西宮北有料道路の無料化について
■いそみ恵子■ 日本共産党県会議員団のいそみ恵子である。早速質問に入る。
西宮市の南部と北部を結ぶ西宮北有料道路、盤滝トンネル早期無料化に関して、まず伺う。
この件について、西宮市及び西宮市議会から早期無料化の強い要望が出され、私も2011年9月県議会などで取り上げてきた。これら地元の強い要望を受け、県は翌年の3月、当初の料金徴収期間2021年3月末としていたものを3年間短縮し、無料化の時期を2018年3月末とした。
しかし、毎日生活道路として使っている住民からは、「もっと前倒しで無料化を」との声が出るのは当然で、この声を受けて引き続き私も議会で取り上げ、なぜ3年間しか前倒しができないのか、全国的にも例を見ない大規模修繕費を精査すること、損失補てん引当金を充てることなども提案してきたが、改めてお聞きする。無料化の時期を更に前倒しすべきと考えるが、いかがか。
■高速道路室長(上田浩嗣)■ 西宮北有料道路の無料化の時期については、平成29年度末を基本として、建設債務償還完了の見込みや現在渋滞している周辺道路の混雑状況を考慮して決めることとしている。未償還については、今後の料金収入から維持管理費や更新工事などの支出を差し引いた償還準備金により償還する必要があるため、平成29年度末まで有料道路として料金徴収を行う。
また、周辺道路の混雑状況については、無料化によって船坂交差点など周辺道路の混雑を更に悪化させない必要がある。このため、平成29年度末予定の新名神高速道路の開通によって、これまで中国自動車道等の混雑を避けて迂回していた交通が減少した後に無料化を行う予定である。これらから、平成29年度末より前倒ししての無料化はできないと考えている。
■いそみ恵子■ 今のご答弁では方針どおり2018年3月末に無料化するとのことである。
この事業は、全体事業費128億円が全て借入金で賄われ、うち西宮市が12億1,500万円を、県も20億2,500万円を、事業者の兵庫県道路公社に料金徴収期間満了日まで無利子で貸し付けている。貸し付けた金額、無料化する日をもって返済することについて、間違いないか。
■高速道路室長(上田浩嗣)■ 西宮北有料道路の建設費128億円のうち、西宮市からの貸付金は12億1,500万円、兵庫県からの貸付金は20億2,500万円となっている。貸付金は、西宮北有料道路の料金徴収期間終了後に返済することとなっている。
■いそみ恵子■ この9月、西宮の市議会で我が党の質問に、市の都市局長が、このまま推移すれば無料化になること、それからその10日前に市長名で兵庫県道路公社に請求書を提出するという旨の答弁を行った。県も20億2,500万円、知事名で返済を求めることになると思うが、いかがか。
■高速道路室長(上田浩嗣)■ 委員ご指摘のとおり、西宮市については、請求があったときに返済することとしている。どの時期に返済するかについては、今後、西宮市や道路公社と協議して決定したい。
■いそみ恵子■ 県のことについて、答弁漏れである。
■高速道路室長(上田浩嗣)■ 改めて協議して今後の対応について調整したいと考えている。
■いそみ恵子■ 県が貸している20億2,500万円について、満額返していただくということを私は要求したわけである。今後、調整していくと言われているが、そういう曖昧なことではいけない。県にとって大きな20億2,500万円が返ってくるわけである。新たな事業などにも充当できる。きちんと道路公社に請求していただくことについて、いかがか。
■高速道路室長(上田浩嗣)■ 先ほどの委員からのご質問であるが、文書を出して返済を求めるという手続について、ただいま資料を持ち合わせていないので、後ほど調べてお答えさせていただきたい。
■いそみ恵子■ 細かいことは、調整してされるということであるが、期限が来たらきちんと請求するよう要望する。
西宮北有料道路、盤滝トンネルが無料化された後、県が管理をするということになってくる。懸念されるのはトンネル火災など重大事故の発生時の対応である。現在道路公社は現地のトンネル出口の横の事務所で体制をとっている。管制室には管理隊員が24時間体制でおられると聞いている。管理事務所及び管制室の体制は現在どのようなものであるか、お答えいただきたい。
