■質問■友久委員: 私は、三田市本庄地域で、公共事業による大規模農家の育成のために基盤整備として進められてきたこの事業についてかかわって、本庄地区の改良区の理事長が横領事件を引き起こしてきているが、この幾つかの点について質問をしたいと思う。
本庄地区の土地改良事業は、県営の補助整備事業として昭和62年から進められてきた。7集落、利権者は184名、132ヘクタール、総事業費は14億6000万円余りの事業である。井根理事長が横領したお金は、もともと国や県、市から土地改良区に支払われた換地の清算金であるが、それがどれぐらいの合計になるのか、それぞれ運営に対して、検査、監督など、だれが行ってきたのか、金額とこの内容についてお答えいただきたいと思う。
▼答弁▼板井農地整備課長: 換地計画書によると、県から2億4000万円、市から3億4000万円で、総額約5億8000万円である。
また、土地改良区の健全運営の確保のためには、土地改良法第18条で土地改良区には監事を置くことになっている。さらに土地改良区会計細則では、会計担当理事、会計主任を置き、経理事務が単独で行われないようになっている。
不正横領事件の早期解決を
■質問■友久委員: このような多額の公金が絡んだ土地改良区という形で、その責任者が横領事件を引き起こした。検査、監督とか、その責任が兵庫県にはどのような形でかかわってきたのか、その辺のこともお答えいただきたいし、改良区の事業が完了できていないが、横領された金額の負担が特別の賦課金として上乗せをされて督促をされる。こういう形で地元の人たちにとっては大変困惑しているが、この認識等は当局としてどうされているか、その点もお答えいただきたいと思う。
▼答弁▼板井農地整備課長: 特別賦課金は、土地改良区の総会の議決を得て賦課されるものであるが、当該案件については、議決を経ずに土地改良区が主体的に農林漁業金融公庫から高利の借り入れをしているので、それを繰り上げ償還することで、組合員の負担軽減を図る等で賦課されたものであると考えている。
県として督促をやめていく指導をすべき
■質問■友久委員: 組合員のこういう形の負担は、法律上、手続は経ていないことは確認されていると思う。組合員の方には督促状が来ており、3月31日までに完納しないと財産を差し押さえると書いているが、このこと自体が問題であるし、地元負担金が3億8900万円、1人組合員に対して210万円ぐらいの負担になっているが、平均すると1人当たり350万円ほどが請求されていると聞いている。
組合員からは、なぜ、この問題を支払っていかなければいけないのかということで、この点、問題が生じてきているが、現在、総会で、合意もされていない段階で、法律が定められた手続も進めていないで、組合員がこの支払いに強制的に従っていかなければならないのかどうか、県として督促をやめていく方向で指導はできないのかどうか、この辺をお答えいただきたい。
▼答弁▼板井農地整備課長: 先ほども申し上げたとおり、特別賦課金は、組合員の負担を軽減する目的で、追認議決を前提に賦課され、大半の組合員が現在納付していることから、速やかに総会を開催し、追認議決を経るよう、県としては指導している。
県の検査と指導について
■質問■友久委員: 県が6月29日の通知で換地仮清算金の取り扱い及び理事会の運営等について極めて不適切な点が見受けられる等の指摘をされている。今、組合員の支払い強制は、この不適切な点の改善とは逆行することになるのではないかと思うが、この運営こそ、県の指導で是正をさせていくことが求められると思う。その辺はいかがか。
▼答弁▼板井農地整備課長: 土地改良区は公法人であり、当然のことながら、組合員による自主的運営が原則である。県は、こういった方向に即して指導、支援する立場にあることから、速やかに総会を開催し、組合員の自主的な合意形成を図るための議決を経るように指導通知を発したということであり、そういう方向で進めていくことを考えている。
■質問■友久委員: 総会等も開くように指導しているということであるが、事件が発覚してから1回も開いていない。この辺はどういうことか、指導しても開かないのか。
▼答弁▼板井農地整備課長: 総会は、その後、2回開かれたが、結果的には流会になって正式にできなかったということである。
県としては、先ほどもご説明申し上げたように、組合員に説明をするように、早く総会を開けるように指導しているが、今まだそこまで行っていないのが実情である。
■質問■友久委員: どうも納得がいかないが、この本庄土地改良区は以前からたびたび問題も指摘されているようである。事件が発覚する前、平成9年10月には国の検査が行われ、土地改良区に対して改善を要する事項として、近畿農政局長名で、兵庫県知事に対して改善指導という報告が求められているが、この改善に要する事項とは、また、県の指導とは、その後、どのように行われてきたのか、そのこともお答えいただきたいと思う。
