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2011年(平成23年)度 決算特別委員会 教育委員会審査 いそみ恵子
2012年10月18日

特別支援学校の阪神間の現状と増設について

■いそみ恵子■ 早速、質問に入りたいと思う。
 県立特別支援学校について質問する。
 障害児教育は、学校に行きたいと願う子供たちや保護者の声と運動によって、1979年に養護学校――現在の特別支援学校であるが、その就学が義務化されるなど、子供の学ぶ権利が前進し、2007年には特別支援教育もスタートした。
 ところが、貧困な国の財政措置のために、特に知的障害を持つ児童生徒の急増により、全国で教室不足など教育条件のひずみが拡大している。もともと特別支 援学校は、学校設置基準がなく、100名程度を想定して建てられてきた。にもかかわらず、県下でも県立姫路特別支援学校では、児童生徒数が2011年度は 388名で、県下で最も規模過大校となっていた。
 昨年、私も学校を訪問したが、特別教室、そして阪神・淡路大震災のときに譲り受けた倉庫なども普通教室に転用され、それでも足りなくて運動場にプレハブ教室を建て、しのいでいるという状況であった。
 日本共産党県会議員団は、これらの調査を踏まえ、この地域に新たな学校建設を提案し、その後、播磨西地域に特別支援学校を建設することになり、私はこれは大いに評価している。
 しかしながら、私の地元西宮を含め、阪神間でも同じような状況があり、その改善が急がれる。
 阪神間には、県立特別支援学校は、西宮市にある県立阪神特別支援学校、伊丹市にある県立こやの里特別支援学校、芦屋市にある県立芦屋特別支援学校等がある。
 この地域も知的障害を持つ児童生徒数が急増し、2010年に芦屋特別支援学校が新設されたが、それでも追いつかず、そのときと比べてみても、阪神特別支 援学校で276名から303名に、こやの里で275名から314名に、そして芦屋は新たに建てられたばかりであるが、237名から284名となり、既にこ こでは四つの特別教室も普通教室に転用されていた。
 これら学校の現状認識について、まずお聞きしたいと思う。ご答弁いただきたい。

■特別支援教育課長(森下伊一郎)■ 平成19年4月、学校教育法の改正により特別支援教育がスタートし、本県では兵庫県特別支援教育推進計画に基づき、その推進・充実に努めてきた。
 阪神地域においては、知的障害特別支援学校の規模過大校への対応のため、芦屋特別支援学校を平成22年度に開校するとともに、生徒の障害の状態に応じた職業自立を支援するため、阪神昆陽特別支援学校を本年4月に開校し、児童生徒数の増加への対応を着実に推進してきた。
 しかしながら、その後も児童生徒数が増加し続けており、今後も引き続き注視していく必要があると認識しているところである。

■いそみ恵子■ 今後も注視していきたいということである。
 それで、今お話をさせていただいた姫路特別支援学校に次いで、やはりこやの里、それから阪神特別支援学校、この特別支援学校が非常に課題だということは、当局自身も、この間の文教常任委員会の質疑でも既に認められている。
 それで、ここで私、こやの里特別支援学校の現状についてもう少し紹介したいと思う。
 ここはもともと180人規模で建てられた校舎であった。ところが、生徒数は現在314名で、来年度の進路調査を今ちょうどされているが、この9月末で 360人とさらに増える見込みと聞いている。現在、運動場にはプレハブ校舎が建てられて8クラスある。そのため運動会は、午前中は中学部、そして午後は高 等部が使用し、小学部は体育館で行っているとのことであった。
 来年度は、いよいよ耐震工事も始まる。これ以上もうプレハブを建てられないというような状況であるので、プレハブを建てずに対応していきたいということで、大変、学校側も苦労されているということを聞いた。
 今、こうした課題解消を含めて、現在、次期の特別支援教育推進計画検討委員会が設置されて、2012年度、そして2013年度と2ヵ年かけて議論して、新たな計画策定が進められている。
 その中で、阪神間では特別支援学校の配置、それからそれに付随しての通学区域の課題もあると私は感じている。
 それは、県立芦屋特別支援学校新設に伴い通学区域が変更となり、伊丹市にあるこやの里特別支援学校には、伊丹、宝塚、川西、猪名川と、そして西宮の塩瀬 地区からの生徒が、また西宮市田近野町にある阪神特別支援学校には、主に尼崎の生徒さんが、そして西宮南部地域の生徒は、芦屋市陽光町にある芦屋特別支援 学校に、芦屋の生徒さんとご一緒にバスなどで通学しているという現状である。
 西宮の生徒は、特別支援学校が西宮市内にある阪神特別支援学校ではなくて、芦屋やこやの里に行かなければならないという状況で、現行の学校配置によって 通学区域が大変いびつな状況となっている。通常の学校では考えられないことだと思う。西宮市の中心地に、あるいは尼崎地域に県立特別支援学校がないことの 裏返しだと私は思っている。
 こうした学校の配置に関わる課題についても、先ほどお話をさせていただいたこの計画検討の中で検討すべき課題だと思っているが、いかがか。そして、こうした課題を根本的に解決するためにも、阪神間における新たな特別支援学校の設置が必要と考えているが、いかがか。

