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2005年(平成17年)度決算特別委員会歳入審査 筒井もとじ
2006年12月5日

「三位一体改革」による地方交付税の削減

■筒井もとじ委員■ 日本共産党県議団の筒井もとじである。質問をさせていただくので、よろしくお願いする。
 本県における平成17年度の三位一体改革について、まず質問する。
 政府は、税源移譲として国民健康保険国庫負担金など、引き続き地方で実施する必要のあるものには、平成17年度は1兆159億円程度、所得譲与税で財政措置、または義務教育費国庫負担金等、今後その額が大きく変動すると見込まれるものについては、平成17年度は暫定措置として税源移譲約3兆円がなされることになった。
 一方、国庫補助負担金の削減については、平成17年度及び平成18年度廃止・縮減を行うことになっており、平成17年度は税源移譲に総額1兆7681億円程度の国庫補助負担金の削減を実施するとし、16年度、17年度合わせると約4兆円の削減となる。
 また、地方への削減は約1兆円となって地方にしわ寄せをされているが、平成17年度の本県の影響額はどうなっているのか。

■小谷財政課長■ 平成17年度における国庫補助負担金等の削減に係る本県への影響についてであるが、義務教育費国庫負担金、それから国民健康保険国庫負担金等の国庫補助負担金が、本県の場合、約680億円削減された。
 そのうち約570億円については所得譲与税、及び税源移譲予定特例交付金として移譲されたところである。残りの約110億円については、地方交付税により措置されたところであり、国庫補助負担金の削減額に見合う財源措置については、なされているということである。

■筒井もとじ委員■ 国庫補助負担金の削減と税源移譲は交付税によって措置されたということであるので、影響は16年度に比して少なかったと思われる。16年度の交付税削減は大きな影響があった。さらに全国の自治体からの反発があり、17年度は影響が少なかったと言えるのではないかと思う。
 しかし、今後、国は歳出・歳入の一体改革の中で、地方に一層の交付税削減が図られるものと考えるが、今後、県としてどう対応していくのかお伺いしたい。

■小谷財政課長■ 地方交付税については、日本全国どの地域でも財政力にかかわらず、学校教育、社会福祉、社会資本の整備や維持、消防、警察等の基本的な行政サービスを提供できるよう、地方税の地域間偏在を調整し、その財源を保障する地方固有の財源である。地方が安定的・自立的な財政運営を行うためには、地方交付税の総額確保が必要不可欠であるということである。
 先般、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会建議では、国と地方の税収増に伴い、地方交付税の財源に余剰が生じるということで、交付税を削減すべきという主張もなされているところであるが、平成18年度の地方財源不足は8.7兆円あり、さらに今後、53兆円もの巨額の交付税特別会計の借入金を償還していかなければいけないといったこともある。19年度以降、直ちに財源余剰になるとは考えられないことである。そもそも、地方に財源余剰が生じるという議論の前提そのものが間違っていると言わざるを得ないのかなと考えている。
 また、この間、地方については、国を上回る歳出抑制の努力を続けているということであるが、頑張った分、地方交付税を減らして国債残高の圧縮に使うというのでは地方の努力は報われないということで、そのようなことは断じて許されないと考えている。
 従来から、地方交付税の総額確保ということで、全国知事会などとともに、国などに対して積極的に働きかけを行ってきたところである。先日も平成19年度地財対策に向けて全国知事会地方交付税問題小委員会、井戸知事が委員長をやっているが、こちらの考えを取りまとめて、各方面に対して働きかけをしているし、先般、県議会議長にも参加いただいている本県の自治体代表者会議の提言を持って、本県選出の国会議員などに要請を行ったところである。
 引き続き地方交付税の総額確保について強く働きかけていきたいと考えているので、よろしくご協力をお願いしたい。

