県立こども病院 理学療法・言語療法の充実を
■毛利委員■ 私はこども病院について質問します。県立こども病院は、35年前1970年4月、県民の多くの期待を担って開設されました。以来、ハイリスクを背負ったこどもたちにとって心強い存在となり活躍をされています。診療科目の点でも、小児科、形成外科、精神科をはじめ16診療科と多岐にわたっており、一方施設面でも10年前の周産期センター建設やファミリーハウスが設置されるなど、一定の県民の要望に応えてこられました。
ところが、県民のニーズは、この間大きく変化をしています。
そこで質問の第1は、理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)の体制強化についてです。
PTは現在、のじぎく療育センターから週1回、9時から15時まで派遣されています。最大10人の患者しかリハビリを受けることができません。PTはご存じの通り脳性麻痺や発達遅滞患者など急性期の患者にとってまた生まれながら障害を抱えてしまった患者にとっては、基本的動作、能力の回復維持を図る上で必要不可欠なものとなっています。特に小児患者の場合はリハビリだけではなく「リ・再び」をとって、「ハビリテーション=全く新しく自分にとって適した生活を作り上げていく」ということの必要性、これが求められています。
また、STについても、日々雇用が耳鼻咽喉科に週5日、形成外科等に週1日が現状です。STは、その必要性から1998年に国家資格が法制化されたばかりですが、発声や発語、脳損傷による言葉の理解など、特に成長期の子どもなどにとっては、これもまた必要不可欠のものです。こども病院で必要とされている患者の数からいってもとても日々雇用の方だけでやっていけるはずがありません。そこでお聞きします。
病院からの要望も強いと聞いております。是非、PTやSTの職員を安定的に雇用するために常勤で人数を確保し、毎日リハビリが受けられる体制をとるべきだと思いますがいかがですか。
■岡本管理課長■県立病院の職員の配置につきましては、各病院の院長、管理局長等から十分意見をお聞きをしまして業務内容や、患者数などの業務量、医学的観点からの対応の必要性、嘱託職員等の活用の是非、人的措置が病院経営にあたります影響等を十分に総合的に勘案精査の上、人的配置が必要であるとこのように判断されるものにつきましては、適切に措置をいたしておるところでございます。
こども病院におきましては、理学療法につきましては、週あたり3日で各日7人程度のリハビリテーションの実施をしておりまして、言語訓練につきましては、耳鼻咽喉科において週あたり5日で各日5〜6人、形成外科におきましては、週あたり1日で各日8人程度に行っているところでございます。これらはいずれもこども病院における業務執行の状況を十分に把握をし、業務量について精査をいたしましたが、正規職員の配置に見合うだけの業務量は生じないと判断されましたことから、それぞれ理学療法士または言語聴覚士の国家資格を有します日々雇用職員等を配置をいたして対応しているというところでございます。
■毛利委員■ 今の答弁では実態を本当に直視していないと思うんですね。
適切な措置というふうに言われます。あるいは院長先生にもご意見を十分聞いているという答弁がありました。けれども、先日こども病院行ってまいりまして、例えばPTの話でいいますと、院長先生は神戸医大から、小児科の先生ですから大変おやさしく、こどもをその目線で見ながら、医療の最前線にたっているという感じを率直に受けましたけれども、その院長先生が、こども病院に行って選任のPTの職員がいないということを不思議に思ったと、こういうふうに言っておられました。
当然要求も出していらっしゃると思いますから、「適切な措置」というのは非常に大きな間違いです。しかも看護師さんが現にそのPTの方から指導を受けて、一時もこどものところから目が離せないにも関わらずその指導を受けた内容を少しでもその発達にみあって、間接が堅くならないように、あるいは子どもの能力を少しでも発揮させたたいというふうに思っている、そんな中でもがんばってられるんですね。
STにしてもそうです。日々雇用の方が、実際には常勤の方以上に働いてらっしゃる。こういう現場からの声です。そういった意味では、外来も含め、入院患者本当に必要としているPT、STこれについて、今の答弁では納得できません。病院からの要望にも十分応えるとい形でご答弁ねがいます。
■岡本管理課長■今、私がご説明した内容では十分ではないのではないのかと、このようなことでございましたが、私たちこども病院で例えば理学療法で対応していますのは、あくまで急性期の患者さんそして高度専門的な部分についてニーズがありまして急性期の部分でもっておいでいただいている方であります。ですから、急性期で入院をされましたその方について理学療法の提供が必要だという部分について措置をしているものでございまして。例えば外から来られる方、外来の方等につきましては、特にその方について病理連携、療診連携のもとにそれぞれ地元の病院などでもってリハビリ等を受けておられる。それから、言語療法等につきましても、やはりこの部分についても適切に業務量を勘案して配置をしたしておりまして、やはり総人件費の抑制、固定費を抑制していく上で人件費の抑制というのは非常に重要な課題であるとこのように認識いたしております。そのような中で、やはり医学的に見て必要なのかどうか、業務量はどうなんだと、そしてその人的措置を行って経営に与える影響はどうなんだといったことを、総合的に勘案をいたしまして最終的にこのような措置をはかっているとこのようなことでございますので、ご理解をちょうだいいたしたい。
こども病院の成人患者(キャリーオーバー)問題の解決を
■毛利委員■ 急性期を対象と言いましたけれども。今はその時代ではありません。
入院患者も外来もリハビリもまたSTも求めているということで今の答弁では納得できませんが次に移りたいと思います。
次は、こども病院で子どもの時だけではなくその後も検査や治療のために入院を必要とする可能性も含め経過観察中の成人した、いわゆるキャリーオーバー患者についてです。現在キャリーオーバー患者の人数が増え続けその受け入れができなくなるため、他の県立、私立、民間も含め連携をしているとのことですが、患者さんたちは不安に思っておられます。
