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2012年(平成24年)度 決算特別委員会 県土整備部審査 宮田しずのり
2013年10月16日

道路・橋梁等の老朽化対策の強化について
「ひょうごインフラ・メンテナンス10カ年計画」推進の人的体制の問題について

■宮田しずのり■ 早速質問に入る。
 まず第1点目は、インフラの老朽化対策と人的体制について質問する。
 笹子トンネルの事故で明らかになったように、老朽化したトンネルや橋梁などインフラの劣化が深刻な問題となっている。
 県内でも、例えば橋梁では4,700のうち、既に24%が耐用年数を超えている。7年後の2020年には半数の2,350、17年後の2030年には7 割の3,300の橋が耐用年数を超え、必要な対策を講じなければ重大な事故や致命的な損傷に至る可能性が生じることになる。県民の命と暮らしを守るために 老朽化対策は耐震化、防災とともに緊急の課題となっている。
 県の施設については、ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画を策定して、緊急度の高いものから対策を進めるとしている。これを進める上で心配なのは予算措置もさることながら、人的体制である。
 そこで、インフラの老朽化対策における点検や調査、事業化に当たっての設計、発注、管理などを進める上で、専門知識を持った県の技術職員を初め、人員が不足していると思われるが、どう考えておられるのか、答弁願いたいと思う。
 県はこれまでの説明で官民連携で進めると聞いているが、民間への丸投げは問題だと思う。仮に点検、調査など1次評価を民間業者にしてもらうとしても、そ の報告を見て緊急性の判断、対策を考えるのは県の仕事である。民間業者の報告をうのみにしたら、緊急性を低く見積もっていて実際は危険だったというような ことも起こり得る。現に他府県の例でもそういう事態が起こっているということが先日テレビの特集番組でもあった。そういう点で、どう安全性を担保するのか も含めて、この人的体制の問題についてお伺いする。

■技術企画課長(伊藤裕文)■ ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画を着実に推進するためには、点検結果の評価を初め、 対策の優先度、最適な補修工法の選定など総合的な監理能力が県職員に求められている。そのため、1点目には、県内部の効率的な業務の推進と人材育成、2点 目には外部の技術力の活用が必要と考えている。
 内部の効率的な業務の推進については、県職員自らが点検結果を分析し、重点的に点検を行う箇所の絞り込みや修繕・更新時期の最適化などを適切に判断でき るよう、現在最新の点検、修繕、更新データを蓄積した社会基盤施設総合管理システムを構築しており、間もなく本格運用を開始する予定である。
 内部の人材育成については、日常業務でこの管理システムに習熟し、最大限活用することにより、さらなる効率的な維持管理技術の習得を図る。また、点検等 の基礎知識や橋梁、下水道などの損傷事例と対策工法について、必要に応じ民間の専門技術者を講師に招くなど、最新の技術を学ぶ研修を官民連携して実施する ことにより、実践に即した専門知識や判断能力を備えた職員の育成にも取り組む。
 また、外部の技術力の活用については、橋梁や下水道の長寿命化計画の策定を支援するなど、老朽化対策のノウハウを持つ兵庫県まちづくり技術センターと連 携を図るとともに、民間でも実施可能な施設点検などの業務については、専門知識を持つ点検業者に積極的に委託することにより一層の業務の効率化を図ってい くが、民間に丸投げするようなことはしない。また、その結果についてはきっちりチェックをした上で、我々責任を持って確認をしていきたいと考えている。

