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2007年度予算特別委員会総括審査 毛利りん
2007年3月12日

こども、県民を大切にする県政に
  貧困と格差を是正し、くらし、福祉、医療、教育の充実を

(1)低所得層への個人県民税減免を

■毛利りん■ 私は、日本共産党県会議員団を代表して総括質問を行う。
 今、生活保護世帯は10年で倍加、ワーキングプアなど貧困化の一方、大金持ちへの証券優遇税制延長など、富める者は富むという格差拡大が進んでいる。兵庫県のジニ係数が0.314と所得格差は全国5番目に大きくなっている。
 日本共産党は、今回、県民・市民アンケートを実施した。約1万8,000通もの回答があり、切実な要望が出された。暮らしは二、三年前と比べて7割が「悪くなった」、「よくなった」のは2%しかない。悪くなった原因は、「収入の減」が6割、内容は「年金や賃金カット」「売り上げ減」であった。また、負担増では「国保」「介護保険料」「税金」「医療費の支出」の順であった。このように、多くの県民が国の税制改悪による増税や医療費の負担増で暮らしが困難になっている実態が浮き彫りになっている。そこで、県民の負担軽減についてお尋ねをする。
 まず一つは、個人県民税の負担軽減対策についてである。
 例えば、年金暮らしの単身Aさんの例である。年収240万円、一昨年は県・市民税が非課税であった。昨年は1万4,000円、新年度は4万8,500円、これに連動して国保の大幅値上げ、介護保険料も上がり、負担は年間28万円を超え、一昨年との比較では2倍の負担増である。家賃や医者代などに支払うと、残りは160万円ぐらいしか残らない。その中から光熱費など必要経費を払い、あとは食事代に消えていく。
 知事、歳入審査でも個人県民税の負担軽減策を求めた。「市町が徴収するからできない」と言われたが、東京都では来年度から低所得者への都税の減税をするといっている。兵庫県としても負担軽減を求めるが、どうか。

■井戸知事■ 税制面でのバランスのとれた対応をするということは、ご指摘のように必要なことだと考えている。ただ、近年の税制改正、見直しは、今後急増が見込まれる社会保障等の公的サービスの費用負担を現役の世代だけに過度に集中させると、現役世代の負担が過重となって、社会の活力が期待し得なくなる。高齢者を年齢だけで一律に優遇するということはいかがかということもあって、低所得者層に配慮しつつ、所得に応じて広く公平に負担を分かち合おうという観点で見直されてきたものである。
 個人県民税においても、生活扶助を受けている方は非課税であるし、生活保護基準以下の方には基本的に税負担が生じないように、非課税限度額が設けられている。したがって、一定の低所得者に対する配慮がなされた制度となっている。
 東京都が独自の都民税の軽減をなさろうと検討されているわけであるが、所得税の課税最低限よりも、東京都の案にのっとると、住民税つまり都民税の課税最低限の方が高くなる。所得税は、ご承知のように応能負担原則である。住民税はどちらかというと、今回10%一律に税率が見直されたように応益負担原則である。応益負担原則の住民税の方が応能負担原則の所得税よりも課税最低限が高くなってしまうというのは、いかにも税制の制度としてはいかがだろうかということが、私の第1の感想である。
 第2は、なぜ東京都だけがそんなことをするのだろうか。つまり、力の強い者は力の強いことを何でもやれるのかというふうな風潮を、地方自治だという建前のもとに実施されるとすると、全国の中で、税負担という基本的に公正公平であるべき負担が、著しく地域によって異なるということはいかがだろうか、私は、このように思っている。
 そのような意味で、適切な負担をいただきながら、しかし、低所得者等配慮すべき方々には配慮していく、これが基本ではないか、このように考えている。

■毛利りん■ 東京都の知事がそのときに記者会見をしておられて、今、強い力があればというふうなお話があったが、どうであれ、やはり弱い人、特に今回も言っておられるのは、「三位一体の改革に合わせて所得税から個人住民税に税源移譲をさせられたが、これに伴って生活保護基準程度の収入しかない人に新たに税負担が発生する、年金の所得の人もそうであるが、そういう方にとってはやっぱり気の毒だから、不公平だと思うので今回の措置をとる」という記者会見をしておられる。
 私は、その根拠になるのは何かということで、災害のときなんかは、よく激変の部分でよくやるのであるが、地方税法の第6条で、地方団体は公益上その他の事由により課税を不適当とする場合においては課税をしないことができるという、ここが根拠だろうと思うが、そういう中で、今いろいろ理由を述べられたが、やはり新たなるこういう負担増の中で、現役世代の負担もそれはそれで大変であるが、今生活ができないというような状況に追い込まれているところで、県民税は県に裁量権があると思う。再考して、もう一度お答えを簡単に述べていただきたい。

■井戸知事■ 石原知事は勘違いされているんじゃないかと思う。今回の税源移譲に伴って負担がふえるわけではない。課税最低限が変わるわけではない。新たに所得税から移譲されて住民税の課税が強化されるわけでもない。総合負担として全く同一だということである。したがって、どうしてそういう理由を挙げられたのか、私には全く理解できない。
 あわせて、最後に触れられた地方税法6条は、公益減免の規定であることは事実である。公益減免をどのように取り扱うかというのは、やはりそれぞれの地域の特性に応じた取り扱いを期待しているのであって、このような基本的な税負担のあり方について、独自の取り扱いを勝手に各地方団体がやられることは、私は、いかがかなと思っている。ただ、低所得者層に対する配慮として、個別の配慮をされていくというのは、これはまた別の議論ではないか、このように思っている。

