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2003年度予算特別委員会総括質疑 友久ひろみ
2003年3月11日
  1. イラク問題の平和解決について
  2. 国の医療改革と県の福祉医療について
  3. 30人学級実施について
  4. 中小企業対策について
  5. 災害震災者支援について
  6. 公共投資の抜本的支援について
  7. 「政治と金」問題について
  8. 同和行政終結について

イラク問題の平和解決について

■質問■友久委員: 私は、イラクの平和的解決について、まず知事にお尋ねをする。
  イラク問題をめぐる情勢が緊急の度を増してきて、世界の平和と安全にとって焦眉の課題となってきている。この3月7日、国連のイラク査察団の報告は、大量破壊兵器査察に実際的に進展と成果があった、大量破壊兵器のことについても、イラクが協力的で積極的な自発的な態度を示して、大変感激をしている、こういうふうに述べている。歓迎しているというふうに述べている。数ヵ月の査察継続がどうしても必要であって、国連安保理の決議に基づいて、武装解除のために未解決の問題点を明らかにしていくために、今後の課題として3月末に報告をしていきたい。このことは、平和解決のための査察の効果性と、それから調査の継続、強化を裏づけたものだというふうに思う。
  にもかかわらず、これに対してアメリカなど3国は、3月17日を期限として修正案の決議をしようとしている。国連査察団が数ヵ月間査察継続を必要としているものをわずか10日で、実現不可能な要求をして無理やりに中断をさせよう、こういう態度である。アメリカの武力行使の道を開くことに対して、絶対に認めるわけにはいかない。
  アメリカのブッシュ大統領は、新たな国連決議を得られることがなくてもイラク攻撃を開始するというふうに述べている。なりふり構わないこういう姿勢に対して、国連と、平和を求める日本の国民の願いに背くものであり、これに対して小泉内閣も、それに対応する問題としてアメリカに追従する姿勢を示している。
  そこで、お尋ねをする。憲法第9条を持ち平和を希求する国民、県民の願いにこたえて、国に対して、武力行使に対し反対をして、平和外交を求めるように、戦争に反対する立場を明確にして、国に対して知事として要望していくべきだと思うが、この点、お答えいただきたいというふうに思う。

▼答弁▼井戸知事: イラク問題の平和的解決を図るということは、我が国のみならず、国際社会が共通に望んでいることだろうと思う。
  そのような中で、既に県民を代表する本県議会において、いち早く全会一致をもって「イラク問題の平和的解決を求める意見書」が採択され、その意思を表示されたことは、これが県民の総意をあらわしているものだと、こう私は理解をしている。
  イラク問題については、国において国際協調を基本に外交努力も重ねており、国際連合安全保障理事会の決議による査察の実施とイラクの対応状況や昨今の北東アジアにおける国際情勢等を勘案して、適切に対応するよう期待しているところである。
  私としても、平和な国際社会の実現ということを考えたとき、一日も早い解決、そのための人類の恒久平和を念願してやまない。
  知事としての意思表示よりも、既に県議会における明確な意見書でもっての意思表示がなされているところであるので、現時点においては政府なり国際状況の推移を見守りたい、このように考えているところである。

平和的解決のため知事もその立場を表明すべき

■質問■友久委員: 県議会の決議と知事の考えていることとは、当然、同じ扱いをするものではないというふうに思う。知事自身が、平和のために、今、日本の政府が進もうとしている道に対して批判をしていく、県民の皆さんの立場に立って平和を維持する方向で発言をしていく、こういうことが必要だろうというふうに思う。
  全国の知事会の会長の埼玉県の土屋知事も、罪のない国民の命を奪い、そしてこのような戦争は絶対にやってはいけないんだ、こういう表明をしている。イラクに対して武装解除を義務づけた国連安保理の決議を完全に履行されるように、毅然として日本の政府がその態度を示していくべきだ、こういうことを述べているが、知事もそういう立場を表明すべきだと思う。
  今言われたことは、議会が決議したから、それでいいじゃないかというような形で、知事個人のそういう意思の表明がされていないので、その点も重ねてもう一度お伺いしたいと思う。

▼答弁▼井戸知事: 私は、イラク問題については、国連安保理の決議にきちっとイラクが対応する必要がある、そのように思っている。
  現に、本来どのような査察をしているかというと、自分たちが危害を加えるような武器を持っていないということを明らかにみずから挙証する必要があるにもかかわらず、イラクそのものがそのような行為を小出しにしかしていないという現実もあるんだということも踏まえながら、一方で、安保理の昨年11月の全会一致で採択された決議1441では、武装解除への最後の機会を与えるからこそ査察に協力しろと、それの延長が今いろんな形で議論されているものだと考えている。
  私、何もその武力行使を勧めているということではなくて、そのような安保理の対応というものを十分踏まえた上でイラクの問題については対処していくべきだ、国連を中心とした平和外交を基本にするという国是を推進していくべきだ、このように考えている次第である。

