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2014年度予算特別委員会 産業労働部 杉本ちさと
2014年3月7日

【パナ尼崎工場の撤退問題、補助金の従業員の状況について】

■杉本ちさと■ 日本共産党の杉本ちさとである。午後一番であるが、早速始めさせていただく。
 パナソニック尼崎工場は、本年3月末で全てを終了する。兵庫県はパナソニックの誘致に多額の補助金を出してきたが、結局のところこれまで合計で幾ら補助金を出して、幾ら返してもらったのであるか。
 それから、工場で働いていた労働者たちは今、どのようになっているか。

■産業立地室長(竹岡嘉彦)■ パナソニックプラズマディスプレイ社に対して交付した補助金の総額は約94億9,000万円である。このうち、平成24年 度に尼崎の第1工場、第3工場に係る約12億6,000万円が既に返還をいただいている。また、今月末には第2工場に係る21億6,000万円が返還され ることとなっている。
 また、パナソニックプラズマディスプレイ社、尼崎工場の従業員243名の状況であるが、役員2名を残して、1月31日に123名、2月14日に118名 の合計241名が退職されている。この241名に対して、同社が2月14日時点で行った調査によると、就職内定が36名、公益財団法人の産業雇用センター に登録して就職活動中の方々が123名、当面就職希望がないという方が16名、未回答が66名という状況であったと報告を受けている。その後も2月末まで に新たに10名の就職内定を確認しており、また、未回答66名を含めて、現在、追跡調査を実施しているとの報告を受けている。

■杉本ちさと■ 補助金は差し引き数十億円という莫大な県民の税金が投入された。また、労働者については、就職が内定したとはっきりしているのは 36名、その後、10名が2月末までに確認されたということであるが、合わせても46名である。その他については休職中かわからない。241名中わかって いるだけで46名しか内定していない。わずか2割に満たない、そういった状況である。これでは従業員の雇用に責任を持って対応したとは到底言えないのでは ないか。知事はパナソニックに尼崎工場従業員の雇用の確保を要請されたようですが、パナソニックはまともに対応しなかったということではないのか。県はど のように認識しているか。

■産業立地室長(竹岡嘉彦)■ 県では、従業員の雇用の確保について、知事からパナソニック社社長に文書で申し入れるとともに、パナソニック社やプラズマディスプレイ社の幹部に、直接関連企業への就職あっせんの取り組みを強く働きかけた。
 これを踏まえ、プラズマデイスプレイ社は、当面の生活に充当できる慰労金を支給するとともに、1月以降退職までを有給休暇扱いとし、時間をかけて就職活 動ができるよう配慮している。また、就職支援室によるハローワーク求人情報の提供や相談指導のほか、公益財団法人の産業雇用安定センターに120人以上が 登録し、今後1年間、同センターの就職支援を受けることもできるようになっている。さらには、本県の強い要請により、20社以上の関連企業や取引企業等を 独自に開拓し、就職あっせんが行われている。
 現在も、就職支援室でのフォローが行われており、可能な限りの雇用確保に取り組まれているものと認識している。

【大企業誘致の評価について】

■杉本ちさと■ パナソニックを大変擁護している認識だというふうに、極めて私は批判をしたいと思う。今回、退職された人たちは期間工からやっと 正社員になった人たちである。パナソニックは労働者の雇用を維持しなければならなかったにもかかわらず、数十万円ほどのほんの少しだけの慰労金を支払って 退職させてしまった。円満退職ではない。241名の退職者は仕方なしに受け入れただけである。相当数の離職者が発生する場合、法律に基づき、ハローワーク に大量雇用変動届けを提出しなければならない。パナソニックは茨木のハローワークに提出して指導を受けているはずである。県はこのことを掌握されている か。身勝手な大量リストラだということではないか。労働者の雇用の維持を図るべき企業の責任を果たさず、まるで物のように切り捨てる企業の乱暴なやり方を 県はこれでよしとしているのであるか。知事はパナソニックに雇用の責任を果たさせるという立場に本当に立っていたのかどうか疑問に思う。数十億円もの県民 の税金を補助した企業が労働者を使い捨てにして退職に追いやる、わずか8年で一方的に工場を閉鎖し、撤退をしてしまったのである。県はそれでもパナソニッ クの誘致をよかったと思っているか。それとも、間違いだったと反省しているか、どうか。

