こども医療費助成の抜本的拡充を
■宮田しずのり委員■ 日本共産党県会議員団を代表して質問する。
まず、その第1は、県民の命と健康を守る対策についてである。その一つは子供の医療費助成についてである。
この問題は、今議会での議論の大きな争点となった。知事も、先ほど来の議論の中でも拡充の方向を示されているところである。しかし、具体的にどうするかということは、まだ明らかにされていない。我が日本共産党議員団は、本会議で質問するとともに、今議会に、「こども医療費の助成に関する条例」の提案も行っている。その我が党の提案は、所得制限を設けずに自己負担を無料にすること、また、対象を小学校、そして中学生まで、つまり義務教育が終了するまで拡大することを提案している。
昨日の新聞で、小野市長が来年の4月から小学校の6年生まで対象を拡大して、外来・入院とも無料化する方針を明言したと報じられた。本当にすばらしい決断だと思う。市民からの一層の充実を求める声が続出したということである。全県に共通する県民の願いではないだろうか。住む地域によって助成の差が出るということは、直ちに正していかなければならない。
そこで、義務教育終了まで外来・入院とも無料化することに県が踏み出せば、本当に市町とも協力をして、県下どこに住んでいても小野市のような助成が受けられるということで、本当に子育て世帯に対して大きな支援になる。
そこで、知事は、具体的に、この子供の医療費助成について、どう拡充されるのか、改めてお聞きしたい。
■井戸知事■ 乳幼児医療の実施状況を県の制度として見てみると、神奈川県のみが入院は中学校3年生までの措置としているが、外来は3歳である。先ほどもお答えしたように、外来で小学校3年生までは栃木県が1県、取り組んでいるという実情である。その栃木県は、入院についても小学校3年生まで取り組んでいるという実情である。本県は、ご承知のように就学前までの対応であり、それらの県に続いているという実情になっている。
各市町村が独自に取り組まれるのは、私としては、それぞれの考え方があって取り組まれていると考えているが、ご指摘のように、少なくとも全県的な基盤をなす制度としては、県の制度としてミニマムを確保していきたいと考えている。
したがって、厳しい財政状況の中でどこまでができるか、そしてどこまでの対応をすることが適切なのか、このことも踏まえながら、先ほど合田委員からは、国の医療費制度の改革を1年前倒しして検討を考えてみてはどうかというご指摘もあった。そのような制度的な状況も踏まえながら、今、鋭意検討を進めているところである。
いずれにしても、多くの方々、また議会の各会派の皆様方、特別委員会からの報告、それから120万に上る署名等々もいただいているので、19年度予算編成における最大の課題の一つとして取り組んでまいりたいと考えているので、今は、とりあえず検討中ということでご理解をいただきたい。
但馬の公立病院再編案の白紙撤回を
■宮田しずのり委員■ 検討中だということで、ぜひ大きく前ヘ進めていただきたいと思うが、しかし、今、知事の話にあったが、全国では、県段階ではまだ少ないという話であるが、各市町でこれだけたくさんの市町が実施しているということは、これは市町の財政問題ではなくて、それだけ住民の方、県民の皆さんの強い要求があるということなので、そこのところをしっかり踏まえて、今後の対策を進めていただきたいと思う。
命の健康を守る問題の2点目は、但馬の医師不足の問題である。
去る9日に、九つある公立病院の再編を検討する2回目の但馬の医療確保対策協議会が行われた。住民の心配していたことが現実になった。そして今、衝撃が走っている。県の提案する公立病院の再編案というものが初めて公の場で報告され、議論された。我が党は、部局審査でも指摘したが、そのとき、私どもが指摘したこととは少し変わっているが、出石病院が病床ゼロに、それから梁瀬病院が19床の有床病院になるなど、各公立病院の病床の大幅削減も再編案に盛り込まれている。この案は、これまでずっと住民に隠されて非公開のワーキンググループで議論されてきた。当然、対策協議会では議論が相次いで、各病院の案は、あくまで例示とされた。これまで全く公開されていない案であり、住民合意は全くなされていないものである。
そこで、この但馬の病院の再編の問題について、住民合意を今後どのように行っていくつもりか、そして住民合意が得られない場合、これは県の再編案というのは白紙に戻して、もう一度再検討すべきだと思うが、その点はいかがか。
■中瀬健康生活部長■ 委員会でもお答えしたが、但馬の医療確保対策協議会は、設置要綱にあるように、まず、地元市町長の発意のもと、地元市町長、医師会長、病院長、それに県の健康局長と但馬長寿の郷長を構成員として設置された。そういう中で、公立豊岡病院組合が事務局になっているということであるから、県が案を一方的にどうこうしたというようなことではない。それと、我々が申し上げているのは、求めに応じて医療確保推進の観点から、必要な検討素材を提供させていただいているところである。
