県営住宅の家賃減免制度について
■ねりき恵子■ 日本共産党県会議員団のねりき恵子である。よろしくお願いする。
私は県営住宅の家賃減免制度についてお伺いする。
県は、昨年4月から県営住宅の家賃減免制度について、控除を除いた所得に基づく算定から、世帯の総収入に基づく算定に変更された。その影響で多くの入居者の減免率が下がり、家賃が大幅に値上げとなったところである。「いきなり5,000円上がって、月額1万4,900円の家賃通知が来た。年金しかないのに、とても払い続けられない」など、私たちのところにもたくさんの相談や苦情の声が寄せられ、今も寄せられ続けている。
先日は、西区の県営住宅の入居者から、制度変更による値上げの撤回を求める署名が前回と合わせて約1,000名分提出された。今年度は経過措置により引き上げ幅は最大5,000円であったが、この4月からは更に値上げになる入居者もいると思われる。
そこでお聞きするが、この制度変更により、まず、今年度家賃が値上げになった世帯数と割合をお答えいただきたい。
■住宅管理課長(山下孝文)■ 家賃減免は、病気や失業など入居者に特別の事情があり必要があると認められる場合に、収入に応じて家賃が決まる応能応益家賃制度の例外的かつ補足的な措置として行っている。
従前の家賃減免制度は、世帯総収入が同一であったとしても、収入形態の違いにより減免区分に差が生じるという課題があった。そのため、住宅審議会の審議を経て、平成27年度より制度を見直したところである。その結果、平成26年度当初予算の減免見込額約21億円に対して、見直し後の平成27年度は約19億円を、平成28年度では約17億円と試算し、計上しているところである。
ご質問の減免制度の改正に伴い家賃が値上がりした世帯数等についてであるが、一つに、減免制度は政令月収に応じて本来家賃の一定割合を乗ずる従前の方法から、非課税収入を加えた世帯の年間総収入に一定割合を乗じて減免後家賃とする算定方法へ抜本的に変更したこと、それから二つに、昨年度の家賃認定時に個々の世帯ごとの家賃変動状況については把握しており、丁寧に対応しているところであるが、一つに、入退居に伴い、入居世帯が入れ替わり、また同居や承継により世帯構成が変動して世帯の総収入も変動していること、二つに、毎年度継続的に減免申請をされない方もいる一方で、年度途中であっても失業や病気になった場合等に減免申請を受け付けていること、それらのことから、全体の影響世帯数の把握については、必要がないと考えており、把握については行っていない。
■ねりき恵子■ 必要がないということであるが、実際に今お答えになった中で、総収入額が今年度は19億円に、そして新年度は17億円になるということで、2億円ずつ減少するということでは、影響額がこれだけ出るということで、それなりの負担増になった方がいるということは事実だと思う。
公平性と言われるが、もちろん収入、家賃が下がった方も中にはおられるが、ただ、低所得の方たちがどうしても負担が重くなって、先ほど来、申し上げているように、特に年金収入の方などが大変低い生活費の中で5,000円上がる。もしかしたら、今年はまた5,000円上がるかもしれないという負担感が非常に重いと思う。そういった生活実態をどのようにお考えか。
■住宅管理課長(山下孝文)■ それについては、激変緩和措置等も設けており、住宅審議会の議を経て、適正・公平な制度に変更したことから、この制度については問題がないと考えている。
■ねりき恵子■ 問題がないということを繰り返されるが、実際にそういった負担が重くなっている方がおられるという事実はしっかりと受け止めていただいて、その方々への対応もしっかりとしていただきたいので、そういった観点から、この減免制度の実施状況をどうやって周知徹底されているかについてお伺いしたいと思う。
一昨年、千葉県銚子市で県営住宅に入居していた母子が家賃の滞納で県に出訴され退去を命じられ、立ち退き、その当日に娘を殺害し心中を図るという事件が起きた。その後この世帯の収入から見れば、本来家賃減免を受けられたはずなのに、適切に制度を活用するよう促されていなかった。きちんと周知されていれば悲劇が防げた可能性があったということが分かった。