■産業立地室長(竹岡嘉彦)■ 尼崎工場の稼働停止は大変残念なことであると考えているが、その立地効果について、4,000億円を超える設備投資があり、ピーク時には約3,000人が雇用され、約500人の尼崎市民の雇用もあった。
 また、尼崎市の電子・デバイス部品の製造出荷額が立地後に9.3倍に増加したことからも、一定の効果はあったものと考えている。

■杉本ちさと■ 数十億円も補助金を出して、効果が何もなかったということはあり得ない訳であるから、それに見合った誘致効果があったのかどうか、改めて検証すべきだというふうに思う。
 経済のグローバル化が政府と財界において推進されている。そういった中で、世界との激しい競争で短期的な目先の利益を追い求める大企業を立地しても、安 定した雇用や取引などの長期的な企業活動を期待できないことは明らかではないか。外需依存の大企業を呼び込んで、地域経済を活性化させるといった経済対策 は見直すべきである。そして、地域に根差した中小企業を中心とした経済対策に切りかえるべきだと考えるが、どうか。

■産業立地室長(竹岡嘉彦)■ 企業立地の効果として雇用が生まれる。そこから消費も拡大する。さらに税収も上がる。また、直接的な設備投資も行われる。 部材調達による生産誘発効果も発生する。関連産業の集積や産業構造の高度化という面も図られる。また、地域のイメージアップにもつながると。こういった誘 致の効果があると考えている。
 これらは大企業、中小企業が相まって立地し、またその関連を生かしてそれぞれが発展していくと、そういった中をめざしていくものと考えている。
 平成14年の産業集積条例施行後、24年度までに、拠点地区へ415社の進出を支援し、96社に立地補助金を交付し、その3分の2に当たる66社は中小企業である。補助金以外にも、不動産取得税の軽減措置も企業規模にかかわらず活用されている。
 今後ともこの制度を活用して、積極的な企業誘致に取り組んでいきたいと考えている。

【中小企業の振興のために】

■杉本ちさと■ パナソニックのこのやり方に対して、全く反省をしていないということが今、明らかになったではないか。本当にこんなやり方で多額 の税金をつぎ込んで、地域の経済を活性化することができるのか。雇用が生まれると言うが、非正規雇用、いつでも首にできる、こういった不安定雇用が拡大し たばかりではないか。取引においても、知事が自らパナソニックの撤退において取引する企業が少なかったためによかったんだというふうに言われた。取引して いる中小企業、また、関連企業が極めて少ないということは、さまざまなデータでも、大企業を立地しても、地域効果、経済効果が少ないということを証明して いる一つだというふうに思う。
 改めて、私はこの大企業、パナソニックの誘致においてどうだったのか、きちんと検証をし、見直すところはきちんと見直すことが必要だというふうに思う。
 そして中小企業こそ、私は地域経済、また兵庫県経済を支える中心だという、ここのところをしっかりと認識をしていただきたいと思っている。
 中小企業中心の経済対策を県は行っていると、よく言われているけれども、地域の中小企業は事業所数でも減り続け、地場産業も含めて、疲弊し、衰退しているといった状況が推移していると考える。
 県は県内の中小企業の実態を、どのように把握されているのか。また、実態を知るためにどのような調査をされているのか。

