学校施設の耐震化をすすめよ
■質問■友久委員: 私は、学校の耐震化について質問したい。
大震災を経験した本県にとっては、地震に強い学校が何より求められていると思う。8年前のあの大震災が、もし子供たちが学校にいる時間帯であったらと思うと、背筋が寒くなる思いがする。政府も重い腰を上げて、文部科学省が2002年7月31日付で、3年以内に公立学校の耐震診断を行うように要請してきた。耐震の実態等を各都道府県に通達し、県は各市町に対して、そういう状況を調査して、8月30日までにその返事をするということになっていたと思うが、兵庫県の実態、診断がまだ実施されていない高校、小学校、中学校の数字がわかればお知らせいただきたい。
▼答弁▼ 中島施設室長: まず学校数であるが、昨年5月の文部科学省の調査では、設置者ごとの棟数で報告したもので、学校数までは報告していない。このことから、2年前の平成13年4月の時点で、消防庁の調査に報告させていただいた数字を使う。
高等学校については、全163校、1055棟のうち、耐震診断が必要とされる旧耐震基準で、昭和56年以前に建築された136校、752棟のうち、未診断の学校については109校、601棟である。
小中学校については、全1212校、5200棟のうち、昭和56年以前に建築された914校、3333棟のうち、726校、2544棟が未診断の施設になっている。
■質問■友久委員:兵庫県の場合、健全な建物というのは、高校で何校ぐらいか。小中学校でどういう状況かも教えていただきたい。
▼答弁▼ 中島施設室長: 健全な建物の数は、高等学校については、新耐震基準で建設された建物と、耐震診断の結果、改修等を実施した建物とか、健全と診断された建物を合わせると42校、335棟が健全な建物となっている。
小中学校については、447校、2324棟が健全な建物となっている。
■質問■友久委員:平成13年4月1日の消防庁の調べの数字を今伺ったが、その状況を見ると、健全な建物は8.2%ぐらいだと思う。そういう中で、県下の状況だけではなくて、他府県の状況を調べると、高校の耐震化率の場合、三重県が70.8%で一番進んでいる。次が千葉県で66.2%、青森県が48.7%という順位になっている。兵庫県はその点から見ても随分順位が低い。
三重県の場合、阪神・淡路大震災の直後、95年から99年度までに校舎の耐震診断を行い、97年度から改修に着手しており、2006年までに校舎の対策を完了させる計画になっている。
いろいろその学校の状況を聞くと、耐震の改修の話をしていくと、窓が小さくなったり、使い勝手が悪くなるから、「うちとこよりももっと先にやってくれる学校探してくれ」とか、「おれとこは後回しにしてくれ」という意見が出ていたそうである。けれども、そのことと、内装を同時に進めていくということとあわせると、耐震をやってもらうと、校舎がきれいになるそうだといううわさが広がって、おれとこもやってくれ、おれとこもやってくれという形で、各学校が手を挙げてきたという話もある。夏休みの期間だけではなくて、いろいろ難しい場合でも、学校の側が積極的に協力して、夏休み以外でも耐震の状況が進んできているようである。
千葉県の場合も、81年に建築基準法が改正されたが、その直後から校舎の診断にかかって、87年には完了したそうである。そして92年から改築工事に着手して、最終は、2006年には終わっていきたいという状況である。
青森県の場合は、これも阪神大震災直後から診断を始めて、5年後の99年には完了しているそうである。補強工事等も97年から取り組んで、2004年には終わっている、こういう状況である。
この辺から見ると、震災に遭った兵庫県が随分おくれているが、この辺のことについて、どういうふうに考えていかれるのか、今のようなひどい状況では、要改修する校舎そのものが91%以上もあるから、その辺のことをお答えいただきたい。
▼答弁▼ 中島施設室長: 兵庫県立高校のみに限ってお答えしたい。県立高校の全棟数のうち、健全と推定されたのは、先ほど申したが、全棟数の約59%に当たる建物が要改修という状況になっている。裏返すと41%が健全であるということになる。
そういった要改修部分の建物を補強していくということになるが、私どもとしては、まず未診断施設の耐震診断を全棟数やっていくことが急務と考えている。これについては、平成14年度前倒しをして、16年度末までに、未診断の施設を全棟数診断するということで今進めている。
その診断が終わり、その結果を踏まえて、私どもとしては、診断による、改修にするか建てかえにするかを判断して、緊急を要する施設から、順次計画的に補強工事にかかっていきたいと考えている。
■質問■友久委員:まだ全部が診断されていないから、どれぐらいの費用が概算されるかということについても、わからないと思うが、その辺はどうか。
▼答弁▼ 麻埜学事課長: 今室長からご答弁したように、これから耐震診断を計画的に実施するということが、まず肝要と考えている。それぞれの学校の各棟ごとに行われる耐震診断の結果をもとにして、各棟に応じて、補強方法とかコストの計算等詳細にわたる検討を行い、それが耐震補強に適しているか、全部建て直す改築に適しているのか、そういう検証をする必要がある。現時点においては、まず耐震診断をして、検証をしてということであるから、金額的なものを試算することは現在では困難な状況である。
■質問■友久委員: 16年の末には耐震診断を終えて、どんな傷み具合なのか、状況がわかってくるから、その計算をしていくということは、それ以降になるということか。それからいよいよ工事に入っていくとなると、随分まだ先が長い話になるが、その辺は県民として我慢をしていなければならないのか、地震の心配をしながら耐えていかなければならないのか、その辺のことをもう少し。
▼答弁▼ 武田教育長: 県立学校の校舎の耐震化について、どのように進めていくのかということであるが、現況については先ほど来、施設室長、学事課長が申し上げたとおりである。私としては、何よりもまず、旧耐震基準で建設された施設の耐震診断が急務であると考えており、平成14年度から16年度までの3ヵ年で耐震診断を実施するということで進めている。その結果を踏まえて、耐震化が必要なものについて、改修をするのか、改築をするのかということを検討を進め、その中で緊急に整備を要する施設から順次計画的に施設の整備を進めていきたいと思っているので、現時点は、とにかく耐震診断を急ぎたいと考えている。
またあわせて、市町立の小中学校の施設の耐震化についても、まだ耐震診断が終わっているわけではない。これについても、この耐震診断を実施することが急務であると考えているので、県教育委員会としても、これについては国の指導もあるし、平成17年度までに計画的に耐震診断を実施するように、今、各市町を指導している。
今後とも、その結果によって、通常より有利な地震防災対策特別措置法による国庫補助事業が確保できるように、各市町がそれを活用できるように、指導もあわせて進めていきたいと思うし、また、耐震診断がおくれているところについては、補強工事の仕方であるとか、あるいは研修会等を実施して、技術的な指導・助言も進めてまいる所存である。
しばらく時間がかかるが、ご理解とご支援をいただくようお願いしたい。
■質問■友久委員:とにかく、子供たちが安心して勉学に励めるように、その学舎を整えていくのは教育委員会の仕事であるから、できるだけ早急に整備していただくようにお願いして私の質問を終わる。 |