■高速道路室長(上田浩嗣)■ 西宮北道路管理事務所では、現在、公社職員である所長1名、職員4名が勤務している。このほか、道路巡視を行う専門の交通管理委託業者が昼間は4名、夜間は3名、交代で常駐している。
道路管理は、1日6回のパトロール車による巡視とトンネル部等については監視装置による現地管理事務所での遠隔監視を行っている。
■いそみ恵子■ 現在の体制のことをお聞きした。移管後は道路管理者としての西宮土木事務所において、どういう体制になるのか、24時間体制になるのか、お答えいただきたい。
■道路保全課長(小谷和弘)■ 西宮北有料道路の無料化後の管理体制であるが、道路公社から西宮土木事務所に管理が移行することにより、この道路も一般の道路として管理することになる。他の一般道路と同様、1日に1回のパトロール車による巡視とトンネル部については監視装置による土木事務所での遠隔監視による管理となる。仮に事故等が発生した緊急時であるが、土木事務所の管理担当者が専用の携帯電話で現場の状況を24時間画像で確認できるシステムの導入を検討している。
■いそみ恵子■ 今言われた今後の対応は現地事務所をなくすことが前提である。
西宮北部の盤滝トンネルから遠く離れている南部の西宮土木事務所で映像を見たり、連絡を受けたりということで、現地事務所での24時間対応にならない予定ということである。
もしトンネル内で事故が起こった場合、現在はトンネル横の道路公社の管制室が24時間体制で対応し、事故現場の状況を直接見て確認でき、トンネルの通行止めなどの必要な対応も即時にできる。情報を一元的に管理して、消防、警察ともスムーズな連携が可能である。
しかし、移管後は現地の事務所がなくなり、こういう対応ができなくなるということで果たしてよいのか。結局、最寄りの消防署などが一番に事故現場に駆けつけて、初動対応は消防や警察任せになるのではないか。
トンネル事故は重大な事故につながる危険性が高い。移管後に道路、トンネルの管理者として、県としてマニュアルを整備し、事故の初動対応を含めて従来と同程度の安全対策に責任を果たすことを求めたいが、いかがか。
■道路保全課長(小谷和弘)■ 移管後の体制であるが、火災検知器や押しボタン通報装置などの情報を、土木事務所のほか消防にも直接、自動通知されるようにするとともに、トンネル内で何かあったら、トンネル内の非常電話から消防や警察に直接、連絡できるようにするなど、新たな緊急連絡体制を検討している。これにより、委員が申された警察や消防との連携などの体制が確保できると考えている。
また、現場の確認がどうかということについては、常時は土木事務所から遠隔操作が可能な監視装置を設置してトンネル内部を確認することとしている。繰り返しになるが、事故などが発生した緊急時には、土木事務所の管理担当者が専用の携帯電話で現場の状況を24時間画像で確認できるシステムの導入を検討している。
名神湾岸連絡線について
■いそみ恵子■ 今ご答弁いただいたが、現在のマニュアルを全部読ませていただいた。重大事故の場合、管理者が錯綜する情報を一元的につかんで、初動の対応をしていくことが大事と痛感した。
先ほどの移管後の対応では、一元的に情報をつかむという初動の対応が後手に回るのではないかと危惧する。ご要望させていただいたが、マニュアルを整備をされて、事故の初動対応を含めて、従来と同程度の安全対策について責任を果たしていただくよう、ご要望させていただきたい。まだこれから協議ということであるので、この点についてもしっかりと反映していただきたい。
次に、名神湾岸連絡線について質問する。
現在、国の計画段階評価の中で2回目の地域の意見聴取を行い、今後、近畿地方整備局の地方小委員会で対応方針を検討することになっている。今回、国はこれまでの高架案とともに、地下に潜る地下案を提示している。
地下案を提案した一つの理由は、ちょうど予想されるルートのもとに港湾部があるという問題もあるが、一般的に地下を通す道路は、環境負荷に配慮した場合に採用されることが多い。
今回の場合、直線距離で約4キロメートルと短い距離ではあるが、勾配もあることから、入り口、出口での排気ガスなど、環境負荷は大きいと想定されると思っている。この点についてはいかがか。
