重度障害者医療費助成制度について
■ねりき恵子■ 私は精神障害者の医療費助成の拡充について今日はお伺いしたいと思う。
日本共産党県議団は精神障害者を県の福祉医療、重度障害者医療費助成制度の対象にすること、つまり、精神疾患以外の医療費を助成対象とすることについて、2004年の本会議質問などでも取り上げ、従来から要求してきた。その後、1級のみであるが、精神障害者の医療費助成が実現し、現在に至っている。今の課題は対象を更に広げることだと思っている。
その点で、初めに伺いたいのは、精神障害者の手帳を持っておられる方の生活実態、収入の分かる調査を厚生労働省がされている。平成23年度全国在宅障害児・者等実態調査、生活のしづらさなどに関する調査結果を見ると、障害者手帳所有者の1月当たりの平均収入は6万円以上9万円未満の割合が最も高くなっている。そこで、手帳所持者のうち、1月当たりの収入が9万円未満の割合がどのくらいか、精神障害者と身体障害者、それぞれの比率をお答え願う。
■障害福祉課長(上田賢一)■ まず、この調査であるが、この調査については、回答のあった障害者手帳所持者9,345人の1月当たりの平均収入を、例えば、ゼロ円から1万円と区切って、何人、何%いるか公表したものであって、平均収入が幾らという調査結果は公表はされていない。それを前提としてご報告を申し上げる。
精神障害者保健福祉手帳所持者で1月当たりの平均収入が9万円未満の方の割合であるが、65歳未満で438人、52.7%、65歳以上の方が80人で26.4%となっている。また、身体障害者の手帳所持者であるが、65歳未満は735人で32.5%、65歳以上が1,656人、30.4%となっている。
■ねりき恵子■ 今、お答えいただいたように、精神障害の方と身体障害の方で、もちろん身体障害の方も大変な状況にあるということだが、比べて見ると、精神障害者手帳を持っておられる方の半数以上が平均月収9万円未満という状況である。身体障害者手帳の方よりも低所得の方が多い実態となっていることがこの調査で明らかになっていると思う。
私も実際にお話をお聞きすると、1級の方も2級の方も同じように苦しい生活実態であると見受けられる。ある方は、ピアヘルパーとして働いて月2万5,000円の収入、統合失調症でフルタイムで働くのは難しい、精神科以外の医療費の3割負担はつらい。また、ある方は、親亡き後、月6万円の生活では病院にも行けないのではと思うと大変不安だ。また、2級であれ、働けなくて収入がないという状況がほとんどの方で、等級に関係なくお願いしたい。また、家族が医療費を支払っているけれども、年収は200万円以下。高齢のため、家族の医療費もかかっている。身体障害者との対比だけの検討はやめてほしいという切実な内容となっている。
一方、奈良県では県として精神障害者の手帳対象者のアンケートを実施して、半数近くから回答を得て、そこからは6割以上の人が年収100万円未満であり、医療費が生活を圧迫していることが浮き彫りになった。その結果、奈良県では今年10月から1級だけでなく、2級の方も対象にした精神障害者の医療費助成制度の開始につながっている。兵庫県としても精神障害者の方の生活実態についてアンケートなどを行って、実態を把握する必要があると考えるが、いかがであるか。
■障害福祉課長(上田賢一)■ 先ほどご指摘のあった、国の生活のしづらさなどに関する調査とは、調査項目が必ずしも一致するものではないが、本県においても障害者福祉プラン改定の資料とするため、生活実態調査を本年2月から3月にかけて実施した。これは県内の障害者手帳を持つ6,700人に対して障害者の働き方、住まい、スポーツなど、社会参加の状況まで幅広い項目について調査を行い、2,822人から回答をいただいており、これについて結果については障害者プラン等で検討していきたいと考えている。したがって、現在のところ新たにアンケート調査を実施する予定はない。
■ねりき恵子■ 今、お答えで一度2月から3月にかけて行っているということであるので、その実態をぜひ障害者プランに反映するということなのであるが、それともう一つ、やはり今、私が取り上げているこの精神障害者の医療費助成の件について、精神障害の方の生活実態を明らかにしていただいて、ぜひ検討していただきたいということを申し上げたいと思う。
私たちはこの間も一貫して精神障害2級の方への福祉医療費助成、精神障害以外の医療費助成をするべきだと主張し、要求してきた。山梨県においても全市町で取り組まれているし、近畿でも先ほど触れたように、奈良県で1、2級を対象にした医療費助成がこの10月から始まったところである。山梨県、奈良県に続いて、兵庫県でもこの2級を対象にした医療費助成を行うべきだと思うが、ぜひそのご決断をお願いしたいと思う。いかがであるか。
■障害福祉課長(上田賢一)■ 本県においては、障害の程度が重いとされている身体障害者1級と2級、知的障害者のA判定を対象として医療費助成制度を創設して運営してきたが、多様なご意見を踏まえて、委員ご指摘のとおり、障害の程度が同程度と考えられる精神障害者1級所持者に対しても重度障害者医療費助成制度の対象として制度の充実を図ってきたところである。
精神障害者保健福祉手帳の等級判定基準であるが、食事、洗面、入浴、更衣、清掃などにおいて、2級は必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、1級は常時全面的介助が必要とされていることなど、日常生活に大きな差があるので、1級所持者を医療費助成制度の対象としているところである。
本県においては、重度の精神障害者を対象に全ての市町に共通の基盤的な制度として実施しており、今後とも持続的で安定的な制度としてこの枠組みを維持していくこととしている。よろしくお願いする。
■ねりき恵子■ 先ほども申し上げたように、身体障害の方と比べると精神障害の方がなかなか労働環境が悪いという状況もあって、生活実態が非常に苦しいということで、1級も2級もその生活実態に差が余りないんだと、同じような生活困窮の状態なんだということを切実に言われている訳である。その辺をもっと把握していただきたいという点で、実態調査をしていただきたいと申し上げた。だから、県が行ったアンケート結果でそういった実態も出ていると思うので、そこをしっかりと見ていただいて、精神障害者医療費助成を2級まで拡充していっていただきたいと思う。そして、県内でも宝塚市をはじめ九つの自治体で2級まで拡充している自治体があると思うし、乳幼児医療費助成も中学校3年まで拡大をしてきたという経過があるから、ぜひ、市町とも協調しながら障害者の方、特に精神障害の方の医療費助成の拡充、当事者の方が本当に願っている。特に、やはり親亡き後、自分一人で自活していけるかどうかというのが非常に不安な状況となっているので、ぜひその実態を真摯に受け止めていただいて、前向きに検討していただきたいということを要望して終わる。ありがとうございました。
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