■質問■友久委員: 今、世界的に大きな運動に発展しているのは、イラクを支持するという問題ではない。とにかく罪のない人、一般の国民が被害に遭うんだから、戦争をやめなさい、この決議に基づいて、この意見に基づいて全世界が今、立ち上がっている。一つの国では60万人も集会を開いたとか、30万人が集まったとか、いろいろ報道をされている。今その一致点で世界の皆さん方が、また日本の平和を願う皆さん方が行動しているのだ、こういうことを申し添えて、次の質問に移る。

国の医療改革と県の福祉医療について

■質問■友久委員:  国の医療改悪に反対することを求めて、県民の老人医療費の公費負担制度の5割へのカバー率削減をもとに戻す、それから乳幼児の医療費の完全無料化について求めていきたいというふうに思う。
  小泉内閣が、昨年の10月、高齢者の医療費の自己負担を2,000億円もふやし、サラリーマンの医療費自己負担もことしの4月から3割に引き上げようとしている。国民の批判は日に日に強まってきている。日本の医師会とか歯科医師会とか薬剤師会とか看護師協会など4団体が、3割の負担の実施を凍結せよということで、高齢者医療費の負担の削減を求めて、今、全国各地で共同声明を発表して、その行動に立ち上がっている。
  日本の医師会の副会長は、医療費の自己負担増で、在宅で治療を受けているお年寄りは大変な状況になっている、このように言っている。3倍から4倍自己負担がふえるということで、本当に危険な状態なんだ、財政的な問題ということではなくて、命のやりとりの問題にまで発展をしてきている、こういう形で厳しく指摘をしている。
  お年寄りは医療費の負担が大変になってくるわけだから、例えば在宅で酸素を受けている皆さんはこれを中止をしなければならないとか、訪問医療が絶対に経費がかかるようになるから、その費用を浮かすために食費を削っていくなど、深刻な声が出てきている。  知事として、国に対して、サラリーマンの3割医療負担の実施の凍結、それから兵庫県の高齢者の自己負担の軽減を強く求めていく、こういうことを要求したいと思うが、どういうふうにお考えか。

▼答弁▼神田県民生活部長: 医療費の自己負担3割についてであるが、急速な少子・高齢化あるいは経済成長の鈍化、医療技術の進歩など、医療を取り巻く環境の大きな変化に対応するとともに、各制度あるいは世代を通じた給付と負担を確保しようということで、平成14年7月に健康保険法等が改正され、本年4月からサラリーマンの3割負担等が実施されることとされている。
  今回の医療制度改革については、すべての国民が安心して良質な医療が受けられるよう、中長期的に安定した制度の確立をめざして行われているものと承知しているところである。
  また、老人医療費公費負担制度についてであるが、これについても、昭和48年の制度発足以来、高齢者を取り巻く環境が身体面あるいは所得面で大きく変化しており、単に高齢者であるとの理由で、老人医療費について公費負担する必要性は低下していると考えている。
  このため、一般世帯と高齢者世帯との間の負担の均衡を図るため、県民の理解を得た行財政構造改革推進方策の一環として、所得制限等の見直しもやってきたところである。ご理解のほどをよろしくお願いする。

■質問■友久委員: 国民の安定につながる医療ということであるが、負担が高くて、安定して医療にかかることができなくなってきているというのが現実だから、そのところをはっきりと押さえていただきたいというふうに思う。
  サラリーマン等は、賃下げ等が進められて、今、減収の状況である。それは県の予算を見てもわかると思うが、県内の健康保険の連合の組合の中の調べによると、医療費が3割負担になれば、毎月掛金をかけていくだけではなくて、今度は賞与からも引かれることになってくるし、こういう値上げをされてくると、月収40万の人でも3万9,000円ぐらい払っていかなきゃならない。県下で平均をすると、9.7%もふえてくる。こういうことで、介護保険の値上げ、それから年金の引き下げ、若い人には給料そのものが減額をされる、こういう中で、どの層にとっても負担増が本当に身にしみる、こういう状況である。
  安定した医療を確立していくんだと、医療が幾ら確立しても、それを利用することができない県民がふえてくる、このことについて質問をしている。そのことをお答えいただきたいと思う。