■道路企画課長(杉浦正彦)■ 名神湾岸連絡線は、大阪湾岸道路西伸部と一体となって高速道路ネットワークを形成し、阪神高速神戸線や国道43号の渋滞解消、沿道環境の改善を図るとともに、3空港の一体運用や阪神港の物流拠点へのアクセス改善に資する重要な道路である。
現在、国により進められている計画段階評価手続において、昨年7月に地下案と高架案の両案が示された。地下案については高架案に比べ、トンネルの中の区間では騒音や振動、景観に優れるとの評価となっているが、地下から高架につながって移っていく区間においては、勾配が急になりアクセルを踏むことになるため、騒音や大気への影響が懸念されるという評価が国においてなされている。
■いそみ恵子■ 今回の地下案は、地下から高架に上がっていくときの排気ガス等があり、環境負荷が軽減されるとは余り言えない。
高架案の場合と地下案の場合の建設費用は、それぞれ幾らぐらいと想定されているのか、お答えいただきたい。
■道路企画課長(杉浦正彦)■ 高架案と地下案の想定の事業費については既に国土交通省で公表されており、高架案については、約600〜700億円、地下案については約1,200〜1,300億円ということである。
■いそみ恵子■ 地下案であれば用地買収が少なくなるのかと思ったら、地下案の方がインターチェンジの面積も大きくなって用地買収が多くなり事業費も膨らむということと思う。
これまで国は第1回のアンケート、第2回のオープンハウスでの意見聴取を行っている。この中で事業費についての試算あるいは高速道路への税金の使い方について意見を聞くような内容になっていたのか、伺う。
■道路企画課長(杉浦正彦)■ 名神湾岸連絡線の事業化に向け、国は平成25年8月から概略計画案を取りまとめる計画段階評価の手続を進めている。この手続において地域の意見を聞くために、まずアンケート調査、それから対話型の意見聴取を行うオープンハウス、次に高速道路のサービスエリア、パーキングエリアにおける道路利用者へのヒアリング調査を実施した。
このアンケート調査等では、複数の観点、具体的には概ねの事業費、沿道環境改善の状況、周辺道路への影響の程度、影響する家屋・施設数などについて両案の比較を示している。
その上で、名神湾岸連絡線整備の有効性、高架案と地下案を選ぶ際に重視すべき事項、ルート・構造検討の際に配慮すべき事項について尋ねている。事業の妥当性を聞ける内容となっていると考えている。
■いそみ恵子■ 今ご答弁いただいたが、事業を進めるという立場で、効果や渋滞解消などについての説明はされている。しかし、高架案は700億円、地下案は1,300億円の費用が掛かるという説明はされていない。新聞報道によってしかされていない。
高速道路は、巨額の税金を使って整備されるものであり、費用対効果も含めた住民合意が大きな問題である。これまでも指摘をしてきたが、過大なインフラを抱えた兵庫県である。老朽化対策、維持費に莫大な予算が必要な中で、この事業を推進することに私は反対である。
県としても国に中止を求めるべきと考えるが、このことを求めて次の質問に移る。
次に、新しい高速道路の料金についても関係してくるので、次の問題として近畿圏の高速道路の新たな料金体系について伺いたい。
近畿圏の高速道路の新たな料金体系が国土交通省の審議会の部会で議論されている。兵庫県としても地元のヒアリングの一環で知事が意見を言われているが、その内容について伺う。
■高速道路室長(上田浩嗣)■ 兵庫県の提案内容は大きく三つの観点で行った。1.「新たな料金体系」について距離に応じた料金を徴収すること、車種間比率を2車種から5車種に見直すこと、近畿圏の未整備区間を早期に解消できるような料金設定とすること、2.「利用者負担の軽減策」について建設債務の償還期間の延長、出資金の償還後送り、3.「利用しやすい政策的料金」について都心渋滞緩和に向けた戦略的な料金の導入、同一会社でのターミナルチャージの1回課金などを提案した。
■いそみ恵子■ 未整備区域の早期解消を要望されている箇所について、先ほどの名神湾岸連絡線、大阪湾岸道路西伸部、神戸西バイパス、淀川左岸線延伸部のうちの有料道路事業の分は利用者に、そして公共事業の分は税金として負担が上乗せされることになる。
