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2011年度予算特別委員会産業労働部審査 杉本ちさと
2011年3月4日

企業立地補助金、パナソニックからの補助金返還について

■杉本ちさと■ 早速質問をさせていただく。
 3月1日に発表された完全失業率は、全国で4.9%の横ばい、2010年平均の県別の数字では、兵庫県は5.1%で、前年比からマイナス0.2%となっている。また、年齢別では、15歳から24歳の失業率は7.7%と高いままである。兵庫で雇用を生み出すための方策が切実に求められている。その点で、兵庫県が、この間、力を入れてきた施策についてお伺いする。
 一つは、企業立地補助金、新事業・雇用創出型産業集積促進補助のことである。
 パナソニックに合計218億円を出す予定であるが、これまでも姫路の工場でも正社員募集はなく、雇用期間の上限のある期間工ばかりであることを指摘してきた。
 パナソニックは、大坪社長が、2011年度の採用計画で、国内採用枠の大幅な絞り込みを発表している。新卒で1390人のうち海外で1100人を予定し、8割を海外で採用する予定である。国内では、わずか290人となっている。
 国会では、我が党の宮本議員は、パナソニックが4兆2152億円の内部留保を抱えていることを指摘し、政府として追加採用を要請すべきと質問をし、政府も体力のある企業にはできるだけ追加採用を考えるようお願いしている。より多くの人が正社員になれるよう、環境整備をしたいなどと答弁している。
 パナソニックなど、県下の大手企業に対し、知事を先頭に正社員の追加採用を強く求めるべきだと思うが、いかがか。また、以前の本会議質問などで、パナソニック本社に直接要請を検討すると約束していたが、されたのか。

■清澤貞二立地推進室長■ 現在の厳しい雇用情勢に対応し、県として主要経済団体に対し、雇用の維持、特に非正規労働者の正社員の登用等を強く要請してきた。
 また、特に産業集積条例に基づく支援を行う企業に対しては、機会をとらえ、地元雇用はもちろん、正社員雇用の一層の拡大への積極的な対応を要請している。
 パナソニックに対しても、かねてより地元雇用、正規雇用化などにより、より安定した雇用の要請を行っており、今後も引き続き要請していく。

■杉本ちさと■ 知事が自ら訪問して、その先頭に立つべきだという質問をしたが、一般的な要請だけでは、なかなか前に進まないということを改めて主張して、次の質問に移る。
 4兆円も内部留保をため込み、利益を増やしている企業に、218億円の補助金を出すことは、果たしてどうなのか、疑問視せざるを得ない。
 今回、パナソニックからの補助金申請書の資料請求をさせていただいたが、別表1の工場等施設概要で、雇用状況について、全従業員数と、うち新規地元雇用者の欄がある。このところに、どのように書かれているか、お答えいただきたい。

■清澤貞二立地推進室長■ 概要を申し上げると、パナソニックの尼崎第2工場の関係であるが、尼崎第1・第2工場、合計で約1900名の従業員数である。そして、新規地元雇用として、約300名ということである。それと、尼崎第3工場の方であるが、約600名で、同じく150名程。それと、パナソニック液晶ディスプレイの姫路工場の方については約700名で、これは23年3月末見込みということである。それで、新規雇用は、地元雇用は約100名という形になっている。

■杉本ちさと■ 合計で約3200人、うち新規の地元雇用は550人余りである。他の工場から移転してきた社員が多くて、新規の地元雇用者数というのは、正確には不鮮明であると思う。
 パナソニックは、尼崎第1工場のプラズマディスプレイの製造ラインを2012年4月稼働予定の上海工場に移転することを発表した。尼崎第1工場には、県から税金が、設備補助が28億4000万円、雇用補助が2億4540万円で、合計30億円を超えて出されている。尼崎工場は、2005年9月に稼働して、現在まで5年半程になっている。工場は残っているとはいえ、製造ラインも補助金を受けたものである。
 補助金交付要綱では、補助事業の目的として、指定拠点地区に進出が条件になっている。兵庫県にとどまって稼働することが補助金の最低限の目的になっている。であるならば、今回の尼崎第1工場の件に関して、補助金は効果がなくなった訳だから、今後、全部、あるいは一部について補助金返還を求めるべきだと考えるが、どうか。