「県行革」と土木事務所の人員体制の問題について

■宮田しずのり■ 今、県の内部の総合的な監理能力を高めるということと、外部の力も活用していくという答弁があった。
 しかし、県の土木関係の職員数は、この行革で大幅に減らされている。
 例えば総合土木職と建築職は、新行革プランのスタート時点2008年と比べると1,382人から984人に、わずかこの5年間にほぼ30%、400人も 減っている。これを年齢別に見ると、40歳代が369人で38%、30代は202人で21%、20代は92人で9%。これは退職者の後、不補充で、新規採 用がどんどん減らされてきた結果を示していると思うが、20代、30代が急速に減少している。年齢構成上もいびつな状態になっていると言わざるを得ない。
 今問題になっているJR北海道での事故の多発は、民営化で大幅に人減らしがされて、40代が異常に低くなって、技術継承が行われていないことだったと指摘されているところである。
 そこで、県でも専門職の技術継承や経験の蓄積が行われなければ、今後大きな問題が起こる可能性もある。人員不足、インフラの老朽化対策を進める上でも、 この人員不足が弱点となり計画どおりに進められないという事態も起こり得ると考えるので、その点についてもう一度お答えをいただきたい。

■総務課長(中山裕規)■ 技術職員の採用については、行財政構造改革の中で計画どおりの削減は進めているが、その中でも事業量や行政需要等の動向を踏まえ、必要な人材を確保していくことを、毎年採用をどのようにしていくかという中で検討させていただきたいと考えている。

■宮田しずのり■ それでは、具体的に土木事務所の人的体制についてお伺いする。
 5年前に県は行革で土木事務所の地域事務所を廃止し、22あった事務所を13事務所に統廃合した。その際、私たちはもちろん反対したが、県は集約化により事務所全体の専門性や総合力はかえって高まり、体制強化ができると述べておられた。
 そこでお聞きするが、土木事務所の人員の推移はどうなっているか、新行革プランのスタートのときの20年と平成25年の現在の人員数を事務職、土木職、建築職別にお答えをいただきたい。

■総務課長(中山裕規)■ 土木事務所等の再任用を除いた職員定数は、平成20年度、一般事務職352名、総合土木職563名、建築職68名、計983名、また平成25年度は、一般事務職が336名、総合土木職442名、建築職47名、合計825名である。

■宮田しずのり■ 今のお答えは事務所の全体の合計の数字であったが、そのうち、例えばある土木事務所では、集約直後の2009年度には140人 の職員がいた。しかし、今年度は114人と30人近くも減っており、結局、体制強化ではなくて人減らしだけが進んだということを実感した。
 そこで何が起こっているかというと、職員の慢性的な超過勤務である。年間360時間の上限を超える残業や、700時間以上を超える残業もたくさんあることも聞いた。
 先月の台風で、東播磨、北播磨などで堤防、護岸の決壊などの災害が起こった。土木事務所では、災害が起これば、よほど大きな災害の場合は臨時的な担当部 署が設けられるそうだが、そうでない場合は担当を超えて災害復旧に当たっているとのことである。そのため、通常業務でさえ上限を超える長時間残業をしなけ ればこなせない状況なのに、災害復旧の業務が加わると、もう大変な状況になる。今は災害は毎年のように起こっているので、災害対応の中心となる恒常的な部 署を作るなどの充実が必要である。ところが、新行革プランで、あと1割の人数を減らそうとしている。
 そこでお尋ねするが、せめてこれ以上の土木事務所の人員削減は中止すべきと考えるので、お答えをいただきたい。

■総務課長(中山裕規)■ 人員の削減については、第2次行革プランに基づき、計画どおり推進していく必要があると考えており、土木事務所についても同様の削減を図っていく必要があると考えている。

■宮田しずのり■ 引き続いて行革に基づいて進めるということであるが、さらに土木事務所の人員削減に関連して、もう1点お伺いしたい。
 正規職員を減らして非正規の嘱託、日々雇用などへの置き換え、また外部委託が進んでいる。土木事務所が行う道路の現地パトロールも半分ほどが外部委託になっているし、県が維持管理に責任を負う体制が本当に弱くなってきている。
 具体例として一つだけ事務所を取り上げさせていただくと、加東土木事務所では、事務職、土木職、建築職の合計で、平成20年89名から現在66名に23名、25%の減員になっている。
 新聞報道もあったが、加東土木事務所が所管する小野市の加古川にかかる県道の粟田橋が、先月、台風18号の影響で橋脚、路面が沈下してしまい、今も通行止めが続いている。車両が1日1万4,000台通る橋で大きな影響が出て、県はこれをかけ替えるという発表をした。
 しかし、この橋は1934年、完成から80年経過している橋であるので、点検、調査が十分にできていたのだろうかということを疑わざるを得ない。地元で いろいろお聞きすると、橋脚が川の流れで底が洗われて橋脚と河床の間のすき間が広がる、河川洗掘についてきちんと点検をされておれば、このすき間の広がり を事前に発見し、補修をして、沈下まで起こることは防ぐことができ、一定の長寿命化が図ることができていたのではないだろうかと話を聞いた。職員を減ら し、ふだんの点検、維持管理の体制が弱まっていることが原因になっているのではないかとを考えざるを得ないが、その点についての所見を伺う。

