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2009年度予算特別委員会農政環境部審査 星原さちよ
2009年3月10日

地球温暖化防止対策の強化を

■星原さちよ■ 温暖化対策の方でお聞きをする。
 昨年末の国連気候変動枠組条約第14回の締約国会議――COP14であるが、これでは京都議定書のもとでの特別作業部会で2020年までに1990年比 25から40%の削減を検討する必要があるということが再確認された。
 日本では、京都議定書で義務づけられている目標の達成が危ぶまれている。兵庫県でも2010年に基準年の90年比3.1%増が見込まれており、目標の達 成が難しい状況にある。現行の計画は2010年度で終了するため、次期計画の策定が重要になるが、次期計画で中長期目標の期限をそれぞれいつまでの目標と して定めるつもりなのか、お聞かせいただきたい。

■園田大気課長■ 本県の推進計画であるが、委員、先ほど県でも3.1%増が見込まれるというようなお話であったが、3.1%増は平成18年の7月に 改定したときに、その現状のまま何も新たな対策を追加しないという場合に、3.1まで2010年時点で増加するというものである。それで、そのために推進 計画では6%削減という目標を設定しているところである。
 ご質問の次期の推進計画であるが、県としても、昨年12月に策定した第3次兵庫県環境基本計画の目標である、次世代に継承する環境適合型社会を実現する ために、やはり産業を初め、あらゆる部門について温室効果ガスの排出量を最小化していくというような取り組みの実現が必要であると考えて、来年度から次期 の推進計画の策定に向けての調査を行っていきたいと思っている。
 具体的には、将来予測に必要なデータを来年度は収集して、それに基づいて将来の温室効果ガス排出量を予測するなどの次期計画の策定作業に着手することで ある。

産業部門等におけるCO2削減について

■星原さちよ■ 計画はこれからということであるが、国も、このような動きも今、出ているが、その国の議論が国際的な議論とか合意とか、こうい うものとかけ離れており、中には90年比で増加する案まで出されているという、そういう始末である。こんな国の議論を待つまでもなく、もちろんそれに追随 されることはないと思うが、積極的に2020年までの中期目標を検討してこそ、環境先進県だと言えるのだと思う。
 削減目標を達成するためには、家庭や個人の努力も非常に大事だが、温室効果ガス排出量の大部分を占める産業部門などの削減がかぎになっている。県条例で は、温室効果ガスの大量排出事業所は、排出状況、排出の抑制目標達成のための措置などを作成し、提出することとなっている。しかし、その結果は、県がまと めて公表し、部門全体としての削減結果しかわからない。事業所別はもとより、規模別、業種別にも明らかにはしていない。これでは県民の目からどこが多く排 出しているのか、どのくらい削減が必要なのか、こういうこともわからない。大幅削減には産業部門の削減が不可欠なのであるから、事業所別に県として公表す べきだと思うがいかがか。

■園田大気課長■ 委員ご指摘のとおり、現在、条例においては、大規模事業者に対して排出抑制計画の提出と、それから削減結果を知事に報告するという 形になっている。現在のところ、それらの事業所から提出された排出抑制計画、それから毎年数値結果をそれぞれ取りまとめて公表し、また事業所に対しては、 みずから排出抑制計画、その他の取り組み状況を公表するようにという立て方になっている。
 このため、県は県内事業所の排出抑制計画や、毎年の削減結果を取りまとめて、県のホームページで公表しているところである。また条例対象事業所に対して は、排出抑制計画実施報告書の提出時に、条例に基づいてその公表に努めるように指導もしている。その結果、特に大規模事業者については、自社の環境報告書 とか、自社のホームページ等でCO2の削減目標、あるいは毎年度のCO2排出量についても内容を公表しているというところもある。
 今後は、既に事業所ごとに公表している国、環境省の排出量報告制度や、大阪府、東京都などの状況を踏まえながら、次期推進計画策定に向けた検討や、 CO2削減協力事業の中で、排出量の公表のあり方を検討していきたいと考えている。