県民税について

■筒井もとじ委員■ 交付税は、地方の重要な財源であり、国に向けて交付税の財源調整機能と交付税の最大限確保のための努力をしていくべきことを、ぜひお願いしておきたいと思う。
 次に、県民税について伺う。
 個人県民税であるが、納税義務者を見ると、平成13年度から一貫して減り続けたが、17年度は一気にふえて245万5756人となった。平成16年度に比して7万4274人ふえている。県民税額も995億円余りと前年度に比して36億7000万円余りふえた。今回の税改悪―税改悪と私はあえて言いたいが、税改悪によって控除の見直しなど、人数と増額となった税額はどのくらいになると見ておられるのか。

■宗野税務課長■ 平成17年度の個人県民税収に影響する税制改正の主なものについては、委員ご指摘のように、平成15年度改正では、配偶者特例控除の廃止、平成16年度改正では、同一生計である一定の収入を超える配偶者の均等割非課税措置の廃止があり、これがいずれも17年度から実施されたところである。その影響額を可能な範囲で試算すると、配偶者特例控除の廃止分の影響が33億1900万円、影響人員は65万人、均等割の見直しが1億8100万円で影響人員が37万人であり、その他の減収となる税制改正もあることから、税制改正全体の影響額は34億7700万円となる。
 これら税制改正の影響額を除いた17年度の個人県民税の現年調定額は、均等割と所得割を合わせると960億9500万円であるので、対前年比100.2%とほぼ横ばいとなっているのが現状である。

■筒井もとじ委員■ これは多くの県民の収入が減っている中での増税であり、税の見直しで多くの非課税者が課税され、負担も大変になっている。さらに平成18年度はもっと負担増となる予定だと思われる。個人県民税の配当割及び株式等譲渡所得割など富裕層を除くと県民税は、さらに18年度からは17年度に加え、老年者控除の廃止、65歳以上の方に対する上乗せ措置の廃止、それから最低保障額に50万円を加算する老年者控除の廃止、定率減税の半減、65歳以上のうち前年の合計所得金額が125万円以下の者に対する非課税措置の廃止が加わる。この影響人員と額をどのように見込んでいるのか。

■宗野税務課長■ 委員ご指摘の平成18年度における税制改正分の影響額等であるが、総額としては当初予算ベースでは、大体79億5000万と見ている。内訳としては、一つは既に例示されたが、配偶者特別控除の廃止が影響額として4億3100万円、老年者控除の廃止が18億1000万円、公的年金控除上乗せ措置の廃止が5億6200万円、定率減税の縮減分が48億1700万円、65歳以上の非課税限度額の見直しが7700万円ということであるが、これらの制度改正については、今後の少子・高齢社会の中で、現役世代のみに過度の負担を求めるのではなしに、必要とされる社会保障費について、所得のある人については一定の負担をお願いするという趣旨のもとで改正がなされてきたものであるので、ご理解をいただきたい。

■筒井もとじ委員■ 趣旨はともかくとして、現実に増税が行われる。ことし6月から行われた高齢者への増税の影響は500万人にも及び、これが国保料あるいは介護保険料などの引き上げにつながっていっておるわけである。だから、先ほどからのお話があったように、市役所に大勢の人が押しかけるということが起こっている。これだけの人が収入はふえていないのに増税になっており、平成19年度は定率減税の全廃で大変なことになるのではないかと思われる。定率減税の影響を受けるのは若い人たちも同じである。その影響に加え、さらに若い層では、非正規雇用の急増により、1世帯当たりの年収は低下の一途をたどっている。
 総務省の全国消費実態調査によれば、県内の年収200万円から300万円の世帯は、1999年から5年間で2.4ポイントふえる。それから300万円から400万円台の人は4ポイントもそれぞれ増加をしている。一方、600万円以上の所得者は減少し、大多数が落ちて少数の者が上がっていくという二極化が進行している。一方、企業は人件費を減らし、史上空前とも言える利益を上げているわけである。
 次に、法人関係税についてお聞きする。
 小泉内閣が5年半にわたって実行した庶民への増税や社会保障改悪による負担増は約13兆円に達する。一方、大企業や大資本は12兆9000億円の減税となっている。これは研究開発減税、IT投資減税と連結納税制度の創設、欠損金繰越期間の延長などによってである。本県でも企業収益の大幅改善により、法人関係税が2年連続大幅増となったが、特に製造業では、鉄鋼で137.5%、化学で134.7%、電機144.1%、非製造業でも運輸・通信が133.1%となっているようであるが、引き続き企業減税が行われている。恒久減税の制度創設からの影響額はどのぐらいと見込んでおられるのか。

