消費税と社会保障関連問題について
■庄本えつこ■ 日本共産党の庄本えつこである。早速、通告に基づき質問する。
まず、消費税と社会保障関連問題についてである。
国は、消費税率の引き上げで、さも社会保障がよくなるかのような説明を繰り返し、消費税率の引き上げによる増収分を全て社会保障の充実・安定化に充てると言ってきた。これは、国だけでなく地方に入ってくる消費税の増収分についても同じである。
しかし、県の決算を見ると、県の資料では、安定化に係る費用は示されていないとあり、結局、県に入ってきた増収分と入ってきた分について、いわゆる充実分は幾らで何に使われているのかの内訳が分かっても、安定化分としては幾ら何に使っているかは、従来のほかの社会保障関係費に含まれてしまい、分からなくなっている。
結局、安定化分については、消費税率の引き上げによって財源が増えたとは言えないということではないだろうか。ご答弁いただきたい。
■社会福祉課長(盛山 忠)■ 平成28年度決算における地方消費税の増収分の額は、約379億円となっている。このうち287億円を子ども・子育て支援の充実、医療・介護の充実など社会保障の充実のための施策の経費に充当し、残り92億円は介護給付費県費負担金など、その他社会保障関係費の財源として活用している。
■庄本えつこ■ 安定化分についてのご答弁がなかったのだが、それについていかがか。
■社会福祉課長(盛山 忠)■ 社会保障税一体改革における社会保障経費の充実において、総務省の通知において、もともと地方税法の改正に伴うものであるが、引き上げ分の地方消費税収については、いわゆる社会保障4経費、その他社会保障施策、これは社会福祉、社会保険及び保健衛生に関する施策を言うが、これらに要する経費に充てるものとするということとなっている。
そのうち、社会保障の安定化分については、特に使途については明示をされていない。これは地方自治体がそういう社会保障施策の経費について、財源を充てるものということにされているので、先ほどご答弁申し上げたとおりである。
■庄本えつこ■ 結局、はっきり増税によって安定化の費用が増えたと言えないので、結局、消費税引き上げによって社会保障が充実されたかのように説明するというのは、ちょっとおかしいと思っているので、辞めるべきだと思う。
次に行く。次の質問だが、28年度決算において、地方消費税が見込みを大幅に下回る減収となり、穴埋めのために県債発行を余儀なくされた。
これについては、補正予算審議でも指摘したが、県は消費税減収対策債と呼んでいるが、そういう種類の地方債は、そもそもない。実際は通常債で交付税措置もなく、いわば返すべき借金が丸々新たに増えてしまったということである。
昨年度前半の円高の影響と言うが、このように税収が見込みを大幅に下回り、結局、県民が借金を負わされることになる。これでは、地方にとって消費税が安定的な財源とは言えないと思うが、いかがか。
■税務課長(小田博則)■ 消費税の状況であるが、平成27年12月まで1ドル120円台で推移していた。この円相場であるが、昨年、平成28年4月には100円台後半、また8月には一時90円台をつけるという形で、予想外に円高が進行したという状況になっている。
この円高による地方消費税収に対する影響については地方財政計画にも見込まれていないという状況であり、こういったものについては本県独自に想定することは困難である。
地方消費税は本来、安定的な財源ではあるが、こういった円高の影響により輸入額が減少したため、地方消費税の貨物割が減収となったということで、清算前の本県の貨物割の収入額は当初予算と比べて81.4%という形で大幅に落ち込んでいる。
こういった減収を補うために、国のほうとも協議した上で、消費税減収対策債を68億円発行したという状況である。
■庄本えつこ■ 円高ということだが、そして、その減収に対して消費税は安定の財源の一つだとおっしゃったが、しかし結局、見込みのとおり入ってこないというのでは安定した財源とは言えないと思う。消費税が地方にとって安定的な財源だというのは、ちょっと認めがたいと思っている。
今、自民党などは、またしても消費税10%増税で、消費税の増収分の使途を教育に使うなどと言っているが、これまで消費税増税で社会保障がよくなるかのような説明をしながら、社会保障予算を大幅に削減してきている。
税率引き上げ分を社会保障の充実、安定化に使うと言って目的税化することで、ほかの財源でいろいろ賄っていた分を減らして、結局、社会保障予算を減らしているのが実態である。
今、述べたように地方にとっても安定的な財源とも言えない。地方財源の確保という名目で、国に対してこれ以上の消費税率引き上げを求めるのは辞めるべきだと考えるが、いかがか。
■税務課長(小田博則)■ 消費税の税率引き上げに対して反対すべきであるということであるが、今後とも高齢化が進む中で、地方財政全体としても、社会保障施策の経費の増嵩に対応しなければならないと。そのためには、単に歳出を切り詰めるだけではなくて、安定的な財源の確保が非常に重要になっている。
