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2008年(平成20年)度決算特別委員会農政環境部 ねりき恵子
2009年10月19日

被災地の倒木等処理対策について

■ねりき恵子■ 初めに、風倒木等の処理についてお伺いする。
 8月9日に発生した台風9号は、佐用町や宍粟市、朝来市など、県下に甚大な被害をもたらした。被害拡大の原因の一つに、風倒木等が橋げたにひっかかり、住宅や田畑などへ水が押し寄せたことが指摘されている。
 5年前の2004年、台風23号水害のとき、地元の方も上流の未処理の風倒木が大雨で流されて、下流で被害を起こすのではないかと心配されていたし、私たち日本共産党県議団も、風倒木処理について、福岡県や京都府のように、風倒木を山にとめ置けば、大雨で流れ出し、大洪水を引き起こすと、その危険性を指摘し、被害地域の風倒木を搬出処理するよう、繰り返し要求してきた。
 今回、その危険性を指摘したとおりになったのではないかと思っている。やはり搬出の処理が不十分だったのではないか。5年前、県がしっかりと財政措置をして、被災地の風倒木がもっときちんと搬出されていれば、こんなに被害が拡大することはなかったのではないかと考えるが、お考えをお答えいただきたい。

■林務課長(菅原 健)■ 5年前の風倒木処理については、県下2800ヵ所ほどで実施をして、被害地を危険度に応じて、人家、道路、河川等に近接している地域や、降雨等によって二次災害のおそれのある谷筋等の被害地などについて、緊急を要する必要がある箇所の作業を行った。A区分、B区分、C区分というような仕分けをして、A区分についてはすべて風倒木を搬出した。これが287ヵ所ある。また、B区分については、林道や作業道から200メートル未満の被害地であって、これが1595ヵ所ある。また、C区分については、200メートルより遠いところであり、957ヵ所ある。
 このB区分、C区分については、搬出可能なものはすべて搬出をしたが、被害跡地通りの造林木の生育に差し支えのないところ、あるいは現地の状況で危険度のないところについては、現地で風倒木を三、四メートルに玉切りをして、安全な状態で林地の、そういうような処理を行ったところである。
 また、今回の9号台風等の被害であるが、風倒木の処理がぐあい悪くて流れ出たというよりも、特に今回の台風被害の特徴である鉄砲水によって、ふだん水の流れてないようなところに水が流れて土石流が生じた。それとともに立ち木等が流れ出た、こういうものが8割程度あるというふうに調査をした結果、把握をしている。そのほか、間伐材とか風倒木については、あわせて2割程度というふうに考えている。

■ねりき恵子■ 知事も本会議でそのように答弁されたわけだが、実際の現地の感覚は違う。それと、やはり風倒木の搬出も不十分だったということを、いま一度認識をするべきではないかというふうに思っている。
 県当局も、前回のこの風倒木処理について、山道からストックヤードまで、風倒木搬出に県の補助金が出ているが、1ヘクタール当たりの単価を超えるものは林内にとめ置いたという説明を聞いている。さらに2006年3月15日の朝来市議会の中で、市会議員から、「風倒木処理費が約半減しているがなぜか」という質問に対して、当時の市の産業振興部長が、「風倒木処理対策については、全額搬出ということで県の方から指示があったが、ストックヤードがない、これは満杯になったというようなことから、県の指導も変わって、林内処理という方針になり、当初の計画から約50%の減額となった」旨の答弁をされている。
 結局、被害の出た山林の当初の風倒木処理計画の半分程度しか搬出されなかったのではないかというふうに思うわけである。それが今回の被害を大きくしたのではないか。住民は、今度こそきちんと処理をしてもらわないと、また豪雨で流れ出して、安心して住めないと不安を隠せない。知事も本会議で先ほどご答弁あったように、「生木が8割、間伐材と風倒木で2割」と答弁されているが、やはり森林組合など、現地の住民の方の感覚とは違うということである。
 我が党が農水省へ被害対策の要望へ行ったところ、知事のこの発言、生木が8割だと言っているのに、風倒木処理のための国の支援が本当に必要か疑問であるかのような回答をされた。風倒木処理が不十分であったことを認めないということが問題なのではないか。
 今回の豪雨被害についても、県も国に風倒木の搬出も含め、処理への支援を求めているとのことであるが、改めて風倒木による被害が大きかったということをお認めになり、山奥も含めて現状を把握して、搬出すべきものは処理できるよう、国に要求するとともに、県独自でも予算をつけて処理を徹底し、住民の不安にこたえるべきであると思うがいかがか。

■林務課長(菅原 健)■ かつて今回のような大量の流木が発生したことはなくて、今後の対策を検討するための基礎資料として、流木被害が大きかった佐用町の庵川流域などの2流域及び朝来市の神子畑川流域について、9月1日から3日まで現地の調査を行ったところである。
 調査方法については、調査流域内で流木が発生した崩壊地のすべてについて、流出せずに残った森林の状況から流木となったと推定される立ち木、間伐木、風倒木の本数、直径、長さ等を計測して、その体積を求めたものである。その結果、生木である立ち木が8割、間伐木、風倒木が約1割ずつ、調査の結果、そういう結果が出たところである。
 また、朝来市の話があったが、5年前の風倒木の処理については、ストックヤードを設けて搬出をするということについて、16年から19年までの4年間で、あわせて8万3000立方メートルの風倒木を搬出した。その中で、予算がないから搬出をしなかったという事実は私どもは聞いていない。搬出すべきものはすべて搬出したというふうに認識をしているところである。
 また、国については、この8月から9月、2回にわたって緊急要望として、今回の台風被害が、これまでにない形の被害が生じた、渓流の崩壊、あるいはその川岸の崩壊による森林の林がそのまま流れ出たというようなことであるので、国に対しても助成措置を求めさせていただいた。

