他会派・議員の日本共産党の予算組み替え動議に対する反対討論
福祉切りすて「新行革プラン」・県予算を推進する与党会派
(自民党)福祉切りすての新行革プランの「差し戻しは論外」と反対。
(民主)「新行革プランそのものを否定するもの」と反対。
(公明党)「給付のみを求める無責任なもの。投資事業の堅持は必要」「なお、なかには、乳幼児等医療費の公費助成、太陽光発電施設の民間住宅への設置促進を図ろうとする観点など、担当関係部局において、その施策化を熟考されるべきと考えるものもあります。」
自由民主党 松本隆弘県議の反対討論
自民党県議団を代表し、まず本委員会に付託された第1号議案から第21号議案および第46号議案について、意見表明を行います。
わが国のきびしい経済雇用情勢にあって、われわれは行革をすすめつつも、県内経済への対策にも取り組まねばなりません。これらの様々な情勢の変化を乗り越えて、力強く前進するため、平成22年度当初予算は、従来にも増して重要なものであります。
まず、歳出につき、デフレギャップの解消にむけて実需要の喚起や中小企業の資金繰り対策など、緊急経済雇用対策をすすめるとともに、危機管理や地域の再生策に重点を置いています。また国の交付金を活用した投資事業の前倒しなど、これまでの補正予算とあわせ、切れ目のない一体的な対応を図ることで、景気を下支えする取り組みを総動員しています。
さらに、災害復興施策の継続や防災対策の強化、子育て支援の充実など、県民の安心確保への対策も図られており、評価ができます。
一方、歳入の観点からは、大幅な減収の穴埋めを、地方交付税等の増額に頼る構図となっていますが、その増額要素の多くが臨時財政対策債であります。臨財債は、後年度に交付税措置があり、実質公債比率には影響を及ぼさないものの、県債残高が増加していくため、後年度の交付税措置がきちんとされるのか、検証するべきであると思います。
新行革プランの変更は、すでに2回目の見直しであり、平成30年度までの10年間の要調整額は、1025億円から315億円に減少しましたが、平成23年度以降の要調整額の解消にむけた方策が示されていないため、国の予算編成、地方財政対策に期待をするだけでなく、「3年目の総点検」において、歳入・歳出両面からの具体的な改革方策の提示を求めたいと思います。特に事務事業の徹底した見直し、公社・外郭団体等の存続意義の検証とともに、組織体制のありかた、教育事務所の再編などを検討する必要があります。
また、県民あげての行革の推進を図るためにも、平成24年度以降の歳入・歳出見込みについては、経済が成長せず、税収がまったく伸びないと想定した財政フレームを提示することを含めて、これらの厳しい財政状況を広く県民と情報を共有し、行革の取り組みにたいし、理解が得られるよう努めるべきであります。地方の行財政運営は、現行システムのなかでは、限界に近づきつつあることも踏まえ、国に対し地方財財源の充実等を求める活動も十分に行うことを求めます。しばらくは、きびしい経済情勢が続くと見込まれます。その中にあっても、行革を推進し、適切な行財政運営を行うことで、兵庫が再生し、地域の元気が実現することを期待します。
以上、県民が夢と希望を持てる持続可能な行財政構造基盤の確立をめざすため、わが自由民主党議員団は、これからも県民の付託をうけた最大会派として、不撓不屈の精神で、井戸知事とともに、兵庫の未来に責任を持つことを決意し、今回付託された新行革プランの変更議案および、平成22年度予算案に賛成する次第であります。
次に、日本共産党議員団から提出された「第1号議案、第4号議案、第6号議案および第9号議案の編成替えを求める動議」にたいし、反対する立場から意見表明を行います。
まず、民生費の重度障害者医療費公費負担助成費などは、すでに議会において、度重なる検討・議論を重ね、意思決定したものにもかかわらず、いまさら差し戻しというのは論外であります。また商工費については、産業立地促進費など、県内の投資等を促進し、景気刺激や雇用創出に寄与する施策についての減額が示されており、現在の経済雇用情勢にたいする理解が不足しているとしか思えません。
公共事業については、自然災害にたいする備えや老朽化する既存ストックへの対応、基幹道路の整備など、社会基盤の整備を必要とする分野や地域がいまだに多く残っていることから、地域のくらしを支え、地域の発展に貢献する基盤整備は必要不可欠であり、(削減は)適当ではありません。
警察費については、凶悪事件が後をたたないなかで、捜査費の減額を求めるなど、県民の安全を軽視しているとしか思えません。