■星原さちよ■ もう少し簡潔にお願いする。時間がない。
 個別の事業所の排出、本当にこれを明らかにしなければ、責任が明確にならないと思う。大規模な事業者が県に提出する、そういう削減目標というのは、これ は経団連の自主行動計画、これをベースにしたものであるから、県の削減目標に見合うものになっているかどうかということはわからない。兵庫県内では日本有 数の製鉄会社、それから石炭火力発電所がある。2006年度、都道府県別の大口の排出者の排出量で見ると、3,745万トン、全国で第3位になっている。 実際に地球温暖化対策推進法に基づく届け出によると、2006年度、兵庫県内の大口の排出者、672社の排出合計が3,745万トンのうち、神戸製鋼所の 2事業所――加古川と神戸であるが、その合計が1,742万トン、石炭火力発電所では729万トン、3事業所で合計すると2,471万トン、これは県内の 何と74%になるわけである。
 産業部門の温室効果ガス削減は、これらを含めた大規模事業所での削減を図ることが非常に重要だと思う。大規模事業者に対して具体的にどのような指導を 行っているのか、また、この部分の今後の削減についてはどのように進められるおつもりなのか、簡潔にお願いする。

■園田大気課長■ 本県の排出量に占める割合は、産業部門、やはり7割と、非常に多い。委員ご指摘のとおり、神戸製鋼を初め、大企業が立地している関 係で、排出量的には国の中でも多い方だと思っている。
 先ほども申し上げたように、排出抑制計画というものを条例に基づいて提出していただいているので、それについて、特に大規模な事業所、これは200事業 所あるが、条例対象が1,500キロリットル以上の原油換算のエネルギー使用量、それの倍、3,000で切ると200社ある。そこに対しては平成19年度 以来、さらに年1%の削減強化を要請しているところである。
 来年度からは、その排出抑制計画の目標を達成するために、排出削減の取り組みの選択肢を広げるという意味で、追加的な制度として新たにCO2削減協力事 業の施行に取り組むこととしている。
 現在、事業者から提出されている排出抑制計画については、県の推進計画の目標である6%削減を基本に、条例に基づく指導権限によって、我々厳格に査定し ている。また自主行動計画も国の京都議定書目標達成計画の削減根拠ともなっているので、やはりこれはきっちりと守っていただくということで、単なる自主的 な目標ではないと考えている。引き続き事業者へのヒアリング等を通じて、適切な削減指導を行うことにより、実効性のある確実な削減を図っていくことと考え ている。

温室効果ガス排出量削減制度の問題について

■星原さちよ■ 単なる自主的でないものだということであれば、これまでにもかなりその成果が上がっていると思う。
 次に移る。県のCO2共同削減制度についてである。これは大規模事業者や中小業者に技術や資金などを支援し、削減した排出量を大規模事業者に移転すると いう、こういう制度として施行するとのことであるが、これにより移転するCO2量、つまり削減されるCO2量をどのくらい見込んでおられるか、簡潔に数字 でお願いする。

■園田大気課長■ 来年度から施行するCO2の削減協力事業である。これについては、先ほども申し上げたかと思うが、オプションというか、みずからの 削減に対しての選択肢を広げるという意味で制度化するものであるので、この制度を使うか使わないかは、それは任意と、自由ということになっている。
 したがって、今現在では大規模、小規模についての詳細な問い合わせ等はしていないので、移転の可能性、それから移転量についても掌握していない。

■星原さちよ■ どれくらい削減するかはわからないということだが、やっぱりこういう制度をつくったら、効果を上げていかなければならない。そ ういう意味ではやはり東京のように、大規模排出事業所に対して総量削減というものを義務づける、また、東京では罰則もかけているが、そういうものとセット で排出量取引の制度をつくらなければならないと思うが、その点はいかがか、簡潔にお願いする。

■園田大気課長■ 一部、東京都では、義務づけというか、罰則適用するような形でCO2の排出削減の取引というものを始めたということであるが、国に おいても、まだキャップを設けるとか、キャップ・アンド・トレードという形での排出量取引は行っていない。であるから、そういった国の動きとか、先行する 東京都などの状況を今後は研究させていただきたいと考えている。