(2)国保負担軽減のための市町助成を

■毛利りん■ なかなか個別の配慮ということは難しい。やっぱりできそうでできない。そういう意味では、知事が今言われた、今回の新たな増税でもって、来年もやってくるわけであるが、そういう中で、生活に本当に困窮するという、いろんなことに連動しているわけであるから、そこに本当の意味で全体にかかわるような裁量権でもって頑張っていただきたいと思う。
 この問題については、石原知事が勘違いというようなお話もあったので、そういう高いレベルの話は次にゆだねたいと思うが、この間、大企業も――法人関係税、10年間ずっと減税してきた。結局、この新年度だけでも563億である。10年間の合計を見ると2,972億円、3,000億円に近いところになる。一方で、史上空前と言われているもうけを上げているところの大企業には減税だというところで、私たちはやはり庶民減税、負担軽減を強く要望したいと思う。
 それは税の問題であるが、ここに連動する国民健康保険の負担軽減のための、これは市町の事業になるが、県がやれるのは市町への助成を増額できるというところにあると思うので、その点でお伺いをしたい。
 全国ベースで1984年と2004年を比べると、国保加入世帯の年間所得は180万円から160万円へと減少している。一方で、1人当たりの保険料は年間約4万円から8万円と2倍にもなっている。私は神戸市にいるので、神戸市の例で見てみると、単身で280万円の所得の人でも、もう最高限度額の56万円になる。一昨日、新聞報道でも国保料滞納最多の480万世帯と大きく報じた。兵庫県下では約20万世帯が滞納、滞納率も2割近くの18.4%である。最初の事例に出したが、一昨年は非課税だったAさん、年金暮らしの方であるが、この方の例でも2005年度の国保料が5万7,600円である。新年度は14万3,760円と2.5倍にもなる。
 知事が代表質問答弁で言われた非課税措置の廃止に伴う激変緩和措置でも、こんな高い国保料になり、来年はさらに上がることになる。世帯収入は減っているのに国保料は上がる、そのためにお医者さんに行けずに重症化して、命を落とす人まで出ているというのが、最近ニュースなどでもよく出ている。知事、本当に県の役割を果たすのであれば、国保料を引き下げ、払える金額にするためにも、市町への補助を求めるが、どうか。

■井戸知事■ 国民健康保険料の負担については、相互扶助の観点から加盟者が相互に負担し合うという仕掛けであることはもちろんであるが、その中でも、低所得者に対する配慮がなされていると承知している。ただ、神戸市の場合、従来、住民税額に応じて負担を求めていたということがあって、かなり住民税がふえたことに伴って負担が大きく出てしまったということがあった。それで、所得ベースに配分基準を変えようということで検討されている、また、制度化されようとされていると私は承知している。そうすると、所得ベースであるので、かなりその格差是正はされるのではないかと思う。
 ただ、ご指摘があるように、多くの負担が国保にかぶさってきているんじゃないかということであるが、政府管掌保険と比較してみても、1世帯当たりの保険料で見ると、兵庫県国保は15万1,000円、政府管掌は全国で15万7,000円ぐらいであり、平均ベースではそう遜色があるものではない。今の委員のご指摘は、低所得者は急に負担がふえたことになっているのをどう考えるのかというところだろうと思うが、その点については、特に神戸の場合は、そのような特別の事情もあったのではないか。そして、現実に制度の中で低所得者対策も行われているので、この適切な運用に努めていきたいと考えている。

■毛利りん■ いずれにしても、政府管掌はどちらにしろ企業と本人ということになるし、国保という意味では、年金所得の方、自営の方という意味で、今、社会的にも大変な事態に置かれているということになろうかというふうに思う。この国保については、確かにもともと国が1984年だったか、49.8%あったものを、2004年には34.5%と市町村への国庫負担を引き下げた、これは大きな影響はあると思う。しかし、では都道府県レベルで見れば、特に近畿圏だけで見ても、市町への補助の問題で言えば、お隣の大阪と比べただけでも、兵庫県はそれを1人当たりに換算すると約1,500円である。ところが大阪では約2,000円と、ここにも大きな開きがある。
 だから、そういう意味では、まさにこれはよく言われることではあるが、これができていないという意味で、憲法25条の精神を生かしていただくという点で強く要望しておきたいと思う。時間がないので、次に移る。

(3)障害者「自立支援の応益負担」撤回と支援を

■毛利りん■ 障害者自立支援法における応益負担に関してである。これについても、さきの本会議で我が党の議員に知事がお答えになられた。応益負担について、応益負担を求めずゼロとしないのは、制度が破綻して福祉が混乱しないためで、原則1割負担としているというふうなお答えで、実質この応益負担についてお認めになっておられる、その姿勢だろうと思う。
 先ほどの税の問題でも国保の問題でも、現役世代だけとかあるいは健常者だけということでないという考え方に立っておられると思うが、しかし、言うまでもなく、障害者というのは、一生涯にわたって毎日痛みと不自由に耐えながら、その上に精神的な重さも持っている。そういう中で食事をして、外出をして、家事を行って、時にはいろんな自分の自由な時間も使いたい、あるいは働いて、また、これは人間としての営みであるが、排せつをして、入浴などをするということであるが、それなのに、その日常生活そのものに、まさに生きることそのものに介助を求めたら、サービスの給付として応益負担をさせるというのが、今回の改悪の最大のポイントである。
 だから、そこのところを本当に認めていくのか、それともその考え方がいけないというふうに見ていくのかというところに別れるということで、再度知事の考え方を聞きたいのは、この間、たくさんの障害者の方々とも懇談されて、ここのところのご意見は多くから出ていると思う。障害者を今のような応益負担で考える、生きることがサービスだと見てしまうということは、人としての尊厳を傷つけることだし、まさにそのことそのものが、知事が言われる福祉を混乱させている中身になっていると思うので、この応益負担について「絶対だめである」という立場で国に意見を上げていただきたいが、どうか。

