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2013年度予算特別委員会健康福祉部審査 きだ結
2013年3月7日

24時間定期巡回・随時対応型訪問介護看護について

■きだ 結■ 日本共産党兵庫県会議員団のきだ結である。私からは、まず高齢者の介護についてお聞きする。
 昨年度改定された兵庫県老人福祉計画、第5期介護保険事業支援計画では、施設から在宅への移行を掲げて、施設整備を抑制する一方で、在宅支援を充実するとしている。来年度予算では、これらの具体化として在宅介護支援の充実に、24時間LSA地域見守り事業を行う地域サポート型特養の創設や、昨年度に引き続き24時間定期巡回・随時対応型訪問介護看護の推進などをうたっている。
 そこで、先ほどの委員の質疑にもあったが、この推進すると言われている24時間定期巡回・随時対応型訪問サービスの昨年度の県内の実施事業者数とその利用者数、そして新年度の見通しをお聞かせいただきたい。
 そして、併せて昨年、尼崎市、宝塚市で行われたモデル事業の結果概要についてご答弁いただきたい。

■高齢社会課長(伊澤知法)■ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護については、平成24年度は3市7事業所が指定を受けて事業を開始しているところである。また、来年度については2市2事業所増えて、5市9事業所が事業を開始する予定となっている。また、平成23年度に尼崎市と宝塚市でモデル事業を実施した。その分析結果では、利用状況がちょっと伸びなかったということがある。それから、やはりオペレーターなど職員の養成が必要であるということ。それから、特に中心となる訪問介護事業所への周知が必要であるという課題が明らかになった。
 このため、県では今年度からの円滑なサービスのスタートに向けて、モデル事業の結果を踏まえて検討会議も開催して、今年度、介護事業の経営者を対象としたセミナーや介護・看護職員等を対象にした介護技術オペレーター技能の向上を図る研修会を行って、支援したところである。

■きだ 結■ 今お答えをいただいたけれども、実際のところ、この3月1日から神戸市などが始めたが、それまではたつの市1市のみであった。介護報酬の改定で、在宅介護充実の目玉として新たに出てきたこのサービスだけれども、やはり改善をしないといけないということで、周知徹底などを図るというお答えだった。やはり何が足かせになっているのかということをしっかりつかんでいただく必要があると思う。
 私も、宝塚市と尼崎市でのモデル事業の報告書をいただいた。宝塚市は4人、そして尼崎市は5人の利用者がいらっしゃったが、この利用者、家族からの意見、感想では、通報装置を設置していることで安心した生活ができるという評価がある一方で、従来から関係のある訪問介護、訪問看護を利用できないから、今後利用したくないとか、日中独居になるため利用したが、費用が高く利用するには抵抗を感じると述べておられる。
 こういった声が寄せられているとおり、この制度は従来の訪問介護・看護を併用することができないことになっている。このサービスでは1回15分程度、1日数回の訪問と短時間、細切れの介護になってしまって、食事や入浴介助などは事実上受けられない。私がお話を伺った事業者さんは、排せつの介助さえも十分なものができないだろうということをおっしゃっていた。
 例えば、薬が飲めていない方に、服薬援助のためだけに行くとか、安否確認のような見守りには適しているかもしれない。しかし、その場合には、モデル事業利用者の声にあったように、定額、包括算定なので、利用料は従来に比べかなり高いものになってしまう。在宅生活に必要なサービスを24時間いつでも受けられるという売りだけれども、そのイメージからはほど遠いのが今の実態だと思う。
 そこで、まず、利用者が必要なサービスを受けられるように、せめてこの24時間定期巡回・随時訪問型サービスを従来の訪問介護・看護と併用できるようにするといった改善が必要だと思うが、こういった点について県の考えをお聞かせいただきたい。

■高齢社会課長(伊澤知法)■ この定期巡回・随時対応型訪問介護看護であるけれども、委員もご指摘されたように、従来のケアプランに基づく形に比べると、24時間対応ということで、確かに短時間で複数回訪問するということが大きな特徴の一つになっていると思う。その関係もあって、国の制度設計に当たっては、訪問介護と訪問看護、それから余り利用は多くなかったけれども、夜間対応型という夜だけの介護サービスもあって、それらはやはり重複感があるということで、制度としては一本化されているところである。
 他方、お金の面では、在宅なので、区分支給限度額という使えるサービスの限度があるが、例えばデイサービスとかショートステイに関しては、報酬減額はあるけれども、一応ケアマネさんが作れば併用できるようになっている。
 ただ、委員がおっしゃっているのは、恐らく前者のほうだとは思うけれども、いずれにしても、委員自身もご指摘いただいたように、まだ始まったばかりであるので、いろいろな現場実態のお話なども聞きたい。今始まったばかりなので、国への要望までは考えていないけれども、いずれにしても実態をまず把握することをしっかりしたいと思っている。

