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2006年08月09日

武庫川流域委員会への意見書(8月9日)

流域委員会で作り上げる提言に反映させていただきたいことと県への質問

いよいよ、流域委員会で県への提言をまとめ上げる段階となりましたが、流域委員会の皆さんの取り組みと熱意、ご苦労に敬意を表するものです。
さて、その提言にぜひ反映させていただきたいことがあります。今、気づく点を述べさせていただきます。


(1)整備計画原案作成までに県が再調査、再検討すべき点

県の現在のきわめて不十分な資料や、粗度係数の設定でも新規ダム(武庫川ダム)なしで、当面の整備計画の立案が可能であり、またそうすべきであることが、流域委員会の審議の中で明らかになり、その骨子が先日の委員会で採択されました。これは画期的なことです。

しかし、一方、県の不十分な検討を流域委員会が認める形になっては、今後に禍根を残しますし、また、流域委員会でのせっかくの提言が、生かされない事態も生みかねないと危惧します。その点で、流域委員会として、県の検討の不十分さの是正を県に求めることを提言の中に明記していただきたい。すなわち、7月の流域委員会が採決した提言骨子を踏まえた提言内容が作り上げられると思いますが、その中で県に対してその提言内容にもとづいた整備計画の作成を求めるにとどまらず、さらに、県の検討と資料が極めて不十分にとどまっていることの是正のために、整備計画原案作成までに、以下の調査と検討をおこなうことを県に求めていただきたいと思います。

1.河口から3キロ地点の下層の調査を踏まえて再検討を
河口から3キロ地点の下層の粒度分布を調査の上、この調査で明らかになった下層の粒度分布で代表粒径や粗度係数を決めればどうなるのか。3キロ地点調査結果を踏まえて河道区分を見直せばどうなるのか。試算を行い、台風23号水量からの逆算粗度係数と比較、検証をおこなうこと。また、その結果にもとづき見直しを行うこと。

2.武庫川上流域の湛水を考慮すること
別添の写真(写真-1)は、平成16年23号台風時の武庫川上流(三田市藍本)での田畑冠水滞留を目撃した地元住民に現地で立会い証明していただいた写真です。この23号台風の際、この写真に写っている武庫川は、溢れなかったのに、武庫川沿いに田畑は、写真で示す高さまで湛水した(当時は、藍本地区では写真の高さの位置の武庫川堤防の法面に刈り取った後の稲わらが一筋となってへばりついた。後で、一帯の農家みんなが出て、稲わらを堤防の法面からはぎ取り、田んぼにばら撒く作業をした。だから良く覚えている。)というのです。三田市内の武庫川の下流部でも武庫川の堤防に稲わらがへばりついた状況を見たと語っておられます。写真-2がその区域の一部を示す写真です。

おそらく、こういうことがかなり広範囲に三田市内の武庫川で起きていたことが推測されます。県は、盛んに、三田市内の武庫川の流下能力があると主張して、上流域で降った雨がそのまますべて流れ込んでくるようしていますが、実態は違うということです。県のハザードマップでは、いくつかの雨量に関する武庫川の浸水・溢水区域の表示がおこなわれていますが、このこととの関係はどうなのか。

また、三田市内の雨水幹線が、23号台風時でも武庫川に流れ込まず溢水したり、市内の雨水幹線があふれたことは、市当局も認めています。23号台風よりも大きな雨を想定する以上、この検討は欠かせないことです。頭から拒否する理由はひとつもないと考えます。
この対策としては巨大な雨水幹線をさらに網の目のようにつくることは、現実にはきわめて困難でしょうし、そうすると、滞留や貯水機能の強化ということになりますが、この方策は、結局、武庫川下流の河道分担量を減らす結果を生みます。

こういったことが検討できるソフトもすでに開発されていると聞きますが、いずれにしても、県の期待通り流れることにならない実情をまったく無視して県が整備計画原案を作ることは無責任です。こういう検討をあらかじめ組み込めば、これらの流域の改善をした場合も治水計画に反映することが可能となります。流域を触ればいったいどうなるのかは、関知しない、頭から無視する方法では、総合治水とは言えない。流域委員会で指摘されている、開発や都市計画、街づくりとの整合性が治水計画において担保される、組み込まれた方法に進むべきです。それは、当然、現在の流域の状況を反映させたもの、現在湛水することを踏まえた整備計画原案となります。そうしてこそ、下流の流量を一気に増やさないための上流の治水対策はどうあるべきかの治水計画の発展が生まれます。
三田市内の武庫川沿いでの23号台風時の田畑冠水滞留の調査をおこなうこと。三田や流域各市での下水の溢水も調査すること。計画降雨は、23号台風よりも大きく当然、滞留は増大しますが、このことを踏まえた河道分担量とすれば、どうなるのか検討をすることが必要です。
これらを県に求めていただきたいと思います。