■井戸知事■ 私は、若干考え方を異にする。ユニバーサル社会というのはどういう社会かというと、障害のある方も障害のない方も自分の能力に応じて社会を支え合う、そういう社会をつくっていくということがユニバーサル社会の基本ではないか、このように思う。したがって、サービスを受けられる場合に、その対価を基本的に受益と負担との関係で負担していく制度というものが基本になってしかるべきではないか、このように思う。
 ただ、その際に、負担能力のないような方々に対してまで負担を求めていくような、そういう制度だとすると、そこは問題がある。私は、そのような意味で、基本原則と実負担とのあり方を十分に議論して制度化を図るべきだと、こう考えているわけである。そういう意味からしたときに、今回、暫定的ではあるが、国も余りにもサービスの負担が過大だということの実態を認めて、暫定対策をとったし、今回、市町と共同で県も低所得者に対してさらに負担軽減を図ろうとした、これもそのような実態に応じた配慮をしていっているということで、ぜひご理解をいただきたい。

■毛利りん■ 非常に残念である。ユニバーサル社会に対する見方というのは、きっと歴史的に変わっていくと思う。障害者に対してもそうであった。歴史を振り返って見てみると、障害者は家から出てくるなという制度であった。そこから学校も義務化され、そして働く場も設けられた。どんどんと人間の知恵で、人間は賢いからそういうふうに考えていった。
 だから私は基本的に、先ほど言われた自分の能力に応じて――それはそのとおりだろうと思う。誇りを持って、障害者の方々も元気で頑張ろうとされている。しかし、人間の営みの部分まで、これを自分のいわゆる能力だというふうに見てしまうかどうか。知事はそうじゃないと言われるので、これも何度議論をしても、今の段階ではきっと変わらないと思う。
 しかし、私は歴史的に、今から10年後、いや、もっと早い時期に――この自立支援法は、特に問題があったということで部分的にはすぐさま変わっているわけである。したがって、歴史的に見れば、決して今の状況ではなく、本当に障害者が人間として人間らしく生きていけるという当たり前の考え方が、このユニバーサル社会の本当の考え方になるだろうなという私自身の考え方を述べて、次に移りたい。

(4)こども医療費を中学卒業まで無料化に

 次は、子供たちの問題であるが、特に、子供の医療費と30人学級、これは財源の問題なので、教育にもかかわるが、知事にお答えをいただきたいと思う。
 その一つは、私たち、この間、子供の医療費を中学校3年生まで完全無料化すること、そして少人数学級、30人学級の実施も義務教育全学年で実施することを求めるこども署名に各地で取り組んできた。呼びかけ人の方々の中には、9人の小児科医師の先生や歯科医師や教師や大学教授、3人の保育園の園長さん、こういう子育てに本当にかかわっておられる具体的な方々が呼びかけ人になって、「子育てするなら兵庫県で」と、全国に誇ることのできる兵庫にと署名を集め、知事に昨年届けさせていただいた。引き続き署名に取り組み、第2弾として署名を提出する予定になっている。
 そこで、まず、子供の医療費助成についてであるが、既に新年度予算案では、小学校3年生まで拡充することが盛り込まれていることは承知している。知事は、厳しい財政と言われ、その中で最大限努力したとも言われた。
 しかし、これまで我が党は、1972年9月議会以来、乳幼児医療の拡充を一貫して求めてきた。また、党の姿勢は、これまで多くの団体から提出された請願にも賛成をして、これもまた、一貫した態度であったと私は自負をしている。私自身も、議会に送っていただいて以来、発言の機会あるごと、また最近では少子化対策特別委員会でも主張してきた。今では、社会全体が子供たちのすこやかな成長のために、子供医療費助成拡充の方向で動いている。
 このたび私たちは予算の組みかえ提案をさせていただくに当たって、むだな大型公共事業などを削れば十分財源もあること、あと69億4,800万円あれば、中学校3年生を終えるまで、所得制限もなく完全無料化できることを財源も示し、建設的、具体的提案をしている。あとは、知事がやる気になってくださるかどうかである。未来を担う子供たちと若い子育て世代を応援する立場に立っていただきたいと思うが、温かいご答弁をお願いする。

■井戸知事■ 投資的経費を70億近く削ったからといって、実を言うと、一般財源がそれだけ出るわけではない。したがって、ひとえに財源の問題がまず第1にある。第2に、どこまでが適当なのかという医学的なバックデータがないといけないのではないか。今回の措置は、ご案内のように少子化対策特別委員会でいろんな議論をされた上で、それこそ委員会での報告として、少なくとも小学校3年生までは拡充すべきだというご意見をちょうだいした上で踏み切らせていただいたものである。
 したがって、今申し述べた二つの事柄について、今後十分な検討を加えた上で対応すべきものだと、このように考えている。

