このサイトは旧サイトです。最新情報などはこちらをご覧ください。
メニューをスキップする TOPページへ 本会議へ 予算決算特別委員会へ ニュースへ 政策見解へ 県会報告へ リンクへ スケジュールへ

2005年(平成17年)度決算特別委員会企業庁審査 宮田しずのり
2006年10月27日

採算見通しのない「ひょうご情報公園都市」

■宮田しずのり委員■ 私は、ひょうご情報公園都市の整備事業に絞って質問する。
 企業庁はこの間、地域整備事業の財政状況や経営成績をより明らかにして、県民への説明責任と会計の透明性の向上を図る目的で、平成16年度から、決算書の中に収益的収支を設置した結果、経営成績が的確に把握されるようになったと説明されている。このことに関連して、ひょうご情報公園都市整備事業について質問する。
 そこで、まず、ひょうご情報公園都市整備事業における平成17年度の収益的収支についてお聞きする。
 決算資料には播磨地域全体の収支しか計上されていないので、私は、独自にひょうご情報公園都市に限って計算してみた。同事業の昨年、平成17年度の分譲面積は2.8ヘクタールである。その販売収入は7億8000万円である。それを割り戻すと、1平方メートル当たりの販売価格は平均約2万8000円となる。これに対して費用、つまり原価は、分譲収入に原価率88.8%を掛けて算出することになっている。それで計算すると、原価は6億9300万円かかったことになる。差し引き9000万円が昨年の利益として計上されていることになる。
 まず、この点について確認するのであるが、間違いないか。

■打越企業庁総務課長■ 地域整備事業は、3地域ごとに原価率を用いて当該年度の分譲土地の原価を算出して、費用計上している。このことから、播磨地域の原価率は88.8%であるため、ひょうご情報公園都市の17年度に限っての土地分譲に係る売却原価及び利益の計算方法は、委員の見込みのとおりであり、利益は約9000万円となる。

■宮田しずのり委員■ 昨年は最大で50%引きで販売されているから、割引前の分譲価格、これは1平方メートル当たりおよそ4万円と聞いているので、これを仮に値引きせず、正札どおりに販売したとすれば、利益は約1億3000万円計上されていたことになった。
 ということは、その年の分譲収入に原価率を掛けて原価を算出するという方法でいくと、原価率が100%以下である限り、販売額の11.2%は毎年利益として計上されることになる。例えば、極端な例であるが、1平方メートル当たり4万円で売れたとして、1平方メートルしか売れなかったとしても、これは4480円の利益になる。10平米売ったとしても、これは4万4800円の利益が上がったということで計上されることになる。これは、県民から見ると、この事業は、もうかっている事業だなというふうに見えると思う。
 そこで、次に、現在の分譲価格、4万円を設定した根拠について聞く。
 これは、昨年は50%引きで平均2万8000円で分譲されているのであるが、この値引き前の分譲価格、4万円は何を根拠にして設定されたか、お聞きする。

■打越企業庁総務課長■ 企業庁で財産評価委員会等を設けており、近傍の土地の取り引きとか、近傍の土地の価格等を参考に分譲単価を決めている。平成17年度から、企業庁では企業誘致の重点期間に位置づけて分譲を開始しており、特別分譲支援制度とか分譲割引制度を用いて、最大50%の割り引きになるような制度を設けている。しかし、その結果を見ると、ひょうご情報公園都市では、平成17年度3件の分譲実績があったが、平均すると30%の割り引きになっている。

■宮田しずのり委員■ 普通物の価格を決める場合、まず原価があって、それに利益率を掛けて売り値が決められると思うが、この場合は、近隣で取り引きされている時価を参考にして決められたということである。ということは、実際の原価とは関係なく、分譲価格が時価で決められたということになる。
 とすると、この1平方メートル当たり4万円という金額は、これは利益になっているのか、採算がとれているのか、あるいは赤字になっているのか、そこのところを教えていただきたい。

■打越企業庁総務課長■ 企業庁では、地域整備事業については、県土の特性などを踏まえて、従来から阪神、播磨、淡路という地域単位で、投資や収支のバランスを考慮しながら事業展開しているので、そのプロジェクトごとの収支で赤字、黒字という判断はしていない。

■宮田しずのり委員■ もうかっているのか、もうかってないのかわからないといったものを、昨年であれば9000万円もうかったと計上しているのである。これはもう実態とは全く違うかというか、逆のことが書いてある。これは県民の声をごまかすということにならないか。

■谷口企業庁管理局長■ 我々公営企業に従事していると、常にジレンマに陥るというか、突き当たるのが、公共性と経済性ということである。3年前に、学識者とか、あるいはマスコミ、あるいは経済界の方々などからご意見をいただいて、兵庫県の企業庁の経営ビジョンをまとめている。その中に、公営企業ならではの特色のある事業を展開していくということが大きく書かれているのであるが、これは、県としての総合力を生かしていくということのほかに、私の理解としては、収益性の議論は当然大切であるが、地域振興とか公共性といったことで大変メリットがあるというか、民間企業ではとてもできないといった事業について積極的に取り組んでいきなさいという趣旨というふうに私は理解している。
 それは個別プロジェクトの議論であるが、一方で、会計全体ということになると、これは、必ず健全性を確保して、最終的に一般会計から補てんを受けることがないようにということが、我々に与えられた絶対的な使命である。その意味からは、会計全体では収益性は必ず追求しなくてはならない。
 この個別プロジェクトの収支であるが、データの補完の問題もあり、実際にすべて出していくということは、残念ながら対応はできないが、現在、3地域ごとの収支を示すことでご理解をいただいているというところである。この3地域ごとの会計を設けているというのは、いわゆる原価率を用いて、将来収支も含めて、この3地域ごとにどういった最終収支になるかという、最終収支を見通した上での数字を出しているものである。簡単にいうと、原価率というのは、将来収支を含めた収入を分母に置いて、それに対するコストを分子に置く。すなわち、100%を下回っていると、この地区では、将来的に見通して赤字にはならないということを証明している。今述べたとおり、そういうふうな会計制度をとっていて、これは公認会計士、専門の方にもご相談した上で、これでよかろうというお墨つきを得た上でスタートした制度であるから、何ら一般県民の方に説明できないというものではない。
 かつ、この3地区ごとの会計、収支を設ける趣旨は大きくは二つある。一つには、三つの特定の地域に偏らないということと、あと一つは、3地区ごとの収支をきちっと検証していくことによって、会計全体の健全性を担保していくというか、安全弁になるというふうな制度であるので、何らこれは偽った数字ではない。

