農業の活性化 営農組合への支援を
■星原さちよ■ 私は、農業の活性化を願って質問する。
今、農業の衰退と過疎化が止まらず、耕作放棄地も増える一方である。兵庫県の耕作放棄地は2割とも言われ、高齢化と担い手不足が拍車をかけている。そう
いう中で、さまざまな農業を守る取り組みが行われているわけだが、その一つが集落営農組織である。加古川にも法人化された営農組織が3ヵ所あり、担い手の
いない土地を借り上げて耕作をしているが、組織を立ち上げるときは公的支援があったのに、立ち上げてしまったら国や県からの支援がない。離農者の農地や農
作業を引き受け、地域農業を支えている大規模農家や集落営農の役割を重視し、大型機械などの導入、買いかえやその他必要な場合、投資コストを抑えるために
も、助成、それから用途に縛られずに何にでも使える融資制度が必要だと思うが、いかがか。
■農業経営課長(遠山知秀)■ 本県においては、小規模兼業農家が多い特性を踏まえ、これら農家が参加できる集落営農の組織化を推進している。その発展段階に応じて、リーダー育成、機械施設整備、経営改善指導等の総合的な支援を行っているところである。
委員ご指摘の機械施設導入への支援に関しては、集落営農の組織化や法人化などへのインセンティブとして、国庫及び県単独で、それぞれの事業目的をすみ分けた上で、各種補助事業が用意されており、事業実施後の機械施設の単純な更新については、政策誘導効果等の観点から、国・県ともに補助対象外としており、
補助対象とすることは困難とされているところである。
このため、補助事業による機械施設の導入に当たっては、従来から、将来の更新に備えた減価償却費の積み立てはもとより、コスト削減なりで収益性を向上さ
せ、将来的に自立した安定的な経営体に発展できるよう普及センターなり集落営農育成員等を通じて経営改善指導を行っているところである。
なお、補助事業の中には、次なる経営の発展を期した先進技術の導入であるとか、経営の多角化、高度化などを要件として、機械施設の高度化を図る場合に
あっては、補助対象となる場合もある。その他制度融資等でも多様なメニューが用意されているが、個々の集落営農組織の現状であるとか、将来の経営展望、す
なわち経営多角化なり高度化なり、次の一歩、何に取り組むのかという部分も含め、ケース・バイ・ケースで相談に応じながら、きめ細かな指導を引き続き行ってまいりたいというふうに考えている。
■農林経済課長(眞砂 裕)■ 融資制度についてである。
営農組合には、集落営農組織として任意のもの、法人化されているものがあり、法人化組織の中には認定農業者となっているものもある。
集落営農組織にあっては、「農業近代化資金」や県単独の「美しい村づくり資金」等が活用でき、認定農業者になっている法人では、「農業経営基盤強化資金」も活用できることとなっている。
具体には、農地の取得や従業員の給与を含む運転資金にあっては「美しい村づくり資金」、「農業経営基盤強化資金」等が活用できるほか、農業用施設・農産
物加工処理施設・農機具の取得、家畜の購入・育成、農地・農機具・施設等の賃借料の一括払い等に関しては「農業近代化資金」も活用できるなど、農業経営に
幅広く対応できるメニューとなっている。
これらを活用し、営農組合への資金面からの支援を行っているところであり、引き続き支援してまいりたい。
■星原さちよ■ 助成については、より高度化できる場合にというふうなことをおっしゃったが、今、維持をするのが精いっぱいのところもあるので、そういうところも考えていただきたいと思う。
それから、融資の点だが、ほとんどが用途が決まっている。そういう枠を取り外して、自由に使える、そういう融資制度というのも、これも必要ではないかというふうなことを再度申し添えておきたいと思う。
時間がないので、次へいく。
農業の活性化の一翼を担って、非常に重要な役割を果たしている農業普及センターの指導員についてお伺いする。
先ほど、池畑議員へのご答弁にもあったように、この指導員は、非常に高い技術を必要とする専門性が必要な仕事である。だれにでもできるようなものではない。それが、新行革プランによって縮小をされている。19年度と今年度を比較すると、これは所長も含めてだが、全県では226人から205人に減らされて
