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2010年(平成22年)度決算特別委員会健康福祉部審査 杉本ちさと
2011年10月12日

姫路・男児傷害事件の対応と、子ども家庭センターの充実について

■杉本ちさと■ 日本共産党県議団の杉本ちさとである。質問を始めさせていただく。
 姫路の児童虐待事件について質問させていただく。
 本年6月10日、2歳男児が頭部にけがを負って意識不明となり、姫路市内の医療機関に緊急入院した事案について、母親の交際相手が傷害の疑いで9月16日に逮捕された。その後、容疑者は起訴されている。
 この件については虐待の疑いの通報があり、児童相談所である姫路こども家庭センターが関わっていた。それだけにどうして防ぐことができなかったのか、今後、このようなことが起こらないようにするにはどんな改善が必要なのか、児童虐待防止委員会も開催されているようだが、さまざまな立場からの議論が必要であると考え質問をする。
 まず、この事件の経過である。4月11日に姫路市から保育所に、額にすり傷や皮下出血のある児童がいるとの通報を姫路こども家庭センターが受け、翌日4月12日に姫路こども家庭センターが家庭訪問し、母親と本児童に会って状況を確認した。そして軽症であり、虐待による傷とは判断できなかったため、保育所に児童の見守りを依頼した。
 次に、4月19日、保育所から児童が額に傷をして登園したとの通報を受け、調査を行った結果、軽い傷であったと同センターが姫路市から報告を受けている。
 次に、5月16日に姫路市から、保育所で児童の両大腿部にあざ等が認められたとの通報を受け、同センターが家庭訪問し、母及び児童に会って状況を確認した。そして虐待の確証が得られないということで、引き続き見守りを継続することにした。
 そして6月10日未明、児童が意識不明で姫路市内の医療機関に搬送され、右頭部硬膜下血腫の緊急手術を受け、現在も意識不明の状態が続いている。これが本事件の大体の経緯である。
 保育所の保母さんは毎日子供たちと体を触れ合って接している。小さい子程、排せつや着替えなど自分でできないので、常に体全体に接している。いつもと違う傷や皮下出血を見て虐待を疑い、姫路市に通報されたのだと思う。これは大変重要なことだったと思う。最初に通報のあった翌日、4月12日に県のこども家庭センターは、最初の家庭訪問をされている。
 問題はその次の4月19日の通報のときに姫路市から報告があったということだが、どのような調査をされたのか。なぜ、このとき県のこども家庭センターが直接調査しなかったのか。

■こども安全官(中井一仁)■ 4月19日の姫路市から、保育園から本児が登園したところ、前回と同様の傷が額にあり、医療機関に受診したとの連絡を受けたとの報告がこども家庭センターに寄せられた。これを受け、こども家庭センターが姫路市に対し、男児の傷の状況や体調など調査し報告をいただくよう協力依頼をしたが、その後、姫路市から男児の額の傷は軽症で体調にも問題なく、保育園に登園しているとの回答があった。
 こういった場合、姫路こども家庭センター及び市の役割として、こども家庭センターが緊急性が高い、あるいは前の援助方針と著しく変化がある等の状況を確認した場合、当然安全確認のために調査等を行うが、安全確認については市町においても一定のご協力をいただいたり、あるいはまた必要な調査を行うということになっており、この件については従来と同程度という報告があったので、そのような経過をたどったということである。

■杉本ちさと■ 次、5月16日、今度は両方の大腿部、外側にあざがあるとの通報であった。明らかに転んでできたあざではなく、何か強い力で外部から両大腿部が挟まれてできたあざだと思う。このときは、虐待の疑いを持って姫路こども家庭センターが家庭訪問をして調査している。その結果、見守りを継続することになった訳である。
 私は初動から含めて、本来は要保護児童対策協議会の個別ケース会議に乗せるなど、県と市と保育所など関係者が情報を共有して、顔を合わせて検討すべきだったのではないかと思うがどうか。

■こども安全官(中井一仁)■ 要保護児童対策地域協議会の役割について、委員からのご質問にあったが、要保護児童対策地域協議会については、代表者会議、あるいは実務者会議、個別検討ケース会議と3層の構造になっている。そのうちの個別検討ケース会議であるが、これは要保護児童対策協議会の事務局である姫路市が、主体となり調整機関の役割を果たす中で、そのケース会議の必要性といったものに基づき、実施することになっている。
 この事案については、当初からこども家庭センターが関わり、そして姫路市及び保育所との連携などにより、情報の共有ができていたので、当面、援助方針に基づいた対応ということで支援を講じてきたところである。

■杉本ちさと■ 情報の共有ができていたのであれば、なぜ、このような結果になったのかと思わざるを得ないが、市町の対応もどうなのかということも検討する必要があると思う。2004年の法改正で児童虐待相談の第一義的な対応は市町が行うことになった。しかし、市町できちんと相談を受けられる体制があるのだろうか。命に関わる重要な相談である。児童福祉司や児童心理士など専門家などが配置されているのかどうか、県はどのように把握されているのか。

