このサイトは旧サイトです。最新情報などはこちらをご覧ください。
メニューをスキップする TOPページへ 本会議へ 予算決算特別委員会へ ニュースへ 政策見解へ 県会報告へ リンクへ スケジュールへ
2008年予算特別委員会病院局 ねりき恵子
2008年3月7日

県立病院の「構造改革」と、国の「公立病院改革ガイドライン」について

■ねりき恵子■ 早速質問に入らせていただきたいと思う。
 今までも県立病院の経営状態についてご質問があったところであるが、県立病院は言うまでもなく地域医療に不可欠な存在である。経営難と言われているが、医師不足や診療報酬の引き下げ、交付金の削減などが大きな要因となっていると思うが、病院局としてはどのようにお考えか。

■井上経営課長■ 現在の県立病院の経営悪化の要因としては、一つには平成14年度からの3期連続にわたる診療報酬のマイナス改定、特に18年度は過去最大のマイナス改定であった。二つには、柏原病院や淡路病院などで生じている深刻な勤務医不足に起因する患者減少、三つには、18年の特殊要因であるが、尼崎病院、塚口病院、光風病院等における診療機能見直し工事期間中の減収などが主な悪化要因となっている。

■ねりき恵子■ 国は、医療給付費の削減を目的として医療費に対する責任を大きく後退させてきたが、今回の地方財政健全化法で、一般会計だけでなく病院局にも行革を求めている。同時に、総務省は公立病院改革ガイドラインで経営面からさらに効率化を押しつけて、二重の枠がはめられようとしている。
 先ほど来議論されているが、このガイドラインは経営の効率化、病院機能の再編・ネットワーク化、経営形態の見直し、この三つの視点で一体的に推進しようとしている。
 県は、行革の構造改革の中でさらに五つの視点で進めると言っているが、やはり効率性の追求を最優先にした公立病院の再編は、公立病院の縮小、廃止を推進していくものと言わざるを得ない。この経営の効率化では、3年間で経常収支の黒字化が必要だとしている。そのため、一般会計からの赤字補てんを制限することも盛り込まれているところである。
 結局、このガイドラインのねらい、ターゲットは、特に都市部の公立病院のリストラにあると指摘もされているところである。ガイドラインの公立病院の果たすべき役割の項目では、「特に民間医療機関が多く存在する都市部における公立病院においては、果たすべき役割に照らして現実に果たしている機能を厳しく精査した上で、必要性が乏しくなっているものについては廃止、統合を検討していくべきである」とある。
 このガイドラインに沿って方針を決めていくことは、県立病院を廃止、統合に導くことにつながるのではないか。先ほど来、このガイドラインに沿えば安定的かつ良質な医療を確保すると答弁をされているが、こういったことではやはり県立病院をなくしていくという方向につながると考えるが、どのように受けとめておられるか。

■船木病院局企画課長■ 総務省が示した公立病院ガイドラインは、近年の公立病院の厳しい経営状況や医師確保対策の必要性なども踏まえ、公民の適切な役割分担のもとで地域において必要な医療提供体制の確保を図るために、公立病院改革に努めることを求めており、県立病院としてもこれを踏まえ、県立病院改革プランを策定することとしている。
 県立病院では、これらの取り組みを通じ、県民から信頼され、安心できる県立病院を推進してまいりたいと考えている。