教育費については、それぞれの発達段階に応じた道徳教育を体系的にすすめる必要があるなか、道徳教育副読本作成配布費の削減を求めるなど、生きる力をはぐくむ教育を軽んじているとしか思えません。
以上、当局からは、県政の課題に的確に対応した予算が提案されており、歳入を含めて、組替える必要がないと判断し、予算組み替え動議に反対をいたします。
民主党・県民連合 石井健一郎県議の反対討論
わたくしは、民主党・県民連合議員団を代表して、知事提案の第1号議案ないし第21号議案、ならびに第46号議案の22件の議案に賛成し、日本共産党議員団から提出の、平成22年度予算案の編成替えを求める動議に反対する立場から意見表明を行います。
さる2月17日、井戸県政3期目初となる平成22年度当初予算が提案されました。その内訳として、来年度の要調整額50億円の解消とともに、収支不足額の縮小が見込まれていますが、これは国の地方交付税等の見直しによる一般財源の増額を主な要因とするものであり、金融危機後の景気低迷や所得水準の低下等を背景に、法人関係税、個人県民税はじめ、県税収入の落ち込みがつづいており、加えて、県債残高とその利子・負担は多額にのぼるなど、県財政の運営は依然としてきびしく、より一層の選択と集中が求められるものとなっています。
このため、新行革プランを基本に、国の交付金を原資とする基金を活用した、経済・雇用の早期回復にむけた緊急対策、安心こども基金や法人県民税超過課税を活用した待機児童対策の推進、小児細菌性髄膜炎の予防接種支援をはじめとする少子対策、さらに投資的経費全体で、前年度から279億円の抑制をはかる一方、国の第二次補正予算に伴う臨時交付金の活用や二月補正予算とあわせた14ヶ月予算として規模を確保するなど、財源確保の工夫や切れ目のない事業の執行につとめており、県下をとりまく厳しい社会経済情勢にたいする一定の配慮がみられます。このような対応は、昨今の経済雇用情勢や少子化をはじめとする本県がかかえる諸課題を解決するために不可欠な事業を選択し、重点的に実施するために予算を確保しようとすることがうかがえる予算となっている。わが会派がこれまで主張してまいりました、就職氷河期に匹敵する状況にある、新規学卒者など、若年者の雇用就業対策、投資事業の必要性・緊急性など、優先順位等の明確化、限界とも言える職員の給与定数の削減をはじめ、部局審査や総括審査でわが会派の委員が指摘した、各分野の精査すべき課題への取り組みを、より一層強化していただきたいと申し上げておきたい。
一方、日本共産党議員団から提案されました、予算案の編成替えを求める動議につきましては、以下の点について特に意見を申し述べます。
動議は新行革プランの対象となった福祉医療等の民生費をはじめ、土木費、警察費、教育費などの予算をはじめ、各分野の事務事業を一方的な主張で、根本的に替える内容となっており、二年にわたる行財政構造改革調査特別委員会で重ねてきた真剣な議論を経て可決された新行革プランそのものを否定するものです。また、県には県民生活の各分野に配慮したバランスのとれた施策展開が求められますが、動議に示された内容は各分野施策のバランスを欠くだけでなく、単に削除・減額を求めるものが多岐にわたっており、これまで継続的に実施してきました事業において、なんらの代替措置も明らかにしておらず、県政や県民生活に多大な損失と大きな混乱をまねくことになります。
わが会派は、新行革プランの作成にあたり、県民の生命と生活に直結する医療・福祉・教育・治安等については、極力行革対象とすべきでなく、選択と集中によって、メリハリのある改革を行うとともに、県民だれもが納得できる社会的に弱い立場にある方々に十分配慮した公平感のある改革に取り組むよう、繰り返し主張をしてきたところであり、改革の対象となった各分野において、残された課題は少なくないと考えております。しかし、残された課題については、この動議のように唐突に提案されるのではなく、行革の推進に関する条例に規定された仕組みを活用し、来年度に予定される「新行革プラン3年目の総点検」というルールにのっとって行うべきだと考えます。
以上の理由から、危機的な財政状況のなか、議会の議決を経て策定された新行革プランにもとづき、行政経費全体のゼロベースからの見直しと選択と集中を図り編成された知事提案の予算案に賛成し、日本共産党提出の編成替えを求める動議には反対を表明いたします。
公明党・県民会議 岸本かずなお県議の反対討論
