人権課題にかかる児童生徒支援教員の改善を
■質問■中村まさひろ: 私は2点について質問する。
まず、人権課題に係る児童生徒支援教員の配置及び指導についてである。
同和教育はご承知のように、法律が既に昨年廃止されたが、本県において、人権課題という名目で、さまざまな同和教育の授業が事実上行われていると思う。その一つが、人権課題に係る児童生徒支援教員の加配である。
私は、児童生徒が抱えている問題とされているいじめとか不登校とか、あるいはそのたぐい、そういういろいろの問題というのが、すべて人権課題が原因だと断定することは間違いであると考えている。この加配措置が、人権教育課が担当してきたこと自体、国の趣旨に反していることをずっと指摘してまいった。
いよいよ新年度の教員配置が具体化する時期に来ているので、教育委員会としてどのような対応をされるのか、そして、所管課がどうなるのか、また、要項の中で、同和問題に起因する人権課題を有する児童生徒というのが、まくら言葉のように使われてきた「同和問題に起因する」という、この文言についてもどうなるのか。例えば私は、「いじめ」「不登校」などに改めるべきだと指摘してきたが、その点についても検討されているのか、あわせて答弁をお願いする。
▼答弁▼武田教育長: ご案内のとおり、平成13年度末に、いわゆる地対財特法が失効するに伴い、文部科学省は、従来の同和加配を廃止した。本年度から、国においては、新たに児童生徒支援加配が創設され、児童生徒の状況に応じ、特別の学習指導、生徒指導、進路指導を行う学校に、教員定数を加配することとされたところである。
本県においても、こうした趣旨を踏まえて、加配教員を配置したが、来年度についても同様に、指導上の困難度が高く、きめ細かな指導を必要としている児童生徒を有する学校に、加配教員を配置してまいりたいと考えている。
しかし、この配置に当たっては、従来の所管課は人権教育課ではないかというご指摘があったが、私どもは、教職員定数配置の事務であるから、学事課が主管課であると理解しており、ただ事務を進める上で、例えば指導担当課である義務教育課、あるいは指導教育課の意見を聞きながら事務を進めてきたので、今後も主管課はあくまで学事課ではあるが、指導関係各課と連携を図りながら、加配教員の配置は進めてまいりたいと考えている。
なお、当加配については現在、都道府県の判断により、児童生徒の状況に応じて、より柔軟に活用できるよう、生活困窮者密集地域や外国人子女等日本語指導に係る加配等も含めるなど、さらに今まで以上に大ぐくり化が検討されていると聞いている。
したがって、県教育委員会としては、これら国の検討状況をも注視しながら、配置要項について、現在改訂作業を進めているところであるので、委員から要望のあった点についても、この中で検討させていただきたいと考えている。
■質問■中村まさひろ: 主管課については、ずっと学事課がやってきたと言うが、この間、常任委員会で私が質問したら、この問題はすべて人権教育課の方で答えていたので、当然そこが中心になっているのかなと。私、教育の中身としては義務教育課、実際の配置については学事課、というのをこの前も言ったと思うが、そういう方向で、いずれにしても学事課がこれから担当していくということであるので、それはぜひ進めていただきたい。
それと、国の趣旨を踏まえて、これまでも本年度もということであるが、これもそういう中で、国の意向と県が実際にやっていることとに、一定のずれがあったように思うので、それも是正して、本当の意味での国の趣旨に沿ってやっていただきたいということを要望しておきたい。
30人学級・少人数学級の実現を
■質問■中村まさひろ: 次に、第2点目で、30人以下学級を初め少人数学級について質問する。
我が党は、震災直後からであるが、子供たちが震災のショックから立ち直り、安心して学習できる行き届いた教育環境を整えるためにも、30人学級の実現は不可欠であると、これ以降一貫して、それまでは35人学級というのを私たちは主張していたが、震災後30人以下学級を県として導入するよう求めてまいった。
その後、文部省の方で、第7次定数改善計画が実施され、また一方では、地方自治体独自で、学級編制を弾力的に実施できるような仕組みもできてまいった。もちろん、国の方は、口ではそう言いながら、そのための費用は自治体で持てと、予算措置がなされていない中で、大変だという状況に追い込まれている。
知事も答弁されたように、義務教育は、一義的に国の責任でというのも、これも当然だと思うが、しかし、いつまでも国の動向を見守っているだけでは、現に本県の将来を担うべき子供たちに責任を持って教育することにならないと危惧して、私たちは30人学級が早期に実現することを求めて、これからも粘り強く要求していきたいと思う。
そこで具体的な問題として、昨年2月に、県の教育委員会として、仮に、小学校、中学校で30人学級を実施するとして、何人の教員をふやさなければならないのか、また、どの程度の予算を必要とするのかというのを試算されたが、同様に、現時点においてどのような試算になるのか、お尋ねしたい。
