県立こども病院のポーアイ2期への移転建替え計画の撤回と再検討を
(1)現地建替えからポーアイ移転計画への変更について
■いそみ恵子■ 日本共産党兵庫県会議員団のいそみ恵子である。
県立こども病院の人工島・ポートアイランド2期への移転問題について質問をする。
この問題は、県医師会などの医療関係者、そして患者、県民からも批判の声が上がり、日本共産党兵庫県会議員団としても議会でたびたび取り上げてきた。
今回は、人工島に移転の決まった経緯と、それから病院局がメリットだと強調している問題についてお聞きをする。
先日、私どもが病院へ視察した折、また患者会の説明会などで、県立こども病院の院長さんから配布された説明資料を見ると、現地建て替えの可能性につい て、2010年6月から、設計専門会社の協力も得て検討を進めたとして、6ヵ月にわたる詳細な検討の結果、8階建て、約2万9,000平方メートルの新病 院がぎりぎり可能であると分かったと書かれている。
その後、病院の診療科に調査会社がヒアリングを行って、建て替え整備計画の設計参考資料から、新病院の床面積が3万4,000平方メートル必要だと分かったとして、これで現地建て替えを断念したと、このようにある。
この設計参考資料が作られたのはいつか。この点について、確認のためにお聞きする。
■企画課長(齊藤芳樹)■ 設計参考資料の作成時期についてのお尋ねであるが、こういった新病院に必要な面積3万4,000平方メートルということを設計 参考資料の中に盛り込んでいるわけであるが、これは県立こども病院建て替え整備基本計画の部門別基本計画を作成するために、先ほどの受託コンサルタント会 社が、受託期間である平成23年8月から平成24年3月の間に、病院からヒアリングを行う中で取りまとめていたものである。
■いそみ恵子■ この設計参考資料が作られたのはいつかということを聞いているのだが。
■企画課長(齊藤芳樹)■ 先ほど、受託期間が平成24年3月までとなっているので、最終的な成果物としてできた時期ということで、平成24年3月ということである。
■いそみ恵子■ 私、いろいろとお聞きしているのだが、この設計参考資料が作られたのは2011年の秋以降ということで聞いている。それで、最終的に、病院局とこども病院は現地建て替えを諦めたという、こういう大変大事な時期だったのである。
それで、そうすると、それより前に、2011年6月に、国の地域医療再生交付金に基づく兵庫県の計画を申請している。これは一体どうなるのかということ で、疑問が湧いてきた。その計画には、県立こども病院のポーアイ移転が書き込まれていた。こども病院の建て替え計画の病院局としての最終的な結論を出す前 に、国にポーアイ移転を含めた計画を申請しておられる。
病院局としても、この県の計画についての協議をされてオーケーを出されたと思うが、順番がおかしいのではないかと、こういうふうに思うのだが、いかがだろうか。
■企画課長(齊藤芳樹)■ こども病院の建て替え整備に当たっては、先ほど、現地建て替えを諦めたというお話があったが、その時点で決してそうなっていっ たわけではなく、現地建て替えも含めて鋭意検討していた中で、国の方から地域医療再生臨時特例交付金に係る通達を受けて、交付申請期限が平成23年6月で あったことから、現病院が抱える医療上の課題が解決できる一つの案として、ポートアイランドへの移転案を地域医療再生計画に盛り込んだところである。
したがって、県として、ポートアイランドへの移転を最終決定した上で交付申請したものではないことから、新病院に必要な面積が判明したそういった時期と、地域医療再生計画の申請時期とは関係がないということである。
■いそみ恵子■ 今ご答弁があったけれども、先ほどの県立こども病院の院長さんからいただいたその説明資料を私も読んで、説明も受けた。
その中にははっきりと、この建て替え整備計画の設計参考資料から、こういう床面積の問題だとかいうことで現地建て替えを断念したと、こういうふうにある わけだから、だから結局いろいろ、なかなか認めようとされないのだが、その検討の途上でポーアイ移転計画が出てきて、現地建て替えの検討をより詳細にせず に、そちらに軌道修正したということではないかと思う。
病院事業管理者は、この議会の日本共産党の杉本県会議員の一般質問に、現地建て替えも含め、複数の候補地の中から最もふさわしい整備用地として選定した ものである。したがって、単に神戸市から誘致があったからとか、国からの交付金獲得のためとかいった趣旨のものでは一切ありませんと、このように答弁され た。
しかし、現地建て替えの可能性の最終検討の結論を出す前に、国にポーアイ移転の計画を申請しているのだから、これでは本当にちゃんと検討したのかと、ポーアイ移転ありきではないのかと、このように疑われても仕方がないんじゃないのかと、こういうふうに思う。
さらに、新病院に必要な床面積の問題。新病院は3万4,000平方メートルが必要として、現地建て替えの場合の2万9,000平方メートルと比較して、その用地を確保するためにポーアイ移転が必要と説明されている。しかし、これについても私、疑問点がある。
私は今回、病院局から、当時の設計案の図面を資料提供していただいた。それを見ると、現地建て替えの場合、建て替えした新病棟、つまり新しい本館が2万 9,000平方メートルとなり、それに加えて、今もある小児救急医療センター1,200平方メートルと周産期棟9,000平方メートルが建て替えられた本 館以外に残るわけだから、合わせれば合計3万9,200平方メートルとなって、計算上必要とされる3万4,000平方メートル、ポーアイに移転した場合よ りも広くなる。建て替え病棟だけを単純に比較して、ポーアイ移転の方が広く使えるとは言えないということがはっきりしてきたと思う。
現地でも、よりこの設計の問題や、それから活用の工夫をすれば十分な、必要な床面積を確保することは可能だったのはないか。この点についてはいかがか。
