地域医療構想案と公立日高医療センターのあり方について
■いそみ恵子■ 日本共産党県会議員団のいそみ恵子である。
早速質問に入る。
まず県の地域医療構想案に関し、お聞きをする。
全県では662床のベッドが過剰で、圏域別では特に但馬圏域で118床のベッドが過剰とされた。医療供給体制の大幅な縮小となる。但馬圏域における医療課題、目指すべき医療提供体制と施策の内容についてまずお答えいただきたい。
■参事(医療確保担当)兼医務課長(味木和喜子)■ 現在作成を進めている地域医療構想案において、但馬圏域の医療機関が病床機能報告制度において自己申告した平成26年度の病床数は1,474床、一方、国のツールを用いて推計した平成37年の必要病床数は1,400床と差し引き74床と見込まれている。この必要病床数は、あくまで医療需要の将来像を展望するものである。同構想の作成に当たり、昨年度、但馬圏域の地域医療構想検討委員会において同圏域の課題や具体的施策を検討した。課題としては、一つには、2025年の医療需要に合わせた但馬圏域内の病院間の効率的な連携、医療機能の充実による急性期から慢性期までの一体的な運営、二つには、訪問診療をはじめとする在宅医療を支える人材確保、連携、三つには、働き手が減少する中での医療従事者の確保などが挙げられている。これらの課題に対する具体的施策として、一つには、但馬圏域内の病院機能の分化の支援や、地域医療連携クリティカルパスの導入等の病院間連携の促進、二つには、病院と開業医等の地域連携による在宅医療の推進、三つには、病院間の連携による総合診療専門医養成プログラムの作成などが盛り込まれている。
■いそみ恵子■ 但馬では、7月14日、但馬圏域医療機関等連絡会議で、県が地域医療構想の説明と、公立日高医療センターのあり方について議論をされ、9月26日、日高医療センターのあり方検討委員会の方向に沿って、公立日高医療センターに99床ある入院病床の全廃、眼科センターを公立豊岡病院に移す。日高医療センターは外来、訪問中心の診療所にするなどの計画が進められている。これは、県の案を受けた動きであり、県の案が引き起こした病院の再編であると思うが、このことについて、お答えいただきたい。
■参事(医療確保担当)兼医務課長(味木和喜子)■ 地域医療構想は、2025年に向けそれぞれの地域特性を踏まえ、住民が、住み慣れた地域で生活しながら、状態に応じた適切で必要な医療を受けられる地域医療の提供体制の構築を目指すものである。
但馬地域では、2010年では18万人であった人口が2025年には15万人に減少し、働き盛り世代のみならず、2020年には高齢者数がピークを迎えることが予測されている。このことから、地域の限られた医療従事者等の医療資源を踏まえつつ、地域医療体制を確保するためには、病院間の更なる機能分化を考えていく必要がある。
このたびの日高医療センターのあり方については検討途上と聞いている。地域医療構想策定後には、各圏域に地域医療構想調整会議を設置することとしており、但馬においても、その中であり方委員会の検討内容も視野に入れつつ、但馬地域の目指すべき医療提供体制のあり方を引き続き十分に議論いただけるものと考えている。県としては、地域の議論やそこで得られる方向性を受けとめ、適切に対応していく。
■いそみ恵子■ 答弁をいただいたが、検討途上ということである。公立日高医療センターの再編について、病床の削減、ケア支援などがあり、国の方向と、そして、県の案に合致している、こういうことだと思う。現に、9月26日の検討委員会で、地域医療構想に応じて公立豊岡病院組合傘下の病床機能の分化と配置、在宅医療の充実を推進することが必要であるとはっきり書かれている訳である。地域医療構想案の影響を受けていると言えると思う。
厚生労働省が示している、地域医療構想ガイドラインでは、医師会の医療関係者、保険者、市町村だけではなく、住民との十分な連携のもと、地域医療構想を策定するとしている。今回、地域医療構想案を地域ごとに検討する地域医療構想圏域検討会議における但馬のメンバーはどのような方々であるか。住民代表が入っているのか、その点についてお聞きをする。