▼答弁▼井戸知事: 医療制度の確立・安定をしていくことは、私は国民的な課題だと思っている。我々が安心して生活ができる基盤をなすものが、この医療制度、医療保険制度だと思っている。それが一つである。
  そのときに、制度によって、例えば国保だと従来から自己負担3割、社会保険は従来は2割、今度3割にしていこうと、制度間にこのような差があっていいんだろうかという問題とか、あるいは制度間における負担のアンバランスが非常に大きくあるし、年齢構成においても大きな違いがある。
  私は、こういう医療制度は、国一本の保険者で安定した制度にしていくべきだというのが基本的な主張であるが、そのような方向をめざすような改革にぜひつなげていただきたい、こう考えているところである。

乳幼児医療費の無料化を

■質問■友久委員: 安定的な形で3割一律に上げていく方がいいんだというふうな今答弁であったわけだが、そういう形で負担がふえてくることで、県民の皆さんが医療にかからなくなってきている、このことが現実なわけだから、その点も踏まえて、よく考えていただきたいなというふうに思う。
  国民いじめの医療改悪に対して、むしろ知事は国の悪政の防波堤になる、これが自治体本来の役割ではないかというふうに思う。自治体の、県民の負担をやめさせ、福祉の増進を図る自治体をつくっていく、そのことが知事としての責務ではないかというふうに思う。  私たちがこれまで繰り返してきたが、老人医療費の公費負担の助成制度のカバー率を7割に戻していくこと、それから国の医療のこういう値上げに対して批判をしていくこと、そして乳幼児の医療費を就学前まで完全に無料化していく、県民や国民の命と健康を守る、こういう観点から、現実の問題として指摘をしているわけだから、その点について、もう一度ご答弁いただきたい。

▼答弁▼井戸知事: 私が言っているのは、現在の政府がとっている施策が望ましいという意味で言っているつもりではなくて、国民生活の安定を確保する基盤としての医療保険制度が確固たるものである必要がある、しかも、世代間の不公平というような現象も生じているわけだし、保険間の不均衡も生じているわけなので、そのような問題をひとつ全部を解決できる制度として検討していくべきではないだろうか、そういう方向で議論が進められるべきだということを強く言っているわけである。
  個々の問題についてご指摘があったが、私は、県単で老人医療制度を実施している今の水準それ自体は、いわば全老人の世帯の5割をカバーする制度、これは全日本の各都道府県の中で相当優遇されている制度であるし、これをこの厳しい財政状況、環境の中で維持していこうとしているわけなので、その点はご評価をしていただくべきではないか、このように理解を求めたいと思う。

■質問■友久委員: その部分は、やっぱりもとの県が負担をしていた状況に戻していただく、削っていくんじゃなくて、戻していただく、そのことが県民にとって安心して生活のできる基本的な問題につながっていくわけだから、その点を要望して、次の問題に移る。

30人学級実施について

■質問■友久委員: 次は、30人学級の実施の問題である。
  子供たちの教育も、福祉とともに自治体にとって大変な仕事である。子供たちは、差別と選別、詰め込み教育の押しつけや大学を頂点とする受験競争のもとで、伸び伸びと学校生活を楽しむ、そしてわかったと喜び合えるような学習を送る、こういうゆとりそのものが奪われてきているわけである。
  このために、学力の浮沈だとか、心のケアをする必要のある子供たちがふえてきていることも現実である。中学校の不登校問題なども、兵庫県の場合、深刻なわけだが、知事として、今、義務教育は国の責任なんだというふうにいつも言うわけだが、それはそれとして、兵庫県でどういうふうな措置をとり、兵庫県の子供たちをどのような形で育成していくのか、このことが必要だろうというふうに思う。
  これまで、県は全国的に先立って40人学級も実施をしてきたわけだから、何としても県としても30人以下学級を実施するという、こういう態度で臨むべきであるというふうに思うが、まずそのことについて、財政的な面もあるから、知事の見解を述べていただきたい。

▼答弁▼井戸知事: 私、本会議でもご答弁したが、憲法で保障されている義務教育を実施していく場合において、国がそれなりの責任を明確に果たしていく、そういう枠組みをつくっていただく必要があるのではないか、これが基本にならないといけないと考えている。
  それにもかかわらず、標準法を改正して、何ら手当てをせずに、ただし書きだけつけて、弾力的運用ができるぞという根拠規定を置いたわけである。私は、こういう姿勢は地方自治に名をかりた責任転嫁ではないか、このように考えており、そのような意味で、今回、共済費負担金の国庫負担の2分の1について地方財源化して、そのうちの8分の1の負担を地方の独自財源で負担しろというような改正が行われたので、当初予算ではこの部分を計上していない。計上留保をしている。そのように、国に対して、明らかに国としての責任を明確に果たせということを主張している。
  私は、この少人数学級を一律に実施するかしないかというのは、まさしく制度の問題であるので、制度の問題として国としての責任を明確に示しなさいということを強く主張しているがゆえに、県独自での一律の少人数学級の編成ということは、今もって実施するつもりはないと言ってきているわけである。
  ただ、教育長が従来からご答弁しているように、少人数の学習集団の編成だけではなく、生活集団にも対応できる新学習システムを推進して、きめの細かい対応を行っていく、このことについては全面的にバックアップをしていく所存である。

