおきました。

    感染症指定医療機関は、陰圧装置など厳しい施設基準と感染症医療経験を有する医師の配置基準があり、防護服の着脱や動線確認など適宜、実地訓練を行って備えています。第二波に備え感染症病床を抜本的に増床することが必要であり、このことが感染拡大期においても通常医療提供体制を守ることにもつながると考えます。

    医療界からも声が上がっています。横倉義武日本医師会会長は5月26日の緊急会見で、市町村の結核療養所が公立病院に吸収合併され一般病床になったことで、「感染症病床の確保が十分でなかった」「二次医療圏ごとに感染症病床を一定数確保する必要がある」と述べ、また厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」で議論を主導してきた中川俊男日本医師会副会長は、「地域医療構想では、新興感染症に対する医療提供体制の確保という視点が欠落していた」「平時にギリギリの医療提供体制ではダメだ」「新興感染症病床の候補として統合再編の対象とされた公立・公的医療機関の病床を、そのまま空けておくのも一つの在り方」と述べています。

    兵庫県内の新型コロナウイルス感染症病床は多くが公立公的病院で確保され、統合再編の対象とされた複数の医療機関が、県からの要請に応え帰国者・接触者外来を設置し、入院病床を確保しました。改めて公立公的病院の役割の大きさを示しました。

    また、西宮の統合新病院に圏域の感染症対策の中核機能を持たせる検討を始めたとのことですが、一層の病院機能の拡充を求めるものです。

    質問 そこで新型コロナウイルス感染症第二波に備え、二次医療圏域ごとの感染症病床を人口を考慮した病床数へ抜本的に増やすこと、また、公立公的病院の統合再編を迫る「再検証通知」の撤回を国に求め、兵庫県地域医療構想を、新興感染症対策を含めた医療提供体制に抜本的に見直すことを求めますがいかがですか。

    当局答弁 感染症病床については、県では保健医療計画の改定に合わせて、国の基準に基づき必要数を算定している。現在、第1種病床4床、第2種病床50床とそれぞれ国の配置基準を上回る病床数が整備されているが、今後も保健医療計画の改定に合わせて適切な体制を確保していく。なお、結核病床についても、①国が定めた各都道府県の患者発生状況や在院日数に応じた算定式に基づき病床数を確保し、②直近の病床稼働率は50%程度で推移している。

    次に、高齢化の進展による医療需要の増大に対応するため、限られた医療資源の有効活用が必要であり、県では地域医療構想を推進している。

    今般の新型コロナウイルス感染症への対応にあたり、公立・公的医療機関は、必要な病床確保等において、大きな役割を果たしてきた。また、今後の感染拡大への備えも含め、病床確保や人的支援等への迅速かつ機動的な対応も公立・公的医療機関にはその役割として求められる。

    今後の地域医療構想の推進においては、圏域における感染症対策はどうあるべきかということも重要な要素として、新型コロナウイルス感染症への対応や、地域の実情を踏まえた検討が、医療機関の自主的な取組みを基本としてなされるものと考えている。

    県では、国の分析も参考にしつつ、独自に、構想区域や病院毎の医療需給に関する現状把握や将来推計を行うなど、引き続き地域医療構想調整会議における議論の活性化の支援を行い、住民が安心して必要な医療が受けられる地域医療体制の構築を図っていく。

    4.次に、介護施設や放課後デイサービスなど福祉施設等への新型コロナ感染症対策の支援強化についてです。

    感染拡大の中で、高齢者・障がい者などの福祉現場でも困難な状況がひろがりました。

    集団感染が発生したデイサービスの利用者で、濃厚接触者として自宅待機となった方を訪問していた、ある訪問看護ステーションは、その方への対応について行政に相談したものの、具体的な対応策は示されず、防護服もない中、ポリ袋を利用した手作りエプロン、手袋、ゴーグルにマスクをつけ、極度の緊張状態で訪問を続けたとのことでした。

    神戸市の訪問看護事業所が市内の事業所に協力を呼びかけ神戸市看護大学が分析協力した実態調査では、「対策マニュアル、感染予防装備などが整っていない」と回答した事業所が95%に上り、看護・介護・福祉現場での感染症対策の専門的な支援の必要性が示されました。