千葉の例であるが、このことから、国土交通省が公営住宅の入居者には家賃減免制度を十分説明し、必要に応じ減免などの負担軽減措置をとるよう求める通知を都道府県に新たに出している。この通知を受けて、県はどのような対策を講じているのかお聞きしたら、今までのやっていること、入居のしおりや収入申告の手続とか、滞納されたときの申請指導などをしているという、今までと同じようなことを繰り返しているという答えだった。昨年度、この家賃滞納によって出訴され、強制退去となった入居者の中に、減免対象であるのに、家賃の減免適用を受けていなかった人というのは把握しているか。
■住宅管理課長(山下孝文)■ まず、国からの通知のことであるが、平成26年11月に国土交通省から通知があった「公営住宅の滞納家賃の徴収における留意事項等について」の内容については、従来から十分に認識し、通知後すぐに指定管理者に周知するなど適正な対応を行っている。また、指定管理者との連絡会議等でも改めて徹底しているところである。
滞納者に対しては、新たな滞納の発生を抑制するために、団地ごとに配置している地区管理員が滞納者の生活状況等を緻密に把握し、収入申告の指導や分割納付の相談、さらには入居者の減免手続のあっせんやケースワーカーと連携した納付指導、福祉事務所の相談窓口の紹介など個々の事情に応じたきめ細やかな対応を行っている。
であるから、減免について、出訴に当たり、初めて確認・把握するのではなく、滞納指導の一環で、その段階で十分に行っているところである。
また周知については、募集時に「入居申込案内書」で、また入居時に「住まいのしおり」で、既入居者に対しては全戸配布の「県営住宅だより」で、さらには家賃決定時にも案内するなど、十分に周知していることから、真に減免が必要な方からは申請されているものと認識している。
今後とも、入居者の個々の事情等を十分に把握し、公平かつ適正な減免制度を活用し、入居者の居住の安定に向けて、きめ細かな対応を行っていきたいと考えている。どうぞよろしくお願いする。
■ねりき恵子■ 真に必要な方には制度が適用されているという答えだったが、そこから漏れている人がいるのがやはり実態であると思う。
私たちのところにも相談が来る中で、この減免制度を知らなかったという人も実際にいて、いろいろ周知されているけれども、やはり生活が困窮してくる中で、そういうところに頭が至らないということもあるので、きめ細かな対応をしていると言われるが、まだまだ足りないのではないか、周知が十分ではないのではないかと思っている。
そして、直近の資料を請求したが、明らかにならなかったので、平成24年度の資料で言うが、本来、減免制度の対象になる収入しかない世帯のうち、実際に減免を受けている世帯は57%にとどまっている。県営住宅の家賃決定をするのに毎年、収入申告をされるわけであるから、県の側で所得が把握できる。そうすれば、減免の対象になるかならないかはその時点で分かるので、その時点で減免申請があるという周知をするべきだと思う。
なぜ、ここまで言うかといえば、やはり先ほどの千葉の事例にあるように、減免申請ができるにもかかわらず至らなかったということで悲劇が起きた。そういうことで、行政が積極的な情報提供を更にする必要があると考えからである。そういった点で、更に申請の周知徹底を図る施策についてお答えいただきたい。
■住宅管理課長(山下孝文)■ 周知徹底については、先ほど申し上げたとおりであるが、これまでもそうであるし、これからもなお一層周知徹底に努めたいと考えている。
■ねりき恵子■ もう要望にするが、やはり公営住宅法第1条には、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で提供することを求めている。
現在、兵庫県経営住宅の整備・管理計画の改定作業中であるが、指定管理者に対する家賃収納率に応じたインセンティブ制度の拡充なども提案されており、家賃をしっかりと収納するということはもちろんであるが、やはり収納率だけを強調するのではなく、こういった家賃減免制度をしっかりと周知徹底して、本当に生活困窮者に対応する施策をとっていただきたいということを重ねて要望して質問を終わる。ありがとうございました。
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