■参事(医療確保担当)兼医務課長(味木和喜子)■ 但馬地域の地域医療構想検討委員会のメンバーであるが、郡市医師会、郡市歯科医師会、県薬剤師会、県看護協会、公立病院、住民の代表として、福祉・住民団体、市町行政、消防本部の代表者で構成されている。
■いそみ恵子■ 住民としては福祉・住民団体が入っているということであるが、私はこれでは不十分だと思っている。最も影響を受ける住民の意見を聞き、住民の合意を得ることが大切だと思っている。9月3日に公立豊岡病院組合主催の地域医療を考えるシンポジウムが行われた。そこでは、日高医療センターのパネラーが発言をされ、参加されたたくさんの住民から入院ベッドゼロは納得がいかない、なぜ眼科センターを豊岡病院に移すのかなどの意見が出されている。この案をやはり正式なものとして決めるべきではない。だから私は撤回を求めたいと思う。この点についてお答えいただきたい。
■参事(医療確保担当)兼医務課長(味木和喜子)■ 地域医療構想案への住民・団体等の意見反映について、先ほど申した地域医療構想検討委員会への住民団体の参画に加えて平成28年6月30日から7月22日にパブリックコメントを実施した。県民の皆様から104件の貴重な意見をいただいたところである。その意見の内容は、今後の医療体制を充実させ持続可能とするよう望む意見や在宅医療の充実、医療と介護との連携、更には各圏域固有の課題に対する意見など多岐にわたっている。これらの意見をできる限り構想案に反映しているところである。
地域医療構想策定後においても、県民の理解のもとで構想を推進することは重要であると考えている。病床機能の分化連携や在宅医療等には住民の理解が必要なことから、その普及啓発にも力を入れるとともに、実施する施策等には県民、関係団体へ情報提供し、調整会議を活用してそれらに対する意見・知見の集約なども行い、行政、医療機関、住民が一体となり地域医療構想の実現に取り組んでいく所存である。
介護保険 総合事業への移行について
■いそみ恵子■ 但馬の日高医療センターの案一つとってみても、住民や地域、医療機関にとっても合意できるような内容ではないと、このように思った。そして、地域医療構想案では、人口減少、医師をはじめ医療従事者が少ないと、前提のように言われている。県は地域創生元年と言って人口減少対策、これを進めると言っている。その方向とも私は矛盾すると思っているが、このような縮小を前提とした病院再編では、この地域に住みたくなくなる、住みにくくなるという住民がますます増えていくことになると思うので、県として支援の強化こそ私は求められていると思っている。住民の意見と乖離した縮小再編を押し付けるような案は撤回することを強く求め、次の質問に入る。
次に、介護保険に関してお聞きする。
2017年4月、改定介護保険法による要支援者サービスの見直しである介護予防、日常生活支援総合事業をスタートさせるタイムリミットを迎える。県下でも介護予防、訪問介護と、介護予防通所介護サービスを市町の総合事業に移行する取組が2015年度から進められている。4市2町で現在のところ実施され、最終年度の来年度には41市町、全市町でスタートする予定になっているが、介護認定者のうち、この総合事業に移行する要支援者は何人であるか、また何%であるか、お答えいただきたい。
■介護保険課長(岡田英樹)■ 総合事業へ移行対象となる県内要支援者数であるが、平成28年3月末現在、10万4,100人である。うち要支援1の方は5万4,701人、要支援2の方は4万9,399人である。認定者数に占める割合は、要支援1の方が18.9%、要支援2の方が17.1%といった状況である。
■いそみ恵子■ パーセントにすると、要介護認定を受けているうち、約37%という状況である。大変大きな影響があると思っている。これまで、国の法令により基準とサービス内容、報酬単価、利用料が決められていた要支援者のホームヘルプサービス、訪問介護、デイサービス、通所介護、これが市町の総合事業に移行して、現行相当サービスとボランティアによる訪問型、通所型サービスBなどが併存することになる。既に実施されている市町の実施状況、その内容について、お答えいただきたいと思う。