    また、国の要請で開所を継続した保育所や放課後児童クラブも、子どもたちとの「密接」「密集」は避けられず、特に無認可の保育所や学童保育には、ほとんど支援策がなく、事業者にも利用者にも、不安と負担が重くのしかかっています。

    さらに、休校になった特別支援学校の児童生徒を受け入れた放課後等デイサービスからは、障害の特性からマスクができない子どもさんもいる中、高い感染リスクを抱え療育できないと切実な声が寄せられました。

    介護・障害福祉、保育など福祉分野は、過酷で低賃金、慢性的な人材不足の上に、感染予防業務が加わり身体的にも精神的にも負担となっています。専門職として使命感、意欲を維持して適切なサービスを提供し続けるためにも特別手当、危険手当の給付が急務です。

    国は、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援金を拡充し、介護・福祉分野も新たに加わったものの、保育所や放課後児童クラブなどは対象外です。

    また県は介護・障がい者等福祉施設労働者への慰労金を今補正予算で計上していますが、コロナ感染者が発生しクラスターとなった介護事業所、保育所、障がい者施設に限定しており、あまりにも不十分です。

    質問 そこで、感染の可能性がある利用者への対応について、専門的な感染症対策の指針を早急に策定し、自治体や保健所で相談できる体制を作ること、不足しているマスク、防護服、消毒液などを病院と同等に優先的に供給すること。

    また、感染のリスクを感じながら介護・障害福祉、認可外含めた保育、放課後児童クラブなどで従事されている全ての職員を対象に慰労金を支給すべきと考えますがいかがですか。

    当局答弁 県内で感染が拡大する中でも、「密」が生じやすい環境下において細心の注意を払い、感染者の発生を最小限にとどめながら業務を継続いただいた社会福祉施設等の皆様には、改めて御礼申し上げたい。

    その上で、慰労金については、県独自の取組として国交付金の対象外とされた保育施設職員を対象に加えつつ、感染が発生した施設等で対応に当たった職員等に支給することとした。その他職員への一律5万円の慰労金の支給については、国交付金の制度趣旨、支援対象者の範囲等に不明な点も多く、慎重に考える必要があり、現時点では定められていない国の実施要領も踏まえながら、制度の趣旨に即した必要な対応を検討していく。

    また、施設等に対し、引き続き、国が示しているマニュアル等を周知しつつ、①関係機関と連携した研修の実施や②保健師や看護師等の感染症専門家等による相談窓口の設置、③医師等の専門家を施設に招き感染防止対策の具体的な助言を受けるための研修費用の助成に加え、施設等に50万円を支給し④面会用タブレット等の物品購入、⑤発症者隔離用の多機能型簡易居室設置等、施設等が適切な感染防止対策を講じながらサービスを提供できるよう支援を行う。

    マスク、消毒液等の衛生資材については、高齢者施設等において、概ね2ヶ月分のマスク、消毒液等の確保を図った上で、さらに概ね2ヶ月分を県で保管することとしているほか、濃厚接触者等にサービスを提供する場合に必要な衛生資材として、県でもガウンやフェイスシールド等の確保に努めている。

    引き続き、現場で働く方の安全を確保しつつ、必要なサービスを確保できるよう「次なる波」に備えた取組を進めていく。

    5.次に、暮らしと営業を守りぬくための支援強化についてです。

    新型コロナウイルス感染症拡大防止のため要請された自粛、行動制限は社会経済活動に深刻な影響を及ぼしました。

    国は“自粛と補償をセットに”という国民世論をうけ、支援策を一定前進させましたが、持続化給付金は、1カ月の売上高が前年比で50%以上減という厳しい要件のまま、家賃支援給付金は、売上高を前年と比較する対象月に、影響が最も深刻だった今年3月4月は含めないなど、対象が限定的であることなど課題が残されています。

    県は、県民の声や日本共産党議員団の要請にこたえ経営継続支援事業を創設、対象外としてきた100㎡以下の学習塾・商業施設等も新たに対象に加え、今補正予算案では、5月21日までの宣言延長を受け、給付額を上乗せするなどの拡大をしてきました。