■質問■友久委員: 全国的には、国のそうした問題を批判をしていきながら、自分とこの県の子供たちによりよく教育環境を整えていくということについて、どんな措置をとったらいいのか、このことを知事が考えている。兵庫県は、そんなことつくる必要がないという今の答弁であった。
  予算的に見ても、小学校で38億円ほど、中学校で25億円ほどあれば、30人学級に踏み出していくその段取りができてくるわけだから、そういうところにこそ、今、お金を組みかえて使っていくべきだ、このことを要請して、次の問題に移る。

中小企業対策について

■質問■友久委員: 次は、中小企業対策についてである。
  中小企業の営業を守るために、金融条例制定が必要になってきている。長引く不況、そして小泉内閣の構造改革のもとで、銀行の貸しはがし、貸し渋りが強まってきている。今回の不良債権処理の特徴は、黒字の企業であっても、将来性のある会社であっても、お構いなく引きはがして企業をつぶすという方向である。
  我が党は、代表質問の中でも、貸し渋りとか貸しはがし防止条例をつくって、中小企業と地域の経済を守っていく責任があるわけだから、そういう金融機関の育成を求めていくのに対して、本来の県としての役割を果たしていくべきではないかという質問に対して、知事は、その答弁で、本来、顧客、出資者初め市場においてさまざまな観点から行われるべきものであって、貸し渋りとか貸しはがしを容認するとも受け取れるような答えをしてきたわけである。
  金融条例制定についても、県が一律の基準で行うということは好ましくないというふうな認識の問題を提示したわけであるが、県が、金融機関がその地域の中核的な中小企業の資金需要に適切にこたえ、本来の使命を果たすように、できる限り知事として働きかけていく、このことが必要ではないかというふうに思う。そして、地域住民の、また業者の金融上の要望にきめ細かく対応していくようなそういう措置を講じていく、このことを求められているわけであり、中小企業を守るための条例を制定する、こういうことも当然考えていただきたいというふうに思うが、この点はいかがか。

▼答弁▼岩崎産業労働部長: ご質問の中小企業金融に関する条例については、具体的な内容についてご提案されていないので、ご答弁も難しい点があるわけだが、これまでの11月定例議会、また本定例議会の代表質問でのご質問等を踏まえてご答弁すると、私どもとしては、やはり先ほどご指摘もあったように、金融機関の地域貢献度に関しての評価という点については、金融市場あるいは金融機関に対する資本市場、そういったところへの参加者それぞれの立場から行われるのが適切であるというふうに考えている。
  また一方で、県としては、中小企業金融円滑化のために、制度金融あるいは保証協会の保証制度の運営、あるいは監督官庁である国に対しての提案・要望活動、さまざまな形を通じて、県として可能な取り組みについては最大限行っているところである。
  今後とも、監督官庁である国と連携を密接にとりながら、中小企業金融について万全を期していきたいと考えている。

中小企業支援のための金融条例制定を

■質問■友久委員: 別に難しいことを言っているのではない。貸しはがしとか貸し渋りをなくしていくような、そういう措置をとるような条例をつくってはどうかと、こういう提案をしているわけだから、その点にお答えいただきたいというふうに思う。  千葉県議会では、この2月に、地域金融の活性化に関する条例として、仮称「貸し渋り・貸しはがし防止条例案」が4会派の共同で提出をされてきているようである。全国では実施に向けていろんな形で取り組んでいるわけだから、兵庫県としてどういうふうに取り組んでいくのか、その点、重ねてお答えいただきたい。

▼答弁▼岩崎産業労働部長: 貸し渋り、貸しはがしを防止するために、具体的にどういう内容のものを条例で規定するのかという点が重要になるわけだが、先ほども言ったように、県としては、監督行政、金融機関の監督行政が国によって行われているという状況のもとで、そういった貸し渋り、貸しはがしの実態についての正確な報告を金融機関から求めるという権限がないわけであり、私どもとしては、国と協力しながら、そういったことができるだけなくなるように、防止できるように最大限の努力をしていくという立場である。

