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2014年度予算特別委員会 農政環境部審査 いそみ恵子
2014年3月10日

【地球温暖化対策の目標と公表の強化を】

■いそみ恵子■ 日本共産党のいそみ恵子である。
 地球温暖化対策について質問する。
 昨年もフィリピンや、また伊豆大島で巨大台風による被害が起きるなど、異常気象の頻発が見られた。一つ一つの異常気象と温暖化の関わりは、十分解明でき ないにしても、地球温暖化、気候変動の影響と考えられる被害が急激に大きくなっており、私たちの暮らしを脅かしている。持続可能な社会と地域のために、温 暖化防止は切迫した課題であることがはっきりしたと思う。
 そこで、温暖化対策について、県の考えをお聞きしたいと思う。地球と地域の存続に関わる問題として、原発の稼働の有無にかかわらず、温室効果ガスの大幅 削減は、必ずやり遂げるべき課題だと考えておられるのか。それとも、原発が動かなければ排出が増えても仕方ないと考えておられるのか。県の考えはどちらで あるか。

■温暖化対策課長(遠藤英二)■ ただいま、地球温暖化の問題が地球的な大きな課題であるというご指摘をいただいた。COP19において、国が2020年 度までを目標年度として、2005年度比3.8%削減という温室効果ガスの削減目標を公表した。それを前提として、このたび県では、マイナス6%、 2005年度比で6%という削減目標を計画の中で策定させていただいた。
 電力期限のCO2の排出量については、委員ご指摘の原子力だけではなく、火力、水力など、電源構成比率により大きく異なる。1キロワット時の電力を使用 した場合に排出されるCO2の量は、電力排出係数と呼ばれるが、県の6%の削減目標は、国の計画の前提である直近の2012年度の電力排出係数0.514 キログラムCO2パー時を用いて算定したものである。こちらは、原発の削減効果をほとんど含めないという電力排出係数としては厳しめの値を用いた目標値と なっている。
 そういうことから、私どもは、参考までに基準年度である2005年度の同様の電力排出係数を置き換えた場合に、省エネの努力分が見えやすくなるように、 目標値の相当する削減幅として、2005年度比15%という参考値も示しているが、現時点ではこういった国の前提となる電源構成が明らかにされていないと いうことである。
 そういったことから、現時点では県としては、国の想定したものを前提とした対策、やるべきことをしっかりやっていくという考え方であり、委員のお尋ねの 部分については、原発以外の広い要素があるので、そういったものをきちっと踏まえて、国の対策を前提に進めていきたいと考えている。

■いそみ恵子■ 今、ご答弁があったが、計算上の問題のように言われている。私はそれはやはり間違っていると思う。原発が動けば15%削減でき る、でも動かなければ6%しか削減できないと言っているの同じだと思う。それで、次世代にやはり持続可能な、こういう社会を手渡せるのかどうか。この瀬戸 際の問題なのに、原発が動かないからここまでしかできませんでは、やはりだめだと思う。
 本会議で、我が党議員が2020年に90年比で25%削減目標にすべきだと追及したら、それは鳩山政権時に原発の新増設を見込んだ数字だという答弁をさ れておられた。25%減という数字は、電源構成によって左右されていい数字ではない。取り返しのつかない環境悪化を防ぐために、産業革命以来の気温上昇を 2度以内に抑えるべきだということが世界的な合意であり、それに見合う温室効果ガス削減について、国際的な話し合いが続いている。
 一昨年末に開かれたCOP18では、温暖化防止の国際ルールを定めた京都議定書の第二約束期間について、削減目標を18%とし、さらに引き上げを検討す るとしていた。排出量が世界で5位である日本で、2020年に25%減というのは、鳩山政権時の国際公約の数字であるとともに、ここまでやらなければ、こ の先社会が存続できないとみなされている、こういう目標だと思う。やれるだけやろうと、やれるだろうという目標設定ではなく、温暖化を防止するには、ここ までやり切らなければならないという目標設定でなければならないと思う。
 そうした立場で、県の2020年目標を25%削減あるいはそれに近い数字に目標を見直す考えはないか。その点についてお答え願う。

■温暖化対策課長(遠藤英二)■ 先ほどもご説明させていただいたが、国においては、今後、エネルギー政策やエネルギーミックスの検討の進展を踏まえ、目標値を見直すこととしている。
 県の計画となる国の削減対策が大幅に見直された場合、県の目標値についても県民、事業者、団体等の各主体の意見を踏まえて見直すこととしている。
 このたびの県の目標である2005年度比での6%の削減であるが、新たな削減対策を実施しない場合は、2020年度の排出量は逆に約6%も増加してしま うことになる。ここから、国の全国共通の対策で約9%減、県の独自対策で約3%減、合わせて12%の削減を行うこととしている。目標値としてはかなり野心 的なものになったと考えている。

