1. 姫路市・外堀川の地盤沈下問題について
・ 原因の調査について
・ 住民の安心、安全のために
姫路市・外堀川の地盤沈下問題 原因の調査と住民の安全対策を
■杉本ちさと■ 早速質問に入りたいと思う。
兵庫県は安全・安心、「つくる」から「つかう」などと強調されているが、公共事業は住民の安心・安全が確保されてこそ信頼される事業となる。その点で、公共事業のあり方の例として、姫路市の野田川水系の外堀川について質問をする。
外堀川は、県が管理する河川である。その名のとおり、姫路城の外堀川であるが、姫路駅の300メートルほど南西に位置する場所にあり、昔は三左衛門堀と言われた船着き場で、飾磨の港から野田川を上って外堀川へと姫路の城下に荷物を運んだ船が行き交う交通の要衝の地として、別名芝原千軒とも呼ばれる大変にぎわった歴史のあるところである。その後、近年になって、湿地のような地形となり、余りきれいなところではなかった。そして、今から二十数年前に外堀川を大改修して川幅を狭くし、護岸の周囲を公園にする工事が行われた。ちょうど中播磨県民局が二、三十メートル東にある。
この外堀川にかかる三国橋とその南の一ノ切橋の約数百メートルの範囲で、川を挟んで、川に向かって地盤沈下による変状があちこちに見られ、西側も東側も通路や公園や橋の根元などに亀裂が走り、空洞になったり、すき間ができたり、大変なことになっている。中でも三国橋のすぐ東のたもとにある公園は、河川改修が完成した記念モニュメントが建てられ、元の副知事、戸谷元姫路市長の碑が立てられているが、その公園に立っただけで川方面に地盤が沈下しているのがわかる。地面が割れてあちこちに亀裂が走っており、そのすき間から雑草が生えている。三国橋の下の欄干は沈下して割れ、すき間だらけになっており、私が見たところ、これまでに少なくとも3回以上は補修をした跡がはっきりとわかる。モニュメントも川寄りに傾いており、だれの目にもわかる。以前は噴水も出ていたが、今では水も出ていない。また、道路から遊歩道に通じる階段も川方面にずれて沈下しているために、大きなすき間があいている。地域の人たちは、遊んでいる子供たちに「階段が危ないから気をつけよ」と声をかけている。一ノ切橋のたもとのコンクリート張りブロックの下が空洞になっている。土はどこかへ行ってしまっている。同じような状況が道路下にもある可能性があり、道路面が陥没するかもしれない状況で、もしもそのようなことが起きれば、人身事故につながるおそれもある。川の西側は県の管理用通路があるが、通路も公園も亀裂が走り、川の方向へずれて沈下した変状が各所に見られる。公園の花壇の土はどこかへ流れてしまい、少なくなっているのがわかる。
ここの地点のことは、昨年建設常任委員会で質問したが、原因がわからないと言って、それ以上の調査もしようとしていない。私は、当局や知事にも直接現場を見てほしいと繰り返し言ってきたが、どこまで確認しているのか、お聞きする。
■森脇河川整備課長■ 外堀川の三国橋から一ノ切橋、約330メートルほどあるが、委員先ほどおっしゃっていただいたように、左右岸、特にのり面に設置している公園整備でつくった施設等に部分的に局所的な不等沈下等が見受けられたのは承知している。河川の一ノ切橋の部分で大きな張りブロックの亀裂がある。これについては、橋の部分の吸い出しか何かでの影響かと思っているが、あとのモニュメント云々については、のり面についた園路施設の部分について、不等沈下等が局部的に発生しているのは承知している。
■杉本ちさと■ 県としてこれまで調査を行っていると思うが、どのような調査を行ってきたのか。
■森脇河川整備課長■ 外堀川の左岸側、西側の部分で管理用通路等に一部フリーク等が発生したということで、平成17年からその部分の現況の測量調査をするとともに、あわせて、18年度に当該部分においてボーリング調査等で地質を確認するのにあわせて、レーダー測量で空隙等の調査をやっている。並行して、管理用通路部分の水準測量も17、19という形で現況を確認している。