■高齢対策課長(阪本佳一)■ 現在、4市2町で新しい総合事業が実施されているが、現行と同等のサービスについては、訪問型は全市町、通所型は5市町で提供されているところである。基準を緩和したサービスの導入については、担い手が雇用労働者であるA型では、訪問型3市町、通所型4市町で実施されており、住民が主体となって市町独自の柔軟なサービス提供を行うB型については、訪問型2市町、通所型1市で実施されているところである。
具体的なサービス内容については、昨年度から新しい総合事業を実施している加東市では、指定された事業者が、生活支援サービスを提供する訪問型サービスA型やミニデイサービスを行う通所型サービスA型を実施しているところである。また、掃除や買い物、ごみ出しなどを行う訪問型サービスBの、かとう介護ファミリーサポートセンター事業や運動を通じた介護予防や高齢者の集いの場の提供を行う通所型サービスB型の、かとうまちかど体操教室・物忘れ予防カフェを、いずれの事業も元気高齢者等が担い手となって実施しているところである。
■いそみ恵子■ お答えいただいたが、加東市では訪問型、通所型ともボランティアによるサービスBということと、太子町などでは、訪問型サービスBと、事前にお聞きをしている。いろいろ工夫をされて、各市町とも頑張っている訳であるが、私は介護保険制度に基づいて、利用者から利用料を徴収し、サービスとして提供するものについては、サービス提供者の資格、経験など、一定の質の担保が当然必要だと考えている。例えば、通所介護サービスとして緩和された基準によるA型、これは介護職員の資格要件がないことに加えて、事業所ごとに配置すべき介護職員に関する基準を緩和することになる。利用者の安全確保の面からとても心配がある。そして、ヘルパー資格をもたない、あるいは、所定の研修を終了させていないボランティア等によるサービスB型は、私は導入すべきではないと考えるところである。ぜひその立場で、県として各市町村に助言すべきだと考えているが、いかがであろうか。
■高齢対策課長(阪本佳一)■ 今後、後期高齢者や単身世帯、高齢者のみ世帯など支援を必要とする高齢者の方が増加していく。そのため、元気高齢者を含めて、幅広い担い手による生活支援の仕組みづくりが求められているところである。ボランティア等住民主体の訪問型サービスB型では、従来の生活支援サービスの範囲を超える市町独自の柔軟なサービスの提供が可能であり、例えば、庭の手入れや、郡部での雪かきなど多様な生活支援ニーズに応えることができる。また、通所型サービスB型では、これまで財政的支援の乏しかった地域の集いの場について、要支援者を対象者とすることで、介護予防活動の円滑な実施に向けた一定の財源が確保されることとなる。
県としては、市町職員研修や生活支援コーディネーターの研修を実施して、サービスの質の確保、介護や医療の専門職との連携によるチームケアの実施を徹底して、市町による新しい総合事業の適切な実施を支援していく。
■いそみ恵子■ 総合事業に移行される方々は、介護認定者のうち約37%という状況であるので、非常に大きな影響が懸念されている。既に実施をされている市町の実施状況について把握されているようであるが、問題がないのかということも含めて、2015年度から始まったばかりであり、2017年度に全市町でスタートされるということであるから、まずやっているところは検証を検討していただきたいと思うが、いかがであろうか。
■高齢対策課長(阪本佳一)■ 県では、平成27年度から総合事業を実施している市町を対象とした国の調査に加えて、今年度新たに移行した市町も含めて各市町における状況を個別に調査するとともに、市町が抱える課題等に応じた助言を行っているところである。また、地域に出向いて、県内の先行自治体の事例紹介等を行う研修会や情報交換会、生活支援コーディネーター養成研修などを実施しているが、新制度に移行済みの市町に対してもそれぞれの課題を抽出した上で、全国の先進事例を紹介するなど適切な指導を行っているところである。
今後とも引き続き、各市町の実施状況を適宜把握するとともに、より質の高いサービスが県下各地で提供されるよう、必要な助言、指導を行っていく。