■きだ 結■ 今お答えいただいたように、デイサービス、ショートステイは併用できるけれども、今まで顔見知りになった介護員さんなどが使えなくなるということが、やはり大きく不安としてあるようである。
 このサービスの報酬は、先ほども述べたように、包括算定、定額なので、サービスの提供が多くても少なくても、一定の額を払う。例えば、要介護1だと、何回訪問して何時間サービスを提供しようが、訪問介護だけだと1ヵ月6,670単位と定められている。1日当たりに計算すると220単位にしかならず、そこにアセスメント料やコールを受けるオペレーター代も含まれる。
 従来の介護報酬では、身体介護30分で254単位であるのと比べると、非常に低い報酬であることが分かると思う。要介護1の人なら、1日1回訪問するのがやっとという報酬にしかならず、事業者にとっても本当に割に合わない、見合わない制度だと言わざるを得ないと思う。
 先日、この3月1日から事業を始めたばかりの事業所に、私は話を伺いに行ったが、その事業所は特別養護老人ホームに併設をされて、六つの訪問看護ステーションと三つの訪問介護事業所と、連携や一部委託をするという連携型の事業所をされている。今言ったような、新しい人たちを放り出さない、今している人たちのヘルパーさんを切るということではできないので、利用者の確保の問題や、十分なサービスを提供するには、報酬単位がやはり低過ぎ、連携先の訪問介護や看護の事業所に厳しい経営を強いることになる。始める前からこの事業が続けられるんだろうか、というような不安の声をお聞きした。
 中でも大変なのは、やっぱり職員の確保だと思う。利用者からの通報を受けて適切な判断をするためには、経験を積んだ職員しかできないし、夜間対応のための増員も本来必要である。しかし、介護分野の人手は相変わらず不足していて、確保は本当に容易なものではない。しっかりと緊急対応できる、利用者も必要な量のサービスを受けられるという制度になれば、本当にいい制度になると思うが、そのためにはヘルパーや看護師の人員の確保、そしてそれを保障するだけの財源がやはり必要だと思う。
 そこで、今、介護報酬上の加算という形で、利用者の負担とされてしまった介護職員処遇改善交付金、この復活をやはり国に対して強く求めるべきだと思うのである。そして、県は独自に、例えば人件費に対して直接補助をするとか、利用者に負担がかからないような形での対処、財政措置が必要だと考えるが、いかがだろうか。

■高齢社会課長(伊澤知法)■ 介護職員の処遇改善については、委員もご指摘いただいたように、国の介護給付費分科会という介護の給付を定めるところでの議論を踏まえて、今は暫定的な扱いではあるけれども、かつての交付金相当分をこの3年間の介護報酬加算として組み込まれているところである。このような経緯があるので、県として、現時点で交付金の復活について、国への要望は考えていないところである。
 また、介護職員の処遇改善については、こういった手当てに加えて、事業者の方にも少しはご努力いただきたいとも思っているところである。事業者にとって、安定的、継続的な事業収入という観点も大事ではないかと思っており、臨時的な交付金、あるいは基金というよりは報酬のほうが望ましいのではないかと考えていて、県で独自の補助というようなことは、現在のところ考えていない。

