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2006年07月10日

武庫川流域委員会への意見書(7月10日)

つづき研二

武庫川下流部の代表粒径の設定や河道区分についての疑問

基準に基づいて設定すれば、下流の流下能力が大幅に引き上がるのではないか。代表粒径や河道区分、流下能力について基準に基づき再検討をすべきです。


1.実際の洪水で検証すれば、武庫川下流の流下能力は毎秒3千数百立方メートルある

この間、明らかになったことは、痕跡調査の精度の差が、年毎に差があるにせよ、平成10年10月、平成11年6月、平成12年11月、平成14年9月の洪水痕跡からの逆算粗度係数は、県の主張する推定粗度係数をいずれも大きく下回るということです(資料1)。さらに、逆算粗度係数で流下能力の検証をおこなえば、県の検討資料でも甲武橋下流では、どの箇所も毎秒3千数百立方メートルの流下能力があることです(資料2)。

この間、武庫川下流部の現河道の流下能力=毎秒2500立方メートルという判断は、実際の流下能力をただしく表していないのではないかと疑問を提示し、痕跡水位による逆算粗度係数が、いずれも県の主張する粗度係数と大きく相違することを示してきました。その結果、ようやく県が、平成14年の「武庫川治水計画検討業務報告書」、平成17年の「武庫川 治水・利水・環境計画検討業務報告書」で、それぞれ、逆算粗度係数の算定をしていたこと、また、台風23号による逆算粗度係数で流下能力を算定すれば、甲武橋下流では、どの箇所も毎秒3千数百立方メートルの流下能力があることが判明しました。
すなわち、この逆算粗度係数による流下能力の算定をやり直せば、毎秒3千数百立方メートルの流下能力が現在の河道に存在することとなり、武庫川渓谷に新規ダム建設などという考え方は根底から成り立たなくなります。
  県は、今なお、逆算粗度係数の採用はできない、推定粗度係数を採用することを主張していますが、では、その推定粗度係数は、正しく河川の状態を反映しているのかということです。

2.実際の洪水で検証していない県の数値=推定粗度係数

ここで、問題は、県の設定する推定粗度係数と実際の洪水から逆算された逆算粗度係数が、大きく相違する場合は、さかのぼって、代表粒径の設定の妥当性を検証することになっているのに、それが行われていないことです。

 これまでの県の説明や、県の推定粗度係数を支持する意見は、いずれも県の推定粗度係数の根拠づけに使われている現況河床の代表粒径の設定が正しいという前提に基づいています。しかし、問題は、推定粗度係数を決める根拠となる代表粒径の設定が妥当かということです。
県も引用する「河道計画検討の手引き」では、「逆算粗度係数と推定粗度係数の差が大きい場合には、代表粒径や高水敷粗度係数等の見直しを行い、再度低水路粗度係数の設定を行う」(P77)とされています。
県の決めた武庫川の各区域での代表粒径の設定が妥当か、その再検証が必要なのです。

3. 下流部各区域での代表粒径の設定についての疑問

(1)そのひとつは、潮止め堰の直下流部に当たる河道区分2(No15〜No25+50)の代表粒径が、45oとされていますが、これが妥当か、ということです。

調査方法自体が、基準に合わない

この平成14年の報告書の粒度分布調査は、「1kmに1箇所を基本とする」し、その箇所もあらかじめ「作業性、採取の確実性などを考慮して、砂洲上を対象とする。砂洲の最も水面方向に突き出た箇所付近」(10‐19)としています。
平成17年7月の「武庫川 治水・利水・環境計画検討業務報告書」(台風23号に関わる資料を検討するので以下、平成16年報告書という)で記載されている平成16年の台風23号後の河床材料調査でも1断面に1箇所しか採取していません。
しかし、「河川砂防技術基準・調査編」では、河床材料の調査は「1km間隔、1断面について3箇所以上とるものとする」と規定されています。いずれも調査方法自体が、技術基準に外れるやり方です。

さて、この箇所の代表粒径の設定は、平成14年の「武庫川治水計画検討業務報告書」(以下、平成14年報告書という)でおこなわれたのみで、その後のデータは公表されていません。

