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2014年度予算特別委員会 企画県民部審査 杉本ちさと
2014年3月5日

【姫路、赤穂の石油コンビナート地区の南海トラフ地震被害について】

■杉本ちさと■ 質問を始めさせていただく。日本共産党の杉本ちさとである。
 兵庫県は南海トラフ地震による津波の浸水シミュレーションを公表した。今回の想定では、南海トラフを震源とする地震によって発生する最大クラスの津波について、最高津波水位、到達時間、浸水面積を予測したこととある。
 3年前の3月11日に発生した東日本大震災では、東北の太平洋沿岸に立地する危険物、高圧ガス、毒劇物の施設や石油コンビナート地域では、石油タンクや 配管から危険物等が流出し、火災や船舶の漂流、衝突などの被害が発生し、東京湾の石油コンビナート地域においても、液状化現象や石油タンクのスロッシング による被害が発生したほか、千葉県市原市の精油所では、地震動による液化石油ガスタンクから内容物が大量に漏えいして火災となり、数回も爆発が発生した。
 兵庫県にも、神戸地区、東播磨地区、姫路臨海地区、赤穂地区の四つの石油コンビナート地区に40の特定事業所があり、石油や高圧ガス、毒物、劇物など、危険物が大量に保管されている。
 中でも姫路の臨海地区は、18の特定事業所に石油や高圧ガス、LNGなど県内でも最大規模の危険物集積地となっている。また、赤穂地区には、石油26万5,000キロリットルを貯蔵している関西電力がある。
 このような地区で、一たび大規模な地震や津波が発生すれば、多くの住民の命や地域経済に重大な影響を及ぼすことが想定されると考えられる。
 しかし、先日発表された浸水想定では、姫路市は津波最高水位が2.5メートル、最短到達時間が120分となっていて、いわゆる石油コンビナート地域ではほとんど浸水しない想定になっている。
 また、赤穂市でも、津波最高水位が2.8メートル、最短到達時間は120分であるが、石油コンビナート地区もほとんど浸水しない想定になっている。
 これで本当に大丈夫だろうか。護岸や埋立地の沈下予測はどうなっているのか。液状化も予測されているのか。どのような調査のもとで、このような想定になっているのか、お尋ねする。

■防災計画課長(高見 隆)■ このたびの津波シミュレーションでは、地震動による防潮堤等ハード施設の被害を考慮するということで、国が開発したプログラムを用いて、地震動による沈下量の計算を行い、その結果を浸水予測に反映している。
 また、地盤の沈下の問題であるが、これについては、埋立地を含めた陸域全体について、これはプレートが動くことによる地震による地殻の沈降が起きるのであるが、その部分については考慮をした形で浸水予測を行っている。
 液状化による地盤の沈下については、国の想定でも考慮はされていないので、それに準じて県の方の想定は実施をさせていただいている。
 そのような形で、一定の地殻の沈降、それに加えて防護施設である防潮堤の破損の状況、それらを全て考慮して、石油コンビナート地区の浸水予測も行っているが、結果としてこの地区については、ほとんど浸水は見られなかった。ごく一部あるが、30センチ以下の浸水深しかないということであり、石油タンク等に はほとんど影響がないのではないかというふうに考えている。
 また、液状化の被害予測については、これは浸水の図面を作る作業とは別であるので、これは現在進めている被害想定の中のものになるが、今進めているの は、国が算出した液状化危険度を示す値をもとにして、市区町ごとの液状化による建物被害数を想定することを考えており、ご指摘の石油コンビナート地区の中 の液状化による被害の分量というのは、想定する予定にはなっていない。