■いそみ恵子■ 先ほどご答弁があったように、県は国よりも上乗せした目標を掲げて、産業界との協議なども大変ご苦労もされていると私も思う。そ れで、地球と兵庫県の未来に関わる問題として、あるべき目標に見直すよう、この点については強く私も要望させていただく。
 そして次に、特定物質排出抑制計画及び報告についてである。
 新しい計画のもとでは、これまで県での取りまとめしか発表されていなかった温室効果ガスを含む特定物質排出抑制計画及び報告の内容をそれぞれ公表すると している。個別の公表は我が党も求めてきたことで、一歩前進だと思っている。しかしなぜ、事業所ごとではなく、事業者ごとなのか。一つの事業者が幾つも工 場を持っていれば、合計でしか公開されないことになり、実態が分からないので、これは事業所単位とすべきだと思う。
 本会議質問では、複数事業所を持っている会社は、よりエネルギー効率が高い事業所に生産シフトするだろうから、事業者ごとの公表でいいのだという話で あったが、それだと、エネルギー効率は少々悪くても、こっちの設備を作った方がもうかるんだ、事業所の勝手だと言われれば、それまでの話になってしまう。 そうではなくて、一つ一つの工場が本当にエネルギー効率の高いやり方をとっているのかどうか、それを県民の目でチェックすることの方が効果が上がると思う が、どうか。

■温暖化対策課長(遠藤英二)■ 事業者から排出される温室効果ガスの排出抑制のため、環境の保全と創造に関する条例により、2003年度から本制度を施行している。
 これまで、事業者は業界団体として自主行動計画を定めるなど、自主的な取り組みを進めてきたが、さらなる排出削減を促すため、事業者自らが設定した削減目標、排出実績及び主要な取り組みを県として公表したいと考えている。
 今、ご指摘のあったように、特に複数の事業所を有する事業者に対しては、より計画的、効率的な削減を促すため、事業者全体で、効率のいい工場あるいは若 干悪い工場、それトータルを含めて、会社として一番エネルギー効率のいいところに重点的に生産をシフトしていくといったようなこと、あるいはそのプラン・ ドゥ・チェック・アクションというPDCAサイクルを会社全体として回していけるような工夫ができるということで、事業者ごとの公表を原則として制度設計 を進めたいと考えている。

■いそみ恵子■ この点については再検討をぜひ求めておきたいと思う。
 それからもう一つ、公表の対象となる事業所からの提出書類には、削減目標について、総量削減目標が示せない場合は、原単位での目標設定を認めるとされて いるようであるが、原単位、つまり生産単位の排出量では、生産活動が増えれば排出量も増えるということを認めることにつながってしまう。総量削減目標とす べきだと私は思うが、いかがか。

■温暖化対策課長(遠藤英二)■ ご指摘の削減目標の設定の仕方であるが、総排出量での目標設定を、我々の制度設計でも基本と考えている。しかしながら、 例えば電気事業者とか、セメントとか、建設業とか、経済状況により、大きく生産活動が左右される業種などにおいては総排出量の目標設定が困難というような ことも考えられるので、業務形態に応じた適切な原単位での目標設定となるよう事業者を指導していきたいと考えている。

■いそみ恵子■ この点についても、ぜひ再検討をお願いしたいと思う。削減目標や削減計画の策定を、事業所に義務づけ、そして不十分ながらも公開 させるということは、事業所の取り組みを促進させる上で意味あることだと思うが、やはり自主的な取り組みに任せるという域を出ていないと思う。持続可能な 社会のために、温室効果ガスの大幅削減をやろうと思えば、やはり県内全排出量の7割を占める産業界、中でも全排出量の半分を占めている640の大規模事業 所、ここに対して総量削減そのものを県として義務づける制度の導入を求めるが、いかがであろうか。

■温暖化対策課長(遠藤英二)■ 産業部門の温室効果ガスの排出量は、第2次計画の目標年度である2010年度に、1990年度比で県の全体の見込み値の6.3%減を上回る7.6%減と、着実に削減が進んできたところである。
 先ほども申し上げたようなさまざまな業務形態を持ち、一律な対応が難しい産業部門の排出割合の大きい本県においては、こうした排出削減の目標の設定と、 あるいは計画的な削減対策の実施、あるいはその結果の報告というものを、この制度で運用してきており、その効果が発揮されたものと認識している。そうした ことから、現段階では総量削減の義務づけは不要と考えている。
 今後、第3次計画の目標達成に向け、再生可能エネルギーの導入や省エネ診断の促進なども、そういった産業部門等に働きかけ、県民や事業者、団体、行政が一体となり、総合的な温室効果ガスの削減を進めていきたいと考えているので、ご指導よろしくお願いしたいと思う。

■いそみ恵子■ 本会議質問で我が党議員が紹介した東京都が、国がやろうとしないキャップ・アンド・トレードを自治体として先駆けて実施した理由 について、「いずれエネルギーの制約に直面するならば、今、低炭素型都市に移行し、持続可能な都市を創るべきだとこのように考えた」と言われている。地球 環境にとって重要な問題であると同時に、自治体の存続に関わる問題と認識して、そのために必要な2020年に、2000年比25%削減という目標を立て て、目標をやり遂げるために大規模事業所の総量削減義務づけを政策化したと、このように聞いている。経済界の反対も当初は強かったそうだが、ステークホル ダーミーティングというのを重ねて、誤った根拠による反対には、その論は間違っているということを示して、繰り返し議論して、最終的には賛成してもらった と。そしてその結果、企業のイメージアップやコスト減など、企業の発展に、とてもいいことだったということである。こういう東京の教訓に学んでほしいと思 う。一度ぜひそのお話も聞いていただくよう、このことを強く申し上げて、私からの質問を終わる。

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