わたくしは、公明党・県民会議議員団を代表して、知事提案の予算案に賛成し、日本共産党議員団提出の平成22年度予算案の編成替えを求める動議に反対する立場から意見表明を行います。
まず知事提案の予算案については、長引く景気低迷の影響で、県税収入が減となるなか、増大する社会福祉関係経費をはじめ、経済雇用対策や突発的に発生する災害復旧費など、多種多様化、増大化する県民ニーズに的確に対応しなければならない現下の情勢にあって、時代の変化に負けない、元気で安心安全な兵庫をつくることを基本目標にされた予算編成となっております。
歳入面では、県税収入が、法人関係税の大幅な落ち込みなど、前年度と比べ約500億円の減収が見込まれる中、新行革プランによる見直し効果に加え、地方交付税等の増額により収支不足については、前年度から約280億円改善されたものとなっています。しかし、歳入状況を好転させた要因は、地方交付税の増額であり、それも臨時的な措置である臨時財政対策債の大幅な増額であります。けっして楽観できるものではないことを忘れてはならないと思います。
次に歳出面では、人件費は、ひきつづき定員・給与の見直しを行うとともに、事務事業についても県民ニーズを踏まえた統合・組み替えを行うなど、430事業を廃止し、県政推進プログラム100にもとづいた6つの柱に250の新規事業を実施するなど、選択と集中による施策展開を図ろうとされております。その中で、わが会派が強く要望してまいりました、子どもの医療費助成、ドクターヘリの導入、乳幼児ヒブワクチン接種への支援などにかんしても、県民多くの思いを受け止め、命を守る施策に積極的に取り組まれようとしていることは高く評価するところであります。
また喫緊の課題である、経済雇用対策におきましても、過去最大の融資目標額5000億円の確保による、中小企業への資金繰り支援をはじめ、今年度2月補正とあわせた14ヶ月予算として、21年度当初予算なみの事業量を確保されたことは一定評価するものであります。
一方、日本共産党から提出された動議においては、基本的に土木費を減額し、民生費を増額しようとするものであります。雇用情勢の悪化等、景気の先行き不透明さが一層高まるなか、デフレギャップに適切に対応できるものかは、はなはだ疑問のあるところです。以下いくつかの事業についても言及します。
第一に、福祉サービス事業に関しては、知事提案の予算案では、先に述べた施策に加え、分園保育等の推進、認定こども園整備促進など、本格的な少子化を迎えるなか、わが会派がこれまで求めてきた子育て支援の充実にむけ、その姿勢を評価するところであります。一方、共産党が増額を求める事業は、新行革プランの対象で削減されているものであり、これまでの真摯な議論がなされ、議決された新行革プランを根底から覆すものであります。
また、将来にわたり持続可能な福祉医療態勢の構築のなかで、給付のみを要求する無責任な提案であり、これに賛同することはできません。
第二に、産業立地促進事業に関しては、知事提案の予算案では、企業誘致にかかる地域間競争が激化するなか、補助要件を引き下げ、但馬・丹波及び淡路の促進地域におけるインセンティブを拡充し、積極的な企業誘致活動を展開して意向とするものであります。共産党の主張は、その取り組みを後退させるものであり、賛同することはできません。
第三に、投資事業につきましては、将来を見据え、着実な社会資本の整備として重要であり、またこれまでに整備したインフラ施設等の保持のため、その維持・修繕をおこなうものであります。必要とされる投資事業は、その総額については、経済対策の観点からも、今後とも堅持していかなければならず、共産党が求めるように、その削減を行うことには賛同できません。
なお最後に、県当局にたいして、共産党議員団が提案された項目において、なかには、乳幼児等医療費の公費助成を拡充していこうとする方向をはじめ、太陽光発電施設の民間住宅への設置促進を図ろうとする観点など、担当関係部局において、その施策化を熟考されるべきと考えるものもあります。
あわせて、全般にわたり、予算の執行において、県民からの信頼が不可欠であることに十分留意しつつ、コンプライアンスの徹底とともに、県議会をはじめ、県民への説明責任を果たし、さらにその透明性を高めておくように述べておきます。
以上、財政健全化にむけた取り組みの正念場を迎えるなか、今日的課題である経済雇用対策等を展開するため編成された知事提案の予算案について賛成し、共産党提出の編成替えを求める動議に反対するものであります。 |