(5)30人学級の中3まで実施を

■毛利りん■ ぜひ、子供の医療費について、子育ての観点から、少子化も進めてはいけないというような状況の中で、ぜひ、いわば若い夫婦の中で――今回も私たちのアンケートの中で、20代、30代では55%の方が、いわゆる子供の医療費を支援してほしいというのが1位であったから、その要求がいかに強いかというのがわかると思うので、ぜひ、どんどんと学年を前へ進めていただいて、一挙にそれこそ義務教育を終えるまでという意味では、ぜひ頑張っていただきたいと思う。
 財源問題で、今も知事にということでお示しをさせていただいたが、30人学級についてである。この問題では、我が党は、震災後だけで数えて見ても、本会議等で90回にも及ぶ質疑をしてきた。今や世界も日本もこの少人数学級の流れになっている。これもまた、歴史が動いていると思う。
 私の教師時代というのは、もう二昔も前になって、最後に教えた子供は31歳になって、まさに子育て世代になっている。それでも今に至るまで、議員になっても、私はライフワーク、私の生き方として子供たちと深くかかわってきて、時には学習指導もしたり、あるいはキャンプの指導や水泳指導もさせていただいたり、父母や教師たちとも教育懇談、相談を受けたりもさせていただいた。
 子供というのは、本当にその時代時代の背景を投影をしている。今の大人社会の不正や腐敗、格差社会、貧困などで複雑で不安な社会情勢が子供たちに大きく影響していることを、私は身をもって感じている。そんなときだからこそ、基礎学力の定着と一人一人のどの子にも、心にしっかりと寄り添って話が聞けて、その子供に合った指導がゆっくりできる教育環境をつくる少人数学級を、これもまた、せめて義務教育を終えるまで実施をしていただきたいと思う。今、子供たちは楽しい学校を求めている、わかる教育を求めている。どうか温かい、それこそ前へ進んでいくという方向性を出していただけたらと、知事にご答弁をお願いする。

■吉本教育長■ 少人数学級の実施については、国や県における厳しい財政環境の中で、平成19年度は新学習システムの研究指定として、少人数学習集団の編成等との選択により、35人学級編制を小学校3年生まで拡大することとしたところである。また、中学校においては、新学習システムでの少人数学習集団など柔軟な学習集団の編成支援を進めるとともに、学習や生活の基盤となる読解力の向上や言葉の力の育成など、創意工夫による確かな学力をはぐくむ「ひょうご学力向上推進プロジェクト事業」を推進することとしている。
 県として、児童生徒の発達段階に応じた生活・学習環境の構築に向け、地域や学校の実情を踏まえつつ、これらの取り組みを着実に進めていることについてご理解願いたいと思う。

(6)全国一斉学力テスト中止を

■毛利りん■ こういったところでのご答弁は大体そういったことであるが、私が議会に送っていただいたときから考えても、私もその経験をしたが、45人学級から40人、35人、こういうふうに私はすべてを皆さんに歴史的に見ていただきたい。だから、硬直的に今こうであるという答弁だけで私は終わらないように、与党か野党かということを考えないで、子供たちのことをぜひ考えていただきたいと思う。
 教育の問題で、教育長が立たれたので、引き続いて学力テストの問題に入りたいと思うが、委員会の部局審査のときにも申し上げたが、これには2点問題がある。それは一つは、学力と関係のない調査をするということである。小学6年生なり中学校3年生が今回、国語、算数、数学ということで今回やるわけである。しかし、それ以外に15項目、92問ある。全くなぜこんなことを聞くのかなということがこの中にいっぱい入っている。例えば、「1週間に何日学習塾に通っているか」「学習塾でどのような内容を勉強しているか」、あるいは「携帯電話を持っているか、使用時間は」、こういうようなことを聞いている。持ってない子は嫌な思いをするだろうなと私は思う。
 その質問紙に回答を提出させるが、この学力テストの採点集計というのは民間企業で、それもベネッセとNTTデータである。これは両方とも進研ゼミ、旺文社、ご存じのように受験産業と深くかかわっているところであり、この質問書を丸投げするというところで一つの問題、それは受験産業が個人情報、学校情報を一手に握ることで、個人情報が必ず守られると言えるかという問題である。
 ましてや、個人名や質問に児童生徒が答えなくてよいという自由は今のところ保障されていない。そうするならば、個人情報が流出した場合だれが責任をとるのかということになる。文科省の担当官が、「外部漏えいについては懸念しているが」というような発言までされている。
 したがって、一つの質問は、個人情報を守るべき行政がこのような取り組みが本当にいいのかということにお答えいただきたいことと、もう一つは、学力テストそのものにも問題があるという点である。もう既に、ご承知のように1961年から全国一斉学力テストが行われた。そのときにどんなことが起きたか。成績のよくない子は休ませる、あるいは学校の先生が答えを教える、おおよそ教育と関係のないようなことが起きて、4年間でとうとう中止になった。それをまた今回やろうとしている。
 今回の取り組みにも、文科省の専門家検討会議の報告書で、「実施に当たっては、学校間の序列化や過度な競争等につながらないよう十分な配慮が必要」と懸念を示して、教育長もせんだっての本会議等でもそう答えておられる。懸念されるが、まあそういうことがないようにしたいということである。しかし、その懸念は残っている。
 今回、学力テストに不参加を宣言した愛知県犬山市の教育長は、その理由をこう言っておられる。「はかる学力がテスト得点力でしかなく、みずから学ぶ力ではない。点数化の集計は避けられず、自治体や学校が序列化される。学校現場で正答率を上げる教育が広がるのが心配」、さらに「全国一律の調査は地方分権の流れに逆行している」、マスコミにこう答えておられる。本当にそうだと思う。都道府県で、この県が何番目か、県の中で市町が何番目か、そして個人がどうだ、学校はどうだ、こういう結果が出るような学力テストが本当にいいのかどうか。市町がやるから国と市町の関係だということでなく、この間の本会議答弁でない答弁をしていただきたいと思う。