兵庫県は今、地域創生、地域的偏在解消を目指すとして、大阪湾岸道路西伸部、有料道路の比率を半分程度まで高めて早期完成を実現すると提案している。自治体や住民の負担は減るが、利用者の負担が増えることになる点は、先ほどから議論されている。また、大阪湾岸道路西伸部の計画の中には、大阪湾沿岸諸都市の有機的な連絡による都市の活力向上などが目的として書かれている。
都市部の活力向上ということでは、兵庫県の地域創生の課題である地方や中山間地、郡部での地域再生、人口増に結びつかないのではないか、お考えをお聞かせいただきたい。
■道路企画課長(杉浦正彦)■ 人口減少社会においても、地域の活力を維持し、兵庫県全体で地域創生を実現していくためには、地域間の交流や連携を促進し、物流・人流の効率化を図る広域的な基幹道路ネットワークの形成が不可欠である。
このため、山陰近畿自動車道等の日本海国土軸のミッシングリングと大阪湾岸道路西伸部等の関西都市圏のミッシングリングを、いずれも早期に解消する必要がある。このうち大阪湾岸道路西伸部は、事業規模が約5,000億円と大きいことから、早期整備には通常の直轄事業に加え、有料道路事業を導入することが有効な手段と考えている。県内全体の地域創生の実現に向け、大阪湾岸道路西伸部へ有料道路事業を導入し、関西都市圏と日本海国土軸双方の早期のミッシングリング解消に努める。
また、先ほど委員のご発言の中で、若干誤解があったのでご説明申し上げたい。
名神湾岸連絡線の地元へのアンケートに際しては、パンフレットを作成しており、この中で高架案、トンネル案いずれについても事業費を明示した上でアンケートをとっているので、説明を追加させていただく。
阪神高速の次期料金について
■いそみ恵子■ 先ほどご答弁いただいたが、私は地域創生にとって、都市部の活力向上だけでは、地方や中山間地、郡部での地域の再生、人口増には結びつかないのではないかということを申し上げた。
兵庫の高速道路は総延長が全国第2位である。これだけ進めても地域の疲弊は止まっていない。むしろ加速している。高速道路を作って地域創生・活性化が進むと一概に言えないと指摘をさせていただきたい。
次に、阪神高速の料金についてどのように提案されているのか、お聞かせいただきたい。2人の委員から既に質問されているが、私からも重ねてお聞きする。
■高速道路室長(上田浩嗣)■ 阪神高速道路の今後の料金については、国土幹線道路部会が取りまとめた基本方針(案)に基づき検討されるものと考えている。
県では、この基本方針(案)をもとに、具体的な料金案を議論するたたき台を作成した。先ほどの松田委員のご質問でもお答えしたが、まず、1キロごとの対距離料金は名神高速道路と同じ31.9円とし、下限を現状とほぼ同額の500円に据え置くとともに、上限を現状の約1.5倍の1,400円とするものである。
今後、県議会の皆様のご意見を伺いながら、利用者負担を軽減する工夫を含む具体的な料金案を取りまとめ、激変緩和措置の導入も併せて国に提案したい。
■いそみ恵子■ 今後、国、阪神高速道路が正式に決めていくことになるであろう。県議会の意見も聞いてというご答弁があった。
名神湾岸連絡線をはじめとする高速道路の建設については、先ほども言ったが、環境の問題、必要な事業なのかという費用対効果、料金への影響としてかなりの利用者に負担が掛かっていくということ、税金の使い方、これらのことも含めて住民の合意が大事になる。
名神湾岸連絡線で事業費のことも含めて住民の意見を聞くべきと言っている。先ほどのパンフレットは金額も入れているということだけである。加えて、今お聞きした高速道路料金の変化についても、住民に情報提供していただいて、意見を聞いていくべきである。
料金や費用については国土交通省の部会などで議論がされていって、地元には、あったら便利ではないかというような意見だけを聞いているのでは、一面的な意見集約ではないかと思っている。住民が全体として高速道路を評価、判断できる材料を与えてこそ本当の住民合意が図られる。こうした材料を提供できていない以上、名神湾岸連絡線の計画は中止すべきであると指摘をさせていただいて、質問を終わる。
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