■杉本ちさと■ 想定が余りされていないということを改めてお聞きして、これでは本当にこれからきちっとやっていただきたいなというふうに思う。
 国の想定を含んだチャート方式で処理されたというふうに聞いているが、民間企業から取り寄せたデータで想定されたようであり、県が企業に直接入って確認したものではない。
 また、液状化による沈下についても、今先ほどお答えのように、企業の中の様子については、全く調べられた訳ではない。液状化による沈下も、川の堤防の部分から浸水するという、そういった想定だけである。
 姫路市と赤穂市の石油コンビナート地区は、埋立地である。どこから土を運んできたのかということも、やはり調査すべきだというふうに思う。
 また、播磨平野はほとんど砂れきや砂、シルト、粘土からなる沖積層でできている。液状化が起こりやすい地盤である。南海トラフ地震では、3分もの長周期 震動が想定されている。埋立地や沖積層の周辺地域では、液状化が必ず起こると専門家も指摘をしているが、埋立地全体の液状化の被害予測、こういったもの は、ぜひやっていかなければならないというふうに思う。
 液状化の面的被害も想定して、埋立地と沖積層の液状化が石油コンビナート地区とその周辺地域にどのような影響を及ぼすのか、また、どのような対策がとられるのか、こういった点では、今後のことだと思うのだが、それについての対策はどうされるのか、お聞きする。

■消防課長(中井弘慈)■ 石油コンビナート地区にある特定・準特定タンクについては、地震による大きな被害が生じることのないように、法令に基づき、特 定タンクについては平成25年12月末、準特定タンクについては平成29年3月末までに耐震改修を行うこととされている。
 そういった基準の中で、液状化しないもの、地盤の面の下20メートルは液状化しないような対策をとることとなっているので、そういった対策の中で、地盤を調査して、こういったタンクについては、所要の液状化の対策が講じられているということである。

■杉本ちさと■ 所要の液状化の対策が講じられているというふうにお答えがあったが、先ほどの答弁では、企業の中のことについては考えていないというふうな答弁である。
 企業の中の、石油コンビナートのその地区の特定事業所の中に、県として立入調査をやって、そして地盤の状況とかというのは、直接調査をされたということで、先ほどのお答えがあったのだろうか、その点をもう一度お聞きする。

■消防課長(中井弘慈)■ 危険物施設について、監督権限は消防本部にある。ただ、先ほど申し上げた液状化しないような耐震改修ということについては、消防本部が確認をして、認定をしているところである。それを県としても報告を受けているところである。

【姫路の特定・準特定タンクの耐震化について】

■杉本ちさと■ 屋外タンクの耐震化、先ほど、25年12月末で特定タンクは耐震化が完了しているということであるのかなと思うのだが、特定タン クの審査等は、危険物保安技術協会に委託して、タンク本体の設備審査や基礎地盤の液状化等を審査することになっているが、一つお伺いしたいが、阪神・淡路 大震災以降、樹脂注入など、地盤改良を実施したケースはあるのだろうか。

■消防課長(中井弘慈)■ 耐震化の改修、特に液状化については、今、委員がおっしゃったように、危険物保安技術協会が認定をしているが、阪神・淡路大震災以降、樹脂注入までして改修したという事例は、現在のところ承知していない。
 姫路の特定タンク23基中22基が改修をしているが、残り1基は今休止中である。
 その休止中が、タンクを改修して再使用される場合には、もし地盤が弱ければ、そういった樹脂注入をして、再開をする。対経費が高ければ、場合によっては廃止になるというようなことだろうと考えている。

■杉本ちさと■ 一つもないということであるが、この東南海のトラフの地震の石油コンビナートにおける津波・地震対策、これは阪神・淡路大震災どころではないのである。
 液状化対策というのが本当にきちんとやられているのかどうかということが、大変重要になってきている訳で、そのために、この質問を本当にしないといけないと思って準備をした。
 長周期の震動で、本当に液状化があちらこちらで起きると、今の基準でタンクの耐震化が大丈夫だという、それでは間尺に合わないということが、東日本大震 災でさまざまな爆発事故、テレビでも映ったが、ああいった石油タンクからの火災、また爆発、そして、住民の住んでいる地域にも汚染された油が流れ込んでく る、こういった危険な状況も想定される訳である。
 私はこの民間に委託をして、そして設備の審査とか、またそれをチェックする機関も民間であるというやり方では、やはり多くの住民の命や、また、コンビナートの災害を根本から防いでいくという点では、もっともっと市町の消防本部や県が審査に責任を持つべきだと思う。