■質問■友久委員: その辺については、私どもも研究をして次期は条例を提案をしていきたいというふうに考えているから、その節はどうぞよろしくお願いする。

災害震災者支援について

■質問■友久委員: 次は、震災の被災に遭われた方たちの住宅支援等について、質問に移る。
  県営住宅の家賃滞納者の問題があるわけだが、本会議で私どもの党が質問で、滞納者に対して、県条例の規定で、近傍の同種家賃と同等額を請求することができるというふうにあるわけだから、近傍同種家賃の相当額が損害賠償として請求をされるわけである。家賃がたまっている上に、その家賃よりも高いような賠償分が加わってくるわけだから、滞納分をはるかに超えるこういう金額に対して、事実上こういうことで追い出しを積極的に進めていく、こういうことになっているわけだが、この点をむしろ改善をしていただきたいというふうに思う。
  私は、収入の低い人たちが県営住宅などに入居しているわけだから、滞納を理由に追い出すというふうなことになってくると、ホームレスがふえていくのではないか、こういう心配もされるわけである。そうならないために、慎重な対応がどうしても求められてくるというふうに思うので、せめて損害賠償額の近傍家賃と同額、こういう請求は、国や自治体が住宅権を保障しているわけだから、これ以上の問題を及ぼしていかない、慎重な対応が求められるというふうに思うが、この点について、兵庫県はどうか。

▼答弁▼山口県土整備部長: 先日の本会議でも趣旨についてお聞きしており、我々なりにお答えしたつもりでいるが、低所得者の方に対しては、既に家賃対策について、応能益家賃の制度の導入とか低減制度、こういったさまざまなそういった方への配慮を行ってきている。その上で家賃を滞納される方、これはやはり誠意を持って支払っている方とのバランスもある。そういった方々に対して、悪質とみなして、住宅管理者と入居者の信頼関係が損なわれたということで取り消すものであり、法律、条例に基づき損害賠償金を科している。
  また、もう既に条例、法律をごらんになっていると思うが、その中では、近傍同種家賃の2倍に相当する額まで徴収を可能としている。それを我々としては、規則をもって近傍同種家賃と同額ということにしているので、ご理解をいただきたいと思う。

福祉的対応が必要

■質問■友久委員: 近傍同種家賃というのは上乗せをしないという方向で、ぜひ兵庫県も頑張っていただきたいというふうに思う。
  家賃を滞納するというのは入居者の責任ではあるが、私たちが具体的に調査に入ると、滞納するにはそれなりの理由がある。企業が倒産をして職を失ってしまった、病気にかかったために最初に要った費用を借金で賄ったために、その借金を払わなければならない、離婚した夫の借金を自分が背負わされている、こんな理由である。
  もちろん県土整備部としても、福祉対策に、対応に応じて、いろんな形でご苦労されているというふうに思う。しかし、幾ら相談に乗ってやると言っても、最終的には家賃を払っていかなければならないわけだから、相談に行くにも足が出にくいというのが現実だというふうに思う。兵庫県の県土整備部だけでは対応に限界があるというふうに思う。
  私たちは、家賃滞納を未然に防ぎ、ホームレスをつくらないために、ホームレスの支援策や国連の社会権規約委員会の精神に沿った福祉的な観点で、例えばオール県庁的な対応が必要ではないのか、予防策が要るのではないのか、明け渡しを求めた場合、次の住宅が用意されているのかどうか、この点も、福祉的な観点も含めて、総合的に県庁が対応していく、このことが必要だろうというふうに思うので、部長ではなくて、これは県全体の問題として考えていただきたいということだから、知事の答弁を求める。

▼答弁▼山口県土整備部長: これまでも県営住宅の家賃について、いろいろと同種のご質問をいただいているが、私自身は、決して県土整備部長の立場だけで言うのじゃなく、県庁幹部の立場で、オール県営住宅の入居者の方の立場を考えてご答弁している。
  また、これまでについても、再三、こういった方々の対策については福祉部門と連携しているということはかねがね言っている。そういった意味では、うちの住宅関連の職員も、常に県の福祉部門また市町の福祉部門の方々と連携しながら、こういった方々の対策をやっているので、そういった苦労についてもご理解いただきたい。
  それで、そういったいろいろご意見もあるので、こういった連携については知事からもさらに連携の指示を受けているから、今後ともそういった取り組みをやっていく。

■質問■友久委員: 知事から連携の指示を受けているということだから、知事として最終的にどういうふうな考え方なのか、教えていただきたい。

▼答弁▼井戸知事: 従来も、家賃の退去者で新たに生活保護を開始した者は13件ある。13件というのは少ないようだが、全国的な比較でいくと、非常に多い対応になっている。それだけきめの細かな対応をしているし、民生委員や児童委員や心配ごと相談所の相談員等がよく相談に乗って、行政への橋渡しも実態として、していただいているところである。
  いろんな窓口をたくさん用意はしているが、窓口になかなか来れない事情の方々もあるという状況も踏まえ、民生部門と住宅管理部門との例えばチームで相談に乗るような体制ができないだろうか、少し検討してみたらどうかということを、今、指示をしているところである。できるだけ、やむを得ない人は、その事情を酌み取れるような相談ができるようにしていきたい、このように考えている。
  しかし、悪質な滞納者には毅然とした態度で臨むべきである、このように考えていることを申し添える。