    同時に課題もあります。休業要請・協力依頼の対象は「施設」であるから、支援金の対象も「施設」であるという理屈から、例えば同じ学習塾等でも、自宅や自前の施設で主催している場合は支援金の対象になり、文化センターなど貸室で主催している場合は支援金の対象にならないという線引きがされています。

    また、本来、休業を要請されていない飲食店、衣料品店などが、休業した大型ショッピングセンター、公立施設の中にあったことで、休業を余儀なくされたという場合であっても支援金の対象外とされています。議員団には王子動物園の中の飲食店から相談が寄せられました。

    さらに、6月12日時点で申請受付20,392件に対し、支給が4,274件とのことで、「いつ支給されるのか」と切実な声も多数寄せられています。

    多くの事業者の方からご相談を受けてきましたが、自分のお商売は生活のライフラインだという自負を持っておられます。持続化給付金が入ってきた30代の若いお茶屋さんの店主さんは「これで営業を続けていく気力が出てきました」と話されました。

    この地域でもう一度頑張ろうと思える支援が待ち望まれています。

    質問 そこで持続化給付金、家賃支援給付金などの要件を大幅緩和し、対象を抜本的にひろげることを国に強く要請することを求めます。

    県の経営継続支援事業について、「休業要請を行った事業者」「売上50%以上減額」などの要件を見直し、対象を直接的間接的に影響を受けた事業者に抜本的に広げ、支援額を引き上げ、営業と暮らしが持続できるよう支援を一層強めることを求めます。お答えください。

    当局答弁 コロナ禍で中小企業の売上に影響が及ぶなか、中小企業全体を広くカバーでき、事業者毎に区々である必要な資金量に的確に応えられるコロナ関連貸付を一早く立上げ、融資枠を過去最高の1兆円に引上げた。6/12までに保証料無料・3年間無利子を含む5つの資金を合わせて19,189件、3,644億円の保証承諾を行っている。

    このような量的効果に加え、個々の事業者視点でみても、1者あたり平均23百万円の融資実績の通り、補助・給付では手当てできない資金を供している。さらに無利子貸付の限度額引上げ、保証料全額補助貸付の創設により、売上減少下での事業継続に注力する。

    給付事業については、国との連携・分担の下、休業要請の有無に関わらない国の持続化給付金、今後始まる家賃支援給付金をベースにしつつ、県では休業要請に応じた事業者への経営継続支援金事業に取組んでいる。これらの取組は一定の売上減を要件としているが、他方でそれを求めない施策もある。業種を問わず事業再開のための感染防止策実行のための取り組みやテレワーク導入、観光地等の需要回復、製造業のサプライチェーン強化等への支援である。いずれにしても施策目的に沿って対象者を明確にし、その効果を高める上で何らかの要件は欠かせない。

    施策の改善にも留意する。経営継続支援金は、開業時期を3/1までから3/31までに対象を広げ、5/7以降の休業も追加給付し、制度を充実する。施策の実施にあたっては、早期支給を念頭に置いて相談や事務に臨んでおり、引き続き、受付から支給までの期間短縮に努める。併せて国に対しては、県単独、関西広域連合、全国知事会を通じ、持続化給付金の支給額引上げや家賃支援の早期実施等を要望している。今後も中小企業が直面する課題を見据え、対応を進めていく。

    再質問 経営継続支援金について、先ほども例に挙げたが、休業要請・依頼されているにも関わらず、例えば学習塾等について「自分で施設を持っていること」という要件が最初の要項には全く書いておらず、貸室は対象外というのはごく最近のQ&Aに掲載された。そのため対象になると期待していた事業者が対象外という事態になっている。また、休業要請された大型ショッピングセンターに入っていて仕方なく休業していた事業者も支援金の対象外になるのはどうしても納得できないのではないかとは思う。対象要件を作ることが必要なのは分かるが、それでも例えばこのような事例は対象にすべきと思うが、いかがか。

    当局再答弁 対象者については、我々が休業要請をした対象や期間等を踏まえ、様々な業種があるなかで、バランスも取りながらこの支援金の対象を決定しているところである。

    案件ごとに様々な状況があるなかで、できるだけその案件に沿う形で判断しているが、その状況を踏まえながら検討しているところもある。案件に沿って今後も適切に対応していきたい。