いる。そのうち、東播では明石が加古川にセンターが統合された上で、センター全体では16人から13人に減らされている。2割の減となっている。これで
は、やはりもともとの人数でも本当に足りないものであったわけであるから、十分な指導ができないのは明らかである。
ある営農組織の方に聞くと、以前だったら何かあったらすぐに来てくれたのに、今は日時の調整もなかなかできないと、こういうことであった。本当に農業の活性化を言うのなら、普及指導員をもっと増やすべきではないか。いかがか。
■農業改良課長(山附L治)■ 昨年4月に農業改良普及センターを再編統合し、野菜・果樹など専門担当者を複数配置することにより、専門指導力の強化、また農業者からの要請への機動的な対応を進めている。
また、普及センターが統合された地域については、農業者の利便性の確保と農協の営農指導員との連携活動を強化するため、農協管内に地域普及所を設置した。
統合から1年が経過する中で、実情に合わせた地域普及所の運営改善を行い、相談件数の少ない時期や時間帯においては、営農指導員と一緒に現地に出向くことにより、農産物直売所への安定供給体制の確立や、例えば北播磨地域では、黒大豆の産地、また丹波地域ではうすいえんどうの産地づくりというふうな、新しい産地づくりなどにも取り組んでいる。農協の営農指導員との二人三脚による取り組みもそうやって進めている。
今後とも農業者や地域のニーズに対応した普及活動に取り組むとともに、普及技術を円滑に伝承し、活動を迅速化するための研修などを計画的に実施し、若手
の職員の育成や普及指導員の資質向上に努め、より効率的で効果的な普及活動によって地域農業の振興に取り組んでまいりたいというふうに考えている。
■星原さちよ■ 残念ながら、私の時間が足りないので、反論をするという時間がなくなってしまった。とにかく、農業を活性化させるというふうな、
そういう視点という、それから基幹産業として、やはりしっかりととらえ直していかなければならない、そういうことをお考えいただきたいと思う。それを述べ、次に移りたいと思う。
神戸製鋼加古川製鉄所のばいじん問題
■星原さちよ■ 環境の問題について、神戸製鋼所加古川製鉄所のばいじんの問題だが、その測定でことし5月、7月、8月と続けて自主目標値の月3トンをオーバーした。こ
れまで、地域の住民の方たちは、長年ばいじんに悩まされてきた、そういう経験から、非常に敏感になっている。県は、神鋼に対して、報告書の提出を要請した
ということだが、その報告に対してどのような対応をされたのか。
■環境影響評価室長(神田泰宏)■ 神戸製鋼所加古川製鉄所からの降下ばいじんについては、県・市・事業者で締結する環境保全協定に基づき、事業者が自主的な管理目標値を設定し、平成20年4月から取り組んでいるところである。
この管理目標値について、委員ご指摘のように、本年5月、7月、8月と超過した。このことから、県は、直ちに環境保全協定に基づき立入調査を市と合同で行い、原因究明と粉じん対策についての報告書を求めるとともに、粉じん対策の実施状況を確認してきた。
さらに、たび重なる管理目標値超過のため、9月21日には、事業者に対し、環境保全協定第15条に基づく報告徴収を行っており、現在、提出のあった報告書の内容を精査し、より厳しい指導を行っているところである。
■星原さちよ■ 立入調査をしたということだが、やはり、県の対応としては、三度も起きているわけであるから、その調査の結果とか県の対応とか、そういうことを記者発表して、県民に知らせるべきではないかと思うが、その点いかがか。
■環境影響評価室長(神田泰宏)■ 今回の超過は、企業が定める自主的な管理目標値の超過ということであり、事業者がプレス発表、ホームページの掲載などを行っている。
■星原さちよ■ それは、新聞を見たら分かるが、やはり、県としての対応というふうなことで、もう一度申し上げておく。
今回のこの件で分かっていることは、南西の強風頻度、これが高かったことによる、そういうのが一つの原因ではないかと、こういうことも推測されるわけだが、そうであれば、この異常気象の中、来年も同じようなことが起こるということが予想される。