■質問■友久委員: 今、知事が言われた方向で、悪質なものについても私たちは支援をせよというふうなことは言っていないので、実態の中で支援すべきところを支援していただきたいということを申し添えて、次の問題に移る。

住宅再建支援について

■質問■友久委員: 次は、震災支援の問題である。
  住宅再建支援についてであるが、知事は、全国的な支援制度が実現しない場合、県単独の支援制度を新年度に調査会を設置して検討していくというふうに言ってきたわけである。
  現在、実現しない場合については、県として制度として必要性を認めるが、大震災を経験して全国から多額な、多面的な支援を受けた兵庫県として、やはり全国的な制度を実現していくことが大事なんだ、本当に震災が終わることにそのことでなっていくのではないか、そうでなければ震災復興事業は終わりを見せないということで言われてきたわけだが、住宅の再建法の実現のために体制も強化して全力を挙げて取り組んでいく、こういうことを言われているわけだが、その辺の状況を教えていただきたいと思う。

▼答弁▼上田総括部長: 住宅再建支援制度についてであるが、本県としては、阪神・淡路大震災の教訓を生かした「自助」「共助」「公助」が相まった住宅再建支援制度の必要性を従来から主張してきた。本来、ご指摘のように、全国的な制度の実現が急がれるというふうに考えているが、現状ではその検討が着実に進んでいるというふうに言える状況にはないということである。
  このため、全国的な制度化の起爆剤になることも期待しつつ、本県単独での制度化の実現可能性について、来年度、調査会を設置して検討するということであるが、一方で、全国的な制度の早期実現に向けた関係方面への働きかけについては、並行して精力的に行う、こういうふうに考えているので、ご理解いただきたい。

■質問■友久委員: 引き続いて頑張っていただきたいというふうに思う。そして、県独自としても施策を講じていただきたいということを要望して、次の問題点に移る。

公共投資の抜本的支援について

行革方針を見直し公共投資予算大幅削減を

■質問■友久委員: 次は、公共投資の見直しについて質問をする。
  我が党は、歳入審査で、深刻な不況の中、県税の収入がかつてなく落ち込んできている、回復が見込めないような中で、県当局が行政改革を進めていくことを決めている、投資事業の3,900億円の枠を守っていくんだというふうに答えられてきたわけだが、新年度の予算編成に当たって、全国的に見ても公共投資を減らしていく流れが本当に強まってきている。最大限確保するということで、知事の姿勢こそ問題になってくるというふうに思うが、このようなときこそ、行財政の構造改革の推進の方針策を考えて、見直しをしていく必要があるというふうに思う。せめて公共投資を30%削減をして、県民の懐を温めていく、消費の購買力を高めていく、このことが、今、当然求められていることだというふうに思う。
  その際、公共投資の中身も、大型的な開発行為、高速道路優先的な予算のつけ方ではなくて、県民の皆さんが望んでいる住宅の改修、それから福祉の施設の建設、耐震改修、それから生活道路の建設・改修など、身近なことで県民が困っている問題から早急に取り組むように、予算の措置を考えていく必要があるんじゃないかというふうに思う。この点についてどうなのか、お答えをいただきたい。

▼答弁▼吉本企画管理部長: ご指摘のとおり、歳入環境は極めて厳しいものがある。しかしながら、そういう中にあっても、県民福祉の向上を図っていく、そして県民の負託にこたえていく、このような努力を続けていく必要があろうかと思っている。
  そのためには、中長期にわたる安定的・自律的な財政運営を確保していくということと、施策展開に当たっては、その時々の県民のニーズに機動的に対応していくということや、ソフト・ハード両面においてバランスのとれた施策展開を図っていく、このようなことが重要ではないかと考えている。
  ご指摘の公共投資であるが、県民の安全基盤の構築や魅力ある地域環境の整備、あるいは交流の促進等に必要な事業を推進するとともに、現下の本県の厳しい経済・雇用情勢を踏まえると、県内需要を喚起するため、一定の事業量を確保していくことが必要と考えているところである。
  新年度の予算の編成に当たっても、このような考え方に立って、個々の事業についての評価を行うとともに、「つくる」から「つかう」ということにも配慮しつつ、必要な投資事業量を確保して需要の創出・喚起を図る一方で、震災の復興事業、中小企業対策、福祉対策、これらの県民生活の安定に資するきめ細かな施策展開に取り組んだところである。
  なお、今回、発表した今後の収支見通しの中での行財政構造改革推進方策の収支フレームであるが、このことについては、その後の経済情勢等を踏まえ、内閣府等において発表があった経済成長率等の前提条件を置きかえて試算したものであり、今後の施策の見直し等を盛り込んだものではないというものであるので、よろしくご理解をお願いする。