次に、協議会は公開されている。12月9日の第2回の協議会においても、医療再編案について種々ご議論され、将来にわたり、継続的かつ安定的に医療を確保していくための方策として、基本的な方向性について合意されたというふうに、私の方は認識している。少しはしょるが、具体的には、まず、地域医療の機能確保のために、急性期と慢性期の医療の機能を分担する。そういう集約化・重点化を図る中で、連携して医療を守ろうという、こういう守りについて、行政は住民等の説明責任を果たす、三つ目は、参加した関係者の共通認識のもとに、結論に従って迅速に実行に移すこと等が合意されたところである。
いずれにしても、県としては、そういう合意の過程、我々としてできることは最大限取り組んでまいりたいというのは委員会でもお答えしたとおりであり、これからもそのつもりである。
県養成医師を利用した計画案押し付けをするな
■宮田しずのり委員■ 今、基本的に合意をされたという答弁であったが、例えば浜坂の議会――今は町名が変わっていると思うが、第2回対策協議会が行われた後の12、13日と2日間にわたり議論が行われている。そこで、浜坂病院を現状より後退させることは絶対にできないという答弁を町長がされている。これは、恐らく但馬全域の皆さんの声ではないかと思う。こうした地元の意見を無視して、県が先導して強行するということは絶対にあってはならないと思う。
県は、自治医大の卒業者など、今、県が人事権を持つ県の養成医師、今、但馬に15名いると聞いている。この医師は、各公立病院に今1人ないし3人配置をされているが、この但馬の新聞では、これについて、県は、県養成医師の配属先を決める人事異動を盾に来年2月末までの合意を迫るというふうに書かれている。本当に地元の人たちは、県が主導して、そして、こういう人事権まで活用していろいろ進めようとしているというふうに見ている。これが但馬の地元の人たちの声だと、こういうことである。
私は、こうした県の養成医師を再編のために利用するようなことは絶対にあってはならないし、本当に住民の皆さんの声をもとにしたこの再編の今後の計画をつくるべきだと思うが、再度答弁を求める。
■井戸知事■ 今のは全くの逆転した論理であり、集約化して圏域全体として医療を守る体制を前提に、派遣医師の人事も考えていかなければいけないということを言ってるのであり、何の合意もなく、何の集約化や効率化もなく、そして医療の確保ができもしない状況の中で県が医師を異動させるというようなことはあり得ない。ちゃんと合意をして、医師の派遣ができるような体制が病院群としてできた、その暁に異動させる、そういう検討をしているんだということを申し上げたものである。
■宮田しずのり委員■ 全く逆の議論だと言われるが、しかし、実際に但馬でこういう声が起こっていると、そして但馬のそれぞれの市や町の人たちは、やはり県が出したこの案ではのめないという議論がされているというのは事実である。私は、確かに今、いろんな対策は必要だと、その中で、今、集約化という話が出たが、しかし、集約化そのものが問題だと、我々はごく当面の対策としてこれは必要かもわからない、しかし、それをずっと固定化するのではなくて、長期の見通しを出して、将来はこれをもとに戻して、それぞれが、南は八鹿病院、北は豊岡、この二つの病院だけが充実していて、ほかは病院としての機能がなかなか果たせないというような状況は改善すべきだと、そういう方向を持ってきちっと住民と議論すべきだと思っている。そのためにも、私は、今、県が15名の派遣医師を確保されているわけであるが、こういった医師のさらなる増員とか、あるいはいろんな県立病院とか、ほかの医師あるいは医療機関の協力も得て、但馬の医師の確保対策を進めていくということを県がもう少し努力すべきだと思うが、もう1回お願いする。
■井戸知事■ まさしく委員がおっしゃるとおりで、但馬地域の医師の確保を初めとする医療の機会の確保をどのようにしていくかが課題である。我々としても、何も今後とも現体制で医師が確保でき、医療のサービスが提供できるならば、それにこしたことはないと考えているが、そうはいかない状況が出てきているので、重点化し、そして役割分担をする中で、医療資源の有効活用をしていこう、そのために議論をしながら対応策を講じようとしている、このような意味であることをぜひご理解いただきたい。
県立塚口病院の看護師体制の充実を
■宮田しずのり委員■ いずれにしても、住民の皆さん、あるいは地元の声を本当に尊重して進めていただきたいということを強く要望して次に進む。
次に、県立塚口病院の看護師の体制について1点伺いたい。
県立塚口病院は、県立尼崎病院との間で診療科目の再編が行われ、産科、婦人科、小児科が塚口病院に集約をされて、この秋から診療が開始されたところである。この中で、特に尼崎市内はもとより、阪神間の県民から強く要望されていた小児2次救急医療体制がスタートして、現在、外来は月水金と日曜日は月3回を塚口病院が受け入れている。あとは関西労災病院とか尼崎医療生協病院が協力をすることになっている。来年4月以降は、県立塚口病院が毎日小児の2次救急を受け入れることになると聞いているが、これについては私たちも非常に喜んでいるところである。