このため、社会保障の安定財源の確保と財政の健全化を同時に達成することを目指す観点から、消費税・地方消費税率の引き上げが不可欠であると考えているところである。
■庄本えつこ■ しかし、消費税率が8%になって以降、本当に暮らしが大変だということもあるし、社会保障の充実にはなっていないし、これからまた消費税率を引き上げていくということは、国民にとって本当に大変だと思うし、また、述べてきたように、消費税は地方にとって安定的だとか、また普遍性が少ないという税とは言いがたいと思っている。
個人消費を本当に阻害して、県民の暮らしにとっても、繰り返しになるが、また県の経済にとっても、よいことではないと思っている。やはり国に求めるのであれば、法人税の実効税率や上位所得者への課税強化による税収確保、そして地方交付税の財源調整機能、財源保障機能を充実することこそ、求めるべきだと申し述べて、次の質問に移りたいと思う。
法人事業税の外形標準課税について
■庄本えつこ■ 税制改正によって、昨年度は外形標準課税の拡大が本格実施され、所得割の税率引き下げの一方で、付加価値割、資本割の税率引き上げが実施された。
外形標準課税は赤字、黒字にかかわらず課税されるものである。今のところ対象は1億円以上の法人であるが、特に中堅企業への影響が心配されるところである。
そこで、昨年度、外形標準課税の対象となった赤字法人数と影響額を法人規模別にお答えいただきたいと思う。
また、赤字であっても課税されることについて、どのように見ているのか、お答えいただきたいと思う。
■税務課長(小田博則)■ 外形標準課税の関係であるが、まず、法人事業税の外形標準課税の対象となる資本金等の額が1億円を超える法人について、県内本店法人は564法人である。このうち、所得割が課税されずに外形標準課税のみ課税される欠損法人は108法人になっている。
規模別でいくと、資本金等の額が1億円超10億円以下が407法人のうちで欠損法人は77法人、10億円超50億円以下の96法人のうち欠損法人は19法人、50億円超の61法人のうち欠損法人は12法人となっている。
また、これらの欠損法人の税額ということであるが、こういった欠損法人のみの税額については集計は行っていないので、数字についてはお示しできない状況である。
それから、こういったことについての考え方であるが、法人事業税は行政サービスの対価として、受益の程度に応じて課されるというものであり、外形標準課税については赤字法人でも行政サービスを受けているということで、そういった中でも十分な税負担がないという不公平を是正できる制度であると考えている。
なお、先ほど委員からもご指摘があったが、資本金等の額が1億円以下の中小企業については、外形標準課税の対象外ということになっているので、一定の配慮がなされているものと考えている。
■庄本えつこ■ 今のご答弁によると、赤字でもサービスを受けているのだからいいのではないかということだったが、しかし、外形標準課税の拡大に伴う付加価値割、資本割の税率引き上げによる増収額というのは、所得割引き下げに伴う減収額とほぼ同額となっているということもお聞きしていたが、私たちは税収でサービスを受けているからよいということではなく、税の負担のあり方としてどうなのかということを考えなくてはいけないと思っている。
総務省の試算によると、今回の外形標準課税強化の影響について、資本金10億円超で所得10億円を超える大企業では、所得割の引き下げによる減額が1法人当たり平均2億4,500万円、付加価値割と資本割の増額分を差し引いても6,700万円の負担減になっている。
つまり、もうかっている大企業ほど減税が大きくなり、この減税の穴埋めを中堅企業も含めた赤字法人がすることになる大変な矛盾だと思っている。大企業優遇と言わざるを得ない。
また、付加価値の対象には、従業員の給与総額も含まれるため、賃金抑制も招きかねないと思っている。
国は、1億円以下の企業への拡大も検討するとしているから、これ以上の拡大はしないよう国に求めていくことを要望する。
中小企業関連の決算について
■庄本えつこ■ 今回の決算は中小企業振興条例ができて初めての本格的な決算となる。
関連予算を見ると、最も大きいのは制度融資で、昨年度は500億円積み増しされ、3,500億円の融資枠が用意された。ところが、利用実績は前年度の平成27年度で1万881件、1,431億円に対し、昨年度の28年度は1万243件、1,240億円と、件数も金額も減少している。これでは何のための積み増しだったのかということが問われてくるのではないか。
制度融資の相談窓口は金融機関であり、審査は信用保証協会が行うため、県は相談件数や総数や内容を把握していないということだったが、借りたいのに借りられないのか、借りようと思う企業が少ないのか、条件が改善されれば借りられるのか、利用実績が伸びない原因がつかめるようになっていない。
実態を把握して、実態に合わせて利用実績を伸ばす改善が必要だと思うが、いかがか。
■産業政策課長(計倉浩寿)■ 中小企業制度融資であるが、平成28年度融資実績は、全体で前年度比86%、ご指摘のとおり1,240億円にとどまった。