▼答弁▼麻埜学事課長: 昨年の文教常任委員会で、ご答弁した数字では、増加教員数については、小学校で約2850人、中学校では約1900人で、合わせて4750人と見込んでいる。これにかかる費用としては、約450億円と見込んでいる。
■質問■中村まさひろ: 人数的には昨年より若干減ったという感じであるが、ただ、小学校、中学校一斉にやった場合、我が党は、少人数を、まず段階的にやっていくべきではないかということで、小学校1、2年生、中学校は1年生から暫時やっていく。そして初年度は一体どうなるのか、去年は計算して、予算の組み替えの提案もして、大体64億円。この根拠は、今、学事課長が言われたのは、教員の平均給与及びそれに必要な経費全部入れて、大体九百数十万、一人当たりという計算で、たしかその平均年齢は30の後半、40前後が平均だと思うが、教員採用するときに、そういう年齢の人は実際上は採用しないわけで、我々は、新しい学卒、若い人たちを採用しないと、一方では年齢の構成も大変なことに将来なるということを言っていたので、我が党としては、それは新採用ということで、400万程度計算した。去年は、64億ぐらいあれば初年度いけるというふうに踏んだが、若干人数が減っているので、今度の予算としては63億5000万ぐらいかなあと、ざっとした見積もりはしているが、そういうことで、少し予算を。それはいける状況でないかなと思う。
ただ、具体的には、全国的に今進められているいろんな方法があるが、県レベルも含めて、少人数学級に向かっている自治体がふえてきているのはご承知のとおりである。しかも県内でも、この1年間で、少人数学級の実施を検討し始めた自治体が出てまいった。姫路市とか尼崎市とか。そこで、正式な話にはまだもちろんなってないかもわからないが、そういう情勢はやっぱり県教委としてはつかんでいただきたいと思う。県教育委員会として、どのように把握しておられるのか、また、市町が少人数学級を実施しようとすれば、どのような課題が、市町において実施する、あるいは、県においてあるのか、それも簡潔に答弁願いたい。
▼答弁▼麻埜学事課長: 昨年姫路市において、小学校の学級のあり方について、学識者を含めた検討会議で、慎重に審議された結果、原則として、児童数が36人以上の1、2年生の学級に、複数担任制の導入を求める提言が市の教育委員会になされ、その提言を受けて、市が自主的に判断して、来年度予算に計上し、実施していきたいということは聞いている。
また、尼崎市教育委員会においては、来年度から少人数学級の導入に向けた検討が行われることについて、私ども新聞報道等で承知している。
少人数学級のあり方については、国の教育政策研究所等において、今まで調査・研究が進められてきたが、現時点では決め手がない状況で、引き続き調査・研究がなされている。
本県においても、平成13年度から、学級編制の弾力的な取り扱いに係る調査・研究校を指定して、研究してまいったが、現時点ではメリット・デメリットがあって、少人数学級を画一的に実施することについては、解決すべき課題があると考えている。
■質問■中村まさひろ: 今ちょっと話があった、新聞でということ、尼崎では白井市長が、35人学級を4月から実施したいと表明していたが、現時点では、今回は大変厳しい状況だというふうに聞いている。もちろん正式の協議に至っていないというのは、先ほど聞いたとおりである。ただ、市町が実施したいという方向であれば、私これは悪いことではないと思う。子供たちのことを考えた上のことであるというので、積極的に支援するべきではないかなというので、そのために必要な支援を県がするべきだと考えるが、いかがか。
▼答弁▼麻埜学事課長: 本県としては、小中学校において、昨年度から、国の教職員定数改善計画を最大限に活用して、一律に学級編制基準を引き下げるのではなく、小学校低学年での複数担任制、高学年での教科担任制、あるいは国語・算数・理科等の少人数授業による指導が効果的な教科での少人数学習などを内容とした新学習システムを5ヵ年計画で進めており、これに必要な教員を現在着実にその加配を行っている。こういうことによって、各市町の取り組みに対して、支援をしている。
■質問■中村まさひろ: まだ今の段階ですれ違っている。市町が勝手にやったらというように、一般的にはよく思われるが、これは、標準定数法の第5条によって、都道府県との事前協議と同意が必要やということが書かれている。ただ、この義務標準法、これちょっと読んでみたが、確かに同意が必要である。であるから後は、県が同意すればいいわけである。もちろん、財政措置というのがそこにかかわってくると思うが、これについてはもっと国に要求すると同時に、県単独でもできるようにしていくべきではないか。
先ほどちょっと出された新学習システムにおいても、弾力的学級編制ということ、実際に、ほんの一部であるが、少人数学級というのがやられているわけで、例えばモデルとしてやるんだったら、そこの枠を毎年もうちょっとふやしていくというふうなことも必要ではないか。
そういうことで、これからも、私は引き続き、この問題については実現するまで頑張っていきたいと思うので、本当に子供たちのことを考えて、皆さん方もぜひ前向きに対策をお願いしたいということを言って終わる。 |