また、周産期医療と小児救急医療は、今後、尼崎だけではなくて阪神間のセンターとしての役割も非常に大きくなってくると思う。この県民の願いとか期待にこたえていくために、患者受け入れのための体制、施設等の一層の拡充が求められていると思う。
そこで、小児科の看護師の体制についてであるが、県立塚口病院で今一番問題なのは、小児科の看護師の体制が不足しているということだと思う。当局の説明を聞くと、夜勤は5対8、五八つまり5人体制で月8日夜勤をするという体制になっており、十分だという説明である。しかし、県立塚口病院の3階に小児科病棟があるが、そのうちNICUが6床、そしてGCUが14床、これを合わせて一つのユニットになっており、20床ある。ここは確かに24人の看護師がおり、そして夜勤も3人体制が確保されている。しかし、それとは別に、同じ3階であるが、小児科は30床あるが、ここの勤務体制が夜勤は2人になっている、いわゆる二八の状態だというふうに言われる。小児科は2次救急患者の場合、即入院というケースも多くて、しかも夜間の、深夜帯の入院も非常に多いと言われている。
こうした中で、重症患者が夜、入院をしてきた場合に、その患者に2人ともかかり切りになる場合もある。そのときに別の患者からコールが鳴っても、なかなかすぐに行けないという問題も起こっているというふうに聞いている。小児科のドクターは常時配置されているから、患者は、当番日以外でもいつでも受け入れる体制にあり、また受け入れている。これは非常にいいことであるが、看護師2人体制では責任が持てないという声が現場から非常に切実に上がっている。
そこでお聞きするが、小児科の30床の病棟も最低三八の体制、夜勤3人体制で8日という、こういう体制が必要だと考える。特に来年の4月からは、月水金ではなくて、毎日、小児の2次救急を受け入れるという体制になっていくと思うので、そうなると、いよいよ今の体制では不十分かなと思うし、拡充が求められているので、その点の答弁を求める。
■黒田病院事業管理者■ 阪神地域における小児救急医療については、兵庫県保健医療計画及び県立病院の基本的方向に基づいて、県立塚口病院が阪神南・北両圏域における中核的な役割を果たすこととされている。これらのことを踏まえ、県立尼崎病院と県立塚口病院との医療機能の再編を進めており、本年10月から県立塚口病院においては、小児、新生児病床を38床から54床に増床するとともに、それらに見合った人的体制を整備するなど、体制の充実を図っているところである。
特に、その中で、看護師の体制については、兵庫県全域をカバーする小児の3次救急医療機関として、高度な救命救急医療を提供している県立こども病院、あるいは同様の機能を有する他府県の小児専門病院等の看護体制も十分に比較考慮した上で、体制の整備を行ったものであり、これらの体制と比較しても遜色のない体制としているところである。こうした体制を整備して、県立塚口病院が担うべき小児救急医療サービスは適切に提供できるものと考えている。
少人数学級の拡大を
■宮田しずのり委員■ 適切に対処できるという答弁であるが、現実に現場ではいろんな問題が起こっているということであるから、これはいろんな医療問題、事件になっているが、そういった事件が起こる前にきちっとした体制をとるべきだと思うので、ぜひ今後、検討をお願いしたい。
次に、少人数学級の問題について質問する。
我が党は、一貫して30人以下学級の実施を求めてきた。今度の県議会でも取り上げたし、また多くの県民の皆さんと、今、一緒に署名運動にも取り組んでいるところである。こうした中で、去る12月6日の新聞では、今度は京都市が全市立中学校で来年度から30人学級、これは35人ではなくて30人学級を京都市全域で導入するということが報じられた。この30人学級の実施で83学級ふえると、そして1学級の平均の生徒数が今までの35.1人から27.2人に減る。先生が本当に一人一人に目配りしやすくなるというふうに書かれている。これに必要な予算は、3億5000万円が必要であるが、これは市が負担すると書かれていた。この例とあわせて、30人学級というのは、県段階でも秋田、山形、福島の3県でも実施されているし、これから全国の自治体に広がっていくというふうに考える。
本県でも、中学生の自殺などの問題が本当に多発する中で、一人一人に先生がもっと目配りできて、そしてわかるまで教えることができる少人数学級の実施が非常に強く望まれているというふうに思う。県では、35人学級を小学校の1、2年生で実施をして、そして3年、4年生まで段階的に実施をするとされている。知事も少人数学級の重要性は十分に認めておられると思うが、かねがね、要は予算の問題だと述べておられる。私は、基本的には、この30人以下学級をめざしながら、当面、35人学級を、小学校高学年はもとより、中学校まで実施をしていただきたいというふうに思っているが、知事はこの点についてはどのように進められるのか、具体的にお話をいただきたい。
