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2002年度決算特別委員会教育委員会審査 新町みちよ
2003年12月12日

明石の総合選抜制度の存続を

■質問■ 新町県議: 高校の入試制度についてお尋ねをしたいと思う。
11月22日に明石の教育委員会の主催で総合選抜制度についてのシンポジウムが開催をされました。明石のシンポジウムでもパネラーの元中学校の教師の池田氏は明石の中学校では受験の直前まで勉強会でお互いに教えあう風景が見られ、学ぶ意欲が希薄になるどころか生徒同士が学び合いが最後まで続いていると指摘をされました。また自ら総合選抜制で学んだお母さんからは是非とも総選制の制度を守ってほしいこういうような発言が続いて会場の共感を集めました。シンポジストの方もフロアー発言の9人のうち7人の方は総合選抜制度のについての賛成の意見でした。明石市では6つの県立高校があります。総合選抜制度が導入をされて28年、市民の中に定着をしています。シンポジウムの中でも発言がありましたが総選のいいところ高校間の格差がありません。そのために優越感や劣等感を子どもたちが持たなくてもいい。出身校によって人を評価することがありません。また多様な生徒によって学び合い育ち合いができる。自分の成績にあわせて学校を選ばなければならないということがありません。今年度も83%の子どもたちが行きたい高校に入学ができました。進学の実績これも他の選抜制度と変わらないという実績がございます。
ところが、県の教育委員会は神戸の第3学区に導入をした複数志願制を阪神地区や明石の地区の総合選抜学区などの可能なところから導入をしたいと発言をされています。たいへんな問題だというふうに思います。圧倒的な明石の市民は総合選抜制度を支持していると思います。こういういい制度を存続をしてさらに発展をさせていくべきではないかと思いますが、ご答弁をお願いいたします。

▼答弁▼ 岡野高校教育課参事:総合選抜制度による高校入試でございますが、この制度につきましては、委員ご指摘のように東播磨地域の明石学区におきましては昭和50年から導入をされておりまして、ほかにも阪神地域で4学区これは昭和28年からの導入ということで現在も実施をされているわけでございます。総合選抜という制度によりますと、やはり今全国的には62年までには、13都府県が実施をしておったわけでございますが、生徒の行きたい学校に必ずしもいけないというそういう声がございまして、多くの県で見直しが行われておりまして現在本県を含む3府県、京都、山梨、本県で実施がされているのが実状でございます。兵庫県教育委員会といたしましては、複数志願選抜制度につきましては、県立高等学校教育改革第1次実施計画の中で単独選抜の学区においては大規模学区から導入し総合選抜や連携校方式の学区では学校の個性化多様化の進捗状況を見ながら可能なところから導入を検討するということにしておるところでございます。

「複数志願制」で混乱とゆがみ

■質問■ 新町県議: 複数志願制の導入で、受験生や生徒、教育現場がどんなふうになっているのかというのが大きな問題になっていると思うんですが、本当に大きな混乱と非常な歪みがでていると思います。
神戸第3学区の例でもそれは明らかで、県は学びたいことが学べる学校の選択制度だと、また学校間の序列化の緩和などというふうにおっしゃっておられてますが、偏差値を考え高校選択をしているという実態は変わっていない。それどころかトップ校以外ですねそれ以外の高校は本当に子どもたちがどこの高校に行けるのかというのが本当に不安になっている。15歳や16歳の子どもたちの気持ちが本当に踏みにじられている。こういう例がいっぱいあります。第1志望校に50点の加算点があるということで本当に第1志望校を選択していいのかそれとも第2志望校をどこにしたらいいのかということが本当に分からない。予測ができないという事態になっています。誰がどれだけの人が第1志望校をどこに選定をするのかが分からないということですが。今年の結果で、欠員ができたという高校があります。そこに欠員補充をされるというような子どもたちもいるわけです。そうすると来年はその欠員割れの高校に子どもたちの応募が増えるというようなことになりまして、先生たちも子どもたちが落ちないために、どこの高校を指導したらいいのかと分からないと。30人50人子どもたちが落ちてくるという状況があるわけですから。これをどうしたらいいのか分からないというような状況になっています。合格したけれども本当に不本意だということで先生に合格報告に行くのに泣いてくるという子どももいるわけです。こういう現実をどんなふうに受け止めておられるのでしょうか。