■吉本教育長■ まず、いわゆる全国学力・学習状況調査についてであるが、これについては、すべての児童生徒の学習到達度や教育水準の状況をきめ細かく適切に把握することによって、国においては義務教育における機会均等や教育水準の維持向上の観点から、より適切な改善を図ること、教育委員会、学校にあっては、全国的な状況との関係における学力の状況、教育条件の整備状況、児童生徒の学習環境や生活状況を知ることにより、主体的な指導改善につなげることといったことを目的として、国が実施主体となって行うものである。
 国においては、機密保持や個人情報の取り扱いに関して、民間機関の委託先に対して、契約書で遵守すべき事項を明示をして、セキュリティーの確保、情報の取り扱いなどについての徹底を図ることとしており、議員ご指摘のような懸念は生じないものと考えている。
 なお、調査結果のその後の取り扱いに当たっては、今後、県としても説明会を開催をして、市町教育委員会に対し、序列化や過度の競争にならないよう十分配慮するよう、再度指導の徹底を図っていく。

■毛利りん■ 新学期早々、4月24日に新6年生と新中3に行われるわけである。1年の始まりにこういうことをやるというのは、正直申し上げて、子供たちにとっても決していい影響ではない。だから、これは一考である。本当に考え直さなければいけない問題だと思う。
 国連の子どもの権利委員会などでも、日本の子供が強度のストレスの中で過度な競争があるということで、勧告を受けている。先ほどの地方分権の話ではないが、兵庫の子供たちをどう育てていくのかということを本当に真剣に考えていただいて、この結果がどういうことを生み出すのか、今から予測ができるはずであるから、ぜひ国に意見を上げていただきたいと思う。この項は終わって、次に移る。

大企業への優遇ではなく中小企業支援と正規雇用促進を

 次は、大企業への優遇ではなく、中小企業支援、正規雇用促進について伺いたい。
 これまで私たちは、松下プラズマディスプレイ1社に設備や雇用補助、総額175億円もの巨額な県の税金を投入することを問題にしてきた。史上空前の利益を上げる大企業に、しかも、国による法人税の減税や設備投資の減価償却資産の減税、さらに調べれば、プラズマディスプレイの技術の開発助成や一貫生産の増資への登録免許税の減税など、松下電器へは推定しても1,000億円を上回る国からの減税や補助を受けることになる。国も県も至れり尽くせりである。
 一方、県の中小企業への予算は、融資を除くと総額80億円しかない。県が本当に補助しなければならないのは、逼迫し、経済の9割を支えている中小・零細企業への支援ではないか。そこでお聞きするが、県の雇用補助として新年度は25社、934人の雇用となっているが、ここに間違いがないかということと、中小企業の雇用の人数を資料等でお示しをいただいてないので、何人になるのか。設備投資は計23億円、中小企業はゼロ、大企業が3社で松下PDP18億4,400万円、新日鉄3億8,650万円、バンドー化学6,900万円、これで間違いはないか。中小企業の雇用の人数はお教えいただきたいと思う。

■表具産業労働部長■ 平成19年度の補助金であるが、雇用補助で18年度が295名で間違いない。設備関係では、15、16、17年度で10億円の補助となっている。それと先ほど毛利委員の方から松下への補助175億円、兵庫県の中小企業投資80億と言われた。私どもの試算では、中小企業対策は制度融資を除いて174億円と計算しているし、融資が別途2,600億円の中小企業対策がある。加えて、松下175億と申されているが、平成17年から平成26年、10年間をかけてのトータルの補助予定額で、平均支出額は17億円になるかと思う。

■毛利りん■ 今、松下でいえば、第3工場が8億4,400万、第4工場10億円ということで、さきに私はその合計も出したし、いずれにしろ、この新事業・雇用創出型の産業集積促進補助事業というのは、設備投資が大企業のみになっているし、金額を見ても、新産業創出では設備投資とくっついた、付随したものになっているので、ほとんどが大企業への補助だということになれば、今こそ雇用補助というのは、やはり独自に中小企業にこそすべきだろうということを要求しておきたいと思う。
 これは京都の例で、ちょうど3月9日に条例改正の可決があったが、直接雇用といっても、まだまだ3ヵ月更新など短期雇用なんかが連続する中で、若者がまさにワーキングプアという状態に陥っている中で、今、主に県の大企業しか利用できてない産業の集積による経済及び雇用活性化条例を中小企業にこそ視点を当てて、抜本的に改正しなければならないと思う。そこで、雇用は正規雇用ということで、初めに言った京都でそういったことが改正・可決したというふうなことがニュースで出ていたので、ぜひ兵庫県でも、そういったことで盛り込んでいただけたらということである。
 もう一つは、雇用のところで若者に視点を当てれば、今、特に高校を卒業して働く青年たちだとか、あるいは大学生でも生活が苦しくてアルバイトしながら勉学する学生のために、今は22都道府県で――47%に当たるが――青年労働者向けに働く権利を知らせるこういったハンドブック、冊子、こういうものを高校を卒業するときに出しておられるというのがある。これはわずかなお金で済むので、これを見てみても、働くのに当然の権利、知っておいたらいいなというようなものが載っているので、これをぜひ兵庫県でも若者にプレゼントをしていただきたい。本当にわずかで済むと思うが、どうか。

