見通しのない都市事業をきっぱり中止を
■新町県議■ まず、今年5月に発表された「企業庁の経営ビジョン」についてお聞きする。
わたしたちは、従来から一貫して、企業庁の地域整備事業をはじめとする兵庫県がおこなってきた大規模開発について、自治体の「開発会社化」であり、環境破壊、経済効果、採算性などから大きな問題があると批判してきました。
この「経営ビジョン」のなかで、事業の推進について、「選択と集中」「進度調整」「段階的整備」という言葉ですが、事業・開発を抑制しているかのような表現がされています。実際、播磨科学公園都市やひょうご情報公園都市など、1工区の土地分譲も毎年度わずかで、事業のゆきづまりははっきりしています。
その現実にあわせた事業の見直しが今、切実に求められていると思いますが、具体的な見直しの項目を見ると、はっきり中止する事業は、金出地ダムの27億円がありますが、それだけで経費削減計画でも委託の廃止など小さいもので、それどころか、都市運営主体の移行として、地域内の公園などの維持経費を地元市町に求めていく姿勢も書かれています。
見直す方向がちがっているのではないでしょうか。見通しのない地域整備事業ついて、凍結・進度調整などあいまいなものではなく、事業の中止が必要ではないか。答弁ください。
■原田管理局長■ 企業庁においては県土の活力と魅力を高め、多彩な交流社会を目指す県土の創造を図るために地域整備事業を民間的な経営手法によって実施してきた。その役割は競争が激化するなかでますます重要になってくると考えている。
しかし、社会経済環境が大きく変化しており、経営環境が非常に厳しくなっている。いかに的確に対応していくかが重要な課題となっている。そのために企業庁としては経営資源を有効に活用し事業効果を早期に発揮させるために、先行投資は極力抑制し、需要が確実に見込まれる事業に集中的に投資していくことにしている。そういった基本的な考えのもとで社会経済情勢の変化に対して播磨科学公園都市の2〜3工区、ひょうご情報公園都市の2〜4区、さらには宝塚新都心については進度調整をおこなう一方、選択と集中、スピードと効率の経営方針のもとに本格化する安心のまちづくりやひょうご公園情報都市の中核施設の立地推進など重点を置いた事業展開を図っているところ。
個別プロジェクトと時価方式の会計を
■新町県議■ かなり長い間、播磨科学公園都市にしてもひょうご情報都市にしても2〜3工区、2〜4区というのは進度調整されてるわけでいつまでもこれを引きずっていくというのではなく、このような見通しのないプロジェクトはきっぱりと判断をし、中止すべきです。
見直しをすすめていく上で、会計のあり方が問題となっています。これについても従来から指摘をしてきました。この「ビジョン」で収益的収支を明らかにする方針を示されていますが、3つの地域ごとで公表するとしています。これでは議会にとっても、県民にとっても、これでは十分ではありません。
まず、事業の透明性を確保するために、各プロジェクトごとの会計を明らかにすべきだ。プロジェクトリーダーである課長が損益分析もやるわけだから、実務的にはできるはずです。
また、未利用地として各プロジェクトかかえている膨大な「土地」の価格については、簿価でなく実態にあわせた「時価」で明らかにならなければ判断ができません。時価方式については「国の動向を見て」と言われていますが、国の対応待ちでなく、具体的に早期に検討すべきです。いつからやりますか。この2点いかがですか。
■青木総務課長■ 地域整備事業会計の清算は、委員指摘のとおり企業庁経営ビジョンの中において早期に清算するということで作業している。なお、その清算単位は、ご案内のように地域整備事業、地方公営企業に基づいて一つの会計となっている。だから地域整備事業会計全体として収支を計るということが基本ではあるが、県土の特性等から阪神、播磨、淡路というような地域単位で投資や収支バランスを考慮した事業展開を図っており、その清算についても地域ごとに実施することにしたので清算結果については地域単位での公表を考えている。
なお、もう一つの質問の時価方式については国の検討状況を踏まえながら、引き続き検討していきたい。
■新町県議■ プロジェクトは県民に分かりやすいようにしていくべきだ。そういう意味でも各プロジェクトごとの会計を明らかにすべきである。