▼答弁▼岡野高校教育参事:委員ご指摘のように神戸第3学区で新しい選抜制度を導入いたしました。新しい選抜制度は複数志願選抜という部分と特色選抜という二つからなっております。私どもといたしましてこの複数志願選抜および特色選抜の導入にあたりまして目的としたことは学びたいことが学べる学校選択というのが一つそして過度の受験競争や学校間の序列の緩和ということを目的としたわけでございます。本年度実施をした結果を検証するなかで私どもはほぼその初期の目的には達したのではないかと考えております。受験の結果及び新入生、保護者、関係中学校のアンケートから私どもはそのように考えております。まず、学びたいことが学べる学校選択ということでございますけれども、合格した生徒のうち91.6%が第1志望に合格をしております。第2志望が7%強でございまして、合計しますと99.3%の受験生が志望校に合格をしておるということでございます。それから新入生を対象としたアンケートこれは5月に実施をいたしました。5月というのは一番入試の色の濃い時期だと思いますが、その時期に合格した新入生全員にアンケート調査をしましたところ約85%の生徒が現在充実した学校生活を送っておるというふうに答えておるところであります。
もう一つ過度の受験競争および学校間の序列の緩和の部分でございますが、一つは一定の学力があれば希望すれば第1希望あるは第2希望が不合格になってもいずれかの高校に合格できるといういわゆるその他校合格というのがございます。こういうことの制度の保証の中で受験生の心理的負担の軽減をはかるという効果もあったのではないかと思っております。またこれまでいわゆる受験学力だけに頼った学校選択というものの中で弊害ということも言われてきたわけでございますが、新入生の志望した経緯あるいは志望校を決定した経緯等々を聞いて見ますと入学者の志願理由というのは、たとえばある学校ではその学校の特色ということに魅力を感じて志望したと言うことがでております。中学校におきましても約8割の中学校が志望動向はこれまでと変わっているというふうにお答えいただいております。そういったことから新しい選抜制度の趣旨は生かされたものであるというふうに考えております。

■質問■ 新町県議: 本当に教育現場、生徒たち、保護者の方、教師の方の声を全く聞かれていないご答弁だと思います。
現実を見れば学校間の格差、序列歴然とあります。確かに一部のトップ校はより学力の優秀な子どもたちが集まっているかもしれませんが、今の現実をきちっと見なければいけないというふうに思います。神奈川県では来春からこの複数志願制の「廃止」を決めているというふうに聞いております。9割の生徒が第1志望と第2志望が同じというふうに記入をして事実上この複数化のねらいが崩れてしまったということです。兵庫県でも神戸の第3学区ではすでに35.4%の生徒が第1志望のみを志望したと。第2志望は書いていないと。3人に一人が複数の高校を書いていないということですからすでにこの複数志願制は制度として崩れているといってよいと思いますが、どう認識しておられますか。

▼答弁▼岡野高校教育課参事:35.4%の生徒が第1志望のみしか書かなかったということでございますが、私どもこれ中学校長会の方からお聞きしておる話では、大変進路、どこの高等学校に行くかということについては本当に真剣に考える。なんとなれば第1志望第2志望二つの選択肢がある中で必ずそこに合格すれば行くんだよと言う進路指導をされております。そういう中で本当に真剣に考えた結果、生徒が第1志望だけで勝負をしたいと言った生徒がそれだけいたということでございますので、制度の趣旨を理解しなかったという内容ではないと理解をしております。

■質問■ 新町県議: ですから第1志望のみしか書いていないということは、すでにこの制度的な欠陥を見抜いていると思うんですね。第2志望を書けば第2志望の高校に合格すればこれを拒否することはできない。こういう選択をしなかったということではないかと思います。
第3学区では全体の不合格者数も昨年より増加をいたしまして、私学への入学者が増えたと。不合格者を増やし受験生を泣かせるという制度は本当に総合選抜制と単独選抜制の長所を取り入れた制度とは思えないですね。一人一人の能力と学ぶ意欲を本当に引き出す学校選択というのが本当に必要だ思います。複数志願制度の推進というのは考え直すべきだと思いますがいかがですか。

