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2008年(平成20年)度決算特別委員会財政状況 ねりき恵子
2009年10月13日

県民サービス削る「新行革」

■ねりき恵子■ それでは、早速質問に入らせていただきたいというふうに思う。
 県財政の健全化についてお伺いするが、県の財政が大変厳しいということで、新行革プランが進められているところである。けれども、この新行革プランの中身は、今までも私たちが指摘をしてきたとおり、福祉医療サービスの切り捨てということで、多くの県民の皆さんが改善をしてほしいと訴えている。そういったことも踏まえて、改めて県の財政運営の見直しについて質問をしていきたいというふうに思う。
 こういった観点から、阪神・淡路大震災の創造的復興事業について、改めて今の時点でお伺いしたいと思う。阪神・淡路大震災から、来年の1月17日で15周年を迎える。被災者の生活再建は、多くの方々がいまだに再建途上である、こういうことが先日の新聞にも報道されているが、大変な状況も残されている。
 その一方で、約10兆円の震災被害に対して、創造的復興事業と称して、16兆3000億円が投じられた。そのうち県の事業費は2兆3000億円であるが、多額の震災関連事業の借金返しは、今後15年近く続くわけである。改めて今の時期に、これまでの震災事業を振り返り、この15年を検証する上で、創造的復興事業は一体どういうものであったのか、今後の県財政運営に生かしていく必要があると考える。
 そこで、創造的復興事業について、私たちは、今までも多核ネットワーク型都市圏の形成、これに震災以前からあった県の総合計画である、2001年総合計画事業を取り入れた大型プロジェクト事業であること、関西国際空港2期の8326億円や、神戸空港建設2494億円、本州四国連絡道路や山陽自動車道路など、高速道路事業費2467億円なども含まれており、震災復興事業とは言えない大型公共事業ではないかとただしてきたところである。このことは、他府県からも震災太りではないかという声もあった。震災関連事業として、県が2兆3000億円を投じたが、そのために発行した起債総額は復興基金貸付金債の6000億円を除いても、1兆3000億円ある。
 そこで、震災関連事業として行った2兆3000億円の県事業は、本当に震災事業と言えるのか、改めて検証すべきだと考えている。特にそのうち、多核ネットワーク都市圏の形成に1兆711億円投じているところであるが、その内訳は新都市の整備に2565億円、六甲グリーンベルト事業として、土地買収事業369億円、淡路交流の翼港に39億円、これは関連事業も含めると76億円にもなる。先ほど指摘をした関西国際空港や神戸空港に県事業費から79億円も支出されている。また、世界に開かれた文化豊かな社会づくりに1093億円が使われている。その中には、神戸市の西神地区新都市住宅宅地供給に661億円、芸術文化センターと県立美術館(芸術の館)に520億円が使われた。
 これらのほかに県の事業費から大阪湾横断鉄道構想、海上コンテナ輸送の多重化に対応した港湾整備に87億円、緑化基金拠出金29億円などがある。これらが本当に震災復興事業とは言えず、一般公共事業ではないかと考えるが、改めてこの点についてお伺いする。

■財政課長(西上三鶴)■ 震災からの復興事業のことであるが、ちょうど大震災は、時代が成長から成熟へと転換する、いわゆる終わりと始まりの結節点に発生をしたことから、復興に当たっても、単に震災以前の状態に回復するだけではなく、21世紀の成熟社会にふさわしい創造的復興をめざすとしたところである。
 このため、フェニックス計画を策定して、総額で16兆3000億円、本県の負担額は、ご紹介もあったように2兆3000億円に上る復興事業に取り組んできた。
 その成果については、現時点において、県の中でのインフラの整備はもとより、防災であるとかまちづくり、これらは再開発事業であるとか土地区画整理事業、また阪神における芸術文化センターの盛況など、そういうような姿で出ているのではないかと考えている。
 本県としては、このような復興事業を短期間で、かつ多額の事業費に上るので、どうしても1兆3000億円の県債を発行することで確保するという形をとった。したがって、当然、将来の公債費負担がかかってくる、このために国に対しては、この財政支援の拡充というのも求めてきたが、一方でみずからの努力もした。これは行政経費の見直し等の行財政改革、または基金の活用等を図ってきたところである。
 現時点において、20年度決算で見ても、震災の復興関連の公債費が616億円あること、また県債残高は依然として6割に当たる8037億円あるということ、一方、県債管理基金の積み立て不足が約2995億円もあるということを考えると、本県財政にこの震災復興は大きな影響をいまだに残しているというふうに認識している。

