2017年度予算組み替え案 提案説明
日本共産党県会議員団の入江次郎です。日本共産党の平成29年度兵庫県予算案の編成替えを求める動議について、提案説明を行います。
知事は就任以来、行革後期五か年計画、新行革プランから現在まで、福祉医療費助成など県独自制度を相次いで後退させてきました。こども医療費助成についても所得制限の強化、一部負担金の値上げ等、後退を続けてきました。新年度予算案には、「最終2か年行革プラン」の実行予算として、老人医療費助成の廃止が盛り込まれましたが、県民からは多くの批判の声が挙がっています。
関西でもトップクラスの2兆6千億円もの内部留保をもつパナソニック社には、姫路工場だけで6年間に総額70億円も補助し、新年度予算でも産業立地補助金は引き続き継続され、県民のくらしがますます厳しさを増す中で、税金の使い方が逆立ちしていると言わざるをえません。
知事は「地域創生本格化」予算といいますが、ロボット、航空分野、先端医療などを成長産業と称し「選択と集中」を進め、農業分野でも大規模化、輸出型を誘導する事業などが目立ち、県内に今ある中小企業の底力を最大限汲みつくし、活かしたものになっていないように思います。
日本共産党県議団は、県提案の平成29年度予算案を県民の立場からチェックするとともに、県民の願いにこたえる提案として、17年連続となる、予算組み替え動議を提出するものです。
組み替え案の内容について、まず全体の規模は、一般会計を中心に、ムダ・過大・不急等、見直しが必要な事業、県民にとって問題のある事業を88項目、合計339億円を減らし、そこから生み出された一般財源と特定財源をあわせた約93億円を、32項目の増額に充当しています。
また、県債の発行額を、一般会計と2つの特別会計で、200億円抑制しています。
次に、主な内容についてです。
第1の柱は、子育て、教育への支援を強めるための組み替えです。
高校、大学などの高学費によって苦しむ学生がひろがっているなか学費無償化、教育費の支援は喫緊の課題です。
国が給付制奨学金の実施を来年度から行おうとしていますが、対象人数があまりにも少なく、求められる現状にこたえるものとはなっていません。県施策でも、新規施策として中小企業に就職した既卒者に対する奨学金返済支援の制度が設けられましたが、予算規模でみると対象者は極めて限定的です。そこで、新たに県として大学生向けに、年間12万円を1000人に給付する奨学金制度を創設しました。
こどもの医療費は、県全体で、中学まで、通院・入院とも所得制限なしで無料化するため、約60億円の予算を増額しています。
中3まで医療費無料の自治体は、ますます大勢となり県下41市町中34市町で実施、太子町があらたに予算化の予定で、未実施なのは6市のみという状況です。
県が実施を決断すれば、未実施の市も含め、市町の取り組みを支援し、県民の子育ての願いにこたえる一歩となります。
また、現在、小学4年生で止まっている35人学級を6年生まで実施するため約8億7000万円を増額しました。
難病患者の医療費について、国の制度改変によって有料化された非課税の患者自己負担額を無料に戻すため4300万円を増額します。
第2の柱は、「過労死ゼロひょうご」実現のための施策の新設です。
過労死・過労自殺が社会問題化し、本会議でわが党議員が指摘したように、県内では毎年約10人の方が過労死・過労自殺され、脳・心臓疾患、精神障害の労災支給決定数は、全国でも高水準の県となっており、ただちに改善がもとめられます。
県として「過労死ゼロ宣言」をおこない、具体的な施策として長時間労働是正やインターバル制を導入した中小企業へ人件費補助をするために3億円計上しました。また、労働法を解説したワークブックを大学生向けに配布することが予算化されていますが、内容をさらに充実し、高校生にも配布できるよう増額しました。
「過労死ゼロ」促進のための調査費を計上し、過労死ゼロ促進のための調査・検討をすすめます。