3.ダムとしての水田機能、今年から全国で検討と実施が始まる
今年度、兵庫県では、全額国費で、武庫川沿いの篠山市内(旧丹南町)で、ダムとしての水田という検討業務が始まります。国の実施要綱では、「水田の雨水貯留機能を増進させるための畦畔の補強・嵩上げ、休耕田の遊水池化などの」取り組みを全国的に展開するためのモデル事業を実施するとしています。県(農林水産部)は、この事業で、できれば、ひとまとまりの渓谷沿いの検討をしたいとしています。
 また、今年度事業として、県の農林水産部では、武庫川流域をはじめ、県下各地の水田などの放棄田、転作田の具体的箇所のわかる詳細な実態調査が始めています。これらの実態調査が流域委員会の審議に役立つようにおこなわれてきていれば、一層具体的な放棄田などを生かした総合治水計画作りがおこなえたわけですが、国のテンポに合わせるだけで、流域委員会の審議にあわせる努力がなされませんでした。農林水産部局でのこれらの調査は、当然、県のこれから作成する整備計画原案に生かされるべきであると考えます。

4.下記にも記しますが、取水に関わらない堰の撤去は、20年前の計画ではすでに予定されていた(昭和58年2月、株式会社建設技術研究所が県に報告した「昭和57年度武庫川流量・河道検討業務報告書」)わけで、それを先延ばしにする根拠はない。整備計画原案に生かすべきです。

5.潮止め堰の撤去は、整備計画に反映させるべきと考えますが、少なくとも整備計画原案作成までに、潮止め堰を撤去した場合に県が、地下水に影響が出ると盛んに主張している問題について具体の調査と検討を県にさせ、整備計画原案に生かすべきです。
今、西宮市内の武庫川以外の県河川の多くは、高潮時の降雨時は河口で水門を閉め、ポンプアップしていますが、それ以外は満潮時も水門は開け放たれたままであり、多数の県河川を通じて海水が自由に街中に侵入している状態です。護岸があるとはいえ、海水が地中に浸透していないとは言えず、逆にこの干満の挙動は年中のことであり、潮止め堰撤去が初めて、市内の地下水に海水の影響を及ぼすものでなく、これまでも、前述の挙動を通じて、地下水への影響はすでにおきていると考えるのが普通ではないか。このことを県が大問題にしたとは聞いたことがありません。
潮止め堰の撤去は、流下能力の向上とともに、干潟の再生や下流の水生生物の保全・再生に効果が期待できるものであり、整備計画原案に入れるべきであるし、そのための必要な資料は、整備計画原案作成までに整えることを県にぜひ求めていただきたい。

以上の各項目について、調査と検討をおこない、整備計画原案に反映させることを、流域委員会の提言の中で明記して県に求めていただきたい。


(2)県の推定粗度係数算定の疑問

県と建設技研は、ほかの河川計画作りでも、「下層」を無視して「表層」で結論を出しているのですか。
県は、執拗に表層で粗度係数を決めるのが当然という態度ですが、そこでお聞きしたい。県、また、建設技研としてこの10年間でかかわった治水計画(河道部)作りで、その計画での粗度係数の決定根拠は、逆算粗度によるものか、推定粗度によるものか、推定粗度の場合は、表層の粒度分布で判断したのか、下層の粒度分布で判断したのか。また、その際、下層と表層とどれほど相違したのか。以上の点について、それぞれの治水計画作りでの下流、中流、上流でそれぞれどうだったのか。県から受注し、県の指示を受けているコンサルタントにお聞きするのは異例かと思いますが、武庫川に当初から関わっておられ、かつ、表層での調査に固執される説明を前回されたのでお聞きするものです。お許しください。ぜひ、つまびらかにお教えいただきたい。

1.私は、下層での調査で検討すべきことを前回の意見書で指摘しましたが、その際、口頭説明がわずか2分しか与えられなかったので、その補足を行わしていただきたい。
河川砂防技術基準案の「4.2河床材料調査の調査地点と回数」の解説で、「粒度分布および粒度分布の調査については調査編第9章2.6.2および2.6.3を参照のこと」とあるように、2.6.1.2の「河道部の調査」とあるのは、河口に限定したものでなく、すべての河道部の調査でも適用する方法であることを示しています。
さらに、その2.6.1.2のところでは、「表面から30cmの表層を取り除くものとする」とし、その上で、「さらに30cmの深さから砂礫を採取するものとする」と規定しています。また、その解説で、「河床の表面は、アーマリング現象によって比較的大粒径の砂礫に覆われていることが多いから、平均的な資料を得るためには表層を取り除く必要がある」と明記しています。
表層のみの粒度分布調査については、「表層のみの粒度分布を調べる場合で、比較的粒径の大きい礫などで覆われている場合には、等間隔ごとに石の径を測定する線格子法・・・による調査も簡便法である」と限定的に記載しています。
この一連の文を素直に読めば、表層を取り除いて、下層の資料で粒度分布の判断をするのが妥当であることは明らかです。下層の調査による判断を拒む理由はまったくありません。