■清澤貞二立地推進室長■ 今回の尼崎第1工場の動きであるが、昨年の5月のパナソニック、三洋電機の2010年度からの3年間の中期経営計画で発表されたものであり、両者の連携により相乗効果を上げるための次世代太陽電池の開発生産の推進に基づくものと理解している。
 具体には、現在の三洋電機の太陽電池は光エネルギーを電気エネルギーに変える変換効率は世界最高水準であるが、海外メーカーなどとの競争の中でパナソニックの生産技術などと連携し、変換効率をさらに上げ、かつ、コストの引き下げをめざす次世代太陽電池について尼崎工場をマザーラインとして開発生産し、世界へ展開していこうというものである。
 ただし、まだ移設や跡地利用について内部で検討中ということを聞いている。この一部生産ラインの海外移設を発表されたが、いまだ計画の詳細や実施時期が決まっていない。具体的内容や次世代太陽電池等の代替新事業等の今後の利用計画が定まった段階で補助金の取り扱いについて的確に調整していきたい。

■杉本ちさと■ 先程の大坪社長の新規採用の中身からも判断すれば、上海への工場移転というのが大きく進められていくということは明らかである。まだ計画がしっかりと全容が分からないという時点であるが、産業労働部の補助金交付要綱第16条に、補助金返還の項目がある。請求も知事が認めれば期限を延長して返還請求できるとある。できないことはないと思う。
 実際に、三重県では、シャープ亀山工場の中国企業への売却に対して、昨年3月に約6億4000万円の補助金を返還させている。三重県は、シャープ側と交渉して、売却される生産設備の減価償却の残額に対応する補助金を返還請求して、シャープ側もオーケーした。
 この取り組みは、兵庫県としても大変参考になると思う。県の補助金交付要綱第19条では、補助金を受けた財産の処分の制限の項目がある。今回のケースは、この処分制限期間内に該当すると思うが、また、パナソニック側から財産処分の知事承認を受けるための財産処分承認申請書などが提出される予定になっているのか。

■清澤貞二立地推進室長■ 先程もご答弁申し上げたが、計画の詳細とか実施時期というのはまだはっきりしていない。はっきりした段階で、いろいろ補助金の取り扱いについては的確に調整していきたい。

■杉本ちさと■ 全てパナソニック側の申請が待たれるということが、県の姿勢である。報道によってしか中国への進出、上海への工場移転も知らなかった。そういった姿勢が、これまでも県の姿勢として明らかになっているが、きちんとそういった報道がなされているし、大坪社長の言動もあるので、どうなっていくのかということは、多額の補助金を出している兵庫県として、県民に説明していくという点でも、話をきちんとしていくということは必要になっているのではないか。全て計画がまだ分からない段階ではという回答では、やはり多額の税金が出されているという点で説明責任を果たしているとならないとも思う。改めて、三重県の例をちょっと紹介したい。
 三重県では、返還すべき補助金について、国の補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律と経済産業省の通達に基づき算定している。
 この通達によると、補助金を受けた財産処分の定義として転用というところがある。処分制限、財産の所有者の変更を伴わない目的外使用となっている。転用の場合の補助金返還額については、残存簿価格相当額に補助率を乗じて得た額とする。あるいは、鑑定評価の場合の高い方と書かれている。三重県のケースも研究しながら、国の法律、通達も参考にしてパナソニック側と真剣に返還交渉をすべきと思うが、その研究と検討をぜひしていただきたいと思うが、その点についてはどうか。

■清澤貞二立地推進室長■ 何事にもかかわらず、各府県の動向とか、この補助制度については、さまざまな情報については検討しながら制度を見直したり検討したりしているので、そういった点では、いろいろな点で検討するという部分はあるかと思うが、今の段階では詳細が分かっていないので、分かった段階で的確に調査していきたい。

■杉本ちさと■ 詳細が分からないというところで、申し訳ないが、もう1点、詳細を教えてほしいが、処分制限期間内という補助要綱の項目には書かれている。この処分制限期間というのは、第1工場の場合、この工場の場合は、どれぐらいの期間になるのか。

■清澤貞二立地推進室長■ 現在の要綱においては、多様な設備が対象となる制度創設時になることが想定されているので、財産処分制限期間を明示していないので、個別の協議になる。