■宮田しずのり委員■ 最終収支は黒字になるというようなことを見越し、やっているという趣旨の答弁もあったかと思うが、しかし、最終的にどうなるかというのは、私はこれは赤字になるんじゃないかと、後でまた申し上げるが、そう思うのである。
 今、毎年利益を計上しながら、設定どおりに売れなかったり、あるいは土地が下がったりして、最終的に計算してみたら赤字になったというような場合もあり得るのである。そうしたときに、年度年度、断片断片では黒字になっている、利益を計上している。しかし、最終的には赤字であるということになったら、今、利益を計上していることは何の意味もないというふうに思うが、そうではないのか。

■打越企業庁総務課長■ 原価率については、社会経済情勢の変化等々もあり、3年に1回見直しすることにしており、その時点でまた原価率を見直していくというシステムにさせていただいている。

■宮田しずのり委員■ 先ほど局長の答弁の中でも、専門家のお墨つきももらっているというお話であったが、包括外部監査の報告書でも、この地域一括の原価率については実態を示すものとはなっていないということが指摘されて、改善を求められていると思う。そのことを指摘しておきたいと思う。
 時間がないので、次に、第1工区だけに限って言うが、ここの事業費についてお聞きしたいと思う。
 8年前に、ちょうど商工部から企業庁がひょうご情報公園都市の事業を引き継いだときに、企業庁が提出した資料がある。それはもちろん皆さんも持っておられるのであるが、それによると、第1工区は170ヘクタール、事業費は約800億円という見積もりがされている。これは、当時一定の算出をされて出されたものだと思うが、この800億円の事業費は今、生きているのかどうか、見直しされたのか、答弁願いたい。

■打越企業庁総務課長■ 委員ご指摘の資料については、ひょうご情報公園都市事業を一般会計から企業庁に移管される前に、一般会計の資料に基づいて企業庁が作成したものである。
 企業庁では、先行投資を避ける観点から、情報公園都市については、今まで答弁しているように、段階的整備を行っているので、現行の地域整備事業の中では、そのような事業見込みは行っていない。

■宮田しずのり委員■ これは、企業庁の名前で正式に議会に出されている文書である。これはまた後で確認したいと思うが、それはきちっとしておきたいと思う。
 時間がないので急ぐが、この第1工区だけで用地費とか、造成費とか、利息などで、既に350億円執行されている。ずっと各事業ごとに見ると、私は、800億円までいかなくても、おおむねそれに近いところまでこの事業費は膨らんでくるんじゃないかというふうに思う。そうすると、第1工区だけで採算をとろうと思うと、今、170ヘクタールのうちに売却できる予定は85ヘクタールと言われているから、それを1平方メートル当たりの単価に割り戻すと、8万円、9万円ぐらいで売らないと採算がとれない事業じゃないかと思うが、その辺いかがか。

■打越企業庁総務課長■ 何回も答弁しているが、過去から進めてきた現行のプロジェクトについては、過去のプロジェクトごとの正確な収支の算定について、長い期間の費用などのデータがないこと、さらには、情報公園都市については、現在までの投資は、段階的整備を行うこととしているので、原価率の対象になっていない2工区から4工区に必要な先行投資の部分も含まれていることから、350億円のご指摘の数字だけでは1工区だけの収支は算定できないということになる。

■宮田しずのり委員■ 資料がないとか言われるが、この事業が最初に始まったのは平成4年である。そして、実際にいろんな事業が着手されたのは、まだ平成10年ぐらいだと思う。わずか10年ぐらいの間の資料がないといったら、これほどずさんなことはない。そんな言いわけは許されないと思う。それは後で訂正してほしいと思う。
 まとめて言うが、一つ一つのこのプロジェクトごとに計算していくと、本当に赤字の出るところも出てくると思う。それを、広域的な幾つかの事業を一つの会計にすることによって、一つ一つの問題を覆い隠す結果になっているというふうに思う。というのは、この播磨地域の事業というのは、播磨科学公園都市とひょうご情報公園都市、そして、二見とか、姫路とか埋立地も合わせて五つの事業を一つの会計にしている。埋立地と山林を中心にしたところを一つにして、なぜ地価が一つの原価率で計算できるのか。私は、ここにこの会計の基本的な問題点があるというふうに思うので、この点は早急に改善すべきだと思うが、部長いかがか。

■打越企業庁総務課長■ 地域整備事業会計については、公営企業法一つの会計で採算をとりながら事業を行うこととなっているが、会計の透明性の確保や説明責任を果たしていく観点から、16年度に収益的収支を設置して、建設勘定の精算を行ってきたところである。
 これについては、従来から、企業庁では、県土の特性から、阪神、播磨、淡路の地域ごとに投資バランスを考慮して事業展開していたという経緯があるため、3地域単位で精算を行ったところであり、これについては包括外部監査からも承認をいただいているところである。


前のページへ戻る このページの上へ
Copyright(c)2001-2018 日本共産党兵庫県会議員団