■吉本教育長■ 少人数学級の推進については、かねてから申し上げているとおり、地域や学校の実情を踏まえつつ、個に応じた教育を進め、児童生徒一人一人の発達段階に応じた、きめ細かな指導の充実を図るため、小学校低学年では複数担任制等との選択により35人学級編制を、その後の高学年では、専門性を生かした教科担任制の充実に取り組むこととしている。また、中学校においても、学習指導面での少人数学習の推進、生活指導面でのスクールカウンセラーの全校配置など、教育活動全般にわたり、きめ細かな指導の充実に努めてきているところである。
このことについては、国における行政改革が推進される中で、第8次教職員定数改善計画が見送られ、新たな教職員定数の改善が図られない大変厳しい状況の中、これらの取り組みを進めようとしていることに、ぜひご理解願いたい。
■宮田しずのり委員■ 知事にもう1回、この点お聞きしたいが、今、4年生まで35人学級を実施するという方針は去年出ている。これは段階的にということであるが、どういうふうに進められるのか、その点だけ知事に伺いたい。
■井戸知事■ 順次、学年進行で進めていくということを申し上げてきており、基本的には来年度は3年生まで、複数担任制と35人学級とのいずれかを選択することができるように市町村に枠組みとして示していけるようにしたい、このように考えている。
フェニックス計画尼崎沖埋立地の土地利用について
■宮田しずのり委員■ 3年生まで拡大するということである。できたら、もう少し進めていただきたいと思うが、ぜひ、今後、積極的に進めていただきたい。
もう一つ、今度は個別の問題で、尼崎に今、フェニックス計画で尼崎沖の埋立事業が進められているが、この跡地利用について1点お聞きしたい。
今、管理型区間で96%、安定型で93%まで埋め立てが進行している。現在のペースでいくと、平成23年度ぐらいに埋立処分が恐らく完了するのではないかと聞いている。そこで、この埋立地の利用について、尼崎の市民の皆さんからは、野球場とかサッカーなど、いろんなスポーツができるグラウンドなどの施設をぜひ整備してほしいという要望が私のところにたくさん寄せられている。私も、この用地は21世紀の森構想の用地の中であるから、本当に県民の皆さんが家族ぐるみで安心して楽しめる健全な憩いの場として、またグラウンドなど、県民が気軽に安く利用できるような、そういうスポーツ施設なども含めて、ぜひ整備をしてほしいと願っている。
そこで、この完成後の土地利用については、知事のところへ、いろんなところからいろんな要望だとか企画が持ち込まれていると思うが、またこれからも持ち込まれると思うが、私どもの提案も含めて、住民参加で十分な議論をして進めていただく、決めてもらいたいと思う。
特に、部局審査でこの点を質問すると、尼崎と協議しながら住民の意見も聞くという答弁であった。しかし、ここは甲子園球場のざっと28倍、113ヘクタールという広大な面積を持つ用地であるから、地元の負担にならないように、県の事業として、ぜひ住民参加でいろんな方向を決めていただくということについて答弁求めたい。
■井戸知事■ 尼崎沖の埋立地の土地利用についてであるが、計画段階から参画・協働のもとに港湾計画を改訂する際に、パブリックコメントも行いながら、広く県民の意見を聞きつつ、埠頭用地であるとか港湾関連用地、工業用地、そしてお尋ねの緑地等の土地利用計画を定めていく。平成23年ごろに廃棄物の受け入れが終わるので、具体的には、それ以降に道路、上下水道等のインフラ整備を行う必要があるので、具体の事業計画を定めるのは、それから数年先だというタイミングであろうかと思う。グラウンドなどの運動施設や当地区にふさわしい文化施設を整備するかどうかということも含めて、緑地等の具体的内容についての土地利用計画を検討していくことになる。検討に当たっては、尼崎市とも協議しながら、事業主体を、県がするのか、尼崎市がするのか、あるいは民間にやっていただくのか等々も含めて、計画を定めていくことになろうかと考えている。
いずれにしても、21世紀の森にふさわしい土地利用を考えていく。
平均95%以上の高い落札率、23億円・100%の落札金額も
■宮田しずのり委員■ 次に、公共事業のあり方について3点質問する。
まず、入札制度の改善についてである。
福島、和歌山、宮崎県の各知事や県の幹部が相次いで逮捕され、そして官製談合による公共事業のむだ遣いが大問題になっている。また、官製談合でなくても、企業間における談合は、ほとんどの公共事業で行われているというのは、業者団体そのものが認めているところである。兵庫県でも、中町土木事務所の幹部職員が入札価格を業者に漏らして、そしてわいろを受け取るということで逮捕されるなどの事件もあった。この談合や不正、腐敗の背景には、幹部職員の天下りの問題がある。この点では、兵庫県も無関係ではないというふうに思う。
こうした中で、県としても汚職や談合を防止していく上で、まずは入札制度の改善が急務だと思う。