実際の粒度分布調査では、数mm、あるいは大きくても10mm

平成14年報告書では、実際の粒度分布調査で、代表粒径は、下層で(表層に30センチを除いた試料採取で検討することになっている)、10mm程度です。
また、平成3年3月の「武庫川潮止め堰水理模型実験報告書」(以下、「平成3年潮止め堰報告書」という)P23、P24では、河口2k地点の代表粒径は、河道みお筋で2mm、砂洲上で4mm程度です(いずれも表層を取り除いた下層の調査)(資料3-1資料3-2資料3-3資料3-4資料3-5)。
ところが、県は、この区間の代表粒径の設定では、調査結果を採用せずに、「将来的に土砂供給の減少が予想されるため、安全側を考えてその上流区間(潮止め堰〜仁川合流点)の代表粒径45mmを採用する」としています。こういう決定が通るのであれば、最初から粒度分布調査をする意味がありません。また、あたかもすぐ上流の代表粒径が45mmであるかのようにしていますが、この上流の3k地点の粒度分布は公表されていませんし、(3)に記述するように代表粒径45mmこれ自体も根拠ないものです。いずれにしても、この区間の代表粒径45mmと決定する根拠は、まったくないといわねばなりません。

(2) (1)のすぐ上流部に当たる河口から3キロ付近は、潮止め堰や阪神電車橋梁上流部にあたり、県が、武庫川下流部で、一番流下能力がないとしている箇所です。この箇所の河床がどういう状況か、代表粒径は、いくらとするのが妥当かということは、整備計画全体にも影響を与えるきわめて重要なポイントです。

3キロ地点の平成14年、平成16年の粒度分布調査結果は発表されていない

しかし、こういう重要な箇所の粒度分布調査結果が、平成14年報告書にも平成16年報告書にも発表されていません。平成16年報告書には、調査地点位置図(9−25)に「3.0k」と調査地点として記載されているにもかかわらず、そのデータは示されていません(資料4)。実際は、調査データはあるのではありませんか。県は、疑問に答えるべきです。
さて、さかのぼれば、「平成3年潮止め堰報告書」では、2k地点での粒度分布調査が記されています(この箇所の粒度分布調査なしに、またそのデータの公表なしに潮止め堰の水理実験はできないからです)。d60は、河道みお筋部で1.9mm〜2.87mm、砂洲上で2.97mm〜4.57mmです(いずれも下層)。
この箇所を代表粒径45mmとするのは、実態とまったく乖離しています。
水理実験では、こういったデータを下に水理実験をおこない、潮止め堰に問題は起きないとしながら、今回の河川整備計画では、県は、この箇所やこの箇所の下流の潮止め堰の代表粒径を「将来土砂供給の減少が予想される」と代表粒径45mmとしていますが、まったくご都合主義です。

河道区分も疑問

こういう無茶と思えることが行われているには、3キロ地点を、粒度分布調査も示さずに河道区分3のNo25+50〜No89に組み入れているからです。河道区分の設定自体が疑問です。

以上、3k地点は、代表粒径が、平成3年の調査で2mmから5mm程度であるにもかかわらず、45mmの代表粒径の河道区分に組み入れることは再検討すべきです。

(3) 4キロから9キロ(No89)の間の代表粒径の設定の仕方が妥当か。
平成16年報告書で、4キロから9キロの間の代表粒径は、平成16年の粒度分布調査に基づいてあらためて代表粒径を設定したとしていますが、その設定の仕方が、きわめて疑問です。
平成16年報告書には、2.55k~8.9kの粒度分布調査結果(2−41、9−52)として、採取法による下層のd60は、4k=4.3mm、5k=4.3mm、6k=6.3mm、7k=16.7mm、8k=18.3mmとなっています。ところが、代表粒径の決定に際して、ポピュレーションブレークとして、7k地点、8k地点の粒度分布調査の10o以下を切り捨てた後の60%値を採用し、代表粒径を45mmとしています。(7k、8k地点の加工する以前の粒度分布そのものは、示されていない)(資料5-1資料5-2
しかし、この方法は、「河道計画検討の手引き」に反するやりかたではありませんか。