住民の方にお聞きすると、南風のときにネットの内側に上昇気流が発生する、そして、ばいじんがネットを越えると。特に風の強い日には、ばいじんの舞って
くる量が多いと。ネットにくっついたばいじんが風に飛ばされるんだと、こういうことを言っておられる。そうであれば、このネットが最初作られたときに、水
で洗い流すというそういう説明が地域の説明会の中でもあったと記憶しているが、定期的に水で洗い流すとか、放水をするとか、そういうやり方も対策の一つと
して考えられるのではないかと思う。こういう、本当にそうかどうかという検証も含めて、その対策を県から神鋼に対して要請すべきだと思うが、どうか。
■環境影響評価室長(神田泰宏)■ 防じんネットについては、降下ばいじんの主な対策の一つと位置づけられており、降雨によってネットから粉じんを洗い出す構造と現在なっている。
今後、防じんネットも含め、一連の粉じん対策が当初見込んでいた効果を発揮しているかどうか、これを検証するとともに、委員ご提案の対策も含め、抜本的な粉じん対策を事業者に対し強く指導していく。
■星原さちよ■ 最初に、そういう説明があったものだから、地域の人たち、それから加古川の市会議員でも、今、水で流しているとそう思い込んで信じている人もいる。だから、やはり今おっしゃったように、強ければそれも一つの対策として神鋼のほうへしっかりと言っていただきたいと、そういうふうに思
う。
それから、地域によっては本当に減ったとか、それから地域によってはこの粉じんの量が変わらんよとか、そういうふうなことで、その地域によって本当にいろいろある。そういうことを考えると、その地域地域での違いというか、それがあるんじゃないかと。私は、そういう点ではアンケートも実施して、実際にその
現状を知るということ、そういうことも必要ではないかと思うが、それは要望として申し上げておく。
最後に、公害機動隊のことをお聞きする。
最初に、環境保全協定と、名前が途中で変わったが、そのときに公害機動隊というこういう言葉が出てきたと思う。そのときに、えらい格好いい名前やなと感じたことを覚えているが、実際の状況をお聞きしたら、以前と余り変わらない。というのは、3年でそれぞれの企業を一巡するんだと、こういうふうなことで
あった。ということは、3年に1回しか立入検査をしないと、こういうことになるが、それでは本当に要を足さないんじゃないかなと、足りないんじゃないかと
思うが、どうか。
■環境影響評価室長(神田泰宏)■ 公害機動隊であるが、平成18年度に県内の複数の工場において、ばい煙測定データの扱いなどについての不適正事案が発生したことから、県では、平成19年4月に公害機動隊を新たに設置し、立入検査の強化を行っているところである。
公害機動隊は、県庁、県民局、関係市町が合同で実施する大気・水質・廃棄物などに係る総合的な立入検査であり、記録計チャート紙の点検、県への報告データの照合、環境管理体制の確認など、時間をかけて詳細な検査を実施しているところである。
その立入検査の対象事業所であるが、環境負荷の大きい事業所を中心としており、平成19年度から21年度の3年間で37事業所、延べ43件、すなわち一
部の事業所については、複数回の立入検査を実施し、事業所に対し細部にわたる数多くの改善対策をとらせるなど、大きな効果を上げてきたと考えている。
今後とも、通常の各環境法令に基づく立入検査と組み合わせ、公害機動隊による立入検査を効果的・効率的に行うことにより、企業の環境保全対策を一層徹底させていきたいと考えている。
■星原さちよ■ やはり少ないなと思う。現に、高砂にあるカネカで、今年7月と10月にそれぞれ希硫酸、それから塩酸の流出事故があった。配管の
弁を閉じたままであったり、配管の経年劣化によるものというふうな、どちらも初歩的なものであったわけである。立入調査を増やすことで、さらにそういう注
意を喚起する必要が本当はあるんではないか。このカネカには、一昨年、19年7月に1回立ち入りが行われている。その後、行われていない。こういうことも
あるので、やはりもっと数をふやすべきだということを申し添えて質問を終わる。ありがとうございました。 |