■ねりき恵子■ 今、ご説明あった、本当に県財政に大きな影響を及ぼしているという点では一致できると思うが、私たちは、それが震災復興事業ではなかったというふうに認識をしている。
 その一つは、やはり災害復旧事業は起債に対して95%の交付税措置が得られるけれども、今、私が説明したような港湾建設であるとか道路整備など、こういった多くのものが一般公共事業としての起債の対応だったという、こういうことを見ると、やはり創造的復興といいながら、大型公共事業を進めてきたことが県財政に大きな負担を強いているのではないかということを改めて指摘をさせていただきたいというふうに思う。
 やはり、そういった意味で、県の震災事業は復旧事業が基本と主張してきたところであるが、今言った金額の災害復旧事業への県の支出は826億円で、わずか2兆3000億円の3.6%にしかならないという点では、繰り返しになるが、やはり県の公共事業のあり方が大きく問われているというふうに思っている。
 そういった点で、最初に言ったように、来年1月17日が震災から15周年を迎えるわけであるから、改めてこの震災復興事業のあり方を考え直して、今後の財政運営の参考にしていくというか、いま一度検討していくという必要があると思う。いま一度、総括を改めてすべきだというふうに思うが、その点についていかがか。

■財政課長(西上三鶴)■ このたびの風水害に当たっても、単に復旧ではなくて、やはり予防対策としての改良事業、いわゆる公共の関連事業という形で、再度の災害を起こさないという取り組みが必要であるというふうに我々認識している。阪神・淡路大震災においても、単に復旧するだけではなくて、やはり今後の予防措置を考えたときに、一定の改良事業というのは、改良というのか、復興していくというのは事業としては必要だと、その事業をどういう形で決めるかというのがフェニックス計画であったと私どもは考えている。
 現在の兵庫県の復興状況については、私どもはそういうようなフェニックス計画をやり遂げたからあるというふうに考えている。これについては一定の財政負担をかけても、当時はやるべきだということの中で取り組んできたと考えているところである。

■ねりき恵子■ この点については、今までもずっと指摘をしてきたが、やはり公共事業のあり方が今、問われているときに、やはり本当に県内の経済がもとに戻るという意味では、これまでも指摘しているように、外需ではなく、内需を中心に進めていくということが必要だというふうに考えるので、いま一度、やはり見直す必要があるという点を指摘しておきたいと思う。
 こういった公共事業のあり方の点から、もう一つ問題点を指摘させていただきたいと思う。それは、震災前の1992年度から震災復興途上にある2002年度までに行われた、いわゆる経済対策である。アメリカの圧力と不況対策として、公共事業の推進策がとられた。国の対応に呼応して、県も公共事業をどんどん推進してきた。緊急経済対策として、この11年間で13回の補正予算が組まれ、県の経済対策事業費の合計は約1兆円を超えている。この公共事業をするために、やはり起債を多額に発行して、この点も県の公共事業を異常に膨らませて、多額の起債が発行され、それが大きな借金財政の大もとになっている要因ではないかと考えるわけであるが、この点についてのご所見をお伺いする。

■財政課長(西上三鶴)■ 経済対策は、単に兵庫県だけの問題ではなくて、日本全国の取り組みがなければ達成されないものだと考えている。したがって、国がそのときに経済対策をやるときには、補正予算債であるとか、このたびであったら新たな臨時交付金などを創設して、できるだけ地方に負担をかけないようにされているところだとは思う。当然、一時的な臨時的な支出であるので、実行するに当たっては起債に頼らざるを得ないということは確かであるが、私どもとしては、それに基づいて経済が現実的に回復していく、またそういう効果も当然踏まえてやっているし、地方の負担については、国に対しては適切に財源措置をするよう求めるなど、県の財政に与える影響を極力抑えるような形で取り組んでいるところである。

■ねりき恵子■ いずれにしても、やはり公共事業、いわゆる大型公共事業を経済対策だといって震災復興対策、こういうことで進めてきて、その借金が膨らんで、県の財政を硬直化して、それを改善をしていくために新行革プランがつくられているというふうに思う。そういった点では、新行革プランの中身をいま一度見直す必要があるのではないかというふうに思うわけであるが、次に、角度を変えて、県の先行取得用地についてお伺いする。
 この県の先行取得用地は、その多くがいわゆる塩漬け土地として遊休地になっている。やっと先行取得用地の実態を明らかにしたところであるが、このたび明らかになった先行取得用地は、企業庁事業用地を除いて2941ヘクタール、金額にして平成19年度末の現在高が1977億円になっているところである。結果的には未利用のまま、県民の貴重な税金が投入されているということになる。なぜこのような多くの用地を取得してきたのか、県の説明は先行用地取得の理由を乱開発抑制等に寄与してきたと言われるが、これらの多くの用地の取得目的は明確ではない。であるから、マスコミからも安易な開発計画をもとに用地取得を続けてきたツケに、今直面していると指摘もされている。
 県が取得依頼した塩漬け土地は、もともと利用計画があいまいであったり、バブルがはじけた企業の不良債権となった土地など、不明朗な取得依頼が実態だったのではないかと考えるところであるが、その点についていかがか。