融資枠、予算の設定のところからのご指摘があったが、制度融資の最も重要な役割は、中小企業の業績が悪化した場合における資金面でのセーフティーネットとなることと考えている。
このため、急激な資金需要の増加にしっかりと対応できるというメッセージの意味も込めて、ご指摘の3,500億円の融資枠を設定したところである。
このもとで、実績が追い付いていないということであるが、昨年度の本県経済を見ると、全体として景気回復局面にあったので、この制度融資のメニューのうち、前向きな融資というか、事業展開のための事業展開融資というのは、前年に引き続き増加したが、一方で、企業の資金繰りを支援する経営安定融資への資金需要、これが大きく減少したことで、結果的な実績減となっているものと考えている。
次に、その改善策であるが、先ほど申し上げた経営安定融資に関して、中小企業の経営改善によって資金需要が低いということは、いわばむしろ望ましいという面もあるので、これを無理に伸ばす必要はないとは考えている。
この前提で、ご指摘もあったが、ニーズ把握ということについても、県としてもできる限りそういうことにも努めながら、中小企業融資の利用が更にしやすくなるために、引き続き融資要件の見直しとか、適時適切な金利設定などには取り組んでいくとともに、そのPRにも努めていく所存である。
■庄本えつこ■ もちろん私たち、枠がないためにセーフティーネットとして活用できないということはあってはならないと思うので、枠を用意することが悪いとは思ってないのだが、ただ、中小企業の皆さんの実態に合わないまま使われないということであれば、改善する必要があると思っている。
この融資の枠を大きく積むことで、中小企業振興の予算が増えているように見えるということも言われているのだが、そう言われても仕方ないかなと思っているところである。
中小企業の経営環境は、しかし依然厳しいと思っている。帝国データバンクによれば、倒産こそ減少傾向にあるのだが、県内の中小企業の休廃業・解散件数は増加して、2016年度では906件である。消費税の引き上げを物価に転嫁できない円安による材料高などで事業継続・承継が見込めないとの、そういう実態がある。
制度融資を信用保証料の割引を広げるとか、利率の引き下げを行うとか、また金融機関や信用保証協会任せにしないで、使いやすいものに改善していくなどのことも、ぜひ考えていただきたいと思っている。
回収の見込みありと信用保証協会が判断する中小企業しか、この制度融資対象になっていないということなので、それならば支援として、制度融資だけでは不十分だと考えている。本当に支援を必要とする中小企業への支援、融資だけではカバーできないと思っている。
以前から日本共産党が言っているように、例えば住宅・店舗リフォーム助成制度の創設などの直接支援を行っていくなども、ぜひ考えていただきたいと思っている。
それでは次に、地方創生交付金について、伺う。
地方創生は、安倍自公政権が打ち出したものだが、そもそも人口減少と地方が疲弊した原因は、政府が進めてきた第1次産業の切り捨てや非正規雇用の拡大による雇用破壊、三位一体改革による地方交付税の大幅削減などによるものである。こうした問題への反省抜きに、本当に地方を再生する、創生することはできないと思っている。
昨年度から、地方創生推進交付金が作られたが、前年度の地方創生先行型交付金と異なって、給付に活用はできず、自治体の申請計画を国が選定するコンペ方式に切り替えられた。
本来の地方創生の趣旨に反して、国の意向に沿うように地方の政策がゆがめられていくことも懸念されるところである。
実際に、地方創生交付金活用事業の採択状況について、資料を求めたが、不採択の事業がかなりあり、例えば県内の中小企業に就職する若者の奨学金返済を支援する中小企業奨学金返済支援制度事業など、積極的に進めるべき事業で交付金採択の金額がゼロ、つまり不採択という事態にもなっている。
本当の地方再生、地方創生、地域経済の向上につながる施策に使えるよう、国に求めるべきだと思うが、これはぜひ国にそのように求めていただきたいと要望して、次に移る。
地方創生交付金の活用に当たっては、実際に地域の活性化につながる使い方が求められる。
昨年度の事業の活用状況を見たところ、事業の一部は委託や補助によって行われているが、一例であるが、カムバックひょうご促進事業は、株式会社第一プログレス、株式会社パソナなど民間会社、それも東京に本社のある会社に委託されている。委託料が東京の会社に入る事業が、果たして地域創生だと言えるのかどうかが疑問である。
活用事業について、地域経済の向上、地域活性化に本当に資するものになっているのかどうか、検証すべきだと思うが、いかがか。
■地域創生課長(今井良広)■ 地方創生交付金では、地方版総合戦略に基づく経済振興に際する取組について、平均所得の向上や雇用創出、生産額の増加、生産性向上など、地方創生の経済的な波及効果の実現を求めており、本県が申請し、託された事業においても、具体的に経済上、期待される効果をお示ししている。