この問題では9月議会で請願が採択をされ、その中でも指摘をされています。こども病院といいながら成人になってもこども病院から離れられない患者さんが多いということで、例えば心疾患の患者では、年齢によっては弁を交換しなければならない手術をを繰り返さなくてはなりません。
先天的に病気を持って生まれ、治療を受けてきた患者にとって同じ病院でみてほしいというのは当然のことです。また、他の病気の場合も途中から引き受けてくれる病院もなく20代30代になってもこの病院に入院が必要であるというキャリーオーバーの患者さんは約300名にも及ぶとの報告が昨年7月に兵庫県も後援して開かれた「成育医療を考える市民公開シンポジウム」で発表をされています。ここでおたずねをいたします。約300名のキャリーオーバー患者に応える一体化した診療体制の充実を図るべきだと思いますが、いかがですか。
■玉置企画課長■こども病院は小児特有の疾患に対する検査、診断、治療を行う小児専門病院として運営いたしておるところでございますが、小児期から疾患を持ち思春期や成人期におきましても、引き続き経過観察や治療が必要な患者いわゆるキャリーオーバー患者もおられ、委員ご指摘の通り、今後入院が必要となる患者は300人はおられます。
また、現在5名の患者が入院されておられます。こうした患者は、今後も増加すると見ておりますが、県内にはキャリーオーバー患者に専門的に対応する医療機関がないことから県立病院として適切な対応を行う拠点機能を整備する必要があると認識しております。しかしながら、こども病院の現在の診療機能に専用病棟の確保など、小児経過後の患者に対する診療機能を新たに付加することは、早期に入院を要し高度に専門的な治療を要する多くの小児患者を抱える中で、こうした患者の受け入れ抑制につながるなど、こども病院の本来の医療提供に支障をきたすことになると考えております。
こうした事から、キャリーオーバー患者の対応につきましては、県立病院間の連携のもとで、こども病院で蓄積した患者時歴の共有化をはかりながら、診療病歴管理など一体的な継続治療が行える拠点の整備をはかることとして、現在検討を進めているところであり、患者のライフステージを含めた適切な医療を提供できるよう取り組んでまいります。
こども病院の改善計画を
■毛利委員■ 必要性を感じておられ、拠点病院の整理ということで答弁をいただきましたから、今のこども病院にすべて受け入れということにはならないというは、私も十分分かっております。そうは言っても、現に患者さんがいる中で、その方たちも含めて充実したものにしていただきたいと思うんですが、それと同時に、こども病院の施設整備に関連することなんですけれども、例えば、こういった患者さんを受け入れるためにも、現実には入院病棟でもトイレが小児用のトイレしかないと。大人用はアコーディオンカーテンでしきっただけということであるとか。赤ちゃんと20歳の青年がいっしょに狭い部屋で同室している入院しているというような実態。院長先生のお話でも、成人を正式に受け入れるためには、成人用ベッドを5床確保するためには、現在の小児ベッド20床潰さなければならないというふうにおっしゃられておられました。
受け入れの環境が整っていないという状況の中ですから、拠点を作っていくこれからの必要性は感じておられるわけですから、その整備とともに今やらなければならないことも含め、同時にこのキャリーオーバー患者だけの問題にもとどまらず、こども病院としても今のこども病院は本当にたいへんです。
例えば、実際にも見せていただいたんですけれども、狭いということが、例えば4人部屋で20.6平方メートル、それが一人当たり5.2平方メートルにあたるわけですけれどもわずか畳3畳分しかないとか、あるいは、先日行かせていただきましたら、廊下のところにまで器具がもういっぱいになっているんですね。あまりにも狭いという病室の結果そうなっているんですけれども。火事や災害が起きた時には、どうやって人工呼吸器つけたこどもがそのまま避難できるんだろうかというような心配も起きました。
時代を担う子どもとその家族を中心とした総合的継続的医療が求められるそのニーズに応えている、これも先日行ってまいりましたですが、国立の成育療育センターで見てみますと、これが約倍の広さを病室で持っているんですね。本当にゆったりとした中で入院をしている治療を受けているという状況があります。今、こども病院が建設されて35年の医療と、35年前の医療とは根本的に変化をしているというふうに思うわけです。現在のニーズにあったこども病院にするために建て替えも含め、特に本館は先日の台風の時には窓のところから雨漏りがしたというふうなことでテープも貼ってらっしゃるというような状況もありました。改善計画を作って検討すべきだと思いますけれどもいかがですか。
■岩本経営課長■こども病院につきましては、昭和45年に本館を建設しまして、昭和60年には、日帰り手術棟、平成6年度には、周産期医療センターなどを順次整備してきたところでございます。老朽化していた本館につきましてもすでに平成6年度から平成10年度にかけまして電気等の設備、室内等の模様替え、外壁改修などの大規模改修を行ったところでございます。ただ、大規模改修につきましては、県立病院全体で計画的に実施することとしておりまして、こども病院につきましては、現在のところ改修計画はない状況です。委員ご指摘の廊下に出ている医療機器のお話があったわけですけれども、それの医療機器につきましては、治療中の生体情報モニターだとか、患者の異常時に迅速に対応するための救急カートなどでありまして病室の近くに必要なものであります。火災などの非常時につきましては、キャスター付きの医療器具であることから迅速に移動させ安全に避難できる態勢をとってまいりたいと考えております。
■毛利委員■ 本当に実態を見ていらっしゃらない。そういう言い訳はあのこども病院を見て、本当にこれから未来を担っていくこどもが一生懸命生きようとしている。
その目を見れば、その体を見ればそんな答弁にはならないと思います。引き続いてこれは問題を取り上げたいと思いますが、終わります。 |