太陽光発電システム普及について

■星原さちよ■ 十分に研究していただきたいと思う。
 次に、削減目標を達成する上では、CO2を出さない再生可能エネルギー――グリーンエネルギーというのを飛躍的に進めることが重要だと思う。県も重点施 策としてそれを位置づけていると思うが、住宅用の太陽光発電設備の導入促進、これについてお聞きする。
 国が05年度に打ち切っていた設備の補助制度、これを復活するということになっている。兵庫県はどのような制度になるのか。

■園田大気課長■ 委員ご指摘のとおり、国の補助が復活して、その間、県においては、国の補助が廃止された平成18年度から、18、19、20と3年 間、国にかわるものとして補助制度を創設していた。国の補助が復活したので、かつ来年度も継続されると、さらに拡大して継続されるということをお聞きして いるので、今年度で廃止することとした。

■星原さちよ■ 県としての制度はもうこれで廃止されてしまうということで、県のグリーンエネルギー10倍増作戦というのがあったと思うが、 2002年度に3万キロワットだったものを、2010年までに30万キロワット、こういう目標、現状は12万キロで約4割しか達成できていない。住宅用の 発電機では約2万1,000基ふやさなければならないという計算になる。国の制度では、1年間に国全体で3万5,000件の補助ということになっているか ら、2010年までに県内であと2万1,000基ふやすということはなかなか難しいだろうと思う。国が打ち切った後も、せっかく県として額は少ないながら も制度を維持させてきたわけであるから、これからも県としても続けられないか、非常に強く要望したいと思うが、件数や金額の上乗せ、補助を求めるが、これ はいかがか。

■園田大気課長■ 県の10倍増作戦、今、約4割というところで、あと3年間、住宅用太陽光発電の設置、普及については、非常に頑張っていかなければ ならないと認識している。
 先ほど委員が指摘された、国の全国で3万件というのは、今年度の補正分であり、来年度はたしか8万件以上と聞いている。
 廃止した後であるが、県民が国の補助を積極的に利用できるように、市町や温暖化防止活動推進センター等を連携して、啓発のパンフレットや、また具体に電 話相談に応ずるなど、そういった情報提供、それから太陽光発電フォーラムなどを開催して、効果的な普及啓発を行ってきているし、今後もそれを行っていきた いと思う。
 ただ、この国の制度ができて以降の補助申込件数については600件ということで、近畿でも最も多いということになっているので、今後とも積極的に導入が 進むものと考えられる。
 さらに、県が国に要望している住宅用太陽光発電の買い取り価格の引き上げについて、この2月に経済産業大臣から電気事業者が現在の2倍程度の額で、今後 10年程度にわたり買い取る仕組みの創設を検討する旨の発言があったので、今後、個人負担が一層軽減されるように、引き続き早期実現に向けて要請していく 所存である。

■星原さちよ■ 結局、お金がないということになるのだろうと思うが、この問題は建設会社のほかに、瓦屋さんとか、電気工事とか、足場業とか、 いろんな方たちが仕事づくりに非常に役に立つのではないかということで、雇用の増大が見込めると思う。そういう点では、費用対効果という点では、非常にい いものになるのではないかなということもあるので、また検討をしていただきたいと思う。
 温暖化ガスの削減、グリーンエネルギーの導入、非常に今、喫緊の問題になっている。ここに東京都の東京都気候変動対策方針というのがあるが、この基本認 識のところに、今後10年間が地球の未来を決めるとある。非常にこの言葉というのは、私は重いと思っている。であるから、お金がないということばかりでは なくて、選択と集中と言われているのであれば、こういうところにもお金を随分と使っていただきたいと思う。