▼答弁▼板井農地整備課長: 平成9年の国の通常検査における改善指摘事項は、一つは、組合員の資格に変更があった場合、土地改良区への通知を徹底すること、二つは、監事会の年1回開催に対して、毎事業年度2回開催することの2点であった。
これに対して、県としては、定期検査を通じ、状況把握に努め、改善すべき点については、必要に応じ、個別指導を行ってきた。
積極的な指導が必要
■質問■友久委員: その後、監事会を年2回開催することが指摘をされていたが、それさえも守られていない。この辺のことをやはりちゃんと指導していきながら、今度の事件が発覚してきたそのことについて、やはり、もっと真剣な形で県としても取り組んでいく姿勢が必要なのではないか、その辺のこと、それからその後の13年度は、問題が引き起こされた以後であるが、議事録等も作成をされていないという問題点もあるが、こうした問題を解決の方向に導いていくために、県としても積極的なこういう指導が必要なのではないか、その辺のことを再度お答えください。
▼答弁▼板井農地整備課長: 平成10年3月の土地改良区検査で報告をいただき、監事会を年2回開催する旨の報告を受けたが、国の指摘を踏まえて、13年6月の特別検査を実施した際は議事録の調製が行われていなかったため、改善するよう指導した。
土地改良区の検査は、土地改良区自身の主体的な健全運営の確保を補完助長するものであり、強制検査権とは異なり、行政上の任意検査として位置づけられているものである。
それぞれの定期検査等においては、事業目的により実施している。具体的に申し上げれば、13年3月の定期検査においては、土地改良事業計画等を主体的に行ってきた。また、13年6月の特別検査については、国の指摘や不祥事の発覚を踏まえて総合的に検査を実施した。
今後、委員ご指摘のように、検査についても、充実し、土地改良区の運営が適正に行われるよう、最大限の努力を努めていきたいと思っている。
■質問■友久委員: 今の報告を聞いても、県が責任を果たさなければならない問題が怠慢な状況で放置されていたことになりはしないかと思う。
検査は県の仕事であるが、事件発生の前、平成13年3月30日に神戸土地改良事務所から本庄土地改良区に通知が出されている。この内容を見ると、土地改良区及び事務の処理については全く問題がないという報告をされている。そのときの調査として、状況の検査であるが、会計の状況とかいろんな検査をした結果という意味のことが書かれている。13年3月は事件が発覚する前である。事件が発覚して、その6月29日に今度は土地改良区に対して阪神北県民局から出している資料を見ると、いろんな形でお金の行方が不明ですよ、これを明確に組合としてしなさいという文書等が送られているが、この矛盾はどういうことなのか。事件が発覚してから、これも委員会でも指摘をしたが、警察に井根理事長が捕まって、調査したいが資料が警察に押収されているからわからないという報告であったが、そんな形で13年3月の検査はされていたのか、その辺をちょっとお答えいただきたい。
▼答弁▼板井農地整備課長: 先ほども少しお答え申し上げたが、土地改良区検査は、限られた人員、時間の制約の中で行われるが、これらを踏まえ、当然のことながら最大限の努力をさしていただいている。
平成13年3月時点の検査内容と13年6月の検査には相違があるではないかというご指摘であるが、そういった先ほど説明した状況により、全般ではあるが、より重点的に検査をするということであり、13年3月に行った検査は、土地改良事業計画を重点的に検査をしてまいったということであるし、13年6月の検査は、先ほども言ったように国の指摘や不祥事が発覚したことを受けて総合的に実施したということである。
■質問■友久委員: 地元の負担金よりも2倍近い5億8000万円の金が地元に渡って、その金がいろんな形で行方不明になっている。その金額は4億円近い金額だろうと言われている。こんなことが県の関係のないところで行われていたことになるのか。
県が市と合わせて地元に清算金として渡している。それが正しく清算されていくかどうか、そのことを含めて県としても監査をするのが妥当だと思うが、その辺はどうか、部長、答弁いただきたい。
▼答弁▼北原農林水産部長: 冒頭にお答えしたように、土地改良区といえども、当然のことながら組合員の自主自立の原則に基づいて運営をすべきものであって、その方向に即して最大限の指導、支援をしているが、その中で、やはり、限られた人員、限られた時間ということで、重点的な検査項目を設定して検査せざるを得ないことになっている。