■地域担当課長(藤原 一)■ 県の先行取得用地についてであるが、本県では、活発な高速道路網の整備と相まって、その周辺地域ではゴルフ場開発など、全国まれに見る強い開発圧力にさらされ、良好な地域環境保全のために乱開発を防止する緊急の対策が求められていた。
 このため、県土の骨格をなす交通基盤の整備にあわせ、将来の計画的な地域整備に備えるとともに、高速道路等の整備周辺地域の乱開発や無秩序なゴルフ場開発等の抑制を図るために、中長期的な視点に立って、用地の先行取得を行ってきたものである。

■ねりき恵子■ 今のご答弁は、今までの繰り返しだというふうに思う。けれども、多くのいわゆる塩漬け土地があって、そのままになっている、一体どうなってるんだというのが率直な県民の声だというふうに思うので、どういう経過で取得をされたのか、明らかにする必要があるというふうに思っている。
 例えば、今年度の決算に計上されている、たつの市菖蒲谷の用地の件である。平成20年度補正予算で、県土地開発公社から買い戻した。用地面積は57.3ヘクタール、用地費が15億5598万円である。用地取得の経緯は、県が県住宅供給公社に先行取得用地依頼をしたのが平成4年の4月、県住宅供給公社がたつの市土地開発公社から12億円で買収して、11月に所有権移転登記をしている。そのたつの市土地開発公社は、平成4年3月、県が取得依頼をする1ヵ月前であるが、当時の土地所有者である、姫路市の第一マッチ工業株式会社から買収して、県が先行取得用地依頼した1ヵ月前の同年3月、所有権移転登記が行われている。つまり県が正式に取得を依頼する前に購入が決まっていたのではないかというふうに思われる。
 私も、このたつの市にある菖蒲谷へちょっと行ってきた。大変な山奥で、もともと全体が保安林で、近隣一帯が鳥獣保護区の指定も受けていて、いろんな動植物もあるというような自然豊かなところである。頂上付近からは播磨灘も一望できるような、本当に自然環境の豊かなところだったわけであるが、買収した用地は、さらに山道の奥になってるということで、この菖蒲谷の森林、この用地、県が買った用地の周り一体は、国有林と市の森林公園となっている。この森林公園にある道は市道であるが、市が自衛隊に道路工事を発注してつくったと言われている。かなり曲がりくねった道路で、カーブが多くて、夜は暴走族が走るのにすごく適しているというようなことで、それを排除するために管理も厳しくして、午後6時以降は入れないというような対策もとられていた。また県は平成19年3月に、菖蒲谷地区里山林整備等事業をして、進入路のために山を造成しているという、こういう現場も見てきた。
 こういった山奥で自然豊かなところで、開発もなかなかできにくいんじゃないかなというのが第一印象であったから、こういった住宅用地にも適さない山奥の用地を県が17年も前に特定用地先行取得として住宅供給公社になぜ取得依頼をしたのか、県の古い資料では、ウィズタウン用地として開発であるとか、たつの赤トンボの里計画という資料があるだけで、詳細のわかる資料提供はなかった。県には、県民に情報公開をして説明をする責任があると考える。ぜひこの先行取得用地の全体について、当時の情報や過去の経緯を調査し、全容公開して県民に明らかにすべきと思うがいかがか。

■地域担当課長(藤原 一)■ 委員ご指摘の、たつのの菖蒲谷用地の取得経緯については、先ほどお話もあったように、平成4年に播磨科学公園都市のサテライト用地として、住宅系の開発可能性を主体に検討する特定用地として取得したという記録が残っている。
 そのほか、特定用地数々あるが、全容を明らかにすべきだというご指摘があったが、今申し上げたような取得経緯が残っているだけで、特段それ以上のものはないので、ご了解いただきたいと思う。

■ねりき恵子■ 了解できないから聞いているのであって、やはり15億円もかけた土地の取得目的について、やはりはっきりとさせる必要があるというふうに思う。
 今度、新行革プランにも改革の基本方向として、直ちに利活用が見込めないというのは、森林の持つ公益的機能に着目して、環境林として県が取得し、適切な管理を行うという方針になり、環境林として買ったわけである。今日の地球環境を守る上から、水源涵養とかCO2の抑制などで、森林の果たす役割は大変大きいというふうに思うが、もともと県の取得目的が開発計画で、バブルもはじけた後もどんどんと土地を買い続けて、利用計画の見通しが立たなくなって、その後にどうしようかと、今に合わせた計画になって環境林会計をつくって、また税金を投入して買い戻すということがやられているわけであるから、やはり明らかにしていく必要があるというふうに思う。
 先行取得用地の総額が、今、平成19年度末で約2000億円と言ったが、この間に銀行に支払った金利だけでも324億円、これだけ利息を払っているということからも、今後の買い戻しにも10年以上かかると言われているから、さらに負担がふえていくというふうに考える。改めて、やはり県の借金増を県民に説明する責任があると思うので、そういった点についても明らかにする必要があると思うが、改めてお答えいただきたい。