そこでお聞きするが、昨年17年度の県土整備部の工事における入札別発注件数、つまり一般競争入札、公募型指名競争入札、指名競争入札の三つがあるが、県土整備部が発注した事業は、それぞれ何件ずつになっているかということを、資料があると思うので、答弁願いたい。
■原口県土整備部長■ 平成17年度に県土整備部で入札を行った建設工事は全体で3131件である。このうち、一般競争入札と、お尋ねのあった公募型競争入札、これは制限付き一般競争入札と我々は呼んでいるが、これをあわせた実施件数がトータルで30件である。
割合で申し上げると、件数で見て約1%、金額ベースで見ると約20%といった状況である。
■宮田しずのり委員■ 件数でいうと、3100件以上の発注件数の99%が指名競争入札、一般競争入札はわずか3件だけ、この指名競争入札というのは、県があらかじめ業者を複数選定して、その業者だけで入札をさせる方法であるから、これが一番少数の業者同士で最も談合がやりやすい制度だということである。この方法を兵庫県はずっと採用しているわけであるが、その結果、最近数年における県発注の5億円以上の大きな建設工事の落札率を見ると、2003年――平成15年には17件あり、落札金額全体では298億円、この17件の平均の落札率が96.1%、中には、加古川の流域下水道の工事などは23億円であるが、100%である。2004――平成16年、これも17件あって、落札金額の合計が278億円であるが、これの平均の落札率は97.84%、ざっと98%、それから2005年の13件、これは222億円であるが、平均が95.08%、こういうふうに96%あるいは98%というような非常に高い落札率である。
公正取引委員会によると、この間、談合ということで断罪をされた橋梁事件では、不当利得の平均値が18.6%、2割近く高値で落札されているという指摘がされているところである。県のほとんどの事業が平均95%以上という高値の落札から見ても、これは談合が行われていたと見ざるを得ないと思う。ところが、入札制度の改善という点では、県はいろいろとやってこられたと説明されるが、抜本的な対策にはなっていないと思う。
長野県では、原則として全工事を一般競争入札にする、また宮城県では、原則1000万円以上の工事を一般競争入札に切りかえると、両県とも2005年の県発注の工事の落札率が75%にまで下がったというふうに報道されている。
本県と比べて20%ぐらい落札率が違うわけである。もし、この入札制度の改善が行われて、落札価格が、例えば県の場合、20%下がったとすると、17年度の県土整備部の発注工事だけでも40億円からの縮減ができるし、県全体では、行革では3400億円の公共事業を優先確保するということになっているが、これに当てはめると、700億円からの縮減ができるということになる。
そこで、この公共事業のむだを省くために、直ちに本県として原則1億円以上の公共事業は一般競争入札に切りかえる。そして、指名競争入札をなくすということがどうしても必要だというふうに思う。その入札方法は、全国でもいろいろやられているが、封書などで出してもらって、当日まで担当の職員もわからないというぐらいのところもあるが、そういった方法も含めて、この入札方法の改善が必要だと思うが、この点についてどのように考えておられるか、答弁を求める。
■原口県土整備部長■ 一般競争入札の対象範囲を広げて、ふやしていくということについては、多くの企業に入札参加の機会を与えるとともに、談合など不正行為の排除に一定の効果があると考えている。
一方、県としては、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」の趣旨を踏まえた中小企業者の育成、災害時に協力をいただいておること、さらには河川や道路等公共施設への愛護活動にも参加をいただくなど、社会貢献をしてもらっている県内建設企業の健全育成といったことも一方で重要な課題であると考えている。
したがって、談合など不正行為の排除と競争性の確保に加えて、県内企業の健全な育成と、こういったことが調和した入札方式として、完全な一般競争入札ということではなく、地域や企業規模の条件を付して、いわゆる制限付き一般競争入札、こういったことを今後検討してまいりたいと考えている。
県幹部73人がゼネコンなどに天下り
■宮田しずのり委員■ ちょっと時間が押してきているので急ぐが、少額のものまで全部とは言っていない。今、私は、少なくとも1億円以上のものについては、これは中小企業といっても大きなところが中心になってくると思うので、ここについてはきちっと、全部、一般競争入札に切りかえるべきだということを述べているので、その点を踏まえて、今後改善を求めたい。