■ねりき恵子■ いずれにしても、地元の不安の声にこたえて処理を徹底するように求めて、次の質問に移る。
 次に、災害に強い森づくり事業についてである。
 針葉樹林と広葉樹林の混交林整備についても、これまで我が党は46年生以上の杉林で1ヵ所30ヘクタールという場所は県下でもそんなに多くないので、災害に強いというのであれば、間伐にもっと力を入れるべきであると求めてきたところである。
 今回の被災地調査に行っても、現地の関係者は、「間伐をもっと進めることが必要だ」と口々に言われていた。そこで、改めて間伐などの山の手入れに補助金をつけるなど、間伐事業に重点を置くべきではないかと考える。先ほどの他の委員のご質問に対して、「間伐事業を進めている」ということであるが、やはり現地の方々は、「もっと間伐事業を積極的に進めるべきではないか」というふうに言っているので、改めてお聞きする。そして、森林保全は、災害や環境面からも大きな課題であり、対症的な対策ではだめで、林業振興を両輪に、抜本的に取り組まねば解決できないと考える。県の公共事業の木造・木質化の目標を大幅に引き上げるなど、県産材の利活用を大規模に拡大すべきである。あわせてお答えいただきたい。

■林務課長(菅原 健)■ 災害に強い森づくりの事業実施地においては、今回の被害はごくわずかであったというところから、森林の適正管理の重要性をますます実感したところである。
 県では、平成14年から新ひょうごの森づくりに取り組み、森林管理100%作戦ということで、間伐を10年間で8万7500ヘクタール、対象森林はすべて間伐をやっていこうということで、国庫補助を活用して、補助については県と市町で折半をして、公的に間伐をするということで進めさせていただいている。14年からであるので、8年目になっており、ほぼ計画どおり進めているところであるが、今回の災害の被害を踏まえて、さらに進度を高めていき、間伐を徹底的にやっていきたいというふうに考えているところである。
 また、林業振興を行って、その林業生産を回していく、伐採をすれば植林をして、またそれを保育をして、また伐期になれば伐採をする、こういう林業生産サイクルを円滑に潤滑させていくということは非常に重要だというふうに認識しているので、川上の問題、川中の加工流通の問題もあるし、川下の需要拡大の問題もある。これを総合的に取り組んで、いわば資源循環型林業の確立を構築していきたいというふうに考えている。

農地・農業用施設への復旧支援強化を

■ねりき恵子■ 今、ご答弁いただいたようなことを進めるに当たっても、技術者の増員というのも必要だと思うので、そういった技術養成なども含めて取り組んでいただきたいということを求めて、次の質問に移る。
 今回の9号台風で、河川に沿って農地や農業施設への被害も多く出ている。佐用町や朝来市などで流域で農業に携わっておられる方々は、高齢で小規模でも自力での復旧はなかなかできないのが現状である。災害復旧の事業費が40万円以上であれば、県の支援があるところであるが、公的に復旧できそうなところでも、来年の田植えに間に合うだろうかと心配している。復旧期間は3年間であっても、農家の気持ちを酌み取って、田植えが来年にはできるように、ぜひ復旧を急いでいただきたいというふうに考えている。
 また、事業費が13万円以上40万円以下の小災害は、市町が支援をすることとなっているわけであるが、財源は起債であることから、市町の財政負担も大きく、大変である。さらに13万円以下の被災農地には何の支援もない。小規模な災害でも、高齢で自力復旧が困難であることから、個人負担のないよう、ぜひ県が公的な支援を行って復旧していただきたいと考えるがいかがか。

■農村環境室長(大田惠司)■ 今回の災害については、西播磨から但馬南部の広範囲にわたり、特に山間部の河川沿いなどを中心に、農地・農業用施設に甚大な被害が発生した。被災地域の中には、生産条件不利地が含まれ、高齢化も進んでおり、早期に復旧する必要があると考えているところである。
 被災農地の復旧については、基本的には来春の稲作期までに完了することをめざすということ、ただし河川災害復旧との関連のある箇所については、河川災害の方との工程調整を十分に行って、早期復旧に努めていきたいというふうに考えている。
 なお、小規模な被災箇所が多いことから、単独では国庫補助の対象とならない小災害についても、同じ施設の被災箇所が150メートル以内の間隔で連続している場合は1ヵ所とみなす規定があることや、市町が行う13万円以上の復旧事業費にも起債が認められること、これについても150メートル以内の規定が適用できることがある。さらに、激甚災害指定によって負担が軽減されるということを市町に十分説明して、谷上流部も含めて復旧箇所の漏れがないように、査定設計書の作成などの指導・支援を行っているところである。
 今後とも市町と連携して、被災農地の早期復旧を図るとともに、復旧農地を活用した地域農業再生プランの策定や農業用機械の導入などを支援し、活力ある農業・農村として再生されるよう努めていく。

■ねりき恵子■ いずれにしても、農家が希望を持って農業再生に取り組まれるように、災害復旧の充実を求めて質問を終わる。

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