地方独立行政法人(非公務員化)では市民病院の役割が果たせない
■新町みちよ■ 2月1日の広報明石で、明石市民病院の独立行政法人化の報道がされた。
それによると、明石市民病院は地域医療の中核として東播地域でも重要な役割を果たしているが、全国的な医師不足で産科の分娩休止や消化器科の診療体制の
縮小などを余儀なくされるとして、県も入っての「明石市安心の医療確保政策協議会」が今後の市民病院の経営のあり方について、地方独立行政法人への移行が
望ましいと答申が出された。
そして、地方独立行政法人化によって、サービスが向上する、市民ニーズに素早く柔軟に対応できる。また、市も最大の課題としている医師不足も解消でき
る。そして、公益性や公共性を保つというふうに書いてある。地方独立行政法人化でメリットが描かれているわけだが、しかし、例えば医師の報酬を上げるということでも、何も独立行政法人化しなくても、議会の承認さえあればできることで、経営形態とは関係ないというふうに考える。
現在、県下の自治体では、国の公的病院のガイドラインに沿って、公立病院では病院改革プランが作成されて、経営についての見直しも提起をされている。
市町立の病院が独立行政法人化する場合、県の認可となるが、地方独立行政法人は二つの型があって、公務員型と非公務員型である。
2008年に、加古川市が認可申請をしたのに対して、公務員型は認めないというふうに県はされたというふうに報道されている。基本的に非公務員型しか認
めない、それはなぜか、そして、公務員型が認められる基準というのはどういうもので、例えばどういうものなら、それが認められるのか、お答えをいただきた
いと思う。
■市町振興課長(田中良斉)■ ただいまの加古川市民病院の事例について、まず、お問い合わせがあった。
平成19年度に議論されたものというふうに承知をしていて、当時もいろいろと報道がされたところである。
加古川市民病院の案件については、県として、公務員型の地方独立行政法人となる場合の認可の際の基準というものを、考え方というものをお示しさせていただいて、その結果、市として改めて検討された結果として、断念をされたというふうに承知をしているところである。
その際の考え方であるが、公務員型のいわゆる特定地方独立行政法人であるが、病院事業等々のことになるが、当該地方独立行政法人に行わせようとする業務
の停滞が住民の生活、地域社会、もしくは、地域経済の安定に、直接かつ著しい支障を及ぼすことが認められること、そういった場合について特定の公務員型の
地方独立行政法人の設立がなされるというふうに考えているところである。これは、法律に定まっている要件である。
病院事業に関して、例えば、どういう場合かということであるが、病院事業においては、例えば二次医療圏において、当該法人以外、病院が全くないような場合、こんなような場合が一つの事例として考えられるんではないかと、このように考えているところである。
■新町みちよ■ 今のご答弁でも公務員型というのは極めて限定がされるということである。その一つの行政区の中に、他の二次診療機関の中に、ほか
の、例えば民間病院があると、こういうときは認められないというようなことなので、これでは市民病院などは公務員型は認めないということだと思う。
しかし、明石の市民病院で見ても、地域医療を守る拠点病院として、先ほどおっしゃったのに、しっかりと該当するというふうに思う。住民の暮らし、地域の
社会に根差して、その業務が停滞をすれば、著しい支障が生じると、支障を及ぼすというふうに考えられる。また、業務の遂行に当たっては、やはり、中立性及び公正性を特に確保する必要があると考えられるのだが、いかがか。
■市町振興課長(田中良斉)■ ご指摘の明石市民病院の新しい形態の移行の関係だが、市の方では先ほどご指摘があった、答申を受けた形で、年度内に最終的な方針を決定すると、そのように聞いている。その過程で、市民の皆様や議会の皆様とも議論もしていくと、そのように聞いているので、現時点では、県として
は、市としての最終的な方針決定前なので、なかなかお答えすることが難しいところであるが、基本的にこの法律が国会で議論された際に、衆参両院の附帯決議
において、その法人の設立に当たっては、地方公共団体の自主的な判断というものを十分に尊重するということが決議としてなされているところである。
したがって、県として対応を考えていく際には、まずは、明石市の方で、市としての方針というものも十分ご議論いただいて、そして、定款を定めるに当たっ
て、議会の議決も必要になるので、そういった必要な手続を経た形で、県の方に申請をいただくということになったら、県としたら、地方独立行政法人法の制度
の趣旨に十分のっとった形で、適正に対応していきたいと、そのように考えている。
■新町みちよ■ しかし、加古川でもそういうふうに申請をされたが、非公務員型というのは適切でないということで、加古川の方はあきらめられたと
いうことであるが、非公務員型というのは、職員は公務員でなくなるということで、したがって、条例で定数を確定する必要もないし、人数についても、給与に
ついても増やそうが減らそうが、これは地方独立行政法人の理事長次第ということだと思うが、それでよろしいか。
■市町振興課長(田中良斉)■ ただいま、ご指摘あったとおり、地方独立行政法人化がなされると、理事長というか、経営の自由度が大幅に増すということは
事実である。ただ、その経営の大前提として、法人がこれからどういうふうに経営をしていくかということについては、設立団体の長が議会の議決を経た上での
中期目標の設定をした上で、その中期目標に従った計画に基づいての経営が自由な形でなされていくといったものである。
したがって、独立行政法人化すれば、すぐにそのような状況が起こるかというわけではなくて、まずは、中期目標がどのようなものになるのかというところが非常にキーの、重要なところになってくるのかなと、そのように考えている。
■新町みちよ■ 総務省がことし1月に発表した公立病院改善事例集で見ても、公務員型でも経営改善策として、共通して、人件費の抑制効果で給与水準の低い職員を増やしているという実態がある。
自治体病院を地方独立行政法人化するということは、財政健全化法から見ると、将来負担比率は対象となるけれども、それ以外の実質公債比率や連結実質赤字比率などは、対象にならないということの理解でよろしいか。
■市町振興課長(田中良斉)■ それで結構かと思う。
■新町みちよ■ 結局、独立行政法人化をして、自治体から病院の部門を切り離すということだと思う。直営などの運営から法人の自己責任で運営形態
とするということが目的だというふうに思う。認定の基準では、負債は引き継ぐとなっているが、そういう理解でよろしいか。
■市町振興課長(田中良斉)■ 移行する際に当たっては、その設立団体との関係になるというふうに思うが、病院事業債など、残債がある場合については、設
立団体の方でしっかりと面倒を見ていくことになるが、それ以外の債務の関係、権利、義務の関係については、移行されていくというふうに考えている。
■新町みちよ■ 広報で紹介をされているように、本当にバラ色ではないというふうなことが明らかになったというふうに思うが、明石の市民病院では
平成20年度末で、約27億4500万円の債務残高を持っている。赤字からの出発というふうになる。そして、この認可基準の中でも言われてるように、常
に、企業の経営性を破棄するように努めるというふうにも書いてある。
経営の自由度が増し、効率的な経営を行うことができるということで、人件費の抑制など、コストが削減されることというのは明らかだというふうに思う。
自治体病院を地方独立行政法人、とりわけ、非公務員型にするということになると、市民病院というのは、本当に看板だけになってしまうのではないか、市民病院の役割が果たせないということになるというふうに思う。
こういう認可は県としても進めるべきではないということを指摘して、質問を終わる。 |