そこでもう一つ、この談合の問題に関連して、天下りについて、これは知事にぜひお尋ねしたいが、人事通信社の幹部職員録を調べてみた。県幹部がゼネコン企業とかコンサルなどへの天下りをしているが、平成17年度、大林組、鹿島など、大手の企業を初め73社に現在、県幹部が在籍をしている。知事、これは県土整備部などに在籍、当時関係のあった企業へ県の幹部職員が、これほど今大量に天下りをしている実態であるが、これをどう見ておられるのか。しかも、この3年間だけでも5億円以上の県の工事のその66%を、天下りをしている先の企業が請け負っているということになっている。これも本当に異常だと言わざるを得ない。談合の温床と言われるこの天下りを、このまま放置することはできないと思う。
そこで、今後、県幹部職員が関連企業への天下りをするということは直ちに禁止をすべきだと思うが、どうお考えか。
■井戸知事■ 一般競争入札にすれば談合がしにくくなるということは言えても、それで談合がなくなるかどうかという保証は、実を言うとない。ただ、しにくくなるだろうなという形で運用されてきている。ただ、1回目はいい。しかし、2回目、3回目になってくると、たたき合いのダンピングが起こって、結果的に地元の業者が駆逐されて、地域経済を疲弊させて、職場を奪って、そして地域の活性化に対して問題点を起こしてしまうという指摘もある。
そのような意味で、先ほど原口部長が答えたように、総点検をして問題点を踏まえた上で検討する必要があるが、直ちに全部が全部一般競争入札がいいのかどうかについては慎重に検討したい。
しかし制限付き、つまり一定の条件を課しながら、その条件の枠の中では一般競争入札を行う、制限付き一般競争入札をできるだけ広げていくということにすることとあわせて、事前監視はもとよりなかなかできないが、事後監視、ご指摘があったような落札率がかなり予定価格に近いような契約については、事後的に、私も本会議で答弁させていただいたように、入札監視・苦情処理委員会という外部委員会をつくっているので、そこできちっとチェックをしてもらう、そのように事後監視を徹底していく。それから事後公表、どういう業者の皆さんの中から契約対象者が選ばれていったかという情報の公開をしていく、事後公表を徹底する。これらのことをあわせて行うことによって担保していくことが一つかなと考えている。
それからもう一つ、今、天下りの話があったが、県の技術職員は、ある意味で非常に優秀な職員の集団である。その優秀な職員の集団が、定年退職したから直ちに今まで培った技術力や能力を社会貢献せずに遊ばせるということは、私自身はいかがかと思うし、職業選択の自由ということとの関連からいっても、規制を余りにしてしまうこと自身も憲法違反の問題が生じるのではないかと思う。ただ、おのずと節度がなくてはならないので、そのような意味で、大きな建設会社等に再就職する場合には、2年とか3年の一定の期間を置いた上で再就職をしているという状況にあると考えている。
そのような意味で、技術力を生かせるような企業ということになると、ただいまご指摘があったが、ある程度の、特に県の優秀な職員の技術力を生かせるような企業ということになると、おのずと、それぞれの特定された企業になっていかざるを得ないという面もあるんだということをご理解いただきたい。
■宮田しずのり委員■ 今までずっとこの議論をしてきたが、前から、技術力を持った職員の再就職の問題ということで、ずっと今まで容認されてきた。その結果、今、問題になっている談合などに大きくかかわっているのではないかという、これはもう一般論として国会でもどこでも問題になっていることである。やはり、これは私は正すべきである。今、知事は、一定の期間を置いて、例えば2年なり3年なり置いて再就職するというふうなことも言われたが、しかし、今現実に、言葉は悪いかもしれないが、迂回をして再就職しているという方もあるというふうに私は聞いているし、そういう場合でも、行った先の元職員、これは幹部である、そして、その部下だった人たちがまだ現場に残っている。そして、いろんな情報交換というのは当然あり得ると見て当然だと思う。だから、そういうことが今、問題になっている。
だから、きちっと天下りの問題を正していかないと、これは県民の税金だからこそ私は言うのである。県民の税金が、不当に入札価格がつり上げられて、それがむだに使われていると、そういう問題を正していく根本的な問題の一つだということで、この天下りの問題が今、議論になっているわけである。そういう問題としてぜひ受けとめて、今後改めていただきたい。
■井戸知事■ 私は、実を言うと、県庁のOBが談合に携わって、例えば刑事当局に逮捕されたという事例を余り寡聞にして聞かない。そういう意味からすると、談合に携わっているみたいなことを今言われた、談合が生ずるのは天下り職員がいるからだと言われたが、私はそんなことはないと思う。情報の連携というのはどこでもある。だから談合を起こさないようなシステムや体制をどうやってつくっていくか、これは重要なことであるし、私は、本会議でも答弁したように、兵庫県のシステムは談合を容認するようなシステムではない、非常によくできたシステムだと思っているが、さらに念のために点検をして、なすべきことがあるならば、対応していきたいとお答えしたとおりであり、そのような対応を今後も続けていくが、ただ職員が自分の能力や技術力を生かすために、一定期間過ぎた後、特定の技術力を生かせる会社に再就職したら、それが談合の温床だと一概に決めつけられるのは、私は、それ自身はいかがかと思う。