中小・小規模業者へ、機械・リース等・固定費への支援を

■杉本ちさと■ 新しく作り変えられた交付要綱では、10年というのが想定されているのかとも受け止める文言がある。パナソニックが進出して、わずか5年、6年で海外へ、他の所へ行ってしまう。そういうことに対して、多額の補助金が出されていることに、きちんと対応していく。三重県は返還を求めて、それを実行させたが、そういった点についても、ぜひ真正面に受け止めて実行していただきたいということを改めて要望したい。
 そして、パナソニックは、先程から言っているように、2006年の時点で1兆7350億円の内部留保金が、2011年には4兆2152兆円に増やしている。5年間で約2兆5000億円も積み増しをしているが、巨大なもうけを上げている企業に対して、正社員の追加採用を求めることも不十分、海外移転する製造ライン分の補助金の返還も、まだなかなかあいまいで、はっきりとしない。そういったことでは、税金の使途として県民にどのように説明していくのか、県としての責任をきちんと果たしていかなければならないのではないか。
 そして、大企業誘致を追い求めて、大企業が栄えれば地域も雇用も潤うといった式の産業施策は、もう行き詰まっている。もっと足元に目を向けて、県下の中小企業への支援を思い切って強めることが大切だと思う。その点で、一つ提案をさせていただく。
 中小・零細製造業向けの支援として、全国的に要望が強まっているのが、機械のリース料の補助である。兵庫県は、県の中小企業設備貸与事業と国の小規模企業者等設備資金、設備貸与制度を行っている。これまでの3年間の実績はどのようになっているのか。

■坂田昌隆地域金融室長■ 中小・零細企業の設備投資を支援するため、ひょうご産業活性化センターにおいて実施している設備貸与制度であるが、まず国の制度に基づいて実施している貸与制度である。小規模企業者等設備貸与事業であるが、3年間の実績を申し上げる。
 平成20年度112件、13億8500万円、平成21年度74件、8億8400万円、平成22年度12月までであるが、62件、8億3600万円。
 次に、県の貸与制度である中小企業設備貸与事業であるが、平成20年度18件、4億8400万円、平成21年度31件、6億4800万円、平成22年度12月までで21件、6億1300万円である。

■杉本ちさと■ 京都府では、昨年9月の補正で、町工場機械リース助成を行い、年度末までに179件の実績見込みとなっている。来年度は、全ての中小製造業者に対象を拡大して予算を増額させている。
 一方、兵庫県では、来年度、中小企業設備貸与事業の貸付限度額などを拡充するが、小規模企業者の方も事業の拡充を検討すべきではないか。機械リースの資金貸付や設備貸与だけでなく、京都府のようにリース助成補助にも一歩足を踏み出して、より業者の負担を減らす取り組みを進めてはどうか。京都のような補助も含めた制度の拡充について、どのように考えておられるか。

■坂田昌隆地域金融室長■ 先程、委員のご指摘があったように、来年度、設備貸与事業、小規模設備貸与事業、中小企業設備貸与事業のいずれについても、最近の高額な設備の導入に対応するため、6000万円から8000万円に限度額を引き上げることとしている。
 私ども兵庫県では、貸与損料についても、中小企業の財務状況に応じて5段階の料率を設定して、きめ細かな対応をしてきた。
 ご指摘のあった貸与事業の割賦損料、リース料に対する助成については、私ども貸与損料が国の基準では1年につき3%以内と定められている中、本県では2%標準を損料として設定している。そのことから、非常に低い水準にあること。また、今年度は、先程実績を申し上げたが、前年同期比で25%程度増加しており、利用ニーズが回復傾向にあることから、現時点において、その割賦損料、リース料に対する助成は考えていない。

■杉本ちさと■ 考えていないということであるが、ぜひ検討していただきたい。製造業などの中小・零細業者、町工場は兵庫県の経済を支える中心的な担い手である。今、融資もなかなか借りられず、必要な設備投資もできにくい現状があり、廃業に追い込まれるという状況がある。ものづくりの町工場の灯を消してはならない。そのような中で、機械リース料補助が必要になっている。
 体力が十分にあるパナソニックなどへ218億円も補助をする一方で、資金繰りや設備投資に困っている中小・零細業者へ機械リース補助支援についても、まだまだ不十分だと言わざるを得ない。予算の使い方をもっと中小企業向けに振り向けるべきだということを主張して、私の質問を終わる。ありがとうございました。

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