2.「中小河川計画の手引き」は、県自ら、これに準拠して計画をつくるとしてきています。
例えば、第13回武庫川流域委員会において、伊藤委員の質問に対して「ところが、その基準(建設省河川砂防技術基準案のこと)だけでは実際の河川計画というのはできない・・・、もう少しわかりやすいものということで、手引書が中小河川に策定されている。中小河川の手引き、これもまだ案ということですけれども、中小河川計画検討会で、学識者や国土交通省の方々、府県の中心の方々を中心に・・・まとめられた」し、「我々はこの中小河川手引きは活用できる」「十分活用できる」と答弁しています。「現時点で中小河川の関係での手引きというのはこれしかない」「こういうふうに設定すれば計画が立てれますよという、名前のとおり手引書でございます」とまで言い切っておられます。
その中小河川計画の手引きでは、県のこの間の検討の中でも、よりどころとしてきたもので、粒度分布調査、代表粒径設定、粗度係数設定でも当然、この内容にもとづいておこなうべきであることは当然です。

(3)武庫川の上流や中流などで23号台風を基準にした洪水ハザードマップに関連して


武庫川の上流や中流などで23号台風を基準に洪水ハザードマップが作成されていますが、そこでは、「河川の堤防が大雨により破堤若しくは溢水した場合」の浸水の範囲や深さを色分け表示しています。
(資料1-1:http://www.hazardmap.pref.hyogo.jp/MWIISapHMapFlood/HF_map.asp?x=7508140&y=-11280246&r=10000&l=1&t=FL&b=1&o=&p1=&p2=&s=0
(資料1-2:http://www.hazardmap.pref.hyogo.jp/MWIISapHMapFlood/HF_map.asp?x=8284455.14803122&y=-12372788.7156686&r=10000&l=1&t=FL&b=&o=0&p1=0&p2=0&s=0
先に私が指摘した点など武庫川沿いに広範囲にかつかなりの深さで浸水箇所が表示されていますが、それぞれの表示は、何年確率に相当するのか、明らかにしていただきたい。前述の農家の方の話と総合すると、かなりの区域が湛水すると県のこの資料は示していると思いますが、いかがでしょうか。説明をお願いします。



(4)20年以上前に自ら与えた“宿題”をサボタージュしてきた県


昭和58年2月、株式会社建設技術研究所の「昭和57年度武庫川流量・河道検討業務報告書」(資料2-1)では、粗度係数を実績洪水で検証すべしと明記している

昭和58年2月、株式会社建設技術研究所が県に報告した「昭和57年度武庫川流量・河道検討業務報告書」の中の第7章「1 河道計画における問題点と課題」の「(1)粗度係数」の項で、「問題点の一つとして粗度係数の与え方があり、武庫川の低水路nl=0.035、高水敷nh=0.055を採用している」と記述。そのあと、「通常、粗度係数の決定にあたっては、実績洪水流量による検証がなされるが、武庫川の場合実績洪水時の水位、流量の観測データが皆無なことから検証はおこなわれていない。」としていることに明らかなように、実績洪水による検証の必要なことを明記している。
「計画流量決定における問題点と課題」のまとめの項では、「実績流量データの皆無な状態では妥当性の判断が出来ない」として「水文資料(雨量、特に流量)の観測体制の整備」を求めています(20数年前の話です。県は何をしてきたのでしょうか。)結局、県の今の姿勢は、その水文資料不足のときに決めた、粗度係数n=0.035を守るために必死になっているのではないか、非常に疑問を感じます。
なお、私が再三県にこの報告書の提出を求めても、「見つからない」などといって今なお提出されていません。私は、この検討業務を請け負った建設技術研究所は、武庫川についてずうと調査を受注しているわけだから、そこにはあるはずだといってきましたが、提出されないままです。この際、この報告書の提出を改めて求めたい。
また、同じ報告書で、「堰あり」と、「六樋堰と百間樋堰を残して他の堰は撤去する場合」と比較して、300立方メートル/秒の流下能力が増えるとし、宝塚大橋までの「環境整備(=高水敷の整備)完了後は、(六樋堰と百間樋堰以外の)堰堤は撤去されるものとする」としています。(この時の比較検討は、六樋堰と百間樋堰は、固定堰の考えと思われるので、可動堰の現在は、他の堰を撤去した場合、流下能力はさらに大きくなると思えます。)
この報告書ですら、流下能力向上のために、取水堰でない堰の撤去を当時考えていたわけで、これは、今回の整備計画原案に加えて当然です。

この報告書での今後の課題として、「河道計画における問題点と課題」に関わる点については、「神戸大学名誉教授田中茂先生にコメントを頂いた。その結果をここに整理し、今後の課題とする」と記入されていることを紹介します。(資料2-2

このように、河道の流量実績調査は、20年以上も前から専門家から指摘を受けてきた問題であり、この調査を怠ってきた県の責任はきわめて大きいことを改めて指摘しておきます。(つづき研二)

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