在宅介護支援の充実について

■きだ 結■ 報酬に加えて、ある程度事業者の負担もお願いするということだったが、やはり事業者にとっても財源の確保ということが本当に必要だし、利用者の介護保険料も今は高くなっている。今の事例では要介護1だが、介護度が上がるにつれてもちろん利用料も高くなっているので、今、保険料を払って必要な介護を受けられないということが本当に問題になっているので、その点は改めて求めておきたいと思う。
 そして、今、24時間定期巡回・随時対応型サービスのみをやりとりしてお分かりのように、十分な在宅介護が可能になる訳ではなくて、もう少し在宅介護の支援充実が必要かと思われる。
 その一つとして、ショートステイの整備の問題を取り上げたいと思う。
 今、医療費抑制のもとで在院日数の短縮が進められて、病院からの追い出しが進んでいる。退院後、特養ホームに入りたくても200人待ちなどはざらで、結局、家族頼みの介護に頼らざるを得ない状況である。その中で、ショートステイは、利用者の心身の状態に合わせて、たとえ在宅で介護をする家庭でも、家族の負担を軽減する、一時避難的に見てほしいというときに、ショートステイの役割は大きなものがあると思う。しかし、問題はベッド数が大幅に不足しているということである。
 厚生労働省の介護サービス施設事業所調査の短期入所生活介護の定員数、これを被保険者数で割って、県ごとにショート専用ベッドの整備数が一体どれぐらいの位置にあるのかということを計算したら、兵庫県は全国で30位と大分整備が遅れているということが分かった。
 先ほどおっしゃった社会保障審議会の介護給付費分科会の資料では、2009年には兵庫県の短期入所生活介護の空床率が出されているが、3%である。全国平均は14%と、少ないといっても一応、それぐらいの空きがあるということだが、兵庫県が大変少ないということが出されている。
 ショート専用ベッドに至っては、利用率がほぼ100%ということで、いつも満床という事態になっている。そのために、もう何ヵ月も前から法事などで預かっていただかないといけないので申し込んでおいても、空きがあるかどうか分からないため、ケアマネさんが非常に苦労するということが起きている。また、急に状態が悪化して、家族の方が少し見てほしいといったときにも対応ができないというような状態になっている。ショートステイ専用ベッドの整備数をもっと増やすべきだと考えるが、いかがだろうか。

■高齢社会課長(伊澤知法)■ ショートステイについては、委員もおっしゃっていたように、もともと在宅介護の方々のレスパイトという形で設けられるものなので、在宅介護を支援するためにはこれからも増やしていかなければいけないというように思っており、先ほど、兵庫県の数字もいただいたので、それも十分考えていきたいと思う。
 その上で、こういった計画は市町が現場実態を分析して積み上げて、県でそれを計画化するという形になっており、県としては、市町が上げてきた計画全てについては県の計画に反映させている。その形で、今年度から3年間の第5期介護保険事業支援計画においては、788床の増加をする予定となっている。この結果、計画期間終了年度末には5,166床となる予定である。
 ただ、いずれにしても、今期計画はこのような形であるが、現場実態を踏まえたような計画を今後も心がけていきたいと思うので、ご指導よろしくお願いする。

生活保護について

■きだ 結■ 実態を踏まえてそのように積み上げたものだが、やはり県が全体を見ていくということなので、お願いをしたい。ただ、今はショートステイの話をしたけれども、実態としては、この介護保険計画の中でも、特養の整備数なども非常に伸び率を抑制されている。2025年度までの整備数を予定より8,000床減らすという方向だが、特養のショートステイ枠もあるので、やはり特養の待機者問題もある。そして、ショートの空きもないと、在宅の高齢者の一時受け入れもできないという悪循環にもなっているので、在宅支援を充実させるためにも、施設整備は在宅支援とは別に、独自でぜひ行っていただきたいということを求めて、次に移りたいと思う。
 次は、生活保護制度についてである。
 国は、新年度から、食費や光熱費など日常の暮らしに欠かせない生活扶助費の基準をことし8月から3年かけて引き下げて、扶助費670億円、6.5%を減額する計画である。引き下げは、生活保護の不正受給が横行しているかのイメージづくりの中で行われているけれども、受給者の実態はそうではない。高齢者が半数近くを占めており、障害や傷病を持っている方も3割以上おられる。母子世帯は約1割を占めている。健康な人が行政をだまして生活保護費を受け取っているかのようなイメージが作られているが、実態とはかけ離れている。
 そこで、そもそも不正受給とはどういった場合を指すのか、お答えいただきたい。

■社会援護課長(成田貴雄)■ 生活保護に係るいわゆる不正受給に関しては生活保護法第78条に、一つには不実の申請、二つにはその他不正な手段、これにより保護を受け、または他人をして受けさせた者があるときは、保護費の全部または一部を徴収することができると規定されていて、このように考えているところである。