■こども安全官(中井一仁)■ 改正児童福祉法により、平成17年から市町が第一義的な相談窓口となったが、この際に本県では法施行に備え、1月に市町長宛に家庭相談員等の適切な配置と人員の確保、あるいは職員の研修等の充実を要請する通知を行い。その後も継続して、市町に実施体制の強化を指導してきたところである。
 ただ、そういった中で市町ごとに見ていくと、相談員の人員や専門職員の配置について、若干の差異が認められる状況にある。これについても、中央こども家庭センターで全県の市町を対象とした専門職員の資格取得研修といったもの(児童福祉司相当のものであるが)を受けていただき、そういう中でトレーニング、あるいは講習会を経ることにより技術的な支援ができるような形としているので、専門職員の配置については順次、市町についても体制整備が行われつつあると認識している。

■杉本ちさと■ 専門職の研修を中央こども家庭センターで行っているというお答えであるが、どのような規模で行っているのか。姫路市にお聞きしたが専門職員はいないという回答であった。県下で進みつつあるとおっしゃっているが、こういった点が非常に大事だということを私は改めて思っている。
 法改正のときから、相談窓口を広げることは必要であるが、私たちは市町で人的体制がなければ絵に描いた餅になるということを指摘してきた。これは国に求めていかなければいけない財政支援等もあるので問題でもある訳だが、県としても市町の人員体制の充実や、専門職員の養成についてさらに強化していくことを改めて要望していきたい。
 こういった市町の現状のもとで、県のこども家庭センターの果たす役割というのは大変重要だということを、改めて今回の事件は示している。虐待の相談件数だけを見ても増え続けている。姫路市でも平成21年度で242件であったものが平成22年度は301件、1.3倍に増えている。姫路こども家庭センターは正規職員が26名、非常勤が10名のうち心理判定事務員が4名で、この間増やされている。
 しかし、二千数百件に及ぶ相談の体制としてはまだまだ不十分である。行革で人員3割削減が決められ、その計画を進めることが最優先になっているが、県民の命を守り、福祉を守る上で大きな障害となっていることを今一度考え直す必要があるのではないかと思う。人員の増強を改めて求めるが、いかがか。

■こども安全官(中井一仁)■ 先程、こども家庭センターの実施体制について、島山委員からもご質問があったが、いわゆる人口規模等に応じた対応については、配置基準を満たし、さらにそれに上積む形で基準外として、警察OBであるとか、あるいは心理職員を配置し、個別職務の充実に向けた実施体制の取り組みを順次進めてきたところである。
 今後とも安定したこども家庭センターがより住民に身近な形で市町と連携し、そしてそれぞれの役割分担の中で機能し得るような体制づくりの構築に向けて取り組んでいきたいと考えている。

放射能汚染対策、人員の充実を

■杉本ちさと■ 改めて人員を増強することを求めて、次の質問に移る。
 次は、放射能汚染対策について質問する。
 今、国民の放射能への不安が広がっている。とりわけ放射能への感受性が高い子供の健康をどうやって守っていくのかは、日本社会の大問題であり、また、子育て世代に重くのしかかっている問題でもある。
 生産者は被害者であり、東電と国の責任で賠償することが前提であるが、放射能汚染の実態を正確に把握して、その実態とリスクを国民に正直に明らかにする、そして、国民の命と健康を守るために、可能なあらゆる対策をとることが今、政府に求められている。
 県はそのことを強く国に求めると同時に、県独自でも対策を進めなければならないと思う。放射能による健康被害を軽視してはならないのは、急性障害だけでなく、晩発性障害があるからである。被曝は少量であっても、発がんの危険性がある。これ以下なら大丈夫、安全というしきい値はなく、少なければ少ない程良いというのが放射線防護の大原則である。その立場で対策を進めていただくよう、以下質問をする。
 兵庫県はセシウム汚染牛の流通が発覚したときに、汚染されていたとしても基準値より下回るから大丈夫だと言った。しかし、推測に基づく安全説を広げることは余計に不安を広げる。正確な情報こそ必要だと思う。
 そこでお聞きしたいのは、セシウム汚染牛の流通の際に、県として検査を行い、県民に正確な情報を説明すべきだったのではないかと思うがどうか。

■食品安全官(友久健二)■ 福島県及び周辺地域において、放射性セシウム汚染稲わらを給与されていた可能性のある牛の肉から暫定規制値を超える放射能が検出された。このうち、特に超過事例が多く認められた福島、宮城、岩手、栃木、この牛の生産4県に対して、内閣総理大臣から出荷制限の指示がされたが、その後、適正な検査計画と出荷計画が策定されたため解除になり、今では食用に出荷される牛の肉については全頭検査等の措置により、暫定規制値を超えない牛肉だけが出荷される体制がとられている。
 また、兵庫県内生産牛については、汚染された稲わらが県内に入っていないことが確認されており、しかも、県内では大気中の放射線量調査の結果、3月11日以降もそれ以前と全く変化がないことから、安全性に問題がないと考えている。
 なお、前述の4県以外で汚染稲わらの給与等により、生産段階で牛の放射性セシウム汚染が懸念される秋田、山形、茨城、群馬、新潟、この5県の農場から出荷された午が、県所管下のと畜場に搬入された場合は、農家ごとに抽出検査を行い、放射性セシウムが暫定規制値以下であることを確認した上で流通させることとしている。
 これらのことから流通する全ての肉を検査する必要性はないと考えるが、今後も厚生労働省等と調整の上、必要な検査を実施して食肉の安全・安心確保に努めてまいりたいと考えている。