■経営商業課長(足達和則)■ 本県の中小企業の実態の把握については、事業所数、従業者数については、国の経済センサスにより把握をしている。
 経済動向については、一つには兵庫産業活性化センターが四半期ごとに実施する中小企業経営動向調査、あるいは、日銀神戸支店の全国企業短期経済観測調 査、日銀短観による調査、それから、兵庫県中小企業団体中央会が毎月実施している県下情報連絡員による業種別の景況調査、加えて、産業労働部と県民局が分 担をして、地場産業及び中小企業等を定期的に訪問をして、経営状況をヒアリングすることにより、中小企業の実態把握に努めている。

■杉本ちさと■ 私は、グローバル経済のもとで疲弊した地域経済を再生させるのは中小企業だと思う。
 事業所の99%、雇用の8割を占め、地方経済の中心的な担い手の中小企業業者を最優先にした経済政策を打ち出すことによって、地域内での再投資を高め、 雇用と所得を生み出し、地域にお金を循環させ、地域経済を豊かにして、住民生活を向上させることが求められていると思う。
 一つ、参考になる事例がある。トヨタ自動車のおひざ元の愛知県では、トヨタ頼みの県政運営を続けていたが、リーマン・ショック後の景気後退で、県税収入 が平成19年に法人二税が6,304億円だったのが、平成22年度には1,623億円に減少した。率にして74%も一気に減少してしまったのである。
 県や市町の財政は多大な影響を受けたが、この経験から愛知県は、大企業の方ばかりを向いていたけれど、いつでも海外に出ていってしまうような大企業に 頼っていてはいけないという認識に変わった。そして、愛知県の経済と雇用を支える主役は中小企業であり、中小企業が元気を出すことが、県民生活の向上と県 経済の持続的な成長につながることや、中小企業は地域の安心・安全の環境美化、祭りや伝統文化の保存など、地域社会に貢献する役割も担っていることなど、 中小企業を経済対策の中心にするという県政の中できちんと位置づけ、平成23年に中小企業振興条例を制定した。
 中小企業振興条例は、中小企業を保護するためのものではなく、地域づくり、地域振興のために最も頼りになる経済主体である中小企業業者の活力の増進に、地方自治体が主体的、戦略的、系統的に取り組むというものである。
 私はこれは非常に参考になる事例だというふうに思う。
 中小企業基本法が制定され、第6条に地方公共団体の責務として、中小企業に関して、その地域の個性に合わせた施策を策定し、実施しなければならないということになっている。
 こういった背景もあって、この間、中小企業振興条例が全国各地で制定された。そして、都道府県の中では、全国で25の道府県で制定されている。全国で半数以上の道府県で既に制定されている。
 兵庫県でも、ぜひ兵庫県経済を抜本的に振興させるための戦略的指針となる中小企業振興条例を制定することを求めるが、どうか。

■経営商業課長(足達和則)■ 本県ではこれまでも中小企業の振興を産業労働部の最重要施策として積極的に取り組んできたところである。
 有識者の提言やパブリックコメントを踏まえて策定し、先般県議会で議決いただいた兵庫経済雇用活性化プランにおいて、中小企業は本県経済の源泉であると いうことを位置づけ、中小企業の強みである優れた技術、製品等の高付加価値化、経営力強化、事業基盤の底上げ等、さまざまな施策を今後とも推進していくこ ととしているので、改めて県で中小企業振興のための条例制定をすることは、積極的な意義としては見出しにくいというふうに考えている。

■杉本ちさと■ 行政の認識が、まだ低いというふうに思う。
 中小企業支援のメニューがあったとしても、国の施策をもとにした補助金や制度融資をやっているというだけではないか。
 その地域の産業や暮らしをどのように振興していくのかという、戦略的な視点が、この中小企業振興条例を進めていく、大事なポイントになっている。
 ここのところをしっかりと踏まえて、改めて私は中小企業振興条例をつくることを検討していただきたいと思う。
 そしてその検討に当たっては、中小零細企業など、業者たちの生の声をしっかりと受けとめて、そして実態調査を行い、反映をしていくことなども含めて要望して、質問にかえさせていただく。ありがとうございました。

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