■いそみ恵子■ 既に国の調査と同時に県としてもそれぞれ個別の調査もされているという回答であった。抱える課題については、いろいろ出てきていると思うので、それに対しても助言も行われているということあるが、ぜひこの点について、私たちもつかんでいきたいと思うが、問題点を把握し、検証を続けていただきたいと申し上げておく。
介護保険の問題では、要支援1、2と認定された方の保険外しが始まったばかりである。ところが、国では、要介護1、2、軽度とされる方々の認定者についてもデイサービス、ホームヘルパー、介護ベッド、車椅子などの福祉用具の貸与、これについて保険給付外しが具体化されようとしている。要支援、そして、今度の要介護1、2の方々を加えると、介護認定者のうち実に兵庫県下で68.5%の方々が影響を受けることになる。とんでもないことだと思う。全額自己負担ということになれば負担は10倍となり、多くの高齢者から既に私のところにも悲鳴の声が届いている。介護ベッドや車椅子などの福祉用具をしっかりとレンタルをしていただいて、それを使うことによって自立をされている高齢者から悲鳴が届いている訳である。国の社会保障改革工程表に基づいてこれら計画が進められようとしているが、私は国に中止を求めるべきだと考えるが、いかがであろうか。
■介護保険課長(岡田英樹)■ 介護保険制度については、これまでから持続可能な当該制度の確立に向けて予防給付の見直し、一定以上所得のある利用者の自己負担の引き上げ、補足給付支給時の資産等勘案など、さまざまな制度改正が行われてきたところである。
そうした中、昨年12月、指摘のあったように、経済財政諮問会議において、負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化として、軽度者に対する生活援助サービス、福祉用具貸与、住宅改修に係る給付や負担のあり方について、厚生労働省の関係審議会等で検討し、2016年末までに結論を得る改革工程表を示され、現在、社会保障審議会の介護保険部会で議論がなされているところである。
県においては、これら介護保険制度における軽度者に対する生活援助サービスや福祉用具貸与等の給付及び負担のあり方について、国の動向を注視し、支援を必要とする高齢者に生活援助サービスなどが適切に提供されるよう、必要に応じ国に要望していく所存である。
■いそみ恵子■ 国に対して適宜要望していきたいと答弁があった。日本ホームヘルパー協会は、この動きに対して反対をし、初期段階における専門性の高い生活援助サービスの提供こそが利用者の気力の衰え、回復や交流不足を補い、生活の再生、状態の維持、改善、悪化の防止につながり、わずかな支援で高齢者が自分らしく暮らす期間を長くすることができる助けになっていることを介護の実践を通じて確信をしていると言われている。それは、将来の介護給付費削減につながると言われて反対を表明されている。私は国の社会保障審議会の部会で審議をされているが、国に対して中止せよと強く求めていただきたいと思う訳である。もう一度、答弁をいただきたいと思う。
■介護保険課長(岡田英樹)■ 委員からお話のあった点であるが、先週の新聞報道にもあったが、例えば、厚生労働省が掃除、調理、買い物など、生活援助サービスについて軽度者の給付を介護保険から外す案を見送りする方向で検討に入ったということで、今まさに議論をされているところである。繰り返しになるが、引き続いて国の動向など十分注意して、本当に支援を必要とする高齢者に適切な援助サービスなどの提供がなされるよう、必要に応じて国に要望していく所存であるので、よろしくお願いする。
■いそみ恵子■ 報道で見送る方向で検討に入ったと答弁をいただいた。全国から国に対して高齢者の皆さんを中心に専門の知識を生かして、この皆さんの生活の再生に頑張っていらっしゃる方々からの声だと、このように私は痛感をしている。
福祉用具貸与については、意見書が県議会の全会一致で採択をし、国に届けている。ぜひ計画の中止を求めていただきたいということを重ねて要望し、私からの質問を終わらせていただきたいと思う。ありがとうございました。
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