■杉本ちさと■ 県がこれまで行ってきた調査の結果、かいつまんで、できるだけ簡潔に、どのような結果になっているか報告をしていただきたい。
■森脇河川整備課長■ 土質調査等を含めて調査検討して、まず現地の方、河川の方は掘り込み河道になっており、ブロック護岸があって、その上ののり面、3メートルほど上に公園施設等が整備されている状況である。その中で、まず河川ブロック等の構造について検討し、これは現地調査も含めて、河川のブロック等には沈下、はらみ等はないということで、河川全体の安全性は確保されている。あと河川ののり面部分についても、滑り等の安定等を確認した時点では、まず問題ないというふうに結果を得ている。
あと管理用道路の部分の不等沈下、フリークというか、その部分については、河川工事等施工されてから二十数年経過していることもあり、明らかにこれが原因というところまでは判明には至っていない。ただ、フリーク等の部分については、おおむねおさまっているという結果を得ている。
■杉本ちさと■ 余りはっきりとした調査結果は、今、回答がなかったと思うが、昨年の建設常任委員会で質問をしたときに、県当局の答弁としては、土質調査の結果、最大20センチの沈下があったということを認めておられる。県の調査でも最大20センチ、本当はもっとあるんじゃないかと私たちは思っているが、町中の多くの人たちが行き来するあの場所で、20センチというのは大変な地盤沈下だと思うが、県はこの結果についてどのように考えているのか。
■森脇河川整備課長■ 昨年の委員会のときに、20センチというのは、先ほど申した管理用通路部分の沈下等を測量して、二十数年前に実施した箇所で、そのときの図面等と比較するしかなかったが、そういう比較の中で、20センチ近く―15センチ程度と申し上げたような気がするが、程度の沈下等が発生しているのは事実である。管理用通路部分ということで、当然利用者もあって、通路部分なので、当然利用者等に不便というか、良好な利用ができないようであれば補修等をしていくという考えである。
■杉本ちさと■ 平成18年のボーリング調査は、外堀川の西側の県の河川管理用通路の3ヵ所で行われた。先ほどの答弁のとおりであるが、河川の地盤沈下の変状は、先ほどお話ししたように、三国橋から一ノ切橋の周囲全体に見られる。この広い範囲から比べれば、調査地点はほとんど狭い30メートル弱の範囲にしかなっていない。そこでも沈下が認められているが、調査そのものが一部であると思う。川を挟んで両岸のすべての構造物が川側に傾いているような状況である。川を横断する側線での地質調査が必要だと思う。先ほどのモニュメントもこの調査地点の対岸の300メートルほど上流地点にあるが、県は一部だけの調査ではなく、より詳細な地質調査、対岸も含めた全面的な調査をすべきだと考えるがどうか。
■森脇河川整備課長■ 先ほどもおっしゃられたが、左右岸に一部、河川ののり面にある園路等の施設について不等沈下が見られるのは事実である。ただ、それは連続してあるような状況ではなく、局所的に発生したような状況である。あと河川護岸ブロックそのものについては、現地の調査でも、はらみ出しとか沈下等の変状は確認されていないということと、従前の調査でも、のり面等の安定性も確認されているということで、そういう局所的な不等沈下が見られるというのは事実であるが、場所は非常に限定されたところということで、河川全体としては安全性が確保されているものと考えており、その原因についても建設後27年経過していることから困難なものと考えており、今現時点ではそういう調査は予定していない。
■杉本ちさと■ 現時点では調査はしないということであるが、これはぜひとも撤回をしていただきたいと思う。
平成18年3月に調査が行われているが、ボーリング調査では、盛り土に瓦れきやコンクリート、木片、ゴム等が混入とあり、盛り土材としては不適切な材料であるとの記述もある。工事のあり方にも疑問が投げかけられている。また、瓦れきなどによってすき間が生じている、一部空洞化している可能性もあると指摘されている。住民は空洞化の規模によれば当然陥没することを心配するが、昨年の常任委員会の質疑では、「大きな空洞はない」との答弁であった。空洞調査はどの地点で行ったのか。