■ねりき恵子■ 経営悪化の要因である医師不足や診療報酬のマイナス改定、交付金の削減問題など、その原因、要因の改善のために国にも求めていくべきだと思うし、県立病院としても努力をしていくべきだというふうに考えている。
 このガイドラインを先行実施していると言われている東京都を見てみると、三つの小児病院などを一つに集約するとか、統廃合がどんどん進められていること、都立病院から公社病院へ、民間病院の流れがつくられている。
 こういったことを見ても、経営の効率化を達成するために民間委託であるとか職員給与の見直し、病床の削減、診療科、特に病床利用率70%以下の病院は抜本的に見直しをして、廃止、縮小が迫られているところである。やはり病院局としては、地域医療のとりでである県立病院を守る使命があると思う。
 この中で、やはり一番のガイドラインの目玉となっているのは、再編・ネットワーク化だというふうに思っている。この点で教訓的なのが、県内では但馬地域の医師不足問題と、公立病院の再編の問題である。
 皆さんもご存じのとおり、豊岡病院と八鹿病院を基幹病院として、ほかの病院を無床の診療科にしようとする計画であったが、それも県が指導して押しつけたものであったが、これには住民の反対運動、存続運動が起きて、結局豊岡病院への医師の集約化にとどまった。現在を見てみると、周辺部の地域医療が確実に後退している。再編・ネットワーク化によって医療の崩壊を加速させたという指摘もされているのが実態ではないか。
 また、阪神間には民間病院や公立病院が比較的多くあり、今も役割分担が議論されている。再編・ネットワーク化の一番の対象にされる可能性が高いので、心配している。特に都市部でも救急医療の問題が深刻化しているし、もともと公立病院は救急救命や精神医療など、民間ではできない不採算部門を担って、地域医療の中核を担ってきた。
 そういった意味で、県立病院を含めた公立病院がガイドラインに沿って再編・ネットワーク化していけば、兵庫県全体で但馬地域のような問題が起きかねないと思っている。この際、この再編・ネットワーク化、県立病院を縮小、廃止していく方向の再編・ネットワーク化の検討はやめるべきではないかと思うが、お答えいただきたい。

■船木病院局企画課長■ 総務省から示された公立病院改革ガイドラインでは、地域全体で必要な医療サービスが提供されるよう、公立病院の再編・ネットワーク化の視点に立って改革を推進することが必要とされている。
 また、県内の2次医療圏域には複数の公立病院や民間病院があり、医療機能が重複、競合している地域がある一方、医師不足による受け入れの悪化や診療機能の縮小の状況が見られる地域があることから、地域全体で適切な役割分担を行い、医療、サービスを提供することが必要であると考えている。
 そのため、県立病院においては県立病院改革プランを策定する中で、広域自治体立の病院として果たすべき役割を明確にした上で、再編・ネットワーク化の視点を踏まえ、他の公立病院との医療機能の重複、競合の解消に向けて見直しを行い、地域において必要な医療を効果的に確保していく必要があると考えている。

■ねりき恵子■ 役割分担だと言われるが、やはり採算性のみを追求したのでは、地域の医療は守れないというふうに思っている。ガイドラインはあくまでも指針、助言的性格のものであり、法的な縛りはないはずである。我が党の国会質問でも、その質問に対して基準を一律に適用しないという答弁をいただいている。
 このガイドラインに固執して、県民の命と健康を守るための県立病院を統廃合するようなことがあってはならないと思う。むしろ、国の医療給付費の抑制政策を改めることや、医師確保、看護師確保と経営支援を行って、県立病院を公立病院として存続、充実させることこそやらなければならないと思っている。
 こういった視点を持って、県立病院のあり方、経営対策を考えていくべきだと思う。そのための決意を強く求めたいと思うが、管理者としてどうお考えか、黒田病院事業管理者、お答えいただきたい。

■黒田病院事業管理者■ 医師不足を初めとする現下の厳しい状況はご承知のとおりだと思う。そのような中にあって、地域の医療資源をどう活用して医療展開していくのかが今求められていると思う。
 その一方で、やはりこの経営状況をどう克服するのか。ある意味では、二つの命題が下がっていると私自身も思っている。そういう中で、国から示された一つのガイドラインがあるわけである。我々はその示された中で、その限られた地域資源をどう有効的に活用して、地域医療を確保していくかということが、今求められていると思っている。そういった意味では、それぞれの役割分担も明確にして、その道筋を立てていかなければならないと考えている。

■ねりき恵子■ 国が示したガイドラインが、本当に県民の医療を守ることになるのかどうかという点で、やはり問題があると思うので、そういったことも今後指摘をしながら、病院の充実に私たちも意見を述べていきたいということを要望して、質問を終わる。ありがとうございました。

前のページへ戻る このページの上へ
Copyright(c)2001-2018 日本共産党兵庫県会議員団