■宗野税務課長■ 平成10年、11年度の法人課税の減税については、趣旨としては、税率を国際的な水準に引き下げ、経済活動に対する税の中立性を高めることにより、企業活力と国際競争力を維持する観点から行われたものであり、その効果は企業規模に関係なく一律に享受されているところである。
 17年度における恒久減税等の影響額であるが、法人県民税で62億8600万円、法人事業税で360億3100万円、合計では423億1700万円となっているところである。
 その結果、制度が創設された10年度から17年度までの累計での影響額は、県民税で334億3200万円、法人事業税で1909億5400万円、合計で2243億8600万円となっている。

■筒井もとじ委員■ 大企業の減税は、18年度も入れると、2700億円を超える減税になっていると私どもは思っている。
 政府税調は、先日1日の総会で一層の大企業減税を盛り込んだ。2007年度税制改正に関する答申をまとめたものを安倍総理に提出をした。企業の法人税負担が軽減されると、地方税の法人事業税はさらに大幅減収となり、非常に大きな問題である。空前の利益を上げていると言われる大企業に応分の負担を求めれば、庶民増税をすることなく、大幅な財源が確保できると思うが、その点はいかが思われるか。

■宗野税務課長■ 法人課税の減税については、その趣旨は、先ほど申し上げたように、税率を国際的な水準に引き下げて、経済活動に対する税の中立性を高めることによって企業活力と国際競争力を維持する、こうした観点から行われたものである。そして、この取り扱いについては、少なくとも、18年度の税制改正の答申においては、この税率等については引き上げる、現状を維持すべき状況にあるというふうな答申がなされておるところであるが、ご指摘のように、この19年度の税制改正の答申においては、正確に申し上げると、法人の実効税率の検討に当たっては、課税ベースもあわせた実質的な企業の税負担の国際比較、さらに企業部門の活性化が雇用や個人の所得環境に及ぼす影響等について調査・分析を深め、また税だけでなく、社会保険料を含む企業の種々の負担の国際比較を今後行うとされており、法人実効税率の引き下げについて、中・長期の検討課題の一つとされておるところである。
 いずれにしても、この法人課税のあり方については、政府税制調査会での今後の審議を初めとして、国において、所得・消費・資産等の各税負担のバランスのとれたものとなるよう、税体系全般のあり方を見直す中で、国において検討されるものと考えており、県としても、その動向に注意していきたいと考えておるところである。

■筒井もとじ委員■ 大変大きな問題を質問して、そういうお答えしかできないだろうと思うが、動向を見守っていただいているだけではぐあいが悪いのではないかと私は思っている。企業減税をやらなければ、国際競争力で不利になるという議論ももちろんあるが、企業の健康保険の負担などを入れた実効税率でも負担は重くない。減税をすれば、企業の国際競争力に影響するのか、はっきりしないわけである。
 日本では、研究開発・IT減税など、既に1兆円の政策減税がなされており、実効税率は既に24%ぐらいまでなっているのではないかという見方もあるわけである。国際競争力にさらされる企業は限られている。全産業に恩恵が及ぶ法人税減税がどこまで必要かという議論は当然あろうと思っている。赤字財政下で減税分を補う増税が必要となり、消費税の論議に発展することは目に見えており、ツケは国民負担に及んでくる。
 大企業に応分の負担を求めるとともに、消費税を上げないように国に求めるべきだと思うが、これも大きな問題であるが、県としてはいかがお考えか。