    6.最後に、コロナ禍のもとでの教育の在り方についてです。

    6月1日から多くの学校が分散登校で再開され、今日15日から通常登校が始まりました。

    学校休業中、児童生徒は、様々な思いを持ちました。国立成育医療研究センターの「コロナ×こどもアンケート」では、76%の子どもが「困りごと」として「お友だちに会えない」ことをあげ、「勉強が心配」などと続きます。各種のアンケート調査には「何もやる気がしない」などの子どもの痛切な声が記されています。また家庭環境の差が学習格差として現れてきています。

    今何より、子どもがかかえた不安やストレスに共感しながら、心身のケアをすすめる手間と時間が必要であり、このことが学びをすすめるうえでの前提になります。

    そして、土曜授業、夏休みや学校行事の大幅削減、7時間授業などでつめこむやり方ではなく、学びとともに、人間関係の形成、遊びや休息をバランスよく保障する柔軟な教育が必要です。そのためには、学習指導要領などによる指導を弾力化し、目の前の子どもたちのために何がいいか話し合って決めるなど、現場での創意工夫を引き出すことが必要です。

    地元の小学校の校長先生に6月1日から登校再開したこどもたちの様子を聞いたところ、子ども達の様子と共に「クラスが少人数になって、どれだけ一人一人の子どもたちがよく見えて話も聞けたか!学校はやっぱりこれでなきゃいけない!と思いました!」とおっしゃっていました。分散登校で、図らずも20人程度の学級になっていたからです。

    今、「新しい生活様式」として、学校においても最低1メートルの間隔が呼びかけられていますが、これまで通りの「40人学級」では物理的に不可能です。

    そして、子どもへの手厚く柔軟な教育のためには、学校の教職員やスタッフを思い切って増やすことが必要です。

    県の6月補正予算案では、少人数学習集団の編成支援があるものの、原則小6、中3に限定し、非常勤講師の追加、時間延長をおこなうこと、学習指導員やスクールサポートスタッフ、県立学校業務支援員の配置などにとどまり、とてもすべての学年、クラスで少人数授業が保障できる配置にはなっていません。

    質問 そこで子どもへの手厚く柔軟な教育・また感染防止をすすめるために小中高校の全学年で20人程度の少人数授業を行える人員配置と教室の確保を求めます。

    また文部科学省の通知をふまえ、次年度も含めた教育課程の編成など、学校現場で話し合って決める柔軟な教育がすすめられるよう求めます。合わせて、感染が不安で学校を休む児童生徒について、県教育委員会は一律に欠席とする方針ですが、5月22日に出された文科省のマニュアル、6月5日の通知では、新型コロナウイルス感染症について未解明の点が多い特性を鑑み、保護者の判断に合理的な理由があれば欠席扱いにしなくてもよいとしています。県においても柔軟な対応を求めますがいかがですか。

    当局答弁 学校再開後は、当面、徐々に学校に慣れることに重点を置きつつ、児童生徒の一人一人の不安を取り除き、各学校が実情に応じて、創意工夫した教育を進めるよう、指導している。

    学校における感染症予防対策は、マスクの着用、消毒、換気の徹底、児童生徒の間隔を確保するなど、3密を避ける取組を行っている。このうち、児童生徒の身体的距離の確保については、感染症の発生状況を踏まえて対応することとなっており、本県は5月17日以降29日間にわたり、新規感染者がいないことから、国の指針に基づき、できるだけ距離を確保するように努める。

    感染への不安から登校できない児童生徒については、同じく現状の感染状況を踏まえて、通常登校後は、欠席扱いとするとしているが、学習面及び生活面における支援を十分に行うよう指導している。

    中学校3年生までの35人学級編制や中学校、高校における少人数指導の拡大については、いじめ、不登校などの課題、教員の長時間勤務の解消等、広く教育活動充実のために必要であり、県としては、従来から国に対し抜本的な定数改善や教員の加配措置の充実を求めているが、引き続き粘り強く働きかけていく。

ページの先頭へ戻る