経済振興等を目的とした個々の採択事業では、例えば地場産業の生産額や県内の訪日外客数、兵庫の農林水産物、食品の海外市場開拓数など、経済的な効果を表す評価表を設定し、達成状況の評価を行っているところである。
先ほど、委員のほうがご指摘いただいた委託の問題であるが、昨年度、私どもが行った事業は、概ね県内の事業者が受託をしている。
カムバックセンターについては、昨年度は、ご指摘のとおりパソナに委託をしたという事例があるが、これについては、一つはノウハウの獲得、それから東京という地でどのように移住対策をしていくかということについて、知見を持っているところに一度、委託をして、その仕事の仕方や手法というのを学ぶという意味でも価値があったと理解している。
ちなみに、今年度に関しては、自前でほとんどやっている。昨年度の知見を生かして、ある程度ノウハウを獲得したということで、進めさせていただいているということである。
当然、地方創生交付金であるので、地方にお金が回るようにするというのが大前提である。その意味では、私どもも極力配慮させていたいているが、場合によってはそのような形の使い方もあるということについてはご理解いただけたらと思っているので、よろしくお願いする。
■庄本えつこ■ 本当に兵庫県の活性化に役に立つように、私たちも一緒に努力していかなければいけないと思っている。
県債・公債費について
■庄本えつこ■ 公債費は、県債を発行して事業を行い、その償還のための費用、いわば借金返しのお金であるが、その割合が兵庫県では高くなっており、高止まりしたままになっている。
私は、県の財政を厳しくしている大きな原因である公債費が膨らんだのはどのような事業の借金によるものなのかを詳しく知りたいと思ったが、これまで発行してきた県債の返済が一本の会計で管理されているので過去の経緯は分かりにくくなっている。
しかし、県民は県の財政が厳しくなっているからと、行革を押し付けられ、暮らしに関わるサービスを削られて続けてきた。県民に対し、財政が厳しいからだと説明してサービス削減を行っている以上、なぜ公債費がこれだけ膨らみ財政を圧迫しているのか、きちんと説明する責任があると思う。
県は、常々阪神・淡路大震災の影響ということを強調されているが、それだけではないだろうと思っている。改めて公債費の割合が高くなっている原因について、きちんと検証し、説明すべきだと思うが、いかがか。
臨時財政対策債は、国が交付税措置に係るものとして発行しているものであるので、その影響を除いてお答えいただきたいと思う。
■財政課長(江口友之)■ 公債費が歳出決算に占める割合については、直近5年間で15%前後、ここからご指摘のあった臨時財政対策債を引いても12%前後ということで高止まりしており、本県財政を圧迫する要因の一つとなっていることは否定できないところである。
高止まりの要因としては、これだけが原因ではないのではないかということで委員からご指摘があったが、やはり震災関連の経済に係る公債費が平成28年度においても約500億円残っていること、それから、財源対策として、これまで行革推進債あるいは退職手当債を発行してきており、それに伴う公債費が増加していることが挙げられると考えている。
一方、新たな県債の発行については、投資的経費のうち通常事業費を地方財政計画の水準とすることにより、実質的に県債の発行を抑制しているし、併せて起債をする場合にも、交付税措置のある有利な県債を活用することにより、公債費負担の低減を図っているところである。
これらを踏まえて、最終2カ年行革プランの財政フレームを策定してきているところであり、今後とも財政運営の目標達成に向けて、行革の取組を着実に推進していく。
■庄本えつこ■ 震災の影響ということを、やはり強調されるわけだが、県が震災関連県債と呼んでいるものの中には、災害復旧事業債以外に一般公共債が含まれている。その中には、これまで私たちが指摘してきたように、被災者の生活再建に関係のない大型プロジェクトも含まれている。
また、他府県が大きく投資事業を減らしてきた2000年代にも、但馬空港の滑走路の延長、東洋一という32億円のドーム型テニスコートなどの事業が続けられてきた。さらに大型開発計画が破綻し、使い道がなくなった土地など塩漬け土地について、当時幾らで何の目的で先行取得し、今、幾らになっていて含み損は幾らになっているのかなどについて説明がないまま、県債を発行し、環境林として買い戻しを続けている。
こうしたことが、公債費の割合がなかなか減っていかない大きな原因ではないのか。
今回、県は超低金利という条件を生かすとして、300億円を前倒しし発行して、29年度繰越事業に充てるとしている。しかし、繰越事業の中には、これまで指摘してきたように高額で地元経済への効果も限定的な浜坂道路などの事業が含まれている。
なるべく利払いを抑えるという工夫は必要だが、将来のツケを抑えるためには過去の教訓を生かし、不要不急の事業によって債務が膨らむことがないようにすべきだということを申し上げて私の質問を終わる。
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