■きだ 結■ 今お示しいただいたのが、不正受給の規定であるが、今、マスコミでも懸念の報道もされている、小野市で提案されている生活保護適正化条例、これはパチンコ、競輪、競馬、その他の遊戯、遊興、とばくなどを受給者や受給予定者が行っていないか、市民が市民に見張らせるというものである。とばくはもちろん、生活保護受給者かどうかに関係なく刑法上犯罪とされる行為なので、これは条例で規制するまでもない。また、不正受給告発条例などとの報道も一部あるが、今の説明で分かるように、パチンコ、競輪、競馬、その他の遊戯、遊興は、趣味やたしなみに属すべき行為であり、そこへの制限というのは生活保護法の趣旨を逸脱していると言わざるを得ない。
 また、国の調査では不正受給の額は0.4%にすぎないというデータも出ている。不正受給がやたらに横行している訳ではないことがあるし、その数字の中には、例えば受給世帯の高校生がアルバイトで稼いだお金を収入として申告していなかった、忘れていたというような場合も多く含まれている。県としては、ケースワーカーなどをたくさん配置すれば、本当の不正受給はもっときちんと防げると思う。
 それより、今は捕捉率という問題もある。厚生労働省の調査でも、生活保護基準以下で暮らしている世帯、そして、生活保護の申請に行っても受け取っていないという方がいらっしゃって、結局その生活保護率は、そうした世帯の中で見ると3割しか受けられていないという試算がある。県としては、この捕捉率が一体どういう実態になっていて、生活保護費の基準から見て、本来受けられるべき人が受けているのかどうか、こういう調査が必要だと思うけれども、いかがだろうか。

■社会援護課長(成田貴雄)■ 委員ご指摘の捕捉率については、まず、生活保護というのはご承知のとおり、法の規定によって申請に基づき開始をするという、いわゆる申請主義をとっている。このため、実態調査の実施等は考えていないけれども、保護を必要とする人が保護されないような事態が生じないよう、福祉事務所に対する指導監査や、あるいはケースワーカー研修会等において、いわゆる漏給防止について、指導を徹底しているところである。

■きだ 結■ 漏給防止ということだが、実際この生活保護を相談や申請に行っても、まだまだ申請書さえもらえずに帰されるというケースが多々ある。ケースワーカーの人が怖くて、威圧的で、話ができないといった受給者の方の声もお聞きする。
 だから、やはりケースワーカーへの専門性を高める研修や、区役所で窓口に当たる方への研修、生活保護は生きていくための権利であるということ、そして生活保護費の問題で、生活保護受給者への蔑視ということがないよう、研修などをしていただきたいと思う。
 時間の関係で次を飛ばすが、今回の生活保護の切り下げは、受給者だけの問題ではないという問題である。
 この保護基準は、収入が少ない低所得者の暮らしを支えている国や自治体のさまざまな制度の適用対象の目安とされているところである。影響する制度としては、例えば小・中学生の学用品や給食費を支給する就学援助、個人住民税非課税限度額の算定、保育料や医療介護保険料の減免制度、こういったもろもろ、少なくとも40近くの連動する基準がある。最低賃金も、生活保護基準を下回らないことが法律で明記をされている。
 今までこうした基準でされている訳だが、もし保護基準の切り下げということがあれば、今まで対象であった人がこれらの制度から締め出されるといったことが起きかねないことになっている。そういったことからも、国に対してこの基準の引き下げの撤回を求めていただきたいと思うが、いかがだろうか。

■社会援護課長(成田貴雄)■ 生活保護基準の改定に当たっては、これまで厚生労働省内部だけで行われてきた。それが平成23年4月に、国の社会保障審議会に外部の学識者等を委員とする生活保護基準部会が設けられ、全国消費実態調査による一般国民の消費実態との均衡を図るため、専門的な見地から、詳細かつ客観的な検討が行われたと承知している。このため、引き下げ中止を求める必要はないのではないかと考えているところである。

■きだ 結■ 今、そのような答弁があった。また、各制度に影響しないよう対処を考えるとも言われてはいるけれども、例えば住民税非課税については、2014年度以降の税制改正で対応すると言ったり、就学援助については、市町村に要請するとして、その判断は自治体任せであり、当然、厳しい自治体はこの財政措置もとってないので、実行不可能であり、実際にはされていないところもあるという実態である。最低賃金には、今のところこの対処方針すらないので、やはり社会のセーフティーネットの根幹に関わる保護基準、これの基準引き下げにはやはり県としても強く反対すべきであることを申し上げて、私の質問を終わりたいと思う。

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