■地域担当課長(藤原 一)■ まず特定用地の性格であるが、具体的な事業用地とは異なって、利用目的が当時、明確に決まっていないものを特定用地として取得している。繰り返しになるが、当時の全国まれに見る強い開発圧力の中で、良好な地域環境の保全のために乱開発を防止するための緊急の対策として取得したものである。

■ねりき恵子■ 膨大な土地が塩漬け用地となって、それが県財政の大きな負担になっていると、やはりその全容を明らかにするということが求められているということを指摘して、次に移る。
 道路関係経費についてお伺いする。
 最初に、県が総務省に毎年提出している普通会計にかかわる平成20年度決算についてである。橋や道路、農道などの事業費と借金返済に係る公債費と道路関係経費の総額をお伺いする。

■財政課長(西上三鶴)■ 総務省に提出した普通会計の決算資料における数字を申し上げると、20年度決算額において、総額は道路関係経費2311億円である。
 主な内訳は、道路橋梁費で1158億円、道路関係で発行した県債の公債費で857億円、街路事業で202億円などである。

■ねりき恵子■ 道路関係経費の総額は2311億円と、普通会計総額の1兆9690億円の11.7%も占めているところである。県当局は公共投資額全体を削減していると言われるが、道路関係経費について見れば、決算総額は前年度に比べて逆に64億円も増加している。確かに道路橋梁費に姫新線の鉄道事業貸付金34億円も含まれているということもあるが、差し引いても増額である。繰越事業などもあってふえているが、新規事業は減っていると言われている。けれども、要は道路事業の総経費支出を見る必要があると考えている。単年度の道路の事業を削ったといっても、これまでのやはり借金が多いこと、20年度の道路関係にかかわる公債費は857億円である。平成19年度からは29億円も増加をしている。道路などの公共事業はほとんどが起債で行われるからである。事業部である県土整備部も含め、財政当局も過去に行った事業費の起債も含め、総枠で道路事業など、投資事業の削減をしっかり検討していくべきだと考える。県は、新規事業計画の推進姿勢は改めていない。高速道路の東播磨南北道路事業や新名神高速道路建設のアクセス道路などもあり、事業を進めればさらに借金はふえ、県民の借金はなくならない。高速道路など、大型事業優先でなく、県民の暮らしを守る生活優先の県政運営、財政運営に改めるべきだと思うが、改めてお伺いする。

■財政課長(西上三鶴)■ 限られた財源をどのように使うか、それはまさに県民の要請に的確にこたえていくためのものであって、現在行っている行財政構造改革は、そのような県民の要請に的確にこたえられる財政基盤を構築する、そのために取り組んでいるものと考えている。
 投資的事業についても、平成20年度の2380億円から最終的には1895億円に抑制する。また、単に内容も道路、河川という工種の区別ではなく、防災などの「まもる」、安全・快適などの質を高める「つかう」というような観点に重点を置いている。結果として、道路事業がふえるということについては、それらの中で重点的に行った結果、たまたま道路が多かったということだと考えている。それにあわせて、例えば県立高校であるが県立施設の耐震化も進めているし、社会福祉施設整備への補助金、また福祉センターの整備、ものづくり大学校の整備など、限られた財源の中で、単なる公共事業だけではなく、福祉、教育などの分野にも配分を行っているところである。
 このように、今後とも投資的経費については、後年度の影響も十分に踏まえながら、県債の活用を図りつつ、「選択と集中」を図る中で、県民の要請にこたえていけるようにしていきたいと考えている。

■ねりき恵子■ いろいろ言われるが、県民のサービスが削られていることで、大変多くの県民が苦労をしているということで、財政運営もそのように変えることを求める。
 最後に、県税のことだけ、1点だけ指摘をしたいというふうに思う。
 県税徴収されているが、増税強化がされているのではないかという点についてである。徴収率アップを図られているが、その陰で行き過ぎた徴税が行われていないかということで、鳥取県の例などが国会の中でも取り上げられているので、そういった点について、やはり納税者の立場に立ったきめ細かな納税が行われるように求めて、指摘をして質問を終わりにしたいというふうに思う。

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