■表具産業労働部長■ まず、産業集積条例の関係であるが、本県産業の活性化と新たな雇用の創出を図るという目的で雇用関係の補助も行っている。新規雇用の創出には一定規模の投資が必要であると考えており、今、中小企業でも可能な投資額5,000万以上、また、一定の効果を期待して11人以上の雇用創出を条件として設定している。この補助の対象となった企業は29件、うち23件、約8割は中小企業である。また、雇用人数、正規雇用1,688人のうち1,290人、これも中小企業を対象とした。補助額は雇用の関係で14億3,520万円、うち10億9,170万円、これも中小企業を対象とさせていただいている。
 なお、雇用情勢が改善されていく中で、雇用の質的側面にも配慮して、派遣労働者に対する単価を2分の1にしたところであるが、来年度からは、雇用状況が一層改善されつつあることを踏まえて、補助対象を正規雇用などの直接雇用に限定し、できるだけ継続的雇用に絞る方向で、現在、制度設計を検討している。
 最後にお尋ねのあった高校卒業生への雇用パンフの配布についてであるが、高校卒業者を含む若年者が雇用についてさまざまな知識を持ち、また、希望する働き方につくことは非常に重要なことと考えている。啓発資料として、就職活動方法や労働関係法の解説、相談窓口をまとめた「若者就職支援ガイドブック」というのをこの3月に作成して、これを「若者しごと倶楽部」を初めとする関係機関において配布を始めている。

■毛利りん■ 正規雇用を継続的にという点では、そっちへ向いて行くということは、今本当に求められていると思う。先ほど言ったように、継続していても3ヵ月でだめというようなことでなくて、本当に長期にわたる、本当の正規雇用継続ということで頑張っていただきたい。
 それから今、ハンドブックのお話があった。「若者しごと倶楽部」などで来られた青年には渡せるということだろうと思うが、これは今、どんなに高学歴の人でも、私の教え子なんかでも、勉強して試験なんかではちゃんと〇が入れられているが、労働法なんかの中身というのは案外わかっていない。長時間で働いているから、「長時間しなくていいのよ」とか「サービス残業でどうよ」と言っても、「そんなのは知らなかった」と、勉強はするんだけれどもという意味もあるので、ぜひ高校を卒業するときに、だれかに欲しいなと言われて渡すのではなくて、本当にハンドブックとしてお渡しいただきたいということを要望しておきたい。

談合防止、天下りをやめ、一般競争入札制度抜本改善を

 続いて、談合防止、天下りをやめて、一般競争入札制度の抜本的な改善を求める問題になるが、今、知事の官製談合問題で、全国で国民の批判は厳しさは増しているという状況の中で、今月9日、各マスコミが1面トップで「公取委、国交省に官製談合改善要求」と、大見出しで報道した。事もあろうに、談合防止に責任を持ち、業者を監督する立場の国土交通省が官製談合を行っていた、あいた口がふさがらないというのはこのことである。石川島播磨重工業、川崎重工業、三菱重工業と日本を代表する企業が談合、しかも、国交省が仕切っていたというような状況では、本当に問題だと思う。
 本県では、今議会、名古屋市の地下鉄官製談合事件で奥村組がかかわっていたことから、本県議案258号議案、高等学校の体育館等建築工事請負契約が取り下げられた。県の事業にも影響していると私たちは思う。そういう中で、国交省の官製談合事件を見ても、近畿地方整備局がかかわっているという事業があって、その談合があった同じ時期に尼崎西宮芦屋港の閘門工事委託契約、近畿整備局で65億となっている。こういったこともあるから、これはぜひ調査をしていただきたい、かかわっていたところでの調査をする必要があると思う。
 名古屋市の談合事件でも、談合を下支えしていたのがゼネコンに天下った市幹部OBだったということが報道されているが、このOBによると、天下りOBの仕事は公共工事の発注予定や工期、予算規模を具体的に聞き出すこと、情報屋の役割と証言、また、天下りOBを確保するのも企業努力の一つだったとも言われている。
 天下りの問題は、幾度となく我々もいろんな場で質問をさせていただき、さきの本会議でも副知事がお答えになられて、改善の方向のようなご答弁があった。しかし、実態は私はそうだとは思わない。例えば、大手建設会社への就職はおおむね2年間自粛して、そのおおむね2年間は県に対する営業活動を自粛することというふうに言われているが、私は、何か文書ででも出して、要綱でもあるのかなと思ったら、これは口頭で言うということである。それも部局長が退職予定者に対し言うということである。部局長には知事が何か訓辞でもされるのかなと思ってちょっと聞くと、その辺ははっきりしてないということで、やはり口頭ではなくて、きちっと知事が文書で示すことが必要だと思うが、どうか。