■森脇河川整備課長■ まず、空洞調査については、先ほど申した西側、右岸側の部分の管理用通路の部分の調査の折に、管理用通路の部分の下の調査をするということで実施している。委員がおっしゃった盛り土材という話があったが、管理用通路の部分も瓦れき等が入った材料、この盛り土部分については、河川工事をやられる以前からそこにあった部分で、工事等で盛ったものではなく、54、55年に工事をやっているが、その以前からの層という形で、工事自体もその部分を触ったような形で工事をやっていないので、従前の形でそういう層があった。それについて、管理用通路部分で空洞調査をやったという状況である。
■杉本ちさと■ 従前からあった土だとおっしゃるが、調査報告書には、盛り土の材料がきちっと記されている。ボーリングした内容が記されているが、それは調査報告書とは違う認識で県は言われているが、この調査報告書が間違いだったということをおっしゃるのか。
■森脇河川整備課長■ 調査報告書の内容をそのまま申し上げたつもりであるが、地質調査で盛り土という表現をされているのは、人的な何らかの操作等がある土と、通常の自然のままの地盤等ではないという表現で盛り土という表現を使っており、河川工事をする従前からそういう何らかの人的なものがあったという表現で盛り土という形で、調査報告書の記載内容もそういう形になっていると思う。
■杉本ちさと■ ちょっとそこの点は、納得しかねるが、次に、もともと湿地のようであった昔の河川を改修して、川床を掘り下げた関係で地下水位が下がり、その影響で地盤沈下が起こったことも原因として検討されている。また、工事の盛り土材の不適切による変形、空洞化したところへの降雨浸透による土砂の吸い出し等々、複合的な要因の可能性が検討されている。さらに、調査地点が、管理用通路のところだけであるが、それ以外での変形や地盤沈下について、上流側、下流側、対岸等から変状が生じているという報告がないことから、実際に地下水位の低下が地盤沈下を招いたか否かは不明確であると記述している。
私は、先ほどから上流側も下流側も対岸も変形がいっぱいあると言ったが、この報告書は、県が行った18年3月の調査は、本当に一部だけの調査であるために、明らかに事実とは異なる調査結果になっていると思う。外堀川の周辺で広範囲にわたって地盤沈下や変状が見られるのは事実であり、県が行ったさきの調査報告書は、狭い一部だけを調査したものであるため、現実とは違うものになっているわけだが、県はこの調査が不十分な調査だったというふうに思われないか。
■森脇河川整備課長■ 委員おっしゃる調査の報告書については、先ほど申したように、右岸側の一部の管理用道路部分の形で調査を行ったものであると同時に、地下水位のお話があったが、工事によって一部地下水位が低下したことによって、圧密沈下等が進んで沈下に及んだのではないかという記述があったかと思うが、掘り込み河川の地下水であるので、局部的にその部分だけという形でなしに、川全体で同じような水位を保っているような状況になっており、地下水の低下で沈下が生ずるのであれば、上下流という表現があったと思うが、当然同じような形でそういう症状が現実的に起きるだろうという話と、もう一つ、沈下量そのものが、計算では全体で7センチぐらいの話で、実際の沈下が先ほど言ったように15センチぐらいあるという状況から、地下水の低下が原因であることは不明確という表現である。現地の状況と照らし合わせても、その調査報告書そのものについては、正常なものと考えている。
■杉本ちさと■ 上流側、下流側、対岸の変状が見られないために、この地下水の低下が地盤地下を招いたということは不明確であると記述している。この前提になる上流側、下流側、対岸の変形が見られないと、この調査では、その一部だけのために、それが前提となった記述がされている。明らかに現実とは違う、100%違う認識のもとでやられているということを改めて指摘したいと思う。