■荒木企画調整局長■ 大変難しい質問ではある。国税、それから地方税を含めて税制のあり方については、今、委員のご指摘もあったが、法人・個人というものに限らず、社会経済情勢の中で法人の果たすべき役割、個人の果たすべき役割という観点とともに、それから資産であるとか消費であるとか、所得といったさまざまな要素の中で議論されてきているし、今後議論されるべきものだと考えている。
 私ども地方に携わる者からすると、国税と地方税のあり方の中で、国税の内容によって地方税の公平で安定的な税収確保がなされないということになるならば、地方財政を運営していく者として、権限であるとか責任であるとかというものを求めていく上で非常に強い関心を持っているところである。午前中にもご答弁したが、外形標準課税を法人事業税に導入したのも、そのような趣旨である。
 そのような中で、地方税にとって著しく不公平で減収となるような場合については、いろんな活動を通して国にも申し上げてきたところであるし、今後ともそのようなことは当然のことながらやっていきたいと考えている。
 なかなか難しい問題ではあるが、あくまでも地方の立場で、地方財政を運営していく立場で物を言っていくべきところは言っていきたいと考えているので、よろしくお願いする。

■筒井もとじ委員■ 大手銀行に見られるように、不良債権処理の過程で損失を計上してきたこと、業績の急回復にかかわらず、法人税納付はほとんどない。90年代後半以降赤字経営の企業も同様である。従業員はリストラ、離職や賃金大幅削減で、企業のみ優遇されるのは納得がいかない。企業減税が従業員に直接恩恵をもたらしていないというのが今の賃金の状況ではないか。減価償却税制の見直しなどは、結局投資促進税制と言わなければならないと思う。
 私は、先日、毎日新聞だったと思うが、投書欄を読んだ。政府は国民に対し、支出・歳出と大幅負担増を求めている中で、そういう中で、企業減税は国民感情の逆なでである。法人税の基本税率は、1987年42%が99年には30%、地方税分も合わせると実効税率は39.54%、その穴埋めが消費税だった。経団連の求める10%幅の減税には4.4兆円、その穴埋めは消費税2%の引き上げに相当する。企業は社会的責任としての能力に応じた社会的負担をすべきだと、こういう投書が載っていたが、私は多くの国民の気持ちが、こういうことを知っている人であれば、言う言葉だろうと思う。
 次に進む。資本金1億円を超える法人を対象に、従来の所得割の4分の1については付加価値割と資本割による外形課税が適用されることになった。税負担の公平性の確保と応益性の明確化、課税の安定化などのために導入されたと言われるが、17年度の法人事業税における影響はどのようであったのか。現行の税収額と制度導入前の税収額を比較して、どれぐらいの増収効果があったのかお尋ねする。

■宗野税務課長■ 法人事業税の外形標準課税の税率については、資本金が1億円超の法人を対象に、平成3年度から12年度までの10年間の法人事業税の平均税収の4分の1に相当する額となるように設定されたものであり、基本的には税収のニュートラルというのが考え方である。
 そうした中で、17年度における外形標準課税の実績額は、付加価値割額が194億4500万円、資本割額が107億3000万円、合計で301億7500万円となっている。これらの外形標準課税対象法人の法人事業税収が819億9900万円となっていることから、17年度は、外形標準課税額の割合が、先ほどの率でいくと、約36.8%である。これは制度設計時の、先ほど申し上げた4分の1を超えているので、現時点では、3年度から12年度に比べて、17年度の法人所得割額の伸びが低いと想定されるところである。

■筒井もとじ委員■ どうも、まだよくわからない。景気がよくなって税収がふえれば、外形標準課税よりも普通の徴収の方が率がいいということになるのではないかと思う。制度導入の一つの目的は、赤字法人も応益負担をすることにあるが、それであれば、十分な調査も必要だろうと思う。
 外形標準課税については、神戸県税事務所の外形標準課税調査課が設置されており、県内800企業のうち、40企業を調査されていると承知しているが、どのような調査を何人で行っているのか。