【津波火災への備えについて】

■杉本ちさと■ 次に、姫路や赤穂の石油コンビナート地区は、原油貯蔵量が大変多い地区である。
 津波被害で原油が流出し、火災が発生することも、先ほどから言っているように予想される。
 大阪府は、石油コンビナート地区の津波・地震対策で、原油の流出被害想定を発表したが、兵庫県でもこのような原油流出量や拡散をシミュレーションして、津波火災に対する備えが必要だと考えるが、これはどうだろうか。

■消防課長(中井弘慈)■ コンビナート特別区域については、先ほど計画課長の方から答弁あったように、姫路では30センチ未満、赤穂でもゼロセンチとい うことであるので、流出油による津波火災のおそれはないと考えているし、それ以外、特別防災区域以外も、同じく姫路では30センチ未満、赤穂でも2メート ル未満ということで、損壊の可能性があるとされる浸水深3メートル以上の区域はない。
 このことから、津波については、屋外危険タンクなど、危険物施設については、津波火災のおそれはないと考えている。
 万が一、何らかの原因で津波火災が発生した場合は、地域の消防力、あるいは消防の広域応援等によって、被害の拡大を防止する努力を最大限していくつもりである。

■杉本ちさと■ 津波火災の発生する可能性がない、おそれがないと言い切られているが、そのような認識でいいのだろうか。本当に危険物が集積している地域でのこの地盤の調査というのは、やっぱりきちんとやるべきだと思う。
 企業任せにしていてはいけないということ。1月28日に網干の日触爆発事故を捜査している兵庫県警が、当時の副所長ら幹部5人を業務上過失致死傷容疑で書類送検した。
 アクリル酸をタンクに入れる際、爆発の危険性があったのに、冷却作業の周知徹底など、温度管理を怠り、アクリル酸の化学反応が発生、タンクを高温状態にさせて爆発を招いた疑いが持たれている。
 これはやっぱり企業任せにしてはいけないということが、日触爆発事故を通して、私たちは教訓があるのではないかと、改めて思っている。
 この石油コンビナート地区の地盤の調査、そして液状化に対する万全の対策というのを、認識を本当に改めていただいて、今後行っていただきたいということを、改めて強調したいと思う。
 今、東日本大震災で、広範囲にわたって危険物施設や高圧ガス施設が被害を受け、これまで経験したことがないLPGタンクの爆発火災、津波による石油類の 大量流出や、大規模火災が発生したことなどから、国は石油コンビナートの防災アセスメント指針を、平成25年3月に改定した。また、東京湾の石油コンビ ナート区域では、石油コンビナート等民間企業の減災対策について、東京都、千葉県、神奈川県など、9都県市が国と県市、そして事業者の役割などを整理し て、石油コンビナート等特別防災区域における減災対策のための共同研究が行われている。
 私は、兵庫県でもこのような研究が、大阪府など臨海部に石油コンビナート地区を有する他府県とも行うことが大変重要になっている、必要になっていると考えるが、この点はどうだろうか。

■消防課長(中井弘慈)■ 危険物施設、東日本、阪神・淡路大震災、地震動とか液状化による大規模火災など、甚大な被害が発生していないということをまず最初に申し上げておく。
 それと今の質問の件であるが、兵庫県も防災本部会議を持っているので、そういったところで、おっしゃったような機関、たくさん、それぞれの関係機関がメ ンバーになっているので、そういったことも今後は検討していきたいと考えているし、また、今後発生される南海トラフ地震、内陸直下地震など、危険物施設の 耐震性能の強化というのは、確かに委員の指摘のように重要であると考えているので、さらに、コンビナート地域も含めて、安全性を向上させるために、県とし ても努力をしていきたいと思っている。どうぞよろしくお願いする。

■杉本ちさと■ 私は姫路であるが、臨海部のすぐそばに工場がある。そして、大規模集客施設もあって、多くの方がそこに住んでおられる。赤穂もも ちろんそうであるが、ひとたび災害が起きれば、本当に甚大な被害になるということが予想されるので、この南海トラフの対策については、阪神・淡路大震災の 経験ではいけないということも改めて指摘をさせていただいて、万全の対策、石油コンビナート地区の津波・地震防災対策の抜本的な強化を改めて求めて、質問 を終わる。ありがとうございました。

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