また、長時間労働の是正・働き方のコンプライアンスが社会全体で問われている時に、県職員の超過勤務の実態を見過ごすわけにはいきません。当委員会では、労基法三六条にもとづく協定を締結している土木事務所や港管理事務所などで協定の上限を上回る超過勤務が横行している事態を指摘しました。その改善のために、13土木事務所、2港湾管理事務所に職員を一人ずつ増員するために土木管理事務職員費を約1.4億円を増額しました。土木事務所では平成19年度からの行革によって1254人から960人へ職員が削減されています。職員の健康管理はもちろんのこと、県民サービスを低下させないためにもこれ以上の人員削減は中止し適切な職員配置が必要です。
第3の柱は、県「行革」の影響の回復をめざすことです。
行革「最終2カ年プラン」による老人医療費助成事業の廃止を中止し、事業継続のために約5.8億円計上します。
また、今回の行革で削減された保育士等の処遇改善も含めた民間社会福祉施設運営事業予算を回復しています。待機児童対策には、保育士の確保が欠かせませんが、その給与の低さも問題です。国に対して公定価格を実態に見合って改善させることを強く求めるとともに、県としてもできることをすべきという立場からの提案です。
また今行革で削減された老人クラブ活動強化事業費補助を元に戻すため2500万円を増額、シカ有害捕獲事業の予算を増額しています。
私立高校生徒の授業料軽減補助については、これまでの「行革」で行われた県税相当分の削減をもとにもどすために増額し、県外通学の生徒への支援を前と同様にしました。
また重度障害者(児)の医療費助成は、以前の「行革」で導入された世帯合算方式の所得制限を元にもどす予算を増額し、廃止された看護師学生就学資金貸付金についても、復活する予算を計上しました。
第4の柱は、地域経済の振興や、防災・減災対策、再生可能エネルギーをすすめることです。
県にある既存の中小企業、地域とも深くむすびつき、雇用の確保にもがんばる中小企業、小規模事業所を含めた兵庫県の支援策強化が必要であり、中小企業振興条例を全面的に活かすことこそ求められています。
具体的には、中小企業における正社員転換事業の増額や、地域の経済波及効果・雇用につながる民間住宅リフォーム助成制度を新設するとともに、バリアフリー化助成の予算を増額し合計で約3.9億円を増やしました。
また中小企業振興のために中小企業者団体なども参加し、双方向で知恵をだし、意見交換ができる中小企業振興会議費を新たに計上しました。
南海トラフ地震が予想されるもとで、防災・減災対策を急がねばならないことから、特に、民間住宅の耐震改修促進事業費を1.2億円増額しました。
また、喫緊の課題である地球温暖化防止と原発に頼らないエネルギー普及を促進するため、住宅用太陽光発電設備設置補助の復活に1億円、自然エネルギー促進のための地域ポテンシャル調査費に600万円をそれぞれ計上しました。
第5の柱は、過大性や問題点のある公共事業や、大企業呼び込みで地域経済の発展につながらない産業立地補助金など削減した予算についてです。
神戸空港への補助、但馬空港関連予算などで約10.5億円、大阪湾岸道路西伸部整備事業や播磨臨海地域道路、名神湾岸連絡線など高規格道路の調査費、園田西武庫線など不要・不急の道路関連事業費について約129億円、大規模林道や基幹農道で約2.5億円を減額し、国が負担すべき国直轄の公共事業については約83億円を全額削除しました。
本社などの呼び込み型の企業誘致に頼った地域経済の振興策には限界があります。パナソニック尼崎の撤退や、補助金支出がとりわけ大企業にとっては立地選定の決定的条件となっていないことなど、その効果に疑問がつきつけられている産業立地補助金約14億円を全額削減しました。
関西広域連合分担金3.1億円の削減や、「使途が明らかでない」警察の報償費、不公正な同和行政が残る事業、部落差別固定化の懸念がある部落差別解消推進法にもとづくパンフレット作成費、マイナンバーや住民基本台帳ネットワーク関連事業、過大な情報ハイウェイなどの予算も見直し、削減しました。
県会議員の海外視察についても友好都市訪問の公式行事のみとし、人数も限定するなどの簡素化で半減しました。
以上が予算組み替えの提案の主な内容です。
県民の命やくらしを支え、地域の仕事おこしをすすめる兵庫県予算となるよう、委員各位のご賛同を心からお願いいたしまして、日本共産党県会議員団の提案説明を終わります。
以上
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