「河道計画検討の手引き」では、60%値が1センチ(=10ミリ)以下は、その値を代表粒径とするとしています。60%値が10mm以下の4キロから6キロは、この規定に基づけば、ポピュレーションブレークをする必要もなくポピュレーションブレーク後の値を採用することは実態と大きく乖離します。
また、「河道計画検討の手引き」では、ポピュレーションブレークをする場合は、60%値が10mmを超える場合で、かつ、A‘“以下の集団が30%以上となる場合とされており、詳細な手順が示されていますが、この検討がなされたのか。また、10mmできった根拠は何か、明らかにされていません。10mm以下の構成は4キロ、5キロ、6キロ地点それぞれ、73%、73%、67%となっており、各地点の河床材料の7割を切り捨てて、低水路流量を考えることになりますが、これが妥当といえるのでしょうか。
平成14年の県調査でも、確かにポピュレーションブレイクの検討をしていますが(10-22)、そこでは機械的に10mm以下を切り捨てるようなことはせず、0.8o以下を切り捨てるポピュレーションブレイクとしています。これと比べても異常な扱いです。
7k、8k地点での加工前の粒度分布調査結果が示されていないために、この地点は不明ですが、少なくとも4k、5k、6k地点は、代表粒径45mmの河道区分に入れることは、実際と極端に乖離した河床状態を想定することになります。「河道計画の手引き」にもとづき、この区間の代表粒径は再検討をすべきです。7kmにわたって、45mmの代表粒径の河道区分にしていることも、再検討をすべきです。

県の推定粗度係数(低水路)では、台風23号前既往検討では0.034、台風23号後検討では0.032としていますが、「美しい山河を守る災害復旧基本方針」のデータでは、0.034は、河床が20cmから40pの玉石状態をいい、0.030でも10cmから20pの玉石状態を指しています(資料6)。しかし、現在の武庫川の下流部の河床は、このような20cmも30cmもあるような玉石の河床ではありません。この河床を0.034とか0.032とするのは、過大な数値であることは明らかではないでしょうか。常識的に考えれば、まったくおかしいことを前提に、県が、現況流下能力を過小評価し、武庫川ダムを主張する、武庫川ダム付整備計画をつくるということはまったく道理のないやり方です。「美しい山河を守る災害復旧基本方針」の表1−1河床部の代表粒径と粗度係数の関係(参考1−3)で、河床の代表粒径2cmから5cmでは、粗度係数を0.029としています。

県が、現況河床の流下能力やその根拠となる粗度係数、代表粒径、河道区分などについて全面的に再検討をすべきです。
以上、先に述べた各疑問点について、文書で流域委員会に回答することを求めます。

4.たった1枚の写真で洪水痕跡調査が信頼できないかの宣伝は、逆に県の姿勢と調査のずさんさを示すもの

  県は、阪神電車橋脚にまきついた草や枝の写真を盛んに示していますが、洪水痕跡による粗度係数逆算の価値を低めようというのならいざ知らず、本当に阪神電車橋梁部でのより正確な水位を把握したいと考えているなら、なぜ、本格的に調査をしなかったのでしょうか。
阪神電車の武庫川橋梁には、河川中央部に相当する箇所の橋桁に超音波による水位測定器が設置され、記録が残されています。私が、阪神電車に問い合わせると、台風23号時の最高水位は、桁下2.4メートルであったということです。(2004年10月20日17時50分〜18時の間の3秒おきの最高水位の平均値)。
  私は、逆に県にお聞きしたい。台風23号時の潮止め堰の水位記録が未だに公表されていません。議会でも副知事が「機械が壊れていた」などと答弁していますが、これは事実をごまかす発言です。私が、現地事務所に伺い、管理者も同席してお聞きした内容は、機械が壊れていたというのは、印字機の具合が悪かったということで、潮止め堰の現場の水位計は作動し、現場事務所にも水位のデータが変化するたびに画面に数字で表示がなされていたということです。県の防災計画では、この潮止め堰の水位は、県庁の河川整備課にある防災本部に1時間ごとに報告しなければならないと定められています。現場事務所も県庁もこの記録がないとしていますが、防災計画で定められたことを県庁も現場事務所もしていなかったことになります。大変な水量が武庫川に流れているときに、しかも一番危険箇所といわれている箇所の水位把握に関心も注意も払っていなかったとすれば、重大な問題ではありませんか。
水位記録がないとしている点についての疑問に対し、県は、口頭でなく文書で流域委員会に回答をしていただきたい。

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