それで、今回の事件についても、本来的には地域で決着をつけるべき問題であるが、特にこういう事態を生じさせたのは非常に遺憾な面もあるので、積極的に指導、支援をしている。
■質問■友久委員: もう一つは、農協から2億6270万円が手形貸し付けとして井根理事長の名義で借り受けられている。これは法第30条の1項、第3号に基づいて、総会の決議が必要となっているが、それがなされていないまま農協がまた安易に貸している。この点について、県としてどのように判断され、解決をされようとしていくのか、この点もお答えいただきたいと思う。
▼答弁▼木下農林経済課参事: ご質問の貸し付けについては、土地改良区理事長が総会の議決を経ずに定期貯金証書を担保としたことを踏まえ、農協側の不備等について、現在、民事訴訟で争っている。
県としては、農協はあくまでも組合員一人一人の参加による民主的運営を基本とすることを認識しているが、農協における組織改革、定期的な人事異動の徹底、コンプライアンス研修の徹底、公認会計士等の専門的知識を持つ者の登用による監査体制の強化等の不祥事防止策を、県としても、その内容及び実施状況を厳しくチェックし、指導監督を強めていきたいと思っている。
■質問■友久委員: いろいろご答弁を伺ったが、組合員の自主性等もあって、余り関知をしないという言い方をされたが、金額的にも大きいし、組合員の皆さん方に対して正しく関知をされているかどうか、その金が正常な形で運営されているかどうか、この点を監視していく、監督をしていく、そのことが組合で決められている会計さん等が正しくやっているかどうか、このことぐらい、やはり、県が見きわめていく、仕事を果たしていくことが必要だろうと思う。
そして阪神北県民局から出ている通知を見ると、決議の報告書などは組合の総会でやっている。そこで異議なしと決まっているから組合員も問題があるという言い方をされている。県でさえわかっていなかった。何で組合員がそんなことのいきさつまできめ細かくわかるのか。この辺のことで土地改良法の第19条の2項の役員の義務とか、義務違反に際しての責任という項目があるが、この点から見て、役員の皆さん方の問題をどのように見ていくか。
▼答弁▼板井農地整備課長: 土地改良区役員は、土地改良法上、定款、規約等を遵守し、土地改良区のために忠実に職務を遂行することが義務づけられている。
このため、役員がこれらの義務に違反し、委任の本旨に従った事務処理を行わなかったことにより、土地改良区に損害を及ぼしたときは、当然のことながら、土地改良区に対して委任関係に基づく債務の不履行による損害賠償の責任を負うものとされている。
■質問■友久委員: それは法律の解釈であって、今回のこの事件はそれが該当するのかしないのか、そこを教えていただきたい。
▼答弁▼板井農地整備課長: 本件については、係争中のこともあるから、県としての答弁は差し控えたいと思うので、ご理解いただきたいと思う。
ほ場整備の完了を急ぐべき
■質問■友久委員: 問題がはっきりしてくれば県としても対処されると思う。そう理解してよいのか。
今の条文の趣旨の内容であるが、長年にわたって井根理事長が問題を起こしてきた。その責任が当然問われるが、この事業そのものが早く完了していく、このことも県として必要な、早急にやっていかなければならないことだと思う。組合員の皆さん方が納得のいく形で解決をしていく、このことも県の責任であろうと思う。62年から始められたほ場整備事業であるから、組合員の皆さん方が納得をして、このほ場整備そのものが完了していくように早急にやっていただきたいと思うが、その辺、部長、どうか。
▼答弁▼北原農林水産部長: 私自身は、県や市は地域社会の良好な環境をつくっていく責務を有していると思っている。この良好な地域社会の環境という中に、このような案件を含め、紛争のない地域社会も含まれているものと考えている。
だから、今回のケースも含め、やはり、地域での合意形成のルール化、これが不可欠であろうと思っている。そのために、当然のことながら、一つは、役員等を指導して、役員会等で原因の究明や今後の対策等をきちっと確立する。二つ目は、それらを組合員に提示して、組合員みずからが民主的な手続で総会等を開催し、総意を決定する。これが2点目である。3点目は、これらの方向に即して、県と市が連携し、早期の解決に向かって最大限の努力をしたいと思っている。
■質問■友久委員: るる、今までの報告を聞くと、県として怠慢な部分もあったことが明確になったから、今、部長がご答弁をされたように、こういうことが再び起きないよう、一切公金が扱われる場合は目配りをしていくことを心がけていただくように要望し、私の質問を終わる。 |