▼答弁▼杉本教育次長:さきほど参事がお答えいたしましたように、この春に神戸第3学区で実施いたしました新しい選抜制度、その後のアンケートなどの検証の結果当初の私どものねらっていた主旨が十分に発揮されておるとこのように確信しておりまして、元々の計画のようなかたちでできるだけ個性化多様化の進捗を早めながら、個性化多様化をすすめながらこういった新しい制度の導入をはかりたいとこう考えております。

■質問■ 新町県議: 確信を持たれているのは県の教育委員会だけではないですか。このような複数志願制度をたとえば明石学区に導入するという中で本当に強い競争、競い合いを持ち込むと、混乱や歪みを生み出すのではないかと、本当に強い危惧を持っています。県の教育委員会は、このようなことがおこらないということが保障できるんですか。

▼答弁▼杉本教育次長:高校入試というのは、受験生や保護者にとりましては人生の上では大きな出来事であります。その制度を新しい制度が入ってくるというのは不安もございましょう。しかし私たちは、この春の神戸第3学区の新しい選抜の導入につきましても教育委員会とか中学校と連携をしながらできるだけ丁寧に説明をいたしまして、先ほど申し上げたようなかたちで、当初の予定していましたむしろ以上の成果をあげつつあると確信をいたしておりまして、今後ともそういったふうな形で導入をすすめていく中でみなさんがたの受験生等の理解をいっそうすすめることに力を入れながら混乱なくスムースに進めていくように十分に行えると思っております。

明石市民の意見を聞き、明石に複数志願制は導入するな

■質問■ 新町県議: 制度がよければいいんですけれども、そうではないということを今まで申し上げたわけです。県は地域の意見をよく聞くと答弁されておりますが、第3学区でもそうはなっておりません。導入が検討されております姫路・福崎学区でも直接の説明などは十分になされていないと思います。明石の先ほどいいましたシンポジウムでは文部科学省の斉藤みつお氏が講演をされまして各地域住民が一生懸命検討をして徹底をするものだと。地域の意向を重視すべきものだというふうにおっしゃっておられます。明石では市民が十分に議論をして総合選抜制度を変えないということを望んだ場合、これを尊重して複数志願制を導入しないとお約束をいただけますでしょうか。

▼答弁▼武田教育長:現行の選抜制度は、17の学区のうち5つだけが今総合選抜制度残っておるところでございます。それぞれの選抜制度はそれぞれの時代に歴史的経緯もあり必要上そのような制度が導入されたものとして受けとめておりますけれども、社会の成熟化とか価値観の多様化で子どもたちが必ずしも国公立をめざすような状況も生まれていることも事実でございますし、学校を選抜する場合の選択肢でそのような学力で国公立をめざすあるいはノーベル賞を目指す子もおれば部活をして甲子園を目指す子もおるわけでございまして、私どもといたしましては、こういった社会の変化に今まで通りの制度がなじむのかどうか、それぞれの子どもたちがどのような学校選択をしたいと思っているのか、これらをきっちりと見極めながら対応しまいりたいと考えているところでございまして、そのまま現行がよいということで、いたずらにそのまま続けるつもりはございません。

■質問■ 新町県議: 市民の意見は尊重すると「参画と協働」ということを言われる県ですから、これは是非ともお願いをしたいというふうに思います。
高校教育の目指していくものというものは平和的な国家社会の形成者として真理と正義を愛し個人の価値を尊び勤労と責任を重んじ自主的な精神に満ちた心身共に健康な国民を育てるという教育基本法の目的であると思います。
そのためには今ある高校教育制度の中でも、全国的に見てもすばらしいこの明石総合選抜制度を本当に維持発展をさせていくべきだと思います。複数志願制殿導入については反対であるという意見を明確に表明をして質問を終わります。

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