■宗野税務課長■ ご質問の神戸県税事務所外形標準課税調査課は、外形標準課税が国税に準拠しない独自の制度であり、企業会計や財務諸表等について専門的な知識が必要とされることから、県下の全対象法人の調査を効果的・効率的に行うとともに調査手法の蓄積を図るため、平成17年度に設置したものである。
 当課においては、平成17年度は黒字法人21社と赤字法人19社の合計40法人を調査し、引当金・未払い処理の計算誤り、本来計上すべきでない非課税通勤費、共益費等の誤計上などについて修正申告指導・更正などした結果、合計で106万円税額が増加したものである。
 こうしたことから、今回の調査の内容としては、悪質な脱税等は見られないという状況ではあるが、片方で、制度導入から間もないこともあり、外形標準課税の算定ルールを見逃しているケース等が多く見られるため、適正指導等を行っているところであり、現在、神戸の外形標準課税調査課は、ここは集中的に調査をする組織であるので、課長含めて課員3名という体制である。

実質公債費比率について

■筒井もとじ委員■ 外形逃れというような、そういう点、なかなか見つけるのは難しい、判断するのが難しいということはあろうかと思うが、しかし、もう少し職員もふやし、体制を強化して、そういうことのないように、評価すべきであると同時に、赤字法人の外形標準課税額もわかるように把握をしていただきたいと思う。そのことを要望しておきたい。
 次に、実質公債費比率について伺う。
 地方債が許可から協議制に移行する中で、これまでの起債制限比率の算定対象であった公債費に加え、新たに公債費に準ずる経費と基金の残高に対する不足の率を加味して算出できるという制度が導入された。よりシビアに財政状況を把握できるものとなり、この指標が18%を超える場合は地方債の許可団体となるそうである。
 本県の状況を見ると、19.6%と非常に厳しい。もちろん復興関連の起債の影響もあるが、その影響額を除いても15.8%という厳しい状況にある。財政運営の厳しい状況では、起債の縮減が必要だと考えるが、今後の見通しをお伺いしたい。

■小谷財政課長■ 実質公債費比率は、公債費に加え、新たに公債費に準ずる経費、それから減債基金のあるべき残高に対する不足率を加味して算出される。本県の場合、創造的復興と成熟社会に対応するため、行財政構造改革推進方策を策定し、その中で県債管理基金の計画的な活用を行ってきた。その活用により残高が減少した。約3000億円の積立不足があるため、算定上、比率に加算され、数字が19.6ということになってしまった。
 委員から今ご質問のあった本県の実質公債費比率を改善するためには、算定上、県債管理基金の残高不足を回復するために多額の積み立てを行うと、これが一番数字上の効果はあると考えている。しかし、大変厳しい環境のもと、限られた財源の中で元気な兵庫づくりをめざしていく必要がある。こうした状況で県民福祉の向上に必要な事業の抑制によって数値を改善することのみを目的として多額の基金積立を行うことについては、今後の財政運営としては困難ではないかと考えている。
 まずは他の特定目的基金の県債管理基金への有効活用を検討するとともに、中・長期的な実質公債費比率対策については、今後の行財政運営方針の検討とあわせて、人件費、投資的経費、それからその他の行政経費、総合的に検討していきたいと考えている。

県債について

■筒井もとじ委員■ その改善に当たっては、福祉や教育などの削減ではなく、起債による公共事業の削減をより実施すべきことを指摘して、次に県債の問題を伺う。
 平成17年度決算の県債発行額は2289億円と、前年に比べ少し減ったが、県税収入の約4割に相当し、投資事業は相変わらず、借金に大きく依存している。しかも県の普通会計ベースで見ると、実質的将来財政負担額は3兆6452億円となり、標準財政規模の約4倍にもなり、将来にわたり、異常な負担となっている。また、県債残高は全会計で4兆350億円、一般会計でも残高3兆1584億円となっている。
 いつも指摘しておることであるが、本腰を入れて県債発行を抑制していかなければならないと思う。特に、国直轄事業は、本来、国が全額負担すべきものであるにもかかわらず、地方に負担をさせているものもある。しかも、そこに地方債を充当するのはやめるべきだと考えるが、いかがか。