■井戸知事■ 私も他県の例ではあるが、非常に迷惑を受けた。去年の秋以来、「知事さん大丈夫ですか」というような質問を受けたりして、非常に心外な思いをしたことが何度もある。だからこそ、きちっとした県としての対応をできるだけ早く示すべきだということもあって、11月議会でもお答えしたと思うが、直ちに契約事務についての総点検を行って、1月中に一般競争入札の範囲を広げる、2,000万円以上について制限付き一般競争入札を行うということにさせていただいた。
 また、疑わしき契約については、事後にはなるが、第三者機関できちっとチェックをする、事後チェックを徹底するということは、実を言うと事前の談合に対するアピールにつながる、このように信じている。
 尼崎の閘門工事についての指摘があったが、これは近畿整備局に私どもの方から問い合わせをすることにしたいと思う。
 県職員の退職後の再就職に関する取り扱いについては、部内で要綱を定めており、その要綱に基づいて取り扱っているので、一つ一つ紙に書いて本人に手渡していないというだけであって、必要ならば、そういう手渡しもしてもいいが、十分心得ておられるので今までやっていないということである。形式的な事柄よりは、実質的にきちっと要綱に定めていることを守っていただく、そのことが大切である。我々は、先輩の行動であるから、要綱に違反していれば直ちにわかる。そのような意味でも十分担保されているとは思うが、さらにその辺の取り扱いについては万全を期していきたいと考えている。

■毛利りん■ 取り扱い要綱があるということは、この質問をつくるに当たってお聞きをしたが、「口頭だ」というお返事だったので、その辺はやはりきちっと、要綱がある、これに基づいているというのを持ってきていただかないと、私の質問が変わってくるので、よろしくお願いしたい、後ほどいただきたいと思う。
 大阪府では、きょうの官庁速報で、退職職員の再就職に関する取り扱い要綱、今お聞きすると同じだろうとわかるが、今回、職務と関連がある企業への再就職については、「退職後一定期間自粛」――これは兵庫県で今行われている分だと思うが──という形ではなく、今回は「原則としてすべて禁止する」、こういうふうに書きかえたそうである。これがきょうの官庁速報に載っていた。私は、こうするべきだと思う。
 一定期間自粛するといっても、いわば県の関連の公社であるとか、一たん退職して2年間ほどそこにおられて、それで大手ゼネコンにまた行くということになれば、この2年間は何だったんだということになるし、そういう意味では、毎年9月に、前年の7月から翌年の6月までの再就職状況を公表するとか、大阪は随分開いていこうという立場で今回決めているので、その辺ではどうか。今の一定期間、2年自粛するというのじゃなくて、原則としてすべて禁止する。
 もちろん関係のない会社に行かれるのはいい、退職した後、再就職したらいけないと、そんなことを言っているわけではない。大手の建設業界とかゼネコン、こういったところには原則禁止するという立場に立っていただきたいが、どうか。

■井戸知事■ 大阪の例がどういうことなのか知らないが、将来とも、もし再就職させないということであるとすると、その取り扱い自身は、少しいろんな制度からいっていかがかと思う。私どもは、やはり技術職員の今まで培った技術やノウハウや見識、それらが民間会社において定年後であっても生かされてしかるべきだ、このように思っている。ただ、それがこのようないわば談合等を伴いかねないという業界との関連で、一定期間、影響力がある程度薄まるであろうという期間について、再就職を自粛をしているということである。
 これは「自粛」を「禁止」にしても全く同じことであり、私自身はそのような一定期間、クーリング期間というのは必要だとは思うが、将来ともに再就職はだめだというのであるとすると、それはいかがな制度か、このように思う。

■毛利りん■ 先ほど言ったように、すべての職場に再就職したらいけないということではない。府も府からの受注に関する業務、企業側窓口となって入札への参加や契約の交渉を行うなどに携わらないという意味である。それと同時に、大手建設、ゼネコン、こういったところへのかかわり、関与をなくすという意味の分で、すべて再就職はだめというわけにはいかないというのは、それはよくわかっている。今の状況で、そんなことを私どもは言っているわけではない。
 その辺では、今のお返事がそういうことではなかったが、やはり原則すべて禁止ということで、再就職問題は考えていくべきだろう、いわば天下りをなくす、まさに天下りをなくすということでお願いをしたいと思う。
 先ほど2,000万円以上ということでお話しがあったが、今、もう全国知事会方針でも指摘されているように、1,000万円以上の発注事業は、すべて原則として一般競争入札を行うように一層の改善を求める。お聞きしようと思ったが、時間がないので、それも強く要望しておきたいと思う。

被災者生活再建支援法の抜本的見直しを

■毛利りん■ 盛りだくさんなので、また、要望にとどめる分があるが、被災者の再建支援法の抜本的改善、ちょうど見直し時期に当たって、国にということで、知事も国に対して要求はしているということである。これについては要望にとどめておきたいが、いずれにしろ、口が酸っぱくなるほど言われたり言ったりしているかもしれないが、阪神・淡路大震災という大きな震災の体験をした兵庫県として、当時の被害実態をしっかり調査できなかった、国も県もしなかったということや、鳥取県のようにいち早く個人補償ができなかったということで非常に残念である。
 その当時は、本当に混乱をしている時期にいろんなことが求められていたとは思うが、一方で、銀行はつぶれかけたら30兆円も個人補償できるという、そういう考え方に立ちながら被災者を見放していくという、こういう意見が言えるのは本当に兵庫県だろうと思うので、ぜひ具体的に、住宅本体はもとより、店舗とかそれぞれの被災者に対する手厚い支援策を要求をしていただきたいと思う。