■企画課長(齊藤芳樹)■ 現地建て替えの可能性については、現在の周産期医療センター等の改修で対応可能な機能はどういったものがあるのか、そういったことも含めて、こども病院が中心となり、設計専門会社の協力も得ながら十分検討したところである。
なお、ポートアイランドへの移転決定に当たっては、現地建て替えも含め、複数の候補地の中から総合的に比較検討の上決定したものであって、単に面積の比較だけで決定したものではないということを申し添えさせていただく。
(2)キャリーオーバー対策について
■いそみ恵子■ 単に面積の問題だけじゃないということを言われたけれども、やはりこの面積の問題は非常に大きいと思う。だから、ポーアイ2期へ 移転をすると、大変リスクの高いところへ移転をするということについて、現地建て替えで一生懸命、現地の方でも病院側としてもやっておられたわけである、 院長さんを中心にしながら。だけど結局、それを断念せざるを得なかった一つの大きな要因だったと思うのである。
だから、この問題では、活用の仕方だとか、それから現地での建て替えの場所など、もっとより詳細に検討すれば可能だったのではないか。こういう検討を ちゃんとやらずに、リスクの高いポーアイ移転を選択すべきではないということについては、繰り返し私たちは指摘をしてきたけれども、この点については強く 指摘をしておく。
それで、次に、ポーアイに移転するメリットとして、キャリーオーバー患者、つまり県立こども病院で子供のときに手術を受けて、その後の経過やフォローの ために、15歳を超えてもこども病院に通っていらっしゃる成人患者さんのことだが、この課題への対応について、総合型の神戸中央市民病院との連携により適 切に対応と、こういうふうに強調されているが、実際にはどうなのだろうか。
それで、お聞きをしたいと思うのだが、ことし5月28日に県立こども病院、神戸中央市民病院との意見交換が行われて、そこで中央市民病院側からどのよう な意見が出されたのか。特に、このキャリーオーバー患者を受け入れる循環器系の診療科の対応についてどのような意見が出されたのか、その点について端的に お答えいただきたい。
■企画課長(齊藤芳樹)■ 5月28日に行った意見交換、フリートーキングのような形で行ったと聞いているが、その際、神戸中央市民病院の医師から、循環器系疾患については大人の疾患で手いっぱいの状況であるという発言があったと聞いている。
■いそみ恵子■ 今ご答弁があったとおりである。ポーアイの中央市民病院への隣接地に移転しても、キャリーオーバー患者の問題、これが解決する保障が今のところ全くないということが、先ほどの答弁で明らかになったと思う。メリットだと、こういうふうに強調されているものの、当てにならないということではないのか。
もともと、このキャリーオーバー患者への対応の難しさ、これは全国的にも大変課題になっていて、難しい問題である。
それで、2003年に、兵庫県が後援をして、日本小児循環器学会が行った「成育医療を考える」シンポジウムでも、300名のキャリーオーバー患者の実態 が報告され、成人となった先天性心疾患患者――CHDに対して、循環器科医のこの分野への関心は低い。欧米では、この成人CHDに対応している施設が増加 しているけれども、日本では成人のCHDに関する教育システムは行われていないということも報告されている。
そして、2004年には、私ども日本共産党の毛利りん県会議員が、このキャリーオーバー患者にも対応した診療体制の充実を求めて、同時に施設の改善として、建て替えも含めて検討すべきだと、こういう質問をしている。
そのときの答弁は、こども病院とは別にキャリーオーバー患者のための拠点整備、これを図るというものであったけれども、その後、塚口病院の成育医療も打ち出されたけれども、結局、うまくいかなかった。
このように、対策を十分に行ってこない中でポーアイ移転の建て替え計画が出されて、キャリーオーバー問題の解決のための移転だと、こういうふうに言われ ても、移転のための理由づけに使われているのだとしか、私は受け取れない。ましてや、受け入れを当てにしている神戸中央市民病院の側が、先ほどの答弁に あったように、対応は難しいと、こう言っている状況である。これでポートアイランドへの移転が本当に道理あるものと言えるのかという問題である。このポートアイランドへの移転計画は、結局、県民の皆さんには一度もこの地に移転するということは、意見を聞いたことがない。患者団体の皆さんにも、1回目の説明 会を終えたところである。県民との合意なく進めてきた結果が、今のこういう大きな批判の、こういう声につながっていると思う。
そこで改めてお聞きするが、県立こども病院のポーアイ移転計画の撤回、そして県民、患者、医療関係者を含めて、この計画の再検討を行うべきだと、このように思うがいかがか。
■企画課長(齊藤芳樹)■ 県立こども病院の建て替え整備については、基本構想時に実施したパブリックコメントの意見を踏まえ て、ポートアイランドへの移転を明記した基本計画を策定し、県議会を含む関係者の皆さんに十分説明を行った上、本年の2月県議会において、基本計画に基づく基本設計及び実施設計に係る予算をご議決いただいたところである。
県立こども病院の抱える医療面の課題について、神戸市中央市民病院との連携により解決するため、必要な災害対策も講じながら、建て替え整備を着実に推進していきたい、このように考えている。
■いそみ恵子■ 本会議での答弁等を繰り返されたと思う。小児周産期医療を守る最後のとりでであるこども病院、これをリスクの高い沿岸部、人工島 へ移転する経緯、そしてメリットだと、こういうふうに言われているキャリーオーバー患者への対応もできないということが明らかになっても、あくまでもポーアイ移転計画を進める県と病院局の、その姿勢が明らかになったと思う。
私は、引き続き、県民の皆さんとこの計画の撤回、そして再検討を求めていく、このことを求めて、私の質問を終わりたいと思う。 |