■杉本ちさと■ 暫定規制値を下回っていれば大丈夫という説明がありながら、暫定規制値を上回る牛肉が出回ってしまったことが不安を広げているし、それが風評被害にもつながっている。だから、まず暫定規制値を超える食品が出回らないように徹底することが必要である。
 それについてはきめ細かい検査が必要で、国に検査の徹底を求めるとともに、県としても行うことが必要である。現在、県では県内産の農産物などを健康科学研究センターで検査をしているが、流通食品についても検査をする体制が必要と思うがどうか。

■食品安全官(友久健二)■ 本県で文部科学省の委託事業として、昭和56年から行っている大気中の放射線量など、環境汚染のモニタリングの結果を見ると、原発事故発生以降も大気中の放射線量は、それ以前の測定値の範囲内であり、現在のところ、県内で生産される農畜水産物等を検査する必要はないと考えている。
 また、県外産のものについても、福島県及びその周辺地域を初めとする各自治体が計画的に実施する検査と、その結果に基づき必要に応じて内閣総理大臣から指示される出荷制限の措置により、健康影響の恐れのあるような食品の流通は、基本的には阻止されていると考えられることから、改めて本県で検査する必要はないと考えている。
 しかし、委員ご指摘のとおり、県内産の食品を中心に検査することを、念のためやるということは非常に重要なことであると考えている。本県では4月以降、県民の不安を払拭するため、県内産の主要な農畜水産物を対象に定期的に放射性物質の検査を行っており、9月末までに、キャベツ、レタス、ニンジンなどの野菜を20検体、米20検体、牛肉2検体、その他イワシシラス、マダコ、ブドウ、原乳を各1検体、合計46検体について検査を実施しているが、現在のところ放射性物質が検出された事例はない。
 現在、県独自の放射能検査体制として、簡易測定機器8台、精密分析機器1台の整備を進めており、今後は、本県の環境汚染の状況や他府県における食品検査の結果などを注意深く見守りながら、念のため、流通する食品の安全性を確認するための抜き取り検査も計画的に実施するなど、適切に対応していく。

■杉本ちさと■ 8台の簡易検査機が増やされた。記者会見等も行われているが、消費者にとっては数値が厳密かどうかよりも、高濃度に汚染された食品が出回らないことが大切なので、ベクレルモニターのような簡易検査機をさらに増やし、検査体制の人員も増やして対応に当たるということが大切だと思う。
 さらに私たちは県議団で県立健康生活科学研究所に先日視察に行った。福島原発事故以前から毎日測定していたモニタリングポストを使った大気の放射線量測定以外は、今まで1ヵ月に1回とか、1年に1回測定する調査だったのが、ほとんど毎日の測定に変わり、その仕事量に比べて人手が足りていない印象を強く受けました。
 例えば、地上1メートルの大気を測定するのに、サーベイメーターを使うが、毎朝10時に敷地内の定点で職員が測る。変動するので、平均値を読み取るのに目視で数十分かかるとのことであった。コンピューターに値を打ち込み、文科省などにデータとして送る作業も人の手で行う。その合間に、ゲルマニウム半導体検出器などによる県内農産物の検査、これも厳密に測るには丸一日の時間と人手がかかる検査であるが、行っている。
 しかし、職員は増やしている訳ではない。ここでも行革で職員全体が3割削減ということであるが、命や健康に直結するところは削るべきではない、増員が必要だと思うがどうか。

■食品安全官(友久健二)■ 食の安全・安心の確保を図る上で、放射能汚染に対する県民の不安に配慮して、このたび、県下の7ヵ所の健康福祉事務所検査室に簡易測定機器を1台ずつ配置した。先程、答弁させていただいたとおりである。さらに、県立健康生活科学研究所にゲルマニウム半導体測定器を1台配置した。
 県民からの相談に対して、福島県及びその周辺の各自治体における計画的な検査に基づき適切に措置されている現状においては、健康福祉事務所に寄せられる相談事例の多くは、明らかに放射線汚染の心配がないものであることが想定され、その場合には、検査を行う必要がないことを十分に説明の上、過度の不安を解消することも必要であると考えている。したがって、全ての検体が先程申した精密検査の必要があるといったようなものではない。
 健康福祉事務所における簡易検査の必要な場合でも、実施に当たっては、検査室と十分に事前説明の上、通常業務との重複を避ける等、可能な限り計画的に実施することにより、また、県立健康生活科学研究所においても、現行の人員体制の範囲内で、業務を工夫し対応することが可能と考えている。

■杉本ちさと■ 県立健康生活科学研究所にぜひ行ってみて、どのような仕事をされているのか見ていただきたい。本当に大変な仕事が増えている訳であり、ぜひ、体制を強化することを改めて求め、質問を終わる。

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