■特別支援教育課長(森下伊一郎)■ 兵庫県では、特別支援学校と高等学校とが連携した交流及び共同学習に取り組んでいる。阪神地域においては平成23年度より、また播磨東地域と淡路地域を本年度加え、全県で展開している。
 平成23年4月には、姫路別所高等学校内に姫路特別支援学校の分教室を設置し、日常的な交流及び共同学習を展開するなど成果を上げているところである。
 分教室設置の最大の狙いは、交流及び共同学習の推進ではあるが、併せて規模過大化解消にも一定の効果があると考えている。
 阪神地域の児童生徒数についても、依然として増加傾向にあるが、直ちに新設校の設置が必要な状況にあるとまでは考えていない。
 今後は、知的障害児童生徒数の状況や国におけるインクルーシブ教育システム構築の動向を踏まえて、特別支援学校や分教室の適正な配置などについて、本年度設置した第二次推進計画に係る検討委員会で検討することとしている。

■いそみ恵子■ 交流と共同の学習事業、私もこれについては否定している訳ではない。
 ただ、先ほどから出ている分教室の問題である。尼崎の生徒さんが通っている阪神特別支援学校では、尼崎西高校と一緒に交流及び共同学習事業を進めて、い ずれは高校の空き教室でこういう活用をした分教室で対応すると県教委は考えておられると思っているが、この尼崎西高校は既に耐震工事が行われて、それで校 舎は建て替えられて規模も小さくなっている。であるので、教室の余裕はないというのが現状である。
 それから、こやの里特別支援学校と猪名川高校の場合も、私は検討委員会の議事録を読んだ。それによると、自力通学の問題とかさまざまな条件があって難し いと、県教委自身が答弁されている。仮にここで分教室となっても、猪名川地域からこやの里に通っているのは現在10人であるが、そういう生徒さんが移るだ けで約300人を超える、こういう規模過大化した現状を私は解決することにならないと思っている。
 こやの里だけではなくて、こういう規模過大校となっている阪神間の県立特別支援学校の根本的解決、そして通学区域の課題解消のために、私はやはり阪神間 に新たな学校を作ってほしいということを強く求めるが、ぜひご答弁いただきたいと思う。教育長、ぜひご答弁いただければと思うが、いかがか。

■特別支援教育課長(森下伊一郎)■ 現在、検討委員会において、特別支援学校の配置等について検討を行っているところである。
 阪神地域の課題については、先ほどお話ししたが、一つには分教室設置の方向というのは、本年度の予算から行っており、昨年度から阪神地域の高校と特別支 援学校の間で交流及び共同学習の研究を行っている。どこにどういうふうに作るということに関しては、今後も研究を重ねていく必要があると思っている。ま た、規模過大校の解消について、それだけでは解決するのかどうかということに関しても、検討委員会の中で十分議論をしたいと思っている。

■いそみ恵子■ 分教室のような状況で、それで足りるのかということで、今後この検討委員会の中で検討したいということを先ほど答弁いただいたので、ぜひ検討していただきたいと思う。
 それで、やはり2008年5月に発効した国連の障害者の権利条約を見ると、インクルーシブの教育の目標を、やはり子供の最大限の発達、そして社会への完 全かつ効果的な参加に据えて、そのために教育条件を整備することを掲げている。そこには効果的で個別化された支援措置など、障害種別に応じた特別な場での 教育も含まれていると私は思っている。
 であるので、教育行政がやらなければならないのは、そのための教育条件整備にあるということを指摘して、私の質問を終わる。

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