武庫川の治水計画について
■宮田しずのり委員■ これは今、本当に公共事業全体をめぐって議論されている問題であるから、今の答えには納得できないが、時間がどんどん迫っているので、次の質問に移る。
公共事業の2点目は、武庫川治水計画についてであるが、本会議の私どもの議員の一般質問で、県が主張する以上に武庫川の下流には流下能力があるのではないかという点が、武庫川の治水計画に当たって解明すべき重大な問題として浮上してきた。我が党議員が流域委員会でも何度も指摘をして、川底の表層ではなく、川底の表層よりもさらに30センチ深いデータで算定をすれば、毎秒700トンも流下能力は今よりも多くなるという可能性があると、そして実に現在の武庫川下流には、武庫川ダム1個分の流下能力が既に余分にあることになるということを再三、いろんなデータも使って明らかにしてきた。
毎秒700立方メートルも流下能力が今よりも多いということになると、武庫川ダムは要らないということになるし、県が主張してきた土台が大もとから崩れるということになる。だから、これまで県も、あるいはコンサルも下層で考えるべきではないということで、表層で考えるのが正しいということをずっと主張してこられた。ところが、武庫川と同じコンサルが行っている千種川の治水計画と市川の治水計画の報告書をそれぞれ見ると、いずれも川底の表層ではなくて、それより深い下層のデータを算定の根拠にして流下能力の判断を行っている。
武庫川流域委員会では、下層で考えるようなことはあり得ないかのような主張をずっと続けてこられたが、県の別の河川計画では下層でやるのが妥当という立場をとっている。一体、武庫川流域委員会で県やコンサルが言ってきたことは一体何だったのかなというふうに思うが、ご都合主義そのものだと言われても仕方がないと思う。
そこで、この下層のデータに基づく流下能力の再計算をして、全面的に検討をやり直すべきだと思うが、いかがか。
■原口県土整備部長■ 流下能力のご指摘の差であるが、洪水痕跡などから求めた逆算粗度係数と、県が算定に使っている河床材料から推計した粗度係数の相違、どちらをとるかによって流下能力に差が生じている。いずれを採用するかということについては、これまで47回の武庫川流域委員会において議論され、この中で河川工学の専門委員の方からは、1回限りの洪水実績から算定した逆算粗度係数を使えば、少し流下能力を過大に評価する可能性があるということで、安全を基本とする河道計画を立てていく上では、県が提案している推定粗度係数を用いた算定が妥当であるという意見が出され、流域委員会でも了承いただいている。
このたび、河川審議会委員の意見も踏まえて、平成16年度の出水後に河床材料の調査をしている。その河床から30センチ下の河床材料で粗度係数を推計している。この結果を見ると、表層と下層で粗度係数が変わらない、全く同じ数字が出たということを確認している。
いずれにしても、武庫川の河川計画については、今の粗度係数の設定の考え方も含めて、今後、河川審議会治水部会に諮っていくこととしている。その中で十分説明し、その妥当性等についても意見を伺いたいと考えている。
■宮田しずのり委員■ 今、答弁のあった下層のデータに基づいて計算もしたというふうに答弁があったが、武庫川の場合は確かにやっておられるが、これは河口から2キロメートルの区間だけである。市川は河口から18キロメートル、千種川は21キロメートルにわたって計算がされている。武庫川の場合は、河口からほんのちょこっとやっただけであるので、これでは市川だとか千種川だとかいうようなところと同じようなデータは出てこないと思うので、これは、これだけ大きな問題になっているわけであるから、いろんな疑問や提案がされると、これについてはきちっと受けとめて、それぞれできることは全部検証してみる。あるいは計算して、みんなが納得できるようにやってみる、これが県の姿勢だと思うが、千種川と市川でできたことが武庫川ではやらないと、これでは県民は納得できないので、これは今後改めていただくということを主張して、次にもう1点伺う。
園田西武庫線の街路事業について
■宮田しずのり委員■ 園田西武庫線の街路事業について伺う。
この問題では、私が部局審査で総額82億円に及ぶ移転補償の対象物件が、道路が直接当たる菱彩テクニカという三菱電機の子会社の工場移転のために、南ヤードと呼ばれる倉庫あるいは旧避雷器工場、それに総合研究所、作業所、倉庫、この六つの建物があることが明らかになった。私はこの六つの建物のうちに、道路建設とは直接関係のない総合研究所、それから作業所、倉庫の三つについては、補償対象にはならないし、補償対象から除外して事業費の縮減を図るべきだという主張をした。
