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2010年(平成22年)度決算特別委員会農政環境部審査 杉本ちさと
2011年10月14日

自然エネルギー、水力や太陽光の導入促進を

■杉本ちさと■ 原発から撤退し、自然エネルギーの本格的導入を推進する立場から質問をする。
 まず、関西電力の水力発電設備の稼働状況についてお聞きする。
 関西電力の有価証券報告書等の資料を見ると、各設備ごとの設備容量の割合は、水力が23.5%、火力が48.5%、原子力28%、新エネルギーが0.02%となっているが、実際に関西電力が発電している割合は、水力、火力、原子力、新エネルギー、それぞれ何%ずつになっているのか。

■温暖化対策課長(春名克彦)■ 電気事業連合会のデータ等によると、関西電力の平成22年度の発電量実績は、一般水力が1315万メガワットアワー、火力が4949万メガワットアワー、原子力が6695万メガワットアワー、新エネルギーが1777メガワットアワーである。
 また、設備能力に対する実際の稼働率については、一般水力については45.3%、火力が33.4%、原子力が78.2%、新エネルギーが12.5%となっている。

■杉本ちさと■ 原子力は、設備容量の割合が28%だが、先程のご答弁によると、発電量の割合は78.2%になっているということである。逆に水力については、設備容量を23.5%持ちながら、実際の発電の割合が45.3%。この水力をもっと稼働させるということが大事になっているという点で、ぜひ進めていただきたいと思っている。
 原子力を最優先にして24時間稼働させ、原発依存度を高めているということが、先程の数字からもはっきりと分かる。水力発電設備を、今は電力消費のピーク時に稼働させるだけにとどまっているようだが、これをもっとフルに稼働させることが、自然エネルギーにシフトしていく上で今後重要になると思う。
 現在、関西電力は美浜1号機など点検停止中の原発の早期再稼働をめざしている。しかし、再稼働できる安全性を保証するものは全くない中で、認めることはできない。
 兵庫県はこの夏、電力不足が予想されるとして関西電力から15%の節電要請を受け入れ、実施すると同時に、自然エネルギーの活用をもっと広げることを掲げて、取り組みを始めている。関西電力は水力発電所を148ヵ所も持っており、兵庫県は関西電力に対して、水力発電所を最大限活用するよう申し入れるべきだと思うが、どうか。

■環境管理局長(築谷尚嗣)■ 先程の春名副課長の答弁の中では稼働率でお答えしていたが、先生は構成比でお聞きだったのかと思い、改めて構成比で説明させていただく。水力は揚水合わせて11.5%、一般水力が10.0%である。それから、火力については構成比37.6%、原子力は50.9%ということになっている。
 先程の水力をもっと活用すればというご指摘だが、水力発電の発電能力、出力に対する稼働率は45.3%ということで、水力といっても、やはり時期によって渇水等もある。そのあたりから見れば、水力をできるだけ使えるに越したことはないが、一般水力については、相応の稼働率が出されているのではないかと見ている。

■杉本ちさと■ 県の認識では、相応の稼働率だということだが、関西電力は、まだまだ水力発電を稼働させることができる。今、原発に過度に依存してきたことに対しては、知事自身も見直す方向だということは明らかにされているので、こういった点ではぜひ、水力発電所のさらなる活用について申し入れをしていただきたいということを要望しておく。
 続いて、住宅用の太陽光発電の普及について質問する。
 県は、既設の民間住宅への太陽光発電の設置に対する助成を再開し、融資制度を作った。太陽光発電の普及を爆発的に進めることは、低炭素社会実現の大きな柱だと思う。
 県の補助制度と融資制度の実績は、今どうなっているか。

■温暖化対策課長(春名克彦)■ まず、補助の方は、この10月10日現在の申し込みの受け付け件数は1998件、受理決定金額に直すと、約1億5500万円。融資の方が、10月14日現在で89件受け付けしている。