■道路保全課長(濱 浩二)■ 粟田橋については、平成19年度に実施した橋梁点検で、ひび割れの損傷のほか、一部橋脚付近の河 床の低下が見られていた。このため長寿命化計画に基づき、平成24年度に詳細設計を行い、本年度からけた補修と橋脚基礎の根固め工事を実施することにして いたので、十分点検を行っておったと考えている。
 一方、9月2日から4日の豪雨、さらに15日から16日の台風18号で、2週間で2度にわたる異常出水で河床がさらに1.2メートル低下したことにより、15本ある橋脚のうちの1本が30センチ沈下したという状況である。
 そのため、我々は点検をしっかりとして補修計画も作って、適切に維持管理をしていたと認識している。

道路等の維持・管理の予算について

■宮田しずのり■ 適切に維持管理をしていたということであるが、少なくとも、この橋はここ10年、20年のかけ替え計画の中には入ってなかったと思う。台風によって、かけ替えを余儀なくされたというのが実態だと思う。
 ふだん十分できていたと言うが、緊急度を正確に把握していれば、こうした事態にもっと早く対応できたのではないかと思うので、指摘をしておきたいと思う。
 最後に1点、橋、道路などのインフラの老朽化対策を進めていく上では予算の問題が重要である。
 メンテナンス10箇年計画に必要な維持更新費用は精査中だと聞いているが、技術の発展で多少は抑えられるにしても、膨大な費用がかかることは明らかである。
 そこで、新規建設を行えば、さらにまた過去の経験からも公債費が膨らみ、県財政の硬直化を招く。そして一方では、将来の維持管理費の増大ともなる。社会 基盤整備の予算の使い方として、今後の道路等の新規建設は極力控えて、維持管理を優先する方向へ切り替えるべきだと思うが、この点について最後にお聞きしたい。

■技術企画課長(伊藤裕文)■ 老朽化対策などの維持管理を確実に実施するための予算確保に向けては、全国でもいち早くアセットマネジメントの考え方を導 入し、更新だけでなく適宜適切に修繕を行うことで、ライフサイクルコストの縮減と予算の平準化を図るとともに、民間の新技術、新工法を積極的に活用し、コ スト縮減にも取り組んでいるところである。
 また、国の補正予算などを積極的に活用し、必要な予算確保に努めるとともに、河川の矢板護岸の点検・修繕・更新や少額の排水機場の修繕・更新など、現在単独事業で実施している老朽化対策事業については、補助事業化に向けて国に強く働きかけているところである。
 今委員からご指摘のあった道路などの新規建設については、事業評価の厳格な運用により県民の多様なニーズを的確に把握した上で、事業の必要性、有効性、効率性などの視点で評価し、厳正に選んでいるところである。
 この結果、新規箇所数は、この約10年間で半減させるなど、それぞれの地域が求める真に必要な事業に限定して取り組んでいるので、ご理解のほどよろしくお願いしたい。

■宮田しずのり■ まだこれから例えば名神湾岸連絡線、東播磨南北道路の北伸部、余部道路、また将来構想としては播磨臨海地域道路など、相当な経費を要する事業の計画がめじろ押しである。
 私は、やはり新規建設よりも維持管理を優先する立場を明確にして今後進めるべきだということを申し上げて質問を終わる。

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