これに対して当局は、業務を停止しないで、この街路事業を推進するためにも玉突き移転は必要だったと、そして研究所の建てかえ補償の理由としては、構内の道路を通る大型トレーラーが角を曲がるのに、ちょっと角にトレーラーが当たるので、その建物を建て直す必要があるという説明であった。私は改めて、もう時間がないからまとめて言うが、この建物というのは、今、コの字型になっているが、この横の方が63メートル、縦が75メートルもある非常に大きな研究棟である。その研究棟の一画を車が通るのに角が当たるから建物全体を建てかえるということは全然その対象にはならないということが言えるのではないか。
それからもう一つは、この建物というのは、震災で大被害を受けて、ほとんど使われていない。そして三菱が当然建てかえようとした建物だと思う。県がどれだけ補償するかわからないが、しかし建物全体を建てることは明らかだと思う。しかも、今は古い建物で3階建てだと、それを恐らく5階か6階建てか、あるいはそれ以上建てるのではないかと思う。そういった建物までどうして補償しなければならないか、また、全く関係のない作業所とか倉庫まで補償する、これは何回考えても妥当ではない、適切ではない、間違っているというふうに思うが、もう一度この点、再検討すべきだと思うが、答弁願いたい。
■原口県土整備部長■ この公共事業に伴う三菱のような物件に対する損失補償については、もう既に閣議決定されている「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」、こういったものがあるが、その内容に沿って、県が損失補償基準をつくっている。これに基づき、支障となる施設の機能回復を図る。現状持っている機能を回復する、こういうことを基本として、これまでより対応してきているところである。
今回の補償については、直接支障になるのは、先ほど話があった菱彩テクニカ、研究棟の一部などである。そのほか、研究棟及び倉庫が3棟あるが、これらが直接支障にはならないが、菱彩テクニカが三菱と一体的な生産体系の中に組み込まれている。したがって、その敷地内に移転先を見出さないといけない。あるいは旧避雷器工場が直接支障になるが、これは倉庫として使われているが、それの代替の位置をどこに求めるか、こういったいろんな移転の仕方を検討して、その中で最も合理的、経済的な補償工法として、現在のような案になっているわけである。
いずれにしても、まだ最終決定ということにはなっていないが、今ご指摘のあったことも含めた補償工法と補償額については、今後、部内の公共用地補償審査会に諮っていくことになる。ここで十分審査し、適正な補償内容になるように努めてまいりたい。
■宮田しずのり委員■ 今後、検討もするということもあったが、本当にそれこそ160億を超えるお金を使って909メートルの道路を建設する事業である。1メートル当たり1800万からかかる、そういう大きな事業で、そしてその事業費の半分、82億が三菱電機に対する補償である。本当にこれは、一つの工場を移転するのに、玉突きでそうなったということであるが、これは本当に徹底して見直しをしてやっていただきたい。私も地元であるから、これは引き続いて、いろんな議論をしていきたいと思う。
いよいよ時間がなくなったので、答弁を準備していただいた方には申しわけないが、環境問題、神戸製鋼所の問題であるとか県職員の問題については、残念ながら省かせていただく。
最後に一つ感想というか、知事に来年度の予算編成の基本的なあり方、姿勢についてお伺いしたいと思うが、この本会議の代表質問とか一般質問、あるいはこの決算の審査をしてきて感じることだが、本当に改めて大企業に対するいろんな優遇措置が多過ぎるのではないかと、多過ぎるというか、優遇され過ぎやと思う。例えば、松下電器のプラズマディスプレイ工場に対する90億円からの補助金があるが、この補助金のあり方、それから今申し上げた三菱電機の移転補償に対する物すごい高額な補償とか、あるいは神戸製鋼所の問題は、きょうはもう時間がなかったが、データの改ざんに対する県の対応も非常に甘いというふうなこととか、あるいは入札にかかわって、かなりの公共事業は縮減ができるということを改めて実感をしたところであるし、但馬空港の問題も取り上げた。これも100億からのお金をつぎ込んで拡張工事が進められようとしているが、こういった本当に大きな企業に対して、あるいは大きな事業を見てみると、まだまだ大もとから見直しをする必要があるということを改めて実感をした。
一方、私たちが子供の医療費を中学校まで対象にして拡大するということの提起であるとか、あるいは30人学級の中学校までの実施ということを求めたり、いろんな提案も行ってきた。こういう提案の中で、特に子供の医療費については、パフォーマンスだとか、財源の当てがないというふうなことの批判もあったが、全く当たらない。我々の提案こそ、本当に県民の声に的を射た提案だったということを改めて実感をした。
こういうことで、来年度はぜひ県民の福祉や暮らしを守っていく、それを第一に考える、そういう予算編成にしていただきたいということを強く要望して、時間が来ているので、もう答弁は結構であるので、ぜひそういう方向でやっていただきたい。 |