■杉本ちさと■ 実績はそのようであるが、最近この県の補助制度について苦情をお聞きしている。
 その中身を言うと、手続に非常に時間がかかるということである。設置希望者が業者に依頼し、業者が現地調査で見積もりをして国へ申請する。そして、認可がおりるまで、最短で15日、それを受けて県に申請し、また認可までにさらに10日程かかり、結局、業者に依頼して工事着工まで2ヵ月ぐらいかかってしまう。もっと早くならないのかという声である。
 よく聞いてみると、国の補助金の申し込み受理決定通知書の写しの添付が、県の申請書に必要な項目になっている。これが時間がかかる原因になっていると思うのだが、国と県の制度は別々のものなので、国の受理決定通知書を省くというふうに改善してはどうかと思う。
 もう1点だが、住宅用太陽光発電の設置に対する補助金の引き上げである。
 現在、民間の住宅では4キロワット程度が一番多いと言われているが、最初の設置に約230万円程かかる。これに対して、国や県、市町の補助金があるが、大体35万円程度というのが普通である。県民参加で自然エネルギーを推進していくという場合、住宅用太陽光発電の設置を広げることが決定的に重要であり、その鍵が補助金の引き上げだと思う。それぞれの自治体でも補助をしているし、その引き上げに対する動きなどもそれぞれある。兵庫県は今、1キロワットに2万円という補助制度を作っているけれども、これを大幅に引き上げることが必要と考える。
 この2点についてお答えいただきたい。

■温暖化対策課長(春名克彦)■ まず、1点目の補助申請の手続についてお答えする。
 住宅用太陽光発電の補助申請については、委員ご説明のとおり、国への申し込みから県の受理決定申請までに、普通、書類に不備がない場合には、おおむね2週間から4週間程度で手続が完了している。
 県では、申請者の利便性確保のため、補助金申請に必要な書類は、原則として補助金の申込用紙を1枚、それから、設置予定場所の写真及び国の補助金の申し込み受理決定通知書の写しの3点に限定している。これは、国への申請に必要な工事の内訳書や工事請負の契約書等、作成するのにかなり手間がかかるような書類を省略することにより、申請者における手間の省略化や審査の迅速化を図っている。
 2点目の、補助金の単価についてのご質問だが、本県の住宅用太陽光発電の補助単価については1キロワット当たり2万円であるが、これは出力規模が1キロワット以上10キロ未満までの設備を対象としているので、最大で19万9800円の補助を支給している。
 今年度、47都道府県のうち27都県で住宅用の太陽光発電の補助事業が実施されているが、例えば、先程委員がおっしゃった一般的な家庭である4キロワットを設置する場合、他県に比較して飛び抜けて補助金の高い東京都を除くと、平均支給額は7万4000円ぐらいとなっており、本県の2万円掛ける4キロワット、8万円とほぼ同等の水準となっていることから、本県としては適正な単価だと考えている。

災害廃棄物の広域処理について

■杉本ちさと■ 1点目の書類だが、一つ作れば、コピーして出すことができるので、便宜性を図っている訳ではないと思う。国に対して受理書をつけなければならないというところで期間が延びている原因になっているので、改善していただきたい。ぜひお願いする。
 それから、補助金の引き上げについては、東京都は10万円引き上げている。こういった点は、やはり見習っていくべきだと思う。
 次に、災害廃棄物の処理について質問する。
 政府は、東日本大震災で発生した災害廃棄物を処理するため、全国の自治体に処理をさせる広域処理を進めようとしている。
 しかし、これは、原発事故が起こる前の廃棄物処理法では一般廃棄物としては認められず、厳重に保管されることが求められてきた放射性廃棄物を、8000ベクレル以下なら受け入れて、埋め立てることを自治体に求めるものである。放射性物質の影響をほとんど受けていなかった地域も含めて、放射能の影響を全国に拡散させ、作業員や周辺住民に被曝の危険をもたらすのではないかとの懸念がある。
 兵庫県では7月に知事が、大阪湾フェニックス計画で災害廃棄物処理を受け入れて、神戸沖などに埋め立てる提案をしており、不安の声が広がっている。そこで、県の対応についてお聞きする。
 環境省は、東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドラインで、受け入れ側での災害廃棄物の焼却処理により生じる焼却灰の放射性セシウム濃度が、1キログラム当たり8000ベクレル以下になるように配慮するとしているが、仮に受け入れるとすると、焼却は県内市町や広域ごみ処理場などで行うことになる。
 しかし、焼却炉などはもともと放射性廃棄物を処理することを前提にしてつくられた訳ではない。本当にそこで処理をして大丈夫なのか疑問に思う。焼却施設の能力、性能について、きちんと調べられているのか。8000ベクレルという基準自身も問題だと思うが、焼却してみるまで、数値が幾らか分からない訳である。焼却して8000ベクレルを超えてしまったということになれば、管理、保管も問題になる。
 また、焼却灰の検査を行う体制はあるのかなど、県内市町が受け入れた場合の安全確保について、県はどのように考えているのか。