学校給食と地産地消について

■星原さちよ■  次に、地産地消についてお伺いをしたいと思う。
 地産地消については、先ほどからいろんな委員が触れておられるが、私、ちょっと違う観点から言っていきたいと思う。この地産地消を学校給食に取り入れる こと、これが今、求められているのではないかと思う。ところが当初予算を見ると、地産地消推進費、19年度と比べると3分の1の963万円にしかなってい ない。そのうちの地産地消学校給食推進費、375万円しかない。聞くと、これはいわゆる道筋をつけるためのものであり、だからこんなに少なくなっていると 思うが、今、道筋をつけるということではなくて、もっと一歩も二歩も、仲田委員も言っておられたと思うが、踏み込んだ施策が必要であろうと思う。食育、そ れから地産地消、これが鳴り物入りで推奨されているにしては、非常に貧弱だと思う。
 私は、学校給食は地域活性化の起爆剤にもなり得る、そこまで思っている。それは学校給食で特に地場産物、これを使えば、その生産者の現金収入になる。現 金収入になれば弾みがついてまたつくろうとする。その収入がふえたら税収増にもなるという、こういういい循環が生まれてくるのではないかと考えているわけ である。それこそ費用対効果という点ではすばらしいと思う。
 県は21年度の事業で、品目数ベースの数値目標を立てて、地産地消による学校給食をさらに推進する、こういうことになっているわけであるが、問題は値段 である、輸入物の方がうんと安いので、なかなか地場産物を使わないという、こういうところがネックになっていると思う。農業活性化、地域活性化という視点 を見据えた施策、例えば地場産物を学校給食に使ったら、その一部を補助するとか、こういう思い切った事業というものをやるべきではないか。それによって例 えば学校給食をやっていない中学校のきっかけにもなるのではないかと思う。そうすれば、自給率が16%しかないからなかなかだと先ほど言われたが、それも 少しずつだが上がってくるのではないかと思う。これについてはいかがか。

■稲田楽農生活室長■ 学校給食における地産地消、児童生徒の食に関する正しい理解、あるいは食習慣や社会性を養う食育という観点、それと委員もおっ しゃったように、地域農林水産業の活性化という観点からも重要だと認識して、我々としては推進をしているところである。
 1点目に、来年度予算375万円、安いのではないかというお話であったが、地域での協議会の活動に対する支援という形で行っており、協議会で行うものと しては、一つには生産と供給の体制づくり、いわゆる需給の体制づくり、それから地元産食材を使ったメニューづくり、それと地域産物の栽培体験とか生産者と の交流ということで、1市町当たり25万円の委託料をお支払いしているところである。

■星原さちよ■ そういうのはちょっともうわかっている、聞いているので。

■稲田楽農生活室長■ 過去3年間、同額でモデル地区15市町でやってきたが、いずれの市町からもこれで不足するといったようなことは聞いていないの で、私どもとしては十分な金額かと考えている。
 それからもう1点、輸入食材の件であるが、確かに学校給食で食材を導入する場合、一括入札という形をとるので、その場合についてはどうしても値段の安い 輸入物がついつい多くなりがちであり、その輸入物と国産、あるいは県産との価格差、これを支援すべきではないかというようなご意見だろうと思うが、この件 については、国に対してそういう施策をつくってほしいという政策提案を行っているところである。

■星原さちよ■ もう一つあるが、時間がないので要望にとどめておく。
 この学校給食ともっと結びついてもいいのではないかというのは、これはもう本当にどなたも考えておられると思う。それがそうならないというのは、コー ディネーターの問題があるというのも聞いているが、このコーディネーターを農業普及員の方にやっていただいたらということを、私は考えている。
 先ほど芝野委員だったか、普及員の仕事の一つに販路拡大というか、販売というのがあるというのがあった。こういうところで農業普及員の方に働いていただ いたらと思っている。しかし、それが負担増になったらかわいそうであるので、行革でこれを少なくしていく、削減するということではなくて、もっと充実させ て、本当に農業というのはこれから基幹産業として大事な産業になっていくわけであるから、そういうところにこそ力を注いでいっていただきたい、農政環境部 の皆さんにも一生懸命頑張っていただきたいと思っている。ありがとうございました。

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