淡路夢舞台について

■質問■友久委員: 投資的にお金をつぎ込んでいく、3,900億円も今度も枠を組んでいるということである。これが、投資的だから、いろんな意味で還元をされてくる、こういうことにつながっていったらいいわけだが、なかなか今そうなっていないわけである。
  もう一つの問題として、夢舞台の失敗のこの責任があるわけである。こんな形で131億円も出して、夢舞台の株式会社からホテルと展望レストランを買収していく、こういうことである。
  もともと私たちは、そんなことに投資をしても、なかなか見返りは薄いという問題を指摘をしてきたが、つくることが優先だというふうな考え方の中から、こういうことになってきたわけだが、当時の津田公営企業管理者等がるる言って、第三セクター等が失敗している原因はいろいろ判断があるわけで、初期の段階で支援策が必要なんだ、その支援さえしっかり行っていればうまくいくんだ、こういう意味のことを発言してきたわけである。それで、出資金の半額を入れ足してきた。80億円もの低利資金の貸し付けの手だても講じてきた。こんな形で至れり尽くせりの手だてをしたが、うまくいかなかった。黒字になかなか転換しないというふうな状況で、今後もこういう形で進めていく中で、9年目には黒字に転換をさせていくというふうな、こういうこと等も豪語されてきたわけだが、景気の低迷が予想される中で、「建設先にありき」、この姿勢が、金をつぎ込んだが、うまくいかなかった、普通の建設の業者なら、こんなことには、今、目を向けないだろうというふうに思うが、こういう状態をつくり出してきたわけである。
  ところが、先日、企業庁の審査においても、足立管理者は、社会情勢の予想を超える落ち込みだったんだというふうな形で、やむを得なかったというふうな意味のことを発言されてきたわけだが、それならば、知事が責任を負う必要もあるというふうに思う。民間企業では、絶対に許されないこういう事業を何のために公営企業の枠でやっていくのか、その責任をまずお伺いしたいというふうに思う。

▼答弁▼足立公営企業管理者: 部局審査の中で、「やむを得なかった」とこのように言ったのは、経営収支が当初計画より下回ったことについて、その理由として、婚礼とか、あるいは客室の消費単価が景気の影響も受けて落ち込んだこと、それからまた開業当初、花博とか、あるいはOBサミット、こうした多くの国際会議が開催をされ、ホテルの人員配置を手厚い体制とせざるを得なかった、こうしたことなど、開業の初期段階としてはやむを得なかったと、こういうことを申し上げたところである。
  淡路夢舞台は、ベイエリアの立地条件を生かした高い政策理念と魅力のある施設群が評価をされ、当初見込みどおりの年間約120万人の交流人口を確保している。こうした開業3年間の実績を踏まえ、将来の安定・自立した経営基盤を強化する、こういうことで今回リースバック方式を導入したものである。この対策は、会社にとって減価償却費などの資本費を平準化できると、こうしたメリットがあるし、また、私ども企業庁にとっても通常の運用利回りをリース料として確保できると、こういう双方にメリットがある、こういう仕組みを採用したものであり、いわゆる債権放棄とか経営破綻とか、こうしたことではないので、経営の責めと、こういう問題ではないのではないか、このように考えているわけである。
  こうした対策により、今後、会社が自立・安定をして、夢舞台施設群の運営主体としてその機能を十分発揮していくものと、このように考えているところである。

■質問■友久委員: るる批判をしていたら、いろいろあるわけだが、時間がないから、投資的に資本を投げ出していく場合、やっぱり慎重にもっと考えていく必要があるというふうに思うので、その点を申し添えて、次に移る。

「政治と金」問題について

■質問■友久委員: 神戸市の漁協による簿外処理の問題については本会議でも明らかにした。19億円もの所得税法の違反行為を行っていたこととか、漁協の組合長が勤める兵庫県の港湾関係株式会社、開発の株式会社で、神戸空港の工事等いろいろ水増しをしてきたり、問題を起こしているわけである。そういうところから、漁協幹部の名前が連ねられて、神戸市長だとか、前の貝原知事だとか、政治団体への政治献金などが出されているわけだが、これについて問題にしてきたわけである。
  今の井戸知事も関係のある「新生兵庫と協働する会」とか「兵庫新生研究会」というところに対しても、この市の漁協から組合長の名前ほか2名で、2001年の11月8日に300万円が寄附されているわけである。知事は、個人献金だから、適切にちゃんと処理をしているんだというふうに言っているが、政治的、社会的、道義的責任は感じているのかどうか、この点についてお考えをお聞きしたいということと、それから、こういう疑惑のある金は、当然、返すべきだと思うので、この点、知事はどういうふうに考えているか、お答えいただきたい。