■環境整備課長(鷲見健二)■ まず、8月26日に公布された「放射性物質による環境の汚染への対処特別措置法」では、国が汚染地域を指定した上で処理計画を策定するとともに、当該地域内の廃棄物及びそれ以外の地域の廃棄物で放射性物質による汚染が一定の基準を超えるものにあっては国が処理することとされている。
 委員がおっしゃったガイドラインだが、環境省が8月11日に示している「災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドライン」では、まず一つとして、十分な処理能力を有する排ガス処理装置が設置されたごみ処理施設で焼却処理が行われた場合には、安全に処理することが可能である。それから、2番目として、放射性セシウム濃度がキログラム当たり8000ベクレル以下である主灰については、埋立作業者の安全も確保される濃度レベルであるとして、一般廃棄物の最終処分場での埋立処分が可能であるとされているところである。
 現在のところ、被災県からの具体的な受け入れ要請というのはないが、今後、二次仮置き場の処理が進んでいくことから、要請があった場合には、環境省を初め県内市町、大阪湾フェニックスセンターと連携を密にしながら、まずは安全確保を最優先として、災害廃棄
物の円滑な処理に協力していきたいと考えている。

■杉本ちさと■ 安全確保を最優先というのは当たり前のことであるが、今、国が示している中身が大変無責任な中身になっているという点を、私は問題意識として、県としても持っていくべきだと思っている。
 国の指針では、埋立処分に当たっては、跡地の利用が居住用などでない場合には、焼却灰を他の廃棄物と分けることは必要ないとされている。仮にフェニックス計画で受ける場合、区別なく埋め立てることになるのか。その場合、飛散や、長期にわたって土壌汚染が続く可能性はないのか。将来的に安全は保たれるのかということについて、どのようになるのか。

■環境整備課長(鷲見健二)■ フェニックス計画においては、今、委員がご指摘のとおり、跡地利用というのを前提としたものであるので、その場合の受け入れの安全性等については、管理を行っている大阪のセンターの方に検討を要請しているところである。

■杉本ちさと■ 県としてどうなのかということをお聞きしているのだが、大阪が検討するということでは、ちょっと無責任ではないのかと思う。
 環境省は、広域処理を加速するために、受け入れ自治体の処理可能量及び受け入れ条件等を調査し、具体的なマッチングを実施するという目的で、自治体に再調査を行っている。つまり、国の方では安全性についての議論抜きに、自治体同士で処理させることを前提として話を着々と進めているのである。
 しかし、放射性物質を放出して環境汚染を引き起こした責任は東京電力にある。そして、国が国民の命と健康を守る立場で全ての環境汚染に責任を持って処理することを明確にすべきである。自治体に広域処理をさせることは、そうした国の責任をあいまいにして、住民に負担を負わせ、何かあったときの責任を地方自治体に押しつけるものだと思う。
 先程のお答えから見ても、安全性の確保について県が責任を持っているとは思えない。国に対して、安全性が担保され、住民合意が行われない限り受け入れはできないという基本的立場を明確にし、国が基準を勝手に緩和して自治体に押しつけるのではなく、国の責任で処理を進めるよう求めるべきと考えるが、どうか。

■環境整備課長(鷲見健二)■ さきにご答弁申し上げたとおり、特別措置法の中では、国の責任において一定基準を超えるものについては国が処理するということを記載している。
 その法律の中で、国では11月を目途に、この法律に基づく「放射性物質による環境汚染への対処に関する基本方針」を策定する予定と聞いているので、そのあたりも含めて、今後とも国の動向を注視していきたいと考えている。

■杉本ちさと■ 県民の命に関わる、そして、環境に大いに関わる問題なので、国に対して責任のある対応をとるよう、きちんと申し入れしていただくように重ねてお願いをして質問とする。ありがとうございました。

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