■小谷財政課長■ 地方債は、委員ご指摘のとおり、世代間の負担の公平化、年度間の財源調整機能を有している。その恩恵を将来世代も受けることとなる公共施設等の社会基盤整備を実施していく上で必要な財源であると認識している。
 一方で県債に対する過度な依存については、これも委員ご指摘のとおり、後年度負担の増大を招き、財政状況を悪化させるということがあるので、本県は、これまでより行財政構造改革推進方策に基づき、安定的な財政運営を確保できる範囲内、具体的には、一般会計の起債制限比率を15%台内にとどめる範囲内というたがを設けて県債の計画的活用に努めてきた。そういったことで県債残高の抑制がなされるように、これまでも取り組んできているところである。
 ご質問の国直轄事業であるが、現行の道路法、河川法等の法令において、効果及び受益が地方公共団体にも波及するという考えに基づいて定められた割合について地方が負担しているところである。この地方負担額については、地方財政計画において一般財源及び地方債で措置されている。また、地方債の元利償還金に対しては、一定の交付税措置もなされているところであり、地方債を活用して対応している。
 なお、これまでより、国と地方の役割分担を見直す観点から、国の資産形成のための地方負担である国直轄事業負担金は廃止されるべきであると考えているところであり、本県も国の予算編成に関する提案や、全国知事会の場を通じてこれまでも主張してきているところであるし、今後も主張していきたいと考えている。

河川占用料について

■筒井もとじ委員■ ぜひ頑張って主張していただきたいと思う。
 基金についてご質問することになっているが、時間の関係で後に回す。
一般公共事業、県単事業の削減に一層取り組むことを求めて次に移る。
 河川占用料について伺う。
 河川占用料の収入済額、約1億5300万円のうち、収入未済額、滞納繰越分など639万6690円あると報告されているが、これに関連してお尋ねをする。
 雪御所公園の向かい側に石井川右岸河川敷があるが、そこに車約40台が駐車できる有料駐車場があり、管理事務所の看板を立てて置かれている。その敷地の南側に神戸市の水防倉庫が河川敷内の建物として許可を得て建てている。この周辺は県の神戸土木によって最近整備されているが、この駐車場は、県の神戸土木が管理している場所ではないのか、お尋ねする。

■小林県土整備部総務課長■ ご指摘の用地については、神戸土木事務所が管理している用地である。

■筒井もとじ委員■ この駐車場及び管理小屋は、県管理の河川敷ではないのか。占用許可を与えているのか、いつから許可を与え、占用料をきちんと徴収しているのかお尋ねする。

■小林県土整備部総務課長■ 神戸市の用地については、後ほど調べてお答えさせていただく。
 駐車場については、占用料を徴収していない。

■筒井もとじ委員■ この場所では、工事の許可というものが行われておったと承知している。60日だけだったということであるが、我々の調査では、その後40年間もの間、団体が会員に――ずっとであるかどうか、その40年のころにしていたかどうかわからないが――相当長期間にわたって1台1万円で貸している。長年にわたり、この現状が続いている。周辺の者が駐車したくてもできないという状況が続いている。団体の専用駐車場に使用していることは、不法占拠そのものではないか。
 このようなずさんな管理は許されてはならないと思う。調査をし、一日も早く改めるべきではないかと考えるが、いかがか。

■小林県土整備部総務課長■ ご指摘の駐車場については、昭和41年に、「整備後は一般自由使用すること」ということを条件に河川法による承認工事として許可したものである。委員ご指摘のように、本件駐車場において、駐車料金を徴収して会員だけが借りているという状態であるならば、これは許可条件に合致していないということになるので、今後調査して、もしそういうことであるなら是正するように指導していきたいと考えている。