時価については、例えば住宅供給公社の資産について監査委員の指摘があって、既に時価計算に変えてきていると聞いている。早急に行うべきだ。
株式会夢舞台のホテル買い取り・リースの問題を指摘
■新町県議■ 2点目なんですが、株式会社夢舞台の経営についてです。これは131億円でホテル買い取ってリースバック方式で行なうということですが、全体のリース期間は80年ときいています。ホテルの法定耐用年数は39年ですね。この耐用年数をリースの期間とするのが通常ではないか。39年で回収するのが当然ではないか。
■則定総務課参事■ リース料の算定については、従来から貸付料の算定にあたっては(株)夢舞台の採算性あるいは企業庁の保有資金の回収を前提としてきている。リース期間については建物の実質的な耐用年数の範囲内としているが、これについて施行会社あるいは建築構造設計等の専門会社から実質的な耐用年数については100年は可能であるという意見書をもらっており、そういうことから法定耐用年数の2倍程度の期間内で全額回収することと考えている。
■新町県議■ ホテルなので建物が存在しているというだけではだめである。営業をしっかりできなければ回収できない。法定耐用年数で回収しなければ80年後、100年とも言われたが、どうなっているのか分からない。
だから39年でやるべきだ。それと、企業庁として131億円全額出しているが、(株)夢舞台への県の出資は半分 50%、当然リスクも半分でいいはず。他の出資者が株数に応じてリスクも配分すべきではないか。またその際、耐用年数39年で割るべきだが、いかがか。
■則定総務課参事■ リースバックの実施にあたっては主な株主にも事前に現状や考え方を説明し応分の負担について話をしたが、現下の非常に厳しい経済環境において他の株主から増資等の協力を得ることが困難な状況にあった。
また、このような状況に加えて(株)夢舞台の早急な経営安定化を図る必要があったことから企業庁のみで対応したところである。なお、大規模修繕については会社の方で対応することとしており、毎年度7千万円積み立てることとしている。
国の「第3セクター指針」を厳格に適用すべき
■新町県議■ 夢舞台株式会社は「第3セクター」ですが、「第3セクター」はどこも赤字で苦しく大変な状況になって、地方自治体の大きな負担となっています。そこで、総務省は、99年に「第3セクターに関する指針」をまとめられています。
その中には「地方公共団体が出資者として負う責任はあくまでも出資の範囲内であり、これを超えた責任は存在しない」と明記している。この指針からも当然応分の負担を要求すべきである。
また、この指針には「需要予測との乖離が大きく経営が悪化していると判断される場合は問題を先送りせず事業の存廃そのものについても判断すべき」としています。
今回企業庁がおこなったホテルの買い上げは、会社にとっては大きな効果があるという事。それは当然そうでしょう。ですが、それは(株)夢舞台の経営目標が達成できないために、企業庁が支援をして、県も支援をつづけていくということであり、総務省の「指針」の基準でいけば、事業の廃止が考えられてしかるべきではないか。
■足立公営企業管理者■ 今回の対策については倒産とか廃業とかそういう事態に至ってないので、今後自立再生に向けて、より会社の経営基盤を安定させていこうという対策を行ったわけであって、いわゆる存廃問題について判断するとかそういう段階のものではない。したがって、先ほど指摘のあった総務省の通達どおり、問題を先送りせず手を打って早期に再生をさせていく、総務省の主旨どおりと考えている。
■新町県議■ 指針の中に、「経営の予備的参考例」にもあるように、(株)夢舞台の経営努力により自立が可能であればすすめていけばよいが、県が131億円出して買い上げてやるのが本当に「自立」と言えるのか。
(株)夢舞台関連の初期投資は、683億円。宿泊の部分も、県の事業をそこに持ってきて国際展示場との関連で宿泊者の3割を占めている現状です。
県民全体の利益で考えると、事業を継続することにより県民にさらに負担増を求めることになり、これは、県民になかなか納得を得られるものではないことを指摘したい。
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