この工事は、二十数年も前の公共工事であるが、地域の住民の安全に関する問題であり、軽視することはできない。あちらこちらに変形や地盤沈下があるのに、原因が不明、わからないでは済まされない問題だと思う。より詳細な調査が必要である。これまで当地では、道路や市の公園部の改修が何度もされてきたが、何年かしたらまたひび割れや沈下でがたがたになっていると地元の住民もこれまでのことを話している。地盤沈下の原因が何か、徹底して突き詰める調査、ボーリング調査、地質調査などをしてほしいと川の東側の住民も含めて要望している。住民は不安に思っている。ここは多くの市民が通行する場所でもある。表面だけ補修してきれいにするという対応では根本的な解決にはならない。
ことしの5月5日、大阪府阪南市の住宅街の市道が幅4メートル、長さ6メートルにわたって陥没した。穴の深さは3メートル。けが人はなかったが、沿道の民家の門扉が壊れた。同じ場所で2月15日と19日に2回も陥没事故があった。原因は何かと調査が行われているが、市は水道管や雨水管を調べたが、異常はなかったとしており、1回目、2回目の陥没後に埋め戻した土砂の行方もわからないと首をかしげている。
注目されているのは、現場の過去のことである。現場は丘陵地の谷間で池があったところを、70年代の造成工事で池が埋め立てられ、宅地にされたところだということである。谷間だった場所は、埋め立てた後も地下水が集まりやすい。さらに、盛り土に産業廃棄物のかたい瓦れきなどが入っていると、柔らかい土の中にあるわけで、すき間から土が徐々に流れ落ちて、長い時間を経て、大陥没につながったのではないかという専門家の意見も出されている。
瓦れきに地下水の影響、30年前の工事に起因する可能性など、今回の外堀川の状況とも似た点があるのではないか。過去のかなり昔の工事でも、現在にも影響するということを認識しなければならないと思う。
県として住民の安全・安心のために、住民の不安を解消するためにしっかりとした調査をして、原因を解明する責任があると思うが、改めて外堀川を横断する側線での地質調査を初め、全面的な調査をすべきと考えるがどうか。
■森脇河川整備課長■ これまでの調査とあわせて、現況を確認して、河川そのものの構造物、ブロック等の構造物等には変状等も確認できない。この前の調査から、のり面等の安定も確認できている。遊歩道等の部分に不等沈下等が見られるが、それは非常に限られた部分の局所的な部分であるということで、川全体の安全性には問題がないと考える。
なお、その辺の沈下についても建設後二十数年たって、進行等はしないものと考えている。そういう観点から、現地調査のため、二十数年前の工事ということで、原因究明等も含めて非常に困難なものがあるので、今のところ調査等は考えていない。
ただ、公園の施設等のすき間とか管理用通路のアスファルト部分のクラック等、局所的な変状については、これを管理している姫路市とも協議して、利用者の安全の確保を図るために必要な補修はしていきたいと考えている。
■杉本ちさと■ 最後になるが、誤った現実の認識がそのまま今も答弁の中にあらわれている。ぜひ県土整備部長初め、森脇河川課長も、現地をぜひ、私が案内するので、局所的な部分ではなく、たくさんの部分が沈下をして変状がある。あっちもこっちも、あっちもこっちもと、本当に足も手も10本の指で数えても数え切れないほどたくさんある。あの現状を見たら、やっぱり何か原因があるだろうと考えざるを得ない状況になると思うので、ぜひとも現地を見てほしいと思う。
そして、先ほど紹介したずっと以前の工事でも陥没した事実があるので、ぜひともそのあたりの対策も考えた上で、対岸でのボーリング調査を必ずやっていただくように、改めて主張して、私の質問とする。
兵庫県議会のサイトからこの発言の録画をご覧いただけます。 |