災害援護資金について

■筒井もとじ委員■ 一度契約、そういうことをやれば、40年も全然ないというのもおかしなぐあいである。もっと早く、こういうのはきちっと管理をし、しかるべき方向で改めていただくよう要望して、次に阪神・淡路大震災の災害援護資金貸付金の未償還件数、現在、1万8622件、金額にして289億円あるようであるが、この間、借受人、保証人とも破産や生活が困窮し、徴収が困難な場合もあり、議会も意見書を出しているが、国への償還賠償期限の延長はどうなっているか、また延長しても回収見通しがあるのかどうか、この辺のところをどう考えておられるか、お聞かせいただきたい。

■中西健康生活部総務課長■ 災害援護資金貸付金制度については、地方から国への償還期限の延長規定がないこと、また免除要件が限定的であるなどの問題点があることから、県は関係市とともに、また議会の皆様方のご支援もいただきながら、国への償還期限の延長や免除要件の拡大を強く要望してきたところである。
 その結果、厚生労働省は本年1月に「災害弔慰金の支給等に関する法律施行令」を改正し、借受人に対して市が支払い猶予を行った場合には、市から県、県から国への償還期限も5年間延長できることとなったところである。
 しかしながら、少額償還については5年間の延長をもってしても未償還金の全額を回収することは困難な状況にある。また、借受人、保証人がともに破産するなど、事実上償還金の徴収が不可能なケースについても期限延長は認められたものの、免除とする取り扱いにまでは至らなかったところである。
 これらを踏まえ、県としては、関係各市に一層の償還努力を促すとともに、国に対して、少額償還をしている者のうち、5年経過後に一括償還できない者への償還期限の再延長、また償還免除規定の拡大などについて、市と一体となって引き続き要望を行っていきたいと考えている。

■筒井もとじ委員■ 私も阪神・淡路大震災で家が全壊し、瓦れきの中からはい出したという経験を持っている。あの当時は、本当に借りなければ暮らせない人がたくさんいた。何もなくなっている人、焼けて何にもないという人もいたわけである。県、市の見舞金あるいは義援金、こういうものも余りにも被災者の数が多かったために、どうしようもない。こういう中で、金が借りられると、これに光明を見出して、そしてお互いが保証し合う、とにかく、こんなときにお金が要るんだということで、返済のことが考えられない状態の中でも借りざるを得なかったという、そういう事情があるわけである。本当にそういう状態の中での苦労して、今日まで約8割の金額が返済されてきている。こういう努力というものを私は涙なくしては語れないような努力があると考えている。
 今もお話があったように、ぜひ、5年延長だけで解決できない場合のさらなる延長、あるいはこういう災害に対する国の対応策をさらに改善する要求、こういうものを求めていただきたいとお願いして次に移る。

近代美術館の絵画賠償問題について

■筒井もとじ委員■ 次に、近代美術館絵画賠償問題について、知事が昨年、損害賠償の債権回収に努力すると言って、いまだに解決されていないと思うので、再度お聞きする。
 これは県立近代美術館が委託され、所蔵していた絵画50点を偽りの預かり証を持参した画商が受け取り、自分の事業のための担保として金融機関に引き渡した。平成13年7月、寄託者が県に対し、引き渡しを求め、神戸地裁に提訴をした。神戸地裁は和解勧告を行い、寄託者、県、画商、画商が代表する法人の4者で和解が成立をした。画商が委託者に無断で受け戻した小磯良平作品13点を含む50点のうち、既に18点が散逸、つまり金融機関で処分され、残り32点が金融会社に保管されているという実態のもと、和解は残る絵画32点の引き渡しにかわる損害賠償として1億9500万円を県が寄託者に支払い、画商は県に1億9500万円を賠償するということになった。
 昨年9月議会での知事の専決処分までの経過であるが、これに誤りはないか。