▼答弁▼井戸知事: 「新生兵庫と協働する会」は私を支持してくれている団体であるが、「兵庫新生研究会」という会は、私、記憶がないので、私の団体ではないのではないかと、関係する団体ではないのではないかと存ずる。
  ともあれ、私は、政治資金というのは、民主主義を支えている政治活動の自由を前提に拠出されているものだと考えており、つまり自分で政治活動をなさる方々と、自分では政治活動はできないんだけれども、自分にかわって政治的な主義、主張をその方に託して実現していただこうとする、そういう機能を持っているものだと思っている。そういう意味で、ルールに即して透明性を確保しながら、しかし、批判は国民全体の批判のもとにさらしながら活動を展開していく、このような枠組みが規定されているのがこの今の政治資金の体系ではないか、このように思う。
  そういうふうに前提として考えたときに、私が神戸市漁協組合の役員の方々から個人の資格で政治資金をいただいたのは、やはり私の政治理念とか信条や行動、政治的な行動に自分の願いを託していただいているのではないか、そのような意味で、私は、そのような方々の意図をその政治資金を受領することによって責任を負っているんだ、このように逆に感じているところである。
  しかも、その資金につくのが何かについては、私ども知る立場ではないし、現に既に何回かのお尋ねに対してお答えしているように、経理の仕方としては私も遺憾であるということを申し上げたが、具体的に支出が証拠書類等で確認できなかったが、通帳等に明確にされていたもの以外というのは500数万円だったと思う。そういう報告をさせていただいたとおりであるので、そのような状況から考えたときに、しかも、再度にわたり調査をした結果、調査をしたものからすると、漁協に関係する支出としての蓋然性が高いというようなことも報告を受けているので、そのような事情を勘案したときに、今の時点で返却をするということは、政治活動の自由ということとの兼ね合いで言ったときに、いかがだろうか、このように考えている次第である。

■質問■友久委員: もう時間がないから、いろいろ言いたいこともあるが、もらった金は返した方がきれいですよということだけ申し添えておきたいと思う。

同和行政終結について

■質問■友久委員: 兵庫県が、部落解放同盟と連携と協調を進めていくというふうな形で、少し方針が変わってきているというふうに思うので、県民の皆さんがこのことに対してやっぱり懸念を持っている。逆戻りをしていくのではないか、このことがあるわけだから、こういうことのないように同和行政を進めていく、このことが必要であろうというふうに思う。
  そういう一方で、せんだってのテレビや新聞の報道で見たら、教育委員会の人権の教育課の指導主事、人権を教育する指導主事であるが、この人が女性にセクハラをした、痴漢行為を行った、こういうことで連日テレビでも報道されたし、新聞にも報道されてきたわけだが、こんなことがまかり通っている、こういう状態でいいのかどうか。同和問題ではとうとうと教育される立場の方かわからないが、個人の人権、女性に対する差別、このことが全く理解されていないのではないか、こういうふうに思うが、本来、部落差別をなくしていくためには、人権問題であり、民主主義の問題であるわけだから、こういう社会を一日も早くつくり上げていく、こういうことが必要なわけであるが、この点について、1点だけお答えをいただきたいというふうに思う。知事はどうか。

▼答弁▼神田県民生活部長: ご質問で言われた行政、県の主体性云々のお話があったが、これは多分11月の決算のときにお話しになったお話かなということで理解をするが、このシンポジウムに出席したのは……。

■質問■友久委員: 答弁は簡潔に、そんなことはわかっているから。その問題を、こんな不細工な問題が起きてきているということを。

▼答弁▼神田県民生活部長)(続)  差別の問題につきましては、同和というだけではなくて、今日の人権問題が、国際化とか情報化とか少子・高齢化等の進展に伴い、児童虐待あるいはDV、ストーカー行為、高齢者・障害者の権利侵害、女性や外国人差別、こういった意味で複雑多様化していることから、人権教育及び啓発に関する総合推進指針に基づき、すべての人の人権を尊重するための教育、啓発として推進しているところである。

■質問■友久委員: もう最後だから終わる。人権問題というのは同和だけではないということを申し添えて、終わる。

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