県民、職員を大切にした県政に

■毛利りん■ 最後になるが、これも二つ項目があるが、結局一つだけになるかもしれない。県民と職員を大事にする、ポスト行革ということで、県行革が言われる中で、職員の問題――天下りの問題も職員の問題ではあるが、一方、本当に県職員の長時間労働の実態というのがあって、その改善が要求されていると思う。本来、地方自治体の役割というのは、住民の安全、健康・福祉を守るとされているが、その守られるべき県民の置かれている状況が、先ほど来言ったように大変な状況にある中で、県民のために誇りある奉仕者として働く県職員は、これまで以上に仕事の量もふえるし、質的にも県民の要望にこたえなければならない。
 ところが、この間、職員犠牲の県行革によって、行政職では新年度165人の減を入れ、8年間に1,065人もの職員が減らされ、非正規雇用も拡大している。その結果、県職員も長時間労働に追い込まれているのではないか。調べてみた。2005年度の本庁職員の超過勤務実績を見ると、ワースト1位は県民政策部が月1人当たり29.9時間、2位は健康生活部27.2時間、3位が農林水産部23.9時間となっている。
 ワースト3までの部のうち、課別で見ると100時間近くの課がある。過労死基準の80時間をはるかに超えている。特に本庁職員の長時間労働は問題である。残念なことに昨年8月17日に、記憶にも新しく本当に痛ましい事件であったが、本庁の課長補佐の方が飛び降り自殺をされたという事件である。新聞報道でも、そのときに午前2時半ごろまで同僚の方々と一緒に働いており、同僚が帰宅した後にも、まだ仕事があるからと一人残った後の自殺だったと書いてあった。朝方まで働くという事態は、もう本当に深刻だと思う。
 一昨年来、教育課長の飛び降り自殺など、本庁だけでも3人の犠牲者が出ておられる。マスコミでも、この1年足らずの間に3人も、それも職場でみずからの命を絶っているのは異常と言わざるを得ないと指摘をされている。それのバックにあるのは、やはり過労死状態と言うべき実態があったというふうに思うが、そのこととあわせて、亡くなられた課長補佐は、今本当に大きな問題になっている医師不足解消などで、僻地医療対策の仕事に携わっておられた方であるから、私は、心から痛みを覚えるわけであるが、そのことについてどういうふうに認識をされているか、最高責任者である知事にお聞きをしたい。

■井戸知事■ 個別の事件が起こったことは、まことに残念なことだったと思っているし、その後、メンタルヘルス等についての体制も整えさせていただいた。要因は、複合的なものだと思う。過重な責任感からということもあるかもしれないし、あるいは何か個人的な行き詰まりがあったかもしれない。いずれにしても特定できないが、悩むことを一人で抱えないで、チームで悩もう、チームで解決していこう。そして、もし自分なりに、あるいは家族の方々、あるいは周りが異常行動に気がついたら、直ちにその方に対するメンタルヘルス的なアプローチをしていこうということを体系化しているつもりである。
 あわせて、職員の超過勤務の縮減をめざしていくというのは基本姿勢であって、一月の上限なり1年の限度を定めて、災害等の場合を除いてその限度内で運用を図る、長時間労働をできるだけ避けていくということにしている。ただ、非常勤の職員がふえているというご指摘があったが、ご承知のように、約4分の1ほど超過勤務手当を縮減をして、それに対応して、特に雇用状況が厳しかったこともあって、インターンシップ、非常勤の職員に働いていただこうということに取り組んだ。平成12年から取り組んでいるが、全体としては大体年間150から200人の方々を採用している。これはそのような一つの試みとしては成果を得ているのではないか、このように思っている。
 いずれにしても、できるだけ不要な資料はつくらない、意味のない作業はしない、そして重要な事柄に重点化して仕事をしていく、このようなことにも私自身も気をつけていきたいと思っているし、庁内自治と私は言っているが、自分の仕事の遂行に当たって責任を持つ範囲で責任を持って処理をしていく、このような体制をつくり上げていきたいと考えている。

■毛利りん■ 今、一番不幸な事態のお話をしたが、深刻な事態は、亡くなられた方以外にも、精神疾患による長期療養職員の増加もあると思う。しかも、長期に療養を必要としている。メンタル・心の病を持つ職員が2001年の56人から2005年の89人と、この4年間に1.6倍もの増加になっているということである。このトップが、特に本庁部局では健康生活部の8人という多さがある。この背景には、慢性的な長時間労働があって、特に健康生活部少子政策課の職員の月の残業が平均100時間、少子対策課の平均50時間、障害福祉課の平均47時間、自殺者が出た医務課でも平均32時間、大変大事な部署であるから、こういうことになっているのかなと思う。
 そういう中で、職員労働組合のニュースを見た。そうすると、職場における人格否定のパワーハラスメント根絶、職場におけるメンタルヘルス対策、超過勤務時間の上限規制など、改善要望が出されているが、要求はそのとおりだというふうに思う。知事として、これ以上自殺者を出さない、長期療養者を生まない、過労死予備軍を生まない職場環境をつくるという点で、ぜひ慢性的な長時間勤務改善のためには、やはり職員を、もう最後のところは省くが、ポスト県行革の中でもいろんな工夫は要る。むだなものはどんどん省いたらいいと思う。先ほど私が言ったような大型開発の部分、よく我々が言うが、それは省いて結構である。しかし、省いてはならないもの、特に知事は「元気兵庫」ということを言われるが、「元気兵庫」という抽象的な話ではない。元気な兵庫になろうと思えば、そこの主人公である県民がまず元気でなくちゃいけない、その人のために果たす職員さんが元気でなくちゃならない。
 もちろん、そういった意味では「元気兵庫」ということを言われているわけであるから、名実ともにその中身が元気になるように、私も、実は教え子が「元気もうりもうり勇気りんりん先生」と名づけてくれたので、本当にこの名前に誇りを持ちながら、「元気兵庫」というのは大好きであるから、内容のある元気にしていただきたいということで質問を終える。

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