■柏 財務課長■ 今ご質問いただいた件であるが、和解協議については、神戸地方裁判所の職権で進行してきた。裁判所は、画商みずからが金融会社等から借財していたものを、画商からは、金融機関へは年額単位で計画弁済を図っているという認識があり、景気の回復とともに、好転しつつあり、県への返済は誠意を持って対応するとの陳述のもとに、その弁済された事実を確認した上で裁判所は和解を勧告した。本県としても、その事実をもって弁済は行われるものと判断して和解に応じたところであり、間違いはありません。

■筒井もとじ委員■ 私は、当時も議案討論で、画商から県へ支払われる保証はない。一体、県としての責任はどこにあるのか。1億9500万円、2億円近い公金を専決処分は認められないと主張した。その後、「画商は海外に出国しており、行方を追っている。」知事は、「今後ずっと出国できるとは考えていない、回収に努力する」と答弁されているが、その後の経過はどうなっているか。

■柏 財務課長■ 先ほど申し上げた和解の状況、専決を踏まえて県議会に提案させていただいたが、その後、画商の死亡  本年3月に死亡して、そういう予期しない事態が起きたことにより、画商本人からの債権回収は不可能となった。
 そもそも和解については問題であったとは考えていないので、一昨年の10月以来、法的な措置も視野に入れた確実な対応を図るために、専門家である弁護士に債権管理業務を委任しており、同弁護士の指導を得ながら、利害関係人であるギャラリーの残余資産等について調査を行っているところである。

■筒井もとじ委員■ どうも後手後手に対応がなっているように思う。海外で死亡した後、法定相続人は相続を放棄し、連帯債務者である法人の他の取締役らを対象に、同法人の資産調査などをしているという段階だと聞いているが、ギャラリーそのものもなくなり、本人の家もないし何もないと、取締役というような人たちが個人的責任が負えるような立場にいるわけでもないと、こういう実際上ない法人に対して、まだこの請求の見込みがないかどうか調べているなどというような悠長なことでいいのかと、これは県民や議会への責任はどう考えておるのかと、結果責任が求められておると思うので、強くそのことを指摘して、どうするかということについて、もう一度よく考慮していただきたい。
 少し時間が残っておるようなので、基金の中の県有建物財産復興基金についてお伺いする。
 17年度基金残高はゼロに近いという状態になっておる。県の建物の補修管理が必要なときのための基金であるから、もちろん基金の中だけで補修や管理が行われているわけではない、一般会計も入れられると思うが、緊急の場合などもあり得る。この基金がゼロに近いというのは、県の財政運営が非常に苦しいということをあらわしていると思うが、今後の見通しについて伺いたい。

■小谷財政課長■ 本県は、これまでから県有施設の老朽化等に伴う大規模な改築については、交付税措置のある有利な起債の活用を図るとともに、通常の維持修繕については、県有建物復興基金や一般財源により計画的に行ってきたところである。こうした中、厳しい財政状況であった平成17年度において、基金については最大限活用するということにしたため、ご指摘のとおり、県有建物復興基金の残高が底をつくこととなった。
 しかしながら、これも委員ご指摘のとおり、財政状況に見合って財源を求めている。平成14年度から平成16年度にかけては県有建物復興基金の取り崩しは行っていないということになる。その期間も、もちろんのこと、必要な施設修繕等は例年どおり実施している。今後も基金が底をついたことを理由に施設修繕がなされないということはない。
 今後とも厳しい財政状況の中、限られた財源の重点配分を行うことにより、必要な施設修繕については計画的に実施していこうと考えている。

■筒井もとじ委員■ 質問を終わるが、今後、基金の運用として、例えば明石海峡大橋関連施設整備基金など、半ば役割を終えているような基金がある。こういうものを他の基金の積み立てに回す、あるいは一般財源として使えるよう